プロ翻訳者の単語帳

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In exchange for –

      2021/04/20

~ と引き換えに

近年、ニュースでやたらと見聞するのが、
こちらの用法。

  •  in exchange for sex
    (性交と引き換えに)
  •  in exchange for sexual favors
    (性的関係と引き換えに)
    (性的接待と引き換えに)

日本では「 枕営業 」「 枕する 」という表現が、
2013年頃から普通に通じるようになっている。

芸能界などでは、かなり昔から使われている模様だが、
2017年現在では一般社会でも広く認知された意味となっている。

本稿末尾でご紹介する  ” quid pro quo “( 代償型セクハラ )
の一種と考えられる。

 

◆  今年2017年の米国では、各界の有力者による
sexual misconducts“(性的不正行為)が
次々と明るみに出た

勇気ある複数人が声を上げることで、長年積もり
積もった不満
が顕在化した流れである。

加害者・被害者の双方が、誰もが知るレベルの
有名人である事件が多かったため、社会全体を
揺るがすような衝撃をもたらした。

連日の報道でも、冒頭2つの英語表現は何度も
出てきている。

◆  ポイントは “exchange“。

【発音】   ɪksˈtʃeɪndʒ
【音節】   ex-change  (2音節)

後半の第2音節にアクセント(強勢)。

音節(syllable、シラブル)とは、発音の最小単位。

英語では「2音節」だが、カタカナでは「6音節」。

平板で、均一なリズムが、日本語の持ち味。

チェ
12 3 45 6 音節

初っ端の第1音節「エ」にアクセントが来る感じ。

→  音節の差異が顕著な日英比較は、”integrity” 参照

“exchange” の基幹は、下記の「エクスチェンジ」が示す。

 エクスチェンジ 【exchange】

1.  交換。
2.  両替。 両替所。
3.  為替(かわせ)。 為替相場。

(広辞苑 第七版)

語源は、古フランス語「交換する」(eschange)。

  •  接頭辞  ” ex- ” (離れる)
  •  動詞  “ change ” (換える)
    で、「 手離して交換する 」の意

“exchange” には、名詞・他動詞・自動詞がある。

名詞は、可算と不可算を兼ねる。

多義でなく、語源に忠実な意味合いばかり。

交換

これだけ覚えておけば、あらかた間に合う。

–  名詞「交換」「交替」「言葉のやりとり」
–  他動詞「交換する」「両替する」
–  自動詞「交換できる」「両替できる」

一部の高校や大学に定着しているのが、

  •  a student exchange program  (交換留学制度)
  •  an exchange student (交換留学生)

◆  ” in exchange for ” は、”exchange” の 代表的なフレーズ。

ここでは、不可算名詞の “exchange“「交換」 で、無冠詞。

in” は、目的の前置詞 「~のために」「~として」。
for” は、代償の前置詞 「~に対して」「~の報酬として」。
※   “for” の他、”of” もある

よって、直訳は「~に対する交換のために」。
つまり、「~と引き換えに」。

◆  ニュース報道では、印象のよくないケースで用いられることが多い。

報道価値を要するニュースなので、ネガティブ用途に偏りがちとなる。

しかし、

■  本来は 中立的な表現 

  交換条件を表すのが趣旨  

■  本質的にポジネガは関係なく、等価を示唆

米ドル金為替本位制

  • “The US government used to issue the new dollars
    in exchange for gold at the fixed exchange rate.”
    (かつて米政府は、金と引き換えにドルを固定為替相場
    で発行していた。)      ※  「 米ドル金為替本位制
  • “We were given food in exchange for work.”
    (労働と引き換えに食物が提供された。)
  • “I sold my soul in exchange for payment.”
    (お金と引き換えに、自分の魂を売り払った。)
  • In exchange for 5 USD, I gave her 600 JPY.”
    (5ドルと引き換えに、彼女に600円渡した。)
  • “Customers receive this product for free in exchange 
    for reviews.”
    (商品レビューを書くことと引き換えに、客はこの品を
    無料で受け取る。)
  • “I offered him lunch in exchange for his time.”
    (彼に昼食をおごるかわりに時間を割いてもらった。)

◆  それでも、報道記事の用法に限ると、やはりネガティブが目立つ。

2017年のニュース見出しから、冒頭の実例を拾ってみた。

たった1分間の「タイトル検索」で、以下7例採集。

<タイトル検索>

単一キーワード「intitle:」
複数キーワード「allintitle:」

  • “Landlord wanted sex with tenants
    in exchange for rent”
    (大家が家賃がわりに性交をせがむ)

 

 

【参考】     ※  外部サイト

  • “X offered me a job in exchange for sex”
    (性交と引き換えに、Xに仕事をオファーされた私)
  • “Teacher offered pupils good grades
    in exchange for sex”
    (よい成績のかわりに性交を求めた教師)
  • “Landlords are offering free rent
    in exchange for sex”
    (性交と引き換えに家賃を無料にする大家たち)
  • “Former lawmaker offered vote
    in exchange for sex”
    (元議員が性交と引き換えに投票を申し出)
  • “X asked HG for sex in exchange for
    movie role”
    (映画出演と引き換えに性交をねだるX)
  • “Sex in exchange for legal services
    not uncommon”
    (性交と引き換えの法的支援は珍しくない)

◇  「見出し」英語の解説は、ここが秀逸   ↓
英語ニュースの読み方(見出し編)RNN時事英語

 

 

【類似表現】

■  in return for –
( ~と引き換えに、 ~に対する返礼として、 ~の見返りとして )

【発音】   ritə́rn
【音節】   re-turn  (2音節)

■  quid pro quo ”     ※  名詞
( 交換物、 しっぺ返し、 代償型セクハラ )

【発音】   ˌkwɪd prəʊ ˈkwəʊ
【音節】    quid  pro  quo  (3音節)

ラテン語のままだが、社会の闇を暴くような、暗めの
時事ニュース及びビジネス会話で見聞きする印象がある。

羊たちの沈黙 』( “ The Silence of the Lambs “、
米 1991年 )のレクター博士の決め台詞としても有名。

【参考動画】     ※  YouTube ( 2分37秒 )
https://www.youtube.com/watch?v=YlRLfbONYgM

 

 

 

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