プロ翻訳者の単語帳

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Go wrong

      2020/01/05

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 2 minutes

うまくいかない

手を抜いたわけでないのに、
事がうまく進まない。
または、努力が裏目に出てしまう。

「裏目に出る」=
(よかれと思って)やったことの結果が
予想と逆になる。
(広辞苑 第六版)

仕事では珍しくはない。
真剣に取り組んでいれば、落胆も大きい。

思うようにいかないことの状況説明は、
暗く悲観的になりがちなだけでない。
ともすれば、関係者の無能ぶりを示唆する
ことと
なる。

プロとして、絶対避けたい印象である。
そのためには、適切な言い回しを要する。

こんな時に便利なのが、”go wrong”。
失望を抑えた、客観的なシンプル表現である。

不利な様子を明示しつつも、その責任に触れない。
端的に「うまくいっていない」と表しているだけ。
それ以外は一切述べておらず、誤解を招きにくい。

◆ “wrong” の語意は、一貫してネガティブ。
語源は、古ノルド語「不正」(wrangr)。
形容詞・名詞・副詞・他動詞がある。

圧倒的に使われるのは形容詞 “wrong” で、
英単語として最頻出かつ最重要。

誤った」「不適切な」「不調な
など、公私問わず使えるものばかり。
形容詞の主な対義語は、”right”。

口語・文面とも、頻出は<トップ1000語以内>。
重要も<トップ3000語以内>。
両方とも、最高ランクの形容詞である。
(ロングマン、LDOCE6 の表記より)

◆ “go wrong” の場合、形容詞でなく、
様態の副詞

副詞 “wrong” の重要度は同じく最上位だが、
頻度は落ちる。
– 書き言葉頻出ランク外
– 話し言葉頻出<2001~3000語以内>
(同上)

表題では、自動詞 “go”(~に至る)を伴う。
語形変化は、goes – going – went – gone。

 <結果>を描写するケースが多いため、
過去形 “went” が多用される。

go wrong” =

a) to stop working properly.

b) to make a mistake during a process so that 
you do not get the right result.

c) to do something that makes a plan,
relationship etc fail.

(ロングマン、LDOCE6)

様々な要因による「うまくいかない」をカバー
することが、この3つから分かる。

一言で訳せば、
a) 機能しない 
b) ミスして奏功しない
c) へまをする

たった2語で、ほとんどの「うまくいかない」
を表すことができる。
先の形容詞 “wrong” と等しく、公私不問で使える。

主な原因を網羅する表現とはいえ、
“go wrong” 自体が明らかにするのは、
うまくいかなかった姿のみ。

したがって、予断を許さず、曲解の余地は少ない。
状況を把握するためには、さらなる説明を要する。

うまくいかなかった当事者側が主導権を握れる
意味で、巧みな言葉遣いである。

“What went wrong ? ”
(どうしてこんなことに?)

“What had gone wrong ? ”
(何がうまくいかなかったのか。)

“I’ll take the blame if anything goes wrong.”
(何かうまくいかなくなったら、私が責任を取ります。)

“Something went wrong with my PC again.”
(パソコンの調子がまたおかしくなったよ。)

“Things have gone wrong so I quit my job.”
(いろいろうまくいかなくなったので退職した。)

“You can’t go wrong if you do what I say.”
(私の言う通りやれば、間違いようがない。)

“I have no idea where we went wrong.”
(どこを間違ったのだか、まるで分からない。)

◆ 芸能ニュースや YouTube で、
X gone wrong” や
What went wrong with X
などのタイトルを時々見かける。

「台無しになった○○」
「どうして○○はこうなった」
くらいの意。

予想外にとんでもないことになってしまった
有名人などを、面白おかしく取り上げている。

例えば、

  • “Child stars gone wrong”
    (だめになった子役スターたち)
  • “What went wrong with Y”
    (失敗に終わったY)
    ※ Y は、作品名や人名などの固有名

不遇を好奇心にさらす題材は、世間受けする。
他人の不幸に興奮してしまう醜い側面は、
人間誰しもあるようだ。

【参照】
シャーデンフロイデ」(schadenfreude

 

 

 

 

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