プロ翻訳者の単語帳

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Blow out of proportion

      2019/03/22

大げさに言う、大げさに騒ぐ

熟語 “out of proportion
(つりあいがとれていない)
の用法のうち、別格扱いなのが、
表題 “blow out of proportion”。

◆ 今回調べた英英辞書7点のうち、
4点で項目立てされていた。

blow something (up) out of
(all) proportion

to make something seem much more
serious or important than it is.
(LDOCE6、ロングマン)

blow something out of proportion

to treat a particular event or problems
far too seriously.
(CALD4、ケンブリッジ)

blow something up out of (all) proportion

to make situation seem much worse than
it really is.
Macmillan Dictionary

blow out of proportion

to cause (something) to become larger than 
it should be or to be treated as something 
worse or more important than it really is.
Merriam-Webster

下線部「あるべき姿または現実に比べて」、
<大げさ>な様子を表すのが比較級である青字。

前者2点は、英語学習者用の学習英英辞典(EFL辞典)。
後者2点は、英語ネイティブも使う英英辞典で、
手加減なしの語釈。

英英辞典の語釈としては、どれも普通の難易度。
ざっと一読して、大枠をイメージできれば、
中級学習者として自信をもってよい。

このレベルが把握できれば、時事ニュースなどの
一般的な英文記事を、概ね(7割以上)自力で理解する
実力が身についているはず。

◆ 弊サイトで、英英辞典を多数引用する理由のひとつは、
英語力をご自分で試していただきたいからである。

特にEFL辞典は、英語学習者が自ら学習できるよう、大勢の
専門家が叡智を集め、長い年月をかけて入念に仕上げてある。

英文を読めるご自分に、ぜひ気づいていただきたい。
案外いけるかも…>との気づきが自信と意欲につながる。

◆ さて、表題の “blow out of proportion”。

先の英英辞典4点の表題はすべて異なる。

“up” と “all”、すなわち副詞の有無の違い
であり、大差あるばらつきではない。

“blow” と “blow up” は、両方とも「誇張する」。
それぞれ他動詞 “blow” と強意の副詞 “up”
加えた句動詞である。

ここでは “exaggerate” と同義。

「大げさに言う」「誇張する」を意味する
他動詞・自動詞。

語源は、ラテン語「拡大した」(exaggerātus)。
【発音】igzǽdʒərèit

“blow” は、1音節のシンプル単語に見えるが、
実は多義。

語源は、古英語「(風が)吹く」(blāwan)。

ボディブローの「強打」は、スペルも
発音も同じだが、語源が異なる別物。
語源は、中期英語「打つ」(blaw)。

◆ LDOCE6によれば、動詞 “blow” は、

  • 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
  • 書き言葉の頻出度:<2001~3000語以内>
  • 話し言葉の頻出度:<1001~2000語以内>
    【発音】blóu

自動詞・他動詞・名詞があり、基本的意味は、

  • 自動詞「(風が・息を)吹く」「(物が)吹かれる」
    「(警笛を)鳴らす」「パンクする」
  • 他動詞「(風が)吹き飛ばす」「(息を)吹き付ける」
  • 名詞「鼻をかむこと」「吹奏」「一吹き」

表題の “blow” は、語源に沿う上記の基本的意味に
入らない。応用レベルの範疇にある。

しかし、連想は難しくない。

他動詞「吹き付ける」→「吹きかける」→

「吹っかける」→「大げさに言う

日本語と重なるからおもしろい。

  ふきかける【吹き掛ける】

1. 激しく吹きつける。
2. 誇大にいう。値段を高くいう。
(広辞苑 第七版)

  ふっかける【吹っ掛ける】

3. 大げさに言う。法外な要求をする。
(大辞林 第三版)

  ふく【吹・噴・嘯】

ニ[他ヵ五(四)]
4. 大げさなことをいう。誇張していう。
大言をはく。でまかせをいう。自慢する。
(精選版 日本国語大辞典)

上掲の国語辞典3点の赤字が、ここでの “blow”
そのもの。

実に誂え向きなので、私の解説など蛇足に違いない。

先述のように、”blow” や “blow up” のみでも
「誇張」を意味するが、熟語 “out of proportion” を
伴う言い方が一般的。

out of proportion” な程度に “blow” するわけだから、
「つりあいがとれていないほど誇張する」が直訳。

本来「誇張」自体が「つりあいがとれていない」
様子を示すのだが、”blow out of proportion” は、
熟語として冗長な言い回しのまま根付いた。

よくあることである。

 こちょう【誇張】

実際よりもおおげさに表現すること。
(広辞苑 第七版)

熟語全体から見れば、”blow out of proportion”
は頻出でも重要でもない。

だが既記の通り、英英辞書7点のうち4点で、
独立項目が設けられているほどなので、確立した
フレーズと言える。

また、”out of proportion” を学ぶ際は不可欠となる。
さらに、ニュースに出てくる機会は珍しくない。

初見だと意味不明に陥ると考えられるので、
out of proportion” に次いでご紹介してみた。

◆ 実際に使う場合は、原形 “blow” ではなく、
過去分詞形 “blown” で用いる場合が多い。

語形変化は、blow-blew-blown

なぜなら、内容的に「~された」と受け身的な
意味合いで使われることが多いからである。

この点も日本語に似通っている。


◆次の例文で、共通点を吟味してみよう。

“The media have blown this scandal up
out of proportion.”
(このスキャンダルにメディアは大騒ぎした。)

“The TV talk shows will blow out of proportion.”
(ワイドショーが大げさに取り上げるだろう。)

“Why do you blow this out of all proportion ? ”
(なぜこれをこんな大げさにするの?)

“As soon as the weekly magazines got hold of
the story, it blew out of proportion.”
(週刊誌がこの話をつかむや否や、大騒ぎになった。)

“This scandal was about to be blown out
of proportion.”
(この不祥事は、今まさに大げさに報道されよう
としていた。)

“His problem has been blown out of proportion.”
(彼の問題は誇張されてしまった。)

“You are blowing things out of proportion.”
(あなたは物事を騒ぎ立てすぎる。)

 

【類似表現】

  • get out of proportion”
    (大げさに考える)

他動詞 “get”(~に至る)で
「つりあいがとれていない状態に至る」が直訳。

“Our concerns have gotten out of proportion.”
(私たちの懸念は行き過ぎ。)

 

【関連表現】

“blow one’s mind”
https://mickeyweb.info/archives/16361
(ぶったまげる、ひどく驚く)

 

 

 

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