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Taken aback

      2020/07/27

不意を衝かれる、 面食らう 

「不意を衝かれる」といったら、”taken aback” が
決まり表現のひとつ。

ふい【不意】

思いもよらないこと。思いがけないこと。
意外。転じて、突然。だしぬけ。

不意を衝(つ)く

相手に対し、だしぬけに事を行う。
敵をだしぬけに襲う。不意を討つ。

(広辞苑 第六版)

※ 「不意を突く」と書く英和辞典が多いが、
『広辞苑』では「衝く」を採用。

実際は、「突く」「衝く」「撞く」のいずれも
間違いではなく、ひらがな「つく」も目立つ。

「不意をつかれる」の定訳に近いにも
かかわらず、頻出には至らない。

その理由は、日常で「思いがけないこと」
などめったに生じず、相対的に出番が少ない
ためと考えられる。

だが、いざ自分が不意打を食らった際、他者に
“taken aback” と説明すれば、状況の大筋
は一瞬で分かってもらえる。

どんなに気が動転していても、確実に
伝わるほど、確立された言い回しなのである。

使い方は、非常にシンプル。
自衛のために、ぜひとも身につけておきたい。

◆ “aback” には、副詞と形容詞がある。

語源は、古英語「後方に」(on bæc)。

【発音】   əbǽk    ァバッ
【音節】   a-back (2音節)

日常使用では、”aback” 単独で使われることはほぼない。

“taken aback” の<2語ワンセット>ばかりで、
受動態が原則。

これぞまさしく、”aback” の大きな特色。

◆ “aback” 単独としては、副詞・形容詞ともに、
海事(海上の事柄)の専門用語 に用いる。

–  副詞「逆帆に」
–  形容詞「逆帆の」

「逆帆」(さかほ)

帆にあたる風が正常とは反対に裏側にあたる
状態になった帆。浦帆(うらほ)。

(大辞林 第三版)

こんな意味なので、普段出てくるわけない。

“aback” 1語では、形容詞は無視してよい印象。

3EFL辞典(LDOCE6、OALD9、CALD4)
のすべてに形容詞の表示はなく、”aback” は
副詞のみである。


◆ ここで、研究社『新和英大辞典』のお出まし。

“Green Goddess” の異名を誇り、2018年に刊行100年を
迎えた、日本最大とされる和英辞典である。

“taken aback” の由来を端的に明らかにする。

「逆帆」(さかほ)

(船が)逆帆を食う

be taken aback

(新和英大辞典 第5版)

いわば、

風が帆の裏面に吹きつけ、意表を突かれて、バタバタしている船

こうした様子を、「驚き慌てた人間」に置き換えた感じ。

初出は、1690年代。

【出典】  https://www.facebook.com/maritimesuper


上掲『新英和大辞典』にあるように、”taken aback” は、
「be動詞」に続くのが基本となる。

なぜなら、<2語ワンセット>で、「状態」を表す「形容詞」の役割を担うから。

※ 「be動詞」= be、am、was、been、will be、is、were、are

なぜ、形容詞だと「be動詞」に続くのかは、”aware”、”vocal about”、
conclusive” で詳述した。

英文法の基本であるので、ぴんとくることがなければ、
この機会におさらいしていただくとよいかもしれない。


◆  以下の
3EFL辞典 でも、単語 “aback” の解説は、一切省略している。

お互いに酷似している語釈である。

  • be taken aback” 
    to be very shocked or surprised.
    (ケンブリッジ、CALD4)
  • be taken aback
    (by something)
    ” 

    to be very surprised or shocked by something.
    (ロングマン、LDOCE6)
  • to taken aback
    (by somebody / something)
    ” 

    to be shocked or surprised by
    somebody / something.
    (オックスフォード、OALD9)

※ 下線は引用者

ここでの “take” は、他動詞「(突然)襲われる」。
「病気にかかる」と似た用法の “be taken” である。

  • “He was taken with an attack.”
    (彼は発作に襲われた。)
  • “She was taken with a fit of sneezing.”
    (彼女はくしゃみの発作に襲われた。)

「使い方は、非常にシンプル」と先述したが、
以上の説明で本当だと分かるだろう。

 “aback” の2つの基本

  • 用法:be動詞に続く ” taken aback
    →  日常使用では、<2語ワンセット>
  • 意味:” shocked or surprised
    →  とにかく、びっくりしている

◇  海事用語「逆帆」

 

  • “I was taken aback, but deep down I felt silly.”
    (私は驚いたが、内心バカげていると思った。)
  • “He was taken aback by her beauty.”
    (彼は彼女の美しさにびっくりした。)
  • “He was completely taken aback with her response.”
    (彼女の返事に、彼は完全に面食らった。)
  • “I was taken aback that she won the game.”
    (彼女がその試合に勝ったことに驚いた。)
  • “She was taken aback by his racial slur.”
    (彼の人種差別的な言葉に驚いた。)
  • “I was taken aback at his offensive comments
    about women.”
    (女性に対する彼の侮辱的なコメントに驚いた。)

 

【類似表現】

“catch – off guard”
https://mickeyweb.info/archives/1860
(~の不意をつく)

“baffled” ※ 形容詞
https://mickeyweb.info/archives/2412
(戸惑わせる)

“startled” ※ 形容詞
びっくりした、びくっとした

“astound” ※ 他動詞・自動詞
びっくりさせる

“blow one’s mind”
https://mickeyweb.info/archives/16361
(ぶったまげる、ひどく驚く )

“stunning” ※ 形容詞
https://mickeyweb.info/archives/16613
(衝撃的な、見事な、美しい)

“blindside”  ※ 他動詞
(不意を突く)

“caught with one’s pants down” ※ 少々下品
(不意打ちを食らう)
※ 通常、be動詞に続ける
“one’s” の部分には、人称代名詞の所有格、
his / her / my / our / their / your / its

 

 

 

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