Chances are -
2025/01/27
おそらく ~ だろう
「 おそらく ~ だろう 」
「 多分 ~ だろう 」
–
と言いたい時に多用される < 2語ワンセット >
の決まり文句。
口頭が目立つが、 文面でもOK。
ポジティブな響きを帯びる ” chances ” に
be動詞 ” are ” をつけたシンプル構造。
–
◆ 摩擦音 ( fricative ) の ” ch ” から始まるため、
言葉に勢いが出て、 言い出しには打ってつけ。
語勢が強いと、 他者の注意を引く効果が高まる。
1990年代、「 ちゃんと、ちゃんとの味の素 」
のCMが話題となった。
当時のコーポレートスローガンをそのまま
織り込んだ、 印象的なキャッチコピー。
日本語の 「 ちゃ 」 は 破擦音 ( plosive ) だが、
” ch ” の特長は共通しており、 それを活かした例と考えられる。
「 破擦音 ( はさつおん) 」 とは、 破裂音と摩擦音
の両方を持ち合わせ、 破裂音の直後に摩擦音が来る。
–
◆ ” chances ” は、 名詞 ” chance ” の複数形。
” chance ” には、 名詞・形容詞・自動詞・他動詞がある。
【発音】 tʃǽns (1音節)
平板で、 均一なリズムの日本語では、
3音節の 「 チャ – ン – ス 」。
ところが、 英語では「 1音節 ( one syllable ) 」 の単語。
「 音節 」( syllable、シラブル ) とは、 発音の最小単位。
「 発音の最小単位 」 に切れ目がない 「 1音節 」 のため、
腹の底から ゲロする 迫力で、一息に発声する。
チヤンスッ
「 チャ 」 よりは 「 チヤ 」と聞こえたりする。
–
単複で音節数が変わらない英単語も少なくないが、
複数形 ” chances ” では、「 2音節 」 になる。
チヤン セス
音節の日英比較は、” integrity ” で事細かにご説明した。
( 図入り、 動画入り )
–
◆ 語源は、 ラテン語「 出来事 」( cadentia )。
「 チャンス 」 とは、 「 機会 」「 好機 」( 広辞苑 第七版 )。
英語でも、 この2つが基本。
同義語は ” opportunity “。
肯定文の場合、 ” chance ” の方が偶然性が強い。
つまり、「 偶然または運よく起こる 」 様子。
– 名詞 「 機会 」「 好機 」「 偶然 」「 可能性 」
– 形容詞 「 偶然の 」
– 自動詞 「 偶然 ~ が起こる 」
– 他動詞 「 思い切ってやってみる 」
–
◆ このうち、 圧倒的に使われるのは名詞。
可算名詞と不可算名詞を兼ねる。
◇ 名詞 ” chance ” は、最頻出かつ最重要 の英単語
全3項目すべて最高ランク。
- 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
- 書き言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
- 話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
( ロングマン、 LDOCE6 )
表題でも名詞で、「 可能性 」の意味合い。
直訳は「 可能性は ~ である 」。
「 ~ という可能性である 」 と換言でき、
転じて、「 おそらく ~ だろう 」。
「 可能性 」の名詞 ” chance ” は、可算・不可算兼用。
” Chances are – ” では、 可算名詞の複数形。
- ” A chance is – ”
( ある可能性は ~ である )
– - ” The chance is – “
( その可能は ~ である )
では、 意味合いが違ってくる。
このフレーズは、複数が通例となる。
複数形に定冠詞をつけた “The chances are – ” も同義扱い。
こちらは <3語ワンセット>。
次の通り、 CALDでは カッコ入りの ” the ”
を加えて項目立てしている。
–
–
“(the) chances are ”informal
it is likely.
( ケンブリッジ、 CALD4 )” Chances are “
it is likely that.
( ロングマン、 LDOCE6 )※ 下線は引用者
–
” likely ” には、 形容詞と副詞があるが、
ここでは形容詞 「 ありそうな 」「 起こりそうな 」。
「 絶対確実とはいえないが、起こりうる 」 レベル。
蓋然性( がいぜんせい )を示す一般語が ” likely “、
すなわち ” chances are ” である。
–
–
「 蓋然 」
おそらくそうであろうと思われるさま。
( 広辞苑 第七版 )
–
したがって、 “it is likely that – ” は、
「 ~ はありそうである 」「 ~ は起こりそうである 」。
まとめると、
” chances are “
- おそらく ~ だろう
- 多分 ~ だろう
- ~ はありそうである
- ~ は起こりそうである
–
” are ” 以降に続く内容に合わせて、 和訳を当てはめる。
–
◆ 文法上は、 be動詞 ” are ” の直後に従属接続詞 ” that “( that節 )
を置くのが原則となる。
だが、 実際の使用では、“that” を省略することが多い。
以下の例文では、 カッコに入れて示したが、 いずれも
削って問題ない。
- “Chances are (that) she will be late again.”
(おそらく彼女はまた遅刻するだろう。)
–
- “Chances are (that) he has heard the news already.”
(おそらく彼は既にその知らせを聞いているだろう。)
– - “Chances are (that) he has left there by now.”
(おそらく彼は既にそこを去っているだろう。)
–
- “Chances are (that) she will leave me soon.”
(おそらく彼女は僕を振るだろう。)
–
◆ “chances” が「好機」「機会」なら、こんな感じ。
- “Chances are increasing.”
(機会が増えている。)
(好機が増えている。)
(可能性が増えている。)
– - “Chances are slim.”
(機会は少ない。)
(好機は少ない。)
(可能性は低い。)
【関連表現】
“when you get a chance”
https://mickeyweb.info/archives/132
(ご都合の良い時に)
“Take a chance.”
https://mickeyweb.info/archives/3329
(一か八かやってみなさい。)
“have a fat chance”
“have no chance”
(可能性なし)(見込みなし)