Fund
2020/01/24
資金提供する、資金援助をする、資金、基金
企業など営利目的の主体だけでなく、
一般家庭でも日々必要なのが「資金」。
事業の元手や経営に使用される金銭に限らない。
教育資金や住宅資金など、特定の目的のための
金銭も指す。
“fund” は「資金」を表す、最も一般的な単語。
資金がないと回らないのが資本主義社会。
よって、どんな分野にも欠かせない単語。
当然、ビジネスでは頻出である。
投資信託の「ファンド」は、日本社会に定着済み。
イメージは難しくないだろう。
用法にもパターンがあるので、身につけやすい。
“fund” の着目点は、名詞に加えて動詞がある点。
ビジネス面からは、動詞 “fund” もかなり大事。
“fund” の語源は、ラテン語「地所」(fundus)。
土地に付随して、「資金」を示すようになった。
◆ 他動詞
“fund” には、自動詞はない。他動詞のみ。
一般用法は、多義でなくシンプルである。
次の2つを覚えておけば、基本はOK。
<他動詞>
- 資金提供する
- 資金援助する
要は「資金を出す」。
さらに「積み立てをする」「借り換える」など
も意味するが、まずは基本2つを押さえよう。
幅広い応用力が強み。
資金提供の一般的な説明は、
他動詞 “fund” でほとんど表現できる。
受動態(was funded など)を用いれば、
「資金提供を受けた」ことも示せる。
能動態と受動態を活用すると、かなり使える動詞だ。
◆ 次の例文からも自明であろう。
“The government funded this service.”
“This service was funded by the government.”
“This is a government-funded service.” ※ 形容詞用法
(これは政府資金によるサービスです。)
“Who will fund his funeral ? ”
“They decided to fund his funeral.”
(誰が彼の葬式代を出すの?)
(彼らが出すことに決めました。)
“This scholarship is a fully-funded program.”
(この奨学金制度は全額支給です。)※ 形容詞用法
“His education is funded by her.”
“She funded his education.”
(彼の教育費は彼女が提供した。)
“The school was funded in 2017 by him.”
“He funded the school in 2017.”
(2017年に、その学校は彼に資金提供を受けた。)
“Would you fund my treatment ? ”
“Can’t you fund it yourself ? ”
(治療費をご提供いただけないでしょうか?)
(自分で出せないの?)
“I want to fund your trip to Japan.”
“No thank you, I’ll fund it myself.”
(日本への旅費を私が負担したい。)
(ありがたいですが、自分で払います。)
–
◆ これらの例にも該当するが、
自他動詞 “pay”「支払う」で置き換え
できるケースが多い。
※ 過去形・過去分詞形は、”paid”
主な相違点は、他動詞 “fund” の方が、
1) 堅いビジネス表現
2) 文語的で上品 ※ 露骨でない
3) 意味に深みがある ※ 金銭に限らない
「払う」と「資金提供」の違いに似ている。
普通の小学生が「資金提供」と言わないのと等しく、
普通の英語ネイティブの小学生も “fund” は使わない。
◆ 名詞
1. “fund”
an amount of money that is collected
and kept for a particular purpose.
2. “funds“
money that an organization needs or has.
(ロングマン、LDOCE6)
【参考和訳】
1. 基金、特定の目的のために用意する資金
2. 必要な資金、手持ちの資金
1は「○○資金」という枠に入る、漠然とした
形式的な資金が多い。可算名詞。
- an education fund (教育資金)
- a retirement fund (退職資金)
- a relief fund (救済資金)
- a reserve fund (積立金)
- a research fund (研究資金)
- an emergency fund (緊急資金)
- a trust fund (信託資金)
- an investment fund (投資資金)
- the International Monetary Fund (IMF、国際通貨基金)
2は、複数形で使われるのが通例。
緊急性があり、すぐ必要な感じのお金。
またはすでに手元にあるお金。
1よりも、具体的で固有性があり、可算名詞ではない。
複数名詞(=通常、複数形で使われる)。
実際の使用では、1と2の区別は明確でない場合も
少なくない。
「基金」の使い方が厳密でないこと
も影響しているだろう。
通常使用であれば、神経質にならない方がよい。
◆ 名詞用法にもパターンがある。
伴う動詞や形容詞も、多用されるものは限られている。
次のフレーズを覚えておくとよい。
- raise funds (資金調達する)※ 最頻出
- raise a XX fund (XX資金を調達する)
- lack of funds、short of funds (資金不足)
- set up a fund、establish a fund (基金を設立する)
- provide a fund、provide funds (資金を提供する)
- funds for XX (XXのための資金)
特に、”raise funds” は重要。
定訳なので、ぜひ覚えておこう。
選挙戦(an election campaign)にも、
選挙資金(a campaign fund)集めで欠かせない。
“raise campaign funds” と複数形が普通。
- “His company is going out of its way to
raise funds for the charity.”
(彼の会社は、その慈善団体の資金調達に乗り出す。)
ー - “We raised funds on behalf of the library.”
(その図書館のために、資金調達しました。)
– - “Teachers are rounding up funds for the program.”
(そのプログラムのため、先生方が資金をかき集めている。)
–
◆ なお、”funding” も似た意味。
こちらは不可算名詞で、集合的に使われる。
【発音】 fʌ́ndiŋ
“Our funding has dried up.”
(我々の資金は尽きた。)
“Teachers are demanding better school funding.”
(先生たちは学校資金の増額を求めている。)
“I will create a funding request.”
“I will create a request for funding.”
(私が資金援助の申請書を作成します。)
“Then, I’ll push for funding.”
(それなら、資金を要請しておくよ。)
“There’s no more funding, so we’ll need to do without.”
(資金がもうないから、それなしでやる必要がある。)
– 名詞「資金」「資金提供」
– 形容詞「資金提供の」
“fund” や “funds” がお金・資金そのものを示す
のに対して、”funding” は「提供(provide)」
の行為まで、意味合いに含む場合が多い。
“funding” は名詞だが、機能的には動名詞(gerund)に近い。
※ 動名詞:一般動詞(do動詞)に ing を付けた動詞
で、
– “raise funding”(資金調達する)
– “provide funding”(資金提供する)
これらは、通常は
– “raise funds”
– “provide funds”
と同義で使われている。
これまた区別が明確でないということ。