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Take the plunge

      2025/04/23

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 5 minutes

思い切ってする

自他の勇気ある行為を鮮やかに表す表現。

頻出には至らないが、そこそこ出てくる感がある。

経済ニュースでよく見聞きするのは、

◇  take a plunge

よりプライベートな場面では、

◇  take the plunge

が目立つ。

違いは前置詞のみだが、 意味は異なる。

よい機会なので、 両方とも学んでしまおう。

◆  ” plunge ” には 、 他動詞・自動詞・名詞がある。

語源は、 ラテン語 「 」( plumbum )。

「 鉛で水を計る 」 が本義。

「 鉛 」 の元素記号 ( chemical symbol ) は、 ” Pb “。

  •  ” The chemical symbol for lead is Pb.”
    ( 鉛の元素記号はPbです。)

【発音】 plʌndʒ (1音節)

基本的意味は、
–  他動詞 「 突っ込む 」 「 陥れる 」
–  自動詞 「 突っ込む 」 「 陥る 」「 急に下落する 」
–  名詞 「 飛び込み 」 「 失墜 」 「 急な下落 」

◆  細かく言えば、いずれの品詞も多義だが、 共通イメージがある。


思いっきり < 頭から飛び込む

そして急激にガクンと落ち込む


これが  ” plunge ”  の共通イメージ。

上記の基本的意味にも感じられるはず。

” plunge ”  の意味合いは、 文脈次第で良くも悪くもなる。

経済ニュースで使われる場合は、 暗い雰囲気が漂うことが多い。

  •  ” WHO declares virus crisis a pandemic, U.S. stocks plunge ”
    ( WHOのパンデミック宣言で米国株が急落 )
    ※  ニュース見出し

急激にガクンと落ち込む

→ 「 下落 」する


名詞  ” plunge ”  は、 可算名詞 countable noun )のみ。

よって、 原則は不定冠詞 ” a ”  がつく。

経済分野での  ” a plunge ” は、 「 な下落 」。

他動詞  ” take ” 「 見舞われる 」 を伴うと、
take a plunge ” =「 急落する 」 となる。

経済ニュースでは、 文面・音声問わず多用されるため、

覚えておくとよい。

◆  ” plunge ”  は 可算名詞 なので、 冠詞 ” a ” つきが
原則と記したが、 ” the ”  がつく場合もある。

それが、 表題 「 思い切ってする」。

原則と異なり、< 3語ワンセット > の慣用句 で、
” the ”  が通例となる。


take the plunge

to  decide  to do something important or risky,
especially after thinking about it for a long time.

( ロングマン、 LDOCE6 )

https://www.ldoceonline.com/dictionary/take-the-plunge

※  下線・緑字は引用者


ずっと考えた末に、

思い切って行動する

 

先程の絵を、 再度ご確認いただきたい。

思いっきり < 頭から飛び込む 姿。

原則  ” a ”  と  慣用句  ” the ”  では冠詞は別だが、
” plunge ”  のイメージは重なる。

どちらも 「 思いっきり 」 の勢いがある。

” take the plunge ” ( 思い切ってする ) は、

清水の舞台から飛び下りる 」

に似る。


読み方 「 きよみずのぶたいからとびおりる 」

  • 非常な 決意 をして物事をするときの気持の形容。
    ( 広辞苑  第七版 )
  • 非常な 決意 で思いきって物事を実行する。
    ( 大辞林  第四版 )

  • 非常に思いきった をすることのたとえ。
    ( 三省堂国語辞典 第八版 )

※  緑字は引用者


思い切った courage ( 勇気 ) と 「 決意 」
( 日英の緑字 ) が一致しており、 飛び込んでいる風。

飛び下りる際は、 恐怖が襲う。

だから、 大いなる決意と勇気を要する。

◆  実際には、「 思い切ってした 」 と事後に描写する
ケースが多いため、 過去形  ” took ”  が多用される印象。

【活用形】  takes – taking – took – taken

行動を起こす ことが、 周囲を刺激することが少なくない。

退屈さを突き破る勢いで、目覚まし効果 があるようだ。


思い切ってやる方が、

やらないで終わるよりも、

後悔は少ない


同様の結論の研究結果は複数存在する。

華やかな有名人ものたまう。


Your regrets aren’t what you did,  but what you didn’t do.

So I take every opportunity.

Cameron Diaz ( 1975- )

https://www.brainyquote.com/quotes/cameron_diaz_385629

【 参考和訳 】

後悔とはやってしまったことではなく、 やらなかったことにするもの。

だから私はあらゆる機会を逃さない。

キャメロン・ディアス ( 米女優 1972- )


◆  特に、 ホスピス看護師 ( a palliative carer

ブロニー・ウェア ( 1967- ) の 『 死ぬ瞬間の5つの後悔

は、 世界中で 引用 され続けるほど有名。

※  ” palliative ”  =  緩和ケア

【発音】 pǽliətiv
【音節】 pal-li-a-tive (4音節)


The Top Five Regrets of the Dying

I wish

  1.  I’d had the courage to live a life true
    to myself, not the life others expected of me.
  2.  I didn’t work so hard.
  3.  I’d had the courage to express my feelings.
  4.  I had stayed in touch with my friends.
  5.  I had let myself be happier.

【 参考和訳 】

  1.  他人の期待でなく、自分らしく生きる 勇気
    をもつべきだった
  2.  働きすぎなければよかった
  3.  自分の気持ちを表す 勇気 をもつべきだった
  4.  友情を保ち続けるべきだった
  5.  自分をもっと幸せにすべきだった

    ※  緑字は引用者

< 原文 >
http://www.bronnieware.com/regrets-of-the-dying
< YouTube >
https://www.youtube.com/watch?v=nayz3xJxRTA
< TED >
https://www.youtube.com/watch?v=tAcQfn96yFk

死ぬ瞬間の5つの後悔 』 ( 邦題 )
Bronnie Ware ( 原著 )、 新潮社、2012年刊


courage ” ( 勇気 ) が2つも出てくることは、 注目に値する。

【発音】 kə́ːridʒ
【音節】 cour-age (4音節)

勇気を出して 「 思い切った 」 行為を、 大勢が
応援したくなるのも、 当然なのかもしれない。

  •  ” I took the plunge and asked her out.”
    ( 思い切って彼女をデートに誘ってみた。)
  •  ” She took the plunge and bought him a car.”
    ( 彼女は思い切って彼に車を買ってあげた。)
  •  ” It’s never too late to take the plunge.”
    ( 思い切って始めるのに、遅すぎることなんてない。)
  •  ” I took the plunge and bought a house.”
    ( 思い切って家を買った。)

 

◆   なお、 ” take the plunge ”  の格別な意味として、

プロポーズする がある。

 

take the plunge

💓 pop the question 💖

 

  •  pop the question
  •  pop the big question

それぞれの直訳は、

  •  突然、質問をする
  •  突然、重大な質問をする

「 プロポーズする 」として、 これらの表現も押さえておくとよい。

青春映画などに出てくる。

  •  ” Did he pop the question ? ”
    ( 彼はプロポーズした?)
    ( 彼にプロポーズされた?)

” pop ” は多義で、 自動詞・他動詞・名詞・副詞があるが、

ここでは、 他動詞 「 突然 ~ する 」。

【発音】 pɑːp (1音節)
【活用形】 pops – popping – popped – popped

 

主に口語で用いる言い回し。


◆  ” take the plunge ”  と  ” pop the question “。

両方とも  究極の思い切った行為  として、
人生を飾るにふさわしい表現であろう。

この内容からして、 冠詞が ” the ” になる理由は、
中級学習者であれば、 難なく理解できるだろう。

  •  ” John took the plunge and she said yes.”
  •  ” John popped the question and she said yes.”
    ( ジョンがプロポーズすると、 彼女は受け入れた。)

 

 

 

 

 

 

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