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Woo

      2020/01/01

せがむ、獲得する

初めて見ると、間投詞と勘違いしそうな動詞。

■「間投詞」(interjection)とは、
感動や応答を表す語で、
単独で文となりうる呼掛け言葉。

【例】
“Oh ! “、”Oops ! “、”Alas ! “、”Whoa ! ”
Gross ! “、”Snap ! “、”Welcome back ! “、
Well done ! “、”Barf ! “、”Check!”

日本でお馴染みの「ワオ!」(”Wow!”)

【発音】  waʊ

「ワオ!」も間投詞だが、表題は「ウー」。

【発音】  wúː

感嘆符「!」と無縁な、普通の動詞である。

◆ “woo” には、他動詞・自動詞・名詞がある。

名詞用法はまれで、次の2つの成句のみで使う。

  • pitch woo 
    ※ 間に “the” または “a” もありうる
  • fling woo
    ※ 間に “the” または “a” もありうる

(キスなどして)いちゃつく、抱き合う、愛撫する  

こうした意味合い。

いきなり、でれでれじゃらじゃらな描写だが、
語源からして、なまめいている。

すなわち、古英語「求婚する」(wōgian)。




今もこの意味で使われるものの、今回調べた7点中6点
の英英辞典に、”old-fashioned“(時代遅れの表現)
と表記されていた。

例えば、OALD9。

woo somebody

(old-fashioned)
(of a man) to try to persuade a woman to love 
him and marry him.
Synonym: court

(OALD9、オックスフォード)

同義語 “court” を用いて換言すると、”to court a woman”.

“woo” の「求婚」「求愛」にて、英和大辞典3点の語釈は、
以下の表記を添えている。

  • やや古」ジーニアス英和大辞典
  • 古風」ランダムハウス英和大辞典 第2版
  • (無表記)新英和大辞典 第6版

以上より、「求婚」「求愛」としての語義は、
一般的ではないと結論できる。

◆ 既記の通り、”woo” の名詞はマイナーで、動詞が主。

–  他動詞「求婚する」「口説く」「せがむ」「呼び込む」
–  自動詞「口説く」「せがむ」

  くどく【口説く】
3. 自分の意に従わせようとしつこく言う。
説得する。特に、恋情を訴えて交際を迫る。
言い寄る。

  せがむ  
2. どうしてもかなえて欲しいと何度も頼む。
ねだる。

(広辞苑 第七版)

※ 語釈の該当項のみ引用

ニュース用法の「せがむ」代表格は、

  • 懇願する = 切に願う
  • 懇請する = ひたすらねんごろに願う
  • 嘆願する = 事情を述べて願う
  • 言い寄る = ものを頼みこむ。下心をもって、取り入ろうとする。

相手が女性に限定されない点で、語源と違ってくるが、
いずれも熱心に願うことには違いない。

そもそも、語源から派生した流れゆえに、分かりやすい。

語源求婚する」→「求愛する」→「口説く」→
せがむ」→「呼び込む」→「獲得する


◆ “woo” を覚える際は、

◇ ウ~とせがむ
◇ ウ~とおねだり

などと暗唱するとよい。

字面も発音も印象的。 すぐ身につくはず。

【発音】  wúː


◆ こんな動詞が、実際のニュース記事でどう使われているか。

なかなか興味をそそられる。

残念ながら、至って真面目な文脈に鎮座するのが常である。
あだめいた素振りは見せず、見事に期待を裏切ってくれる。

3大学習英英辞典(EFL辞典)の語釈がこちら。

“woo”

to try to persuade someone to do something such 
as buy something from you, vote for you, or work 
for you – used in news report.
(LDOCE6、ロングマン)

to try to get the support of somebody.
(OALD9、オックスフォード)

to try to persuade someone to support you or 
to use your businesses.
(CALD4、ケンブリッジ)

【発音】  wúː

緑字は具体例。
自分が何かを得るため、相手にせがむ様子が伺える。

“woo” の主たる語義は、「呼び込む」「獲得する」なのである。

◆ 今年2018年発表のニュース見出しから、6点引用する。

  • “7 Ways to Woo Consumers with
    a Sustainable Supply Chain”
    (持続可能なサプライチェーンで、
    消費者を引き寄せる7つの方法)
  • “US universities woo Chinese students
    with new admission programme”
    (新たな入学プログラムで、
    米大学が中国学生を呼び込む)
  • “Cannabis lobby heads to Washington
    to woo US lawmakers”
    (大麻団体が米国議員に嘆願するためワシントンへ)
  • “How Fruit Flies Woo a Mate”
    (ショウジョウバエの求愛方法)
    ー-
  • “Google is using Facebook fatigue
    to woo publishers”
    (グーグルはフェイスブック疲れに
    乗じて、サイト運営者に取り入る)
  • “American Express to Woo More Clients
    Via New Credit Card”
    (アメリカンエキスプレスは新クレカで顧客開拓)

 

たった5分間の検索で、手当たり次第に採集した見出し6点。
一瞬で、広範な話題の典型パターンを網羅できた。

運に恵まれたばかりでなく、このように頻繁に
出てくるからに他ならない。

そのおかげで、活きのよい文例を難なくゲット。

とは申せ、英単語全体からみれば、取るに足らない位置づけ。

LDOCE6 の指標によれば、全3項目ランク外。

  • 重要度 :9000語圏外
  • 書き言葉の頻出度:3000語圏外
  • 話し言葉の頻出度:3000語圏外

同義語が少なくない中、”woo” を起用する必要性は低い。

しかし、左右対称の “woo” の面構えが、シンプルで
見栄えすることは、上掲の見出しから見て取れる。

 

※ 「見出し」英語の解説は、ここが秀逸 ↓
英語ニュースの読み方(見出し編)RNN時事英語

 

 

 

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