Uncanny
2021/03/03
異様な、 不可解な、 超人的な
良くも悪くも、説明しがたい異様さ を表す形容詞。
3大学習英英辞典(EFL辞典)の語釈は似たり寄ったり。
“Uncanny”
■ very strange and difficult to explain.
(ロングマン、LDOCE6)
■ strange and difficult to explain.
(OALD9、オックスフォード)
■ strange or mysterious;
difficult or impossible to explain.
(CALD4、ケンブリッジ)
【発音】 ʌnkǽni
【音節】 un-can-ny (3音節)
※ 下線は引用者
名状しがたく、文字に起こしにくい。
自ら詳らかにできない欲求不満もあり、
後ずさりしたくなるような不安感が増す。
どんな風かと問われても、解説に困る。
日常からかけ離れており、論理的に解き明かせない。
そもそも、その正体を自分でも把握しきれていない。
◇ この世のものと思えない、ぞっとする気味悪さ
◇ 異次元のレベルでものすごく、超自然的
もう「不思議」のひと言に収まらない。
なんだかよく分からない。
とにかく不気味。
あまりの薄気味悪さに、鳥肌が立つ感じ。
不気味
このような状態は、実際には珍しくない。
その際の状況説明によく出てくる単語が、
“uncanny” である。
「 表現に困るヤバさ 」を目の当たりにした時、起用されがち
の形容詞ととらえても、あらかた間違っていないと考える。
–
◆ “uncanny” の品詞は、形容詞のみ。
【発音】 ʌnkǽni
【音節】 un-can-ny (3音節)
副詞は、”uncannily”。
【発音】 ə̀nkǽnəli
【音節】 un-can-ni-ly (4音節)
- 接頭辞 “un“(~でない)
- 形容詞 “canny“(賢明な)
で、「賢明でない」。
「 賢明でない 」から「 理解できない 」。
これが “uncanny” の成り立ち。
初出は1637年。
- 異様な
- 不可解な
- 可思議な
一般人の理解を越えた、優れた能力を示しているため、
時には、
- 超人的な
- 神秘的な
–
◆ <褒め言葉>になる使い方も、多々ある。
しかし、”uncanny” を出す以上、どうしても、
得体の知れない、不気味さ
を帯びる。
褒め言葉で用いるには、どこか微妙な気もするが、
人間離れした才能
に対して、最大級の称賛 として扱われている。
“uncanny” の基本は、語源通り 「 理解できない 」。
常人の理解を超越している「超人」としての賛嘆と同時に、
「異様な」「不可解な」といった「不気味さ」が見え隠れする。
–
◆ 非日常的な対象を目にした時、それを第三者に
理解してもらうことは容易ではない。
文字で適切に表現するには、相応の観察力・
分析力そして文章力を要する。
その上で、読み手の想像力に委ねる必要がある。
書き手側と受け手側の双方に、ある程度の条件が
そろっていないと、十分な情報伝達は困難となる。
この点、映像であれば、条件は緩和される。
その場面をうまくカメラに収めてしまえば、
あとは受け手に任せられる。
動画の場合、観察力・分析力・文章力の要件は、
文字表現に比べれば、おそらく下がる。
“uncanny” な内容であれば、きっと映像の方が説得力が出る。
「動画の時代」と言われる所以であろう。
–
◆ 和訳時は工夫し、悪意が表れないよう配慮するのが一般的。
蛇足ながら、へそ曲がりの私が推察した、書き手の「本音」を
矢印で添えてみる。
- “She has an uncanny resemblance to her mother.”
(彼女はありえないほど母親そっくりだった。)
–
→ ぞっとするほど母親に生き写しで、キモいわ。
ー - “It was an uncanny coincidence.”
(それは不可思議な偶然だった。)
–
→ 偶然なんかでなく、なんか裏があるはず。
ー - “There was an uncanny silence in the class.”
(教室は不気味なほど静まり返っていた。)
–
→ 学生らは、また悪さをたくらんでいるな。
ー - “He has shown an uncanny ability to predict results.”
(結果を予想する彼の能力は人間離れしていた。)
–
→ こいつ、ずるしたな。
– - “She has an uncanny talent for writing documents.”
(彼女の文書作成の能力は人並外れていた。)
–
→ どこからコピペしたのよ。
– - “She has an uncanny sense of direction.”
(彼女は不気味なほどの方向感覚を持っていた。)
–
→ けもの同然ね。
ー
【類似表現】
■ ” eerie ” ※ 形容詞のみ
( 不気味な、 薄気味悪い )
【発音】 íəri
【音節】 ee-rie (2音節)
語源は、古英語「臆病な」(earg)。