Out of proportion
2021/09/18
つりあいがとれていない
” out of ” と ” proportion ” の 組み合わせ で、
「 釣り合いから外れている 」。
” out of ” も ” proportion ” も、基礎英語の範疇。
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たとえ ” out of proportion ” という熟語を知らなくても、
中級学習者 であれば、初見で意味を推測できるはず。
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◆ ” out of – ” の意味はいくつもあるが、
熟語用途で最も基本となる意味合いは、
” out of – “
- 副詞 ” out “( 外れて )
- 分離の前置詞 ” of “( ~ から )
で、 「 ~ から外れて 」
–
◆ 日常生活でよく見聞きする 「3語熟語」
の ” out of ” は、次の通り。
- out of balance
(不均衡)
– - out of business
(失業した、 廃業した)
– - out of character
(柄にもない)
– - out of control
(コントロールできない、手に負えない)
– - out of context
(文脈から切り離して)
– - out of court
(法廷外で、 示談で)
– - out of danger
(危険から脱して)
– - out of date
(期限切れの、 時代遅れの 、 無効の )
– - out of doors
(屋外で)
– - out of fashion
(時代遅れ)
– - out of focus
(焦点がずれている)
– - out of hand
(手に負えない)
– - out of mind
(正気を失う)
– - out of money
(金がない)
– - out of office
(オフィスにはいない)(不在中)
– - out of order
(故障した、 不適切で、 順序がばらばらで)
– - out of place
(場違いの)
– - out of pocket
(自腹を切って)
– - out of print
(絶版の)
– - out of question
(疑いがない)
→ out of the question
(問題外である、 不可能である)
– - out of reach
(手が届かない)
– - out of season
(季節外れの)
– - out of service
(使用不能)
– - out of sight
(見えなくなる)
– - out of stock
(在庫切れ)
– - out of sync
(同調しない)
– - out of touch
(実態を把握していない、 無関心、 音信不通)
– - out of town
(不在の)
– - out of view
(見えなくなる)
– - out of work
(失業した)
–
あえて「 3語 」の常用熟語ばかり、30個挙げてみた。
どれも「 外れている 」感じがするだろう。
この感覚が何となく体感できれば、英語に馴染んでいる。
自信をもってよい。 初学者は、まだ何も感じない。
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◆ 次に ” proportion “。
【発音】 prəpɔ́ːrʃən
【音節】 pro-por-tion (3音節)
名詞と他動詞がある。
語源は、ラテン語「均整」(prōportiō)。
この語源を貫く意味合いが中心となるため、
理解はそう難しくない。
その上、カタカナ「プロポーション」が
日本社会に定着済みである。
プロポーション(英 proportion)
1. 割合。比。比率。
2. 均衡。つりあい。
3. 特に、肉づきや身長など、からだつき全体の
つりあい。均整。
(精選版 日本国語大辞典)
【発音】 prəpɔ́ːrʃən
【音節】 pro-por-tion (3音節)
1~3の全語釈が、英語の名詞と重なる。
カタカナで「プロポーション」と言えば、
まず官能的なイメージが頭をよぎるかもしれない。
確かに一般社会では、3が突出した印象がある。
もともと「2. つりあい」から「3. 体の均整」の流れで派生したもの。
本来はエロスと無縁。
上の国語辞典に加え、”proportion” の基本的意味は、
– 名詞「大きさ」「広さ」「比例」
– 他動詞「比例させる」「調和させる」「配分する」
名詞には、可算と不可算がある。
表題は不可算名詞「つりあい」。
「バランス」とほぼ同義。
この用法の “balance” は同じく不可算名詞。
“out of proportion” で「つりあいから外れる」。
均整のとれていない体つきにも使うので、
これを足がかりに覚えてもよい。
例えば、
- “His head is out of proportion with the body.”
(彼の頭は体とバランスが悪い。)
人の容姿をとやかく言うのは卑しい行為だが、
学習のために卑近な例を用いることは許されるだろう。
何より視覚に訴えるため、とても分かりやすい。
先の例文は、頭が大きすぎるのか、小さすぎるのか不明。
とにかく、均整がとれていないことを指摘している。
同様に、
- “That ball seems out of proportion
with the height of players.”
(あのボールは、選手の背丈に合ってないように見える。)
–
ボールが大きすぎるのか、人が小さすぎるのか分からない。
バランスが悪く、不釣り合いなのは確か。
“out of proportion” と表現する際は、不満を示すのが普通。
「バランスがとれていない」「合っていない」と
日本語で表現する場合と同じ。
“out of (all) proportion”
too big, great, or strong in relation to
something.
(LODCE6、ロングマン)
–
※ 下線は引用者
下線部「何かとの関連で」とあるように、
視点は 相対的なつりあい にある。
–
単独ならば、評価が違ってくる可能性もある。
「何かとの関連で」なので、続く前置詞は、
関連の “to” または “with” で「~に対して」。
- “This penalty is out of proportion to the offense.”
(この処罰はその罪と釣り合っていない。)
– - “His spending is out of proportion to his wage.”
(彼の出費は給料と見合っていない。)
– - “The cost was out of proportion to the budget.”
(そのコストは予算に見合ってなかった。)
– - “That would be out of proportion with the others.”
(それでは他との均衡がとれない。)
– - “Such fear is out of proportion with the reality.”
(その不安は現実的でない。)ー
◆ “out of proportion” の直前に、 他動詞 “blow”
を置くと、「大げさにする」の意味合いになる。
- “blow out of proportion”
(大げさに言う、大げさに騒ぐ)
【反意表現】 – ※ 辞書にはあるが、普段は見聞きしない印象
- “keep in proportion”
(相応に対処する)”This problem should be kept in proportion.”
(この問題は相応に対処すべきだ。)