As is
2023/11/13
現状のままで
本来は “ as it is ” の意味。
人称代名詞の単数主格 ” it ” が省略された表現。
中古品売買やオークションでは、 必須用語。
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契約時の「 そのまま 」
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この状態で、 売買することが、 ” as is ” 。
買主側には、 この状態で売り渡され、 引き渡される。
すなわち、
- 現状品
- 現状あり姿 ( げんじょうありすがた )
- 現状有姿 ( げんじょうゆうし )
- 現状渡し
- 現状有姿渡し
日本では、 不動産売買の時にも使われる用語。
こうした 「 条件 」 に加えて、 「 免責事項 」 「 注意事項 」
の要素も有する。
引き渡されたものにトラブルがあっても、 買主は文句を
言えず、 保証もないため、 買主側に厳しい条件となる。
逆に、 売主にはこの上なく有利な条件である。
ありのまま引き渡すだけ。
面倒がない。
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『 英文ビジネス契約書大辞典 [ 増補改訂版 ] 』 p. 689.山本 孝夫 ( 著 )
日本経済新聞出版社、 2014年刊
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主に文書で使うが、 口頭でも出てくる表現。
副詞・形容詞で使う場合、 ” as-is ” とハイフンを入れるのが原則。
ハイフンなしの場合、 副詞句・形容詞句として扱われる。
実際には、 ハイフンの有無にはばらつきがあり、 実用上も
ごっちゃになっている様子が目立つのが、 この ” as is “。
つまり、 現実の取引実務においても、 驚くほどばらばら。
したがって、 日常使用上、 さほど神経質にならなくてよい。
この点、 ” fast forward ” と似た傾向。
とはいえ、 英語学習者である以上、 ハイフンの基礎知識 は
押さえておきたい。
【発音】 háifn
【音節】 hy-phen (2音節)
◆ 名詞を飾る形容詞の場合、 ハイフンを入れて ” as-is ”
と表記するのが原則。
「 複合形容詞 ( compound adjective ) 」 である。
「 ハイフネートの原則 」 に基づき、
2語以上の語が他の語を修飾する場合は、 ハイフンでつなぎ、
「 複合修飾語 ( compound modifier )」 にする。
先の 「 複合形容詞 」 はその種類のひとつ。
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- ” as ” は、 様態・状態の接続詞 「 ~ のまま 」
※ 副詞と解釈する説もある - 人称代名詞の単数の主格 ” it ” ( それ ) は、「 その商品 」
- be動詞の三人称単数の現在形 ” is ”
で、 現在の状態
よって、「 その商品の現在の そのまま の状態 」 の意
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◆ ” as ” には、接続詞・副詞・代名詞・前置詞がある。
最頻出かつ最重要レベルの英単語で、多義である。
- 重要度 : 最上位 <トップ3000語以内>
- 書き言葉の頻出度 : 最上位 <トップ1000語以内>
- 話し言葉の頻出度 : 最上位 <トップ1000語以内>
( ロングマン、LDOCE6 の表記 )
ここでは、様態・状態を示す接続詞、
- ~ のまま
- ~ のように
- ~ の通り
◆ 正式な契約書・約款はもちろんのこと、既述の通り、
オークションなどの説明文にもよく出てくる。
- ” sell it as-is ”
( 現状通りで販売する )
( 現状品として売る )
– - ” on an as-is basis ”
( 現状あり姿で )
– - ” I bought this car as is. ”
( この車を現状のままで買った。)
– - ” If you buy it as is, I can give you a discount. ”
( 現状渡しなら、 値引きするよ。)
◆ 様態・状態の接続詞 ” as ” は、根拠提示を常とする
ビジネスで重宝する。
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以下、 ” as follows ” ( 以下の通り ) より再掲。
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◆ 様態・状態の接続詞 ” as “
「 ~ のように 」 「 ~ の通り 」 「 ~ のまま 」
ビジネス用途では頻出。
” as follows ” に加え、 代表的なものはこちら。
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-
as advertised ( 広告通りに )
-
as agreed ( 合意に従い )
-
as directed ( 指示に従い )
-
as described ( 記載の通りに )
-
as discussed( 話し合いに従い )
-
as mentioned ( 述べた通りに )
-
as promised ( 約束に従い )
-
as planned ( 計画通りに )
-
as scheduled ( 予定通りに )
-
as requested ( ご要望の通りに )
◇ 全部 「 2語ワンセット 」 の 「 副詞句 」扱い が原則
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◆ 上記の副詞句は、 本来の意味として、
- 過去形 ( past tense ) の受動態 ” as it was ○○ ”
または - 過去完了形 ( past perfect ) の受動態 ” as it had been ○○ “
ゆえに、 動詞 ○○ はどれも 過去分詞形 ( past participle )。
【参照】 完了形と過去形との違いは、 ” better place “ に詳述
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◆ 片や、 表題 ” as is ” は、 もともと “ as it is ” で、
人称代名詞の単数主格 ” it ” が省略されている。
既に冒頭で触れた。
” as follows ” もこのパターンで、 ” as it follows ” が本来の形。
一説によると、「 非人称の it 」 ではあるものの、 形態上は三人称単数語尾
を伴うため、「 三単現のS 」( ※ )がつき、 ” follows ” となった。
この点は、 “ as follows ” にて、 英英辞書を掲げてご案内した。
※ 主語が 「 三人称 」 かつ 「 単数 」で、 動詞の時制が「 現在形 」
→ 動詞 「 原型 」 の語尾に ” s ” がつく
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◆ 前掲 『 英文ビジネス契約書大辞典 [ 増補改訂版 ] 』 より
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p. 1093.
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pp. 292-293.
–『 英文ビジネス契約書大辞典 [ 増補改訂版 ] 』
山本 孝夫 ( 著 )
日本経済新聞出版社、 2014年刊