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Caregiver

      2023/09/28

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介護者、  介助者、  介護従事者

超高齢化社会に突入しつつある日本で、
以前にも増して身近になっている「 介護者 」。

介護者 」は、介護する側の人を指す。

職種であれば、「 医療従事者 」( 後述 )と
同じパターンで、「 介護従事者 」 の名称が無難。

介護される側は「 要介護者 」 が一般的な感触。

本来は「 被介護者 」 が的確であろう。

一昔前から打って変わって、 どちらも日常語になっている。

介護

高齢者・病人などを介抱し、 日常生活を助けること。

( 広辞苑 第七版 )

介護者といっても、 間柄や専門性によって、
呼び名は異なる。

日常生活に欠かせない動作の手助けは 「 介護 」 よりは、
「介助」の方が適切とする説もある。

公共交通機関などでは 「 介助者 」 を用いていたりする。


↑  京急電鉄の掲示板  ( 2019年6月20日 筆者撮影 )


◆ 「 介助 」 を含む、日常生活面に対する支援の < 総称 > が 「 介護 」。

換言すれば、「 介護 」 の大枠に 「 介助 」  が含まれる。

専門家以外は、 以上のようにざっくり把握しておくとよいだろう。

【参考】–    ※  外部サイト

◆  日本における介護専門職は、次の通り。

すべて公式サイトで調べた日英の正式名称である。

< 介護職・関連職 >    ※  ハイライトは国家資格


◆  では、 一般人が日常的に使う「 介護者 」 「 介護人 」
「 介助者 」 は、英語でどう表現するか。

最適なのは、” caregiver ” だと私は考える。

 

 

介護従事者


◆  かつては ” carer ” も使われたが、
今ではあまり見聞きしなくなった印象。

それでも、前出の『 実用日本語表現辞典 』では、
” carer ” を英訳の筆頭に挙げている。

【発音】   kέərər
【音節】   car-er  (2音節)

” care ” に、接尾辞 ” er “( ~ する人 )
を加えた、単純明快な成り立ち。

非常にすっきりしているが、それゆえか一見すると分かりにくい。

もっとも、イギリスなどには  ”  Professional Carer と称する
介護職の分類があり、” carer ” は現在も普段から使われている。

日本のニュースでは、” carer ” を「 医療関係者 」と和訳していたりする。

社会問題化している「 ヤングケアラー 」は、” young carer “( 後述 )。

【参照】–    ※  外部サイト

a palliative carer( ホスピス看護師 )の
Bronnie Ware

死ぬ間際に後悔する5つのこと

<原文>    <YouTube>    <TED>

※  ” palliative ”  =  緩和ケア


だが、全体的には ” caregiver ” の方が優勢なのは、
幾多の検索を重ねれば理解できる。

◇  ” caregiver ” の有力サイト3つ

このレベルの  ” carer ” サイトは、そうそう見つからない。

 

◆  ” care ” には、名詞・自動詞・他動詞がある。

【発音】   kέər
【音節】   care  (1音節)

古英語「 心配 」( caru )が 語源。

この語源に沿う語意が中心となるため、多義だが難しくない。

日本でも「 スキンケア 」や「 アフターケア 」
などが定着しているため、イメージしやすい。

” care “

–  名詞 「 心配 」「 用心 」「 介護 」「 手入れ 」
–  自動詞 「 心配する 」「 気にする 」「 面倒をみる 」
–  他動詞 「 気にする 」「 したいと思う 」

【発音】   kέər
【音節】   care  (1音節)


名詞 ” care ” は、可算と不可算を兼ねる。

「 心配事 」「 関心事 」「 注意すべきこと 」のように、
具体的に数えられる ” care ” は可算名詞となる。

それ以外は不可算名詞ゆえ、原則不可算

可視の生物である ” carer ” と ” caregiver ” は可算名詞だが、
抽象的な概念の 「 介護 」 = ” care ” は不可算名詞となる。

 

◆  ” caregiver ” の意味は、字面から推測しやすい。

  • 不可算名詞  ” care “( 介護 )
  • 可算名詞  ” giver “( 与える人、 する人 )

「 介護する人 」だから「 介護者 」の意味合い。

先述の  ” care ” と比べ、

意味が すぐ分かる強み

がある。

” caregiver ”

  • someone who takes care of a child or sick person.
    (ロングマン、LDOCE6)
  • a person who takes care of a sick or
    old person at home.
    (オックスフォード、OALD9)
  • someone who takes care of a person
    who is young, old, or sick.
    (ケンブリッジ、CALD4)

【発音】   kɛ́rɡɪ̀vɚ
【音節】   care-giv-er  (3音節)

※  下線は引用者


上掲の ” child ”  と  ” young ” ( 下線部 ) に着目。

◇  ” caregiver ”  は、「 高齢者 」「 病人 」
のみならず、幼い「 子ども 」も対象とする

  • “I was the baby’s primary caregiver.”
    (その赤ちゃんの世話は、主に私が担当していた。)

見た目から意味が推測でき、かつ識別がたやすいこと。

日常的に普及していく単語の条件として大切である。

世間一般が使いこなせて、ようやく定着するもの。

それが言葉であろう。

日常使用では、 事細かく煩わしいことを抜きにした、
< 総称 > が好まれたりする。

< 頻出の総称 >

  • healthcare provider
    (医療サービス提供者)
  • healthcare professional
    (医療従事者)
  • health worker
    (医療従事者)
  • medical staff
    (医療スタッフ)
  • medical personnel
    (医療関係者)
  • legal professional
    (法律専門家)
  • childcare provider
    (児童保育提供者)


先に掲げた日本の介護関連職と同様、 どれも立派な専門職である。

だが、当事者( 患者など )ではない門外漢の場合、
細かい資格の別は不案内である。

現実的には < 総称 > で十分であろう。

英語ニュース速報でも、「 医師 」「 看護師 」「 救急救命士 」
などを区別することなく、 上記の総称の出番が目立つ。

日本でも「 〇〇スタッフ 」や「 〇〇提供者
という言い回しが浸透してきた。

以前、それほど耳にしなかった「 医療従事者
や「 医療関係者 」も、近年メディアで根付いている。

介護従事者 」も、これから広まるだろう。

<総称>であれば、とりあえず間違いない。

詳細な確認が不要なので、確かに便利である。

 

 

【参照】–    ※  外部サイト



【 ” care ” 関連表現 】

 

 

 

 

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