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Blow one’s mind

      2020/01/05

ぶったまげる、ひどく驚く 

XX blew my mind  ! 
(XXにはぶったまげたよ!)

尋常ならざる興奮を相手に伝える表現。
“blew” は “blow” の過去形。

10~30代の若い男女が多用するが、
それ以上の年代が使ってもおかしくはない。

「ぶったまげる」も同様。
俗語または若者言葉に聞こえるが、
実はそうでない。

  ぶったまげる(打っ魂消る)
「たまげる」を強めていう語。
ひどく驚く。
(広辞苑 第六版)

“blow somebody’s mind”
spoken: to make you feel very surprised
 and excited by something.
(LDOCE6、ロングマン)

“blow your mind”
(informal)
to produce a very strong pleasant or 
shocking feeling.
(OALD9、オックスフォード)

※ spoken = 話し言葉、口語体
※ informal = 非正式、くだけた言い方

通常ひらがなで書く「ぶったまげる」は、
漢字では「打っ魂消る」。

blow one’s mind” と共通点があるのは、
中級学習者であれば、ご推察できるだろう。

これから2つを比較しつつ、見ていきたい。

◆ “blow” には、自動詞・他動詞・名詞がある。

語源は、古英語「(風が)吹く」(blāwan)。

ボディブローの「強打」は、スペルも
発音も同じだが、語源が異なる別物。
語源は、中期英語「打つ」(blaw)。

語形変化は、blow-blew-blown。

「ぶったまげた」こと、つまり過去に起きた
ことを描写する場面が多いため、
過去形 “blew” が多用される。

  • 自動詞「(風が・息を)吹く」「(物が)吹かれる」
    「(警笛を)鳴らす」「パンクする」
  • 他動詞「(風が)吹き飛ばす」「(息を)吹き付ける」
  • 名詞「鼻をかむこと」「吹奏」「一吹き」

ここでは、他動詞「吹き飛ばす」。

LDOCE6によれば、動詞 “blow” は、

  • 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
  • 書き言葉の頻出度:<2001~3000語以内>
  • 話し言葉の頻出度:<1001~2000語以内>
    【発音】blóu

◆ “mind” には、名詞・他動詞・自動詞がある。

語源は、中期英語「記憶」(mynd)。
【発音】máind

ここでは名詞「精神」「」で、語源を引き継ぐ。
名詞は、可算名詞と不可算名詞を兼ねる。

  •  “mind”  理性・知性の宿る心
  •  “soul”   魂の宿る心

頻出かつ最重要な英単語のひとつで、
名詞 “mind” は口語・文面ともに、

  • 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
  • 書き言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
  • 話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>

いずれも最上位に位置する。
(LDOCE6 の頻出度表記より)

“blow one’s mind” の “mind” は、
上述のように「理性・知性の宿る心」。

どこか抽象的でつかみどころがないのは、
性質的なもので、日本語でもそうだろう。

ひと言で言えば、「理性」または「心」。
【参照】”right mind“(正気、まとも)

◆ “one’s“(または somebody’s)の部分には所有格。

大半は人称代名詞の所有格
his / her / my / our / their / your
のいずれかを入れる。

表題では、会話の流れから “my” と “your”
が多用される。

◆ 以上より、”blow one’s mind” は、

  • 他動詞 blow「吹き飛ばす」
  • 所有格 one’s 「誰々の」
  • 名詞 mind「理性」または「心」

驚きなどで<理性・心がぶっ飛ぶ>様子

直訳は「誰々の理性(心)を吹き飛ばす」。

打っ魂消る(ぶったまげ~)」イメージ。


 

「ぶったまげ~」もそうだが、
“blow one’s mind” の用途は幅広い。

文脈上、良くも悪くも使える。 禍福は問わないということ。

< 禍(misfortunes)>

  • “It was so terrible. It nearly blew my mind.”
    (それはあまりにひどく、理性を吹き飛ばしそうだった。)
    → ひどすぎて、頭がおかしくなりそうだった。
  • “She blew her mind on drugs.”
    (彼女は薬物で理性を吹き飛ばした。)
    → 薬物で正気を失った。
  • “The movie was just awful, it blew my mind.”
    (その映画はもう最悪で、ぶったまげた。)
  • “This bad news will blow his mind.”
    (この悪い知らせは、彼をとても驚かせるだろう。)

< 福(fortunes)>

  • “It was so fun. It nearly blew my mind.”
    (それはあまりに楽しく、理性を吹き飛ばしそうだった。)
    → 楽しすぎて、頭がおかしくなりそうだった。
  • “His intelligence blew my mind.”
    (彼の知性に心を吹き飛ばされた。)
    → 知性に驚愕した。
  • “His dazzling good looks blew her mind.”
    (彼の見事な男ぶりに彼女は驚いた。)
  • “I heard him sing and it blew my mind.”
    (彼の歌を聞いて、ぶったまげ~。)

定訳はないので、和訳時は文脈を読み取りつつ、
慎重に行う。

先述の通り「ぶったまげる」同様、ネガポジ両用なので、
まずはちらの意味合いかを識別するとよい。

例文に1つ挙げたが、薬物関係にもよく出てくる。

“blow one’s mind” =「その人の正気を奪う」

この用途では、”slang” 扱いする辞書もあるものの、
基本的には下品さはない。

◆ なお、ハイフンを用いた複合形容詞もある
(compound adjective)。

mind-blowing
informal : very exciting, shocking or strange.
(ロングマン、LDOCE6)

※ 下線は引用者

ひどく興奮させる、驚かせる、不思議な」の意。
<理性を吹き飛ばす>感じが共通し、意味合いは重なる。

初出は、1967年。

  • “It was a mind-blowing challenge.”
    (とても興奮する挑戦だった。)
  • “Her performance was positively mind-blowing.”
    (彼女の演技は、良い意味で驚きだった。)

 

【関連表現】
“blow out of proportion”
https://mickeyweb.info/archives/26987
(大げさに言う、大げさに騒ぐ)

 

 

 

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