Remain defiant
2020/02/28
めげずにいる
英和辞典では「反抗的な態度を取り続ける」
と記載されていることが多い。
確かに挑発的・挑戦的な態度を表す表現である。
しかし、実際の使用では、頑迷に背き逆らう様子
に限らないのである。
自らの信条などを貫く姿勢として、実質的な
褒め言葉として使われる場合も少なくない。
不利な状況にあっても、決してくじけない様子。
周囲の意向や体制になびかない人間の魅力。
そんな根性を示す時によく使われている。
抗うことには、決意と覚悟を要する。
その意気地は人の心を打つ。
だから、褒め言葉になりうるのだろう。
良かれ悪かれ、容易に屈しない態度を
表している。
–
◆ “remain” には、自動詞と名詞がある。
【発音】 rɪˈmeɪn
語源は、ラテン語「後ろにとどまる」(remanere)。
自動詞も名詞も、この語源を貫くので分かりやすい。
– 自動詞「~のままでいる」「居残る」「残存する」
– 名詞「残り」「遺物」「遺体」
※ 名詞は、複数形 “remains” が通例
ここでは、自動詞「~のままである」。
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◆ “defiant” は形容詞のみ。
【発音】 dɪˈfaɪ.ənt
語源は、フランス語「反抗的な」(”defiant”)。
そのまま「反抗的な」「ふてぶてしい」「大胆不敵な」
を意味する。
こちらの “clearly” が示唆する心意気である。
“defiant”
clearly refusing to do what someone tells you to do.
(ロングマン、LDOCE6)
【発音】 dɪˈfaɪ.ənt
※ 下線は引用者
したがって、”remain defiant” は、
- 反抗的なままでいる
- ふてぶてしいままでいる
- 大胆不敵なままでいる
–
◆ これら「反抗的なままでいる」に加え、褒め言葉
として用いる場合もあるのが、”remain defiant”。
書き手の描写次第で、受け手に与える印象に大差
がつく表現である。
当人をよく思わない書き手であれば、
反抗的な厄介者として、批判的に表す。
逆に、好意的な書き手であれば、冷たい記述で終えずに、
その<負けじ魂>を称える。
要は、どちらもありうる。
ただ、既存の英和辞典は「反抗的」優勢。
これでは、不十分だと私は考える。
だからこそ、本稿にて「褒め称える」意味合いを
取り上げている。
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◆ 文脈をしっかり読み込めば、あらかた区別はできる。
ニュース記事では、後者の用法が目立つ感がある。
個人的に好きか嫌いかは別として、逆境の中で踏ん張る少数派に、
人は共感する傾向が見られるからかもしれない。
◆ 同じ趣旨の表現に “stay defiant“(屈しないでいる)がある。
この “stay” も、自動詞「~のままでいる」。
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米スタンフォード大学の卒業式(2005年6月)
スティーブ・ジョブスの伝説スピーチの結び、
“Stay Hungry. Stay Foolish.” と同じ用法。
<YouTube> スタンフォード公式(全長:22分)
<公式発表> 同大学 公式HP 2005年6月14日付
<英日原稿>「ハングリーであれ。愚か者であれ」
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<負けるな>
- “She remained defiant of her cancer.”
(彼女は癌に負けなかった。)
– - “He remained defiant to the racial slurs.”
(彼は人種差別的な中傷に屈しなかった。)
– - “Despite the risk, she remained defiant.”
(危険があるにもかかわらず、彼女はめげなかった。)
– - “He remained defiant to the end.”
(彼は最後まで屈しなかった。)
– - “We remain strong and defiant.”
(我々は頑張り、屈しなかった。)