Just a phase
2021/01/12
ほんの一過性にすぎない
成長期の子どもをはじめ、身内の理解しがたい
問題行動に悩む相談者に対する典型対応。
■ 趣旨 「 今は我慢時 」
- 一時的だから大丈夫
- 時間が解決するから少々辛抱
- はしかのようなもの
実際に、一時的で終わる場合も多い。
<時の力> に抗うのは不可能に近い。
放っておいても、事情は変わる。
良くも悪くも。
苦しみの真っ只中にいる立場では見えにくいが、
必ず <時の力> が働き、 物事は移り変わっていく。
永遠に続くことは、なきに等しい。
–
◇ 万物逃れられないのが <時の力>
敢えないものである。
そのためか「 時の流れに任せる 」のは、常住する一手。
ジタバタ消耗した後、座視した方がよかったなど
と気づいたりするわけである。
とりわけ未成年であれば、心身の成長とともに、
全体がめまぐるしく変転していく。
若者の可塑性はすさまじい。
そして、ひどい毒親は、いつしか衰える。
–
◇ ずっと現状のままなんて、ありえない
–
それが自然の数。
- “My daughter is going through a rebellious phase
right now.”
(娘は反抗期のまっ盛りだ。)
–
後年、懐かしく思う「試練」さえ少なくない。
なぜだろう。
あれほど、 死ぬほど、 苦しんだはずなのに。
–
【参照】
・ “comfortable in one’s own skin”
・ “toxic relationship”
・ “test of time”
・ “estranged”
・ “beyond recognition”
・ “our share of issue(s)”
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–
◆ “phase” には、名詞・他動詞・自動詞がある。
–
【発音】 féiz (1音節)
語源は、ギリシア語「月の位相(※)」(phasis)の
複数形 “phases” からの逆生語(back-formation)。
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– 名詞「様相」「段階」「時期」
– 他動詞「段階的に調整する」
– 自動詞「段階的に動く」
※ 「位相」 = 1886年刊『工学字彙』の “phase” 和訳
名詞は可算名詞のみ。
–
表題では「段階」「時期」を意味する可算名詞。
だから、不定冠詞 “a” がつく。
“a phrase” で、特定・唯一ではなく、
「 いくつもある段階・時期のうちのひとつ 」
の意味合いを示す。
“phase”
one of the stages of a process of
development or change.
(ロングマン、LDOCE6)
※ 下線は引用者
【発音】 féiz (1音節)
これに、副詞 “just” が加わる。
–
◆ “just“ には、形容詞と副詞がある。
–
【発音】 dʒʌ́st (1音節)
–
語源は、ラテン語「公正な」(jūstus)。
本稿での “just” は、比較・程度の副詞。
- ほんの ~ にすぎない
- ただ ~ だけ
副詞 “only“、 “simply“、 “merely” と同等。
ここでは、相手の不安を軽減する役割 を担う。
【参照】
–
・ “just checking in”
・ “just for your information”
–
◆ したがって、”just a phase” の直訳は、
ほんの一時期にすぎない
すなわち「一過性」。
「一過性」
症状・現象が短い間に起こり、
また消える性質のもの。
(広辞苑 第七版)
苦難にある人への声掛けとしては、一応無難。
その状態が永続しないのは、まず間違いないから。
問題はその持続時間で、終わりが見えないこと。
我慢の加減が難しくなるため、かなりしんどい。
死ねば終わるのは言うまでもない。
だが、通常はそこまで思い詰めない。
–
寿命を考慮すれば、人生そのものが「一過性」。
広辞苑の「短い間に起こり、また消える性質」は、
生涯にも該当する。
「短い間」かどうかの見解は様々だろう。
しかし、人生自体が “just a phase” との大局観は、
あながち的外れではないと考える。
–
◆ 現に、栄華のはかなさを表す表現は尽きない。
- 邯鄲の夢
- 邯鄲の枕
- 盧生の夢
- 南柯の夢
- 黄梁一炊の夢
- 諸行無常
- 栄枯盛衰
- 栄枯浮沈
- 有為転変
- 人世推移
- 夢幻
- 老少不定
- 露命
- 盛者必衰
- 「 夏草や 兵どもが 夢の跡 」
(松尾芭蕉 @ 世界遺産「平泉」1689年)
–
無尽蔵な体力・気力を誇負した、無我夢中の若い時分
が瞬くうちに過ぎ去ってから、多くの人はふと感づく。
「 人生もまた “just a phase” か … 」
- “Life is fleeting.”
(人生は、つかの間。)
(人生は、はかない。)
This too, shall pass.
(物事には必ず終わりが来る。)
「万事休す」と手詰まった際は、
<時の力> と “just a phase”
の両側面を思い起こす
とよいかもしれない。
放っておいても、勝手に形勢は変わる。
良くも悪くも。–
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Time works wonder.
(時のもたらす奇跡)
(時がすべてを癒す)
(時間がすべてを解決する)
(時間が薬)
↓
時は偉大なり<時の力>
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けだし至言である。
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【関連表現】
- “Phase out”
https://mickeyweb.info/archives/22225
(徐々になくす)–
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