My time is up.
2020/01/04
私の時代は終わった。
世代交代の間際に本人から漏れる言葉。
ー
<自分の限界>を自覚した時、または
敗北で見せつけられた時によく出てくる。
映画やドラマのハイライト場面である。
ー
◆ “time” には、名詞・形容詞・他動詞・自動詞がある。
ー
語源は、古英語「時」「時間」(tīma)。
ー
圧倒的に使われるのは名詞。
不可算と可算を兼ねる。
基本的知識は以下の通り。
「時」は、個数として数えられないので、
基本は無冠詞の不可算名詞。
この場合でも、<この時間・あの時間>など
「区別」する場合は、可算名詞。
一方、何時何分、何月何日など出来事の時間
を示す場合は、可算名詞が原則。
次の差異が分かるだろうか。
- Do you have time ?
(今、時間ある?)
–
- Do you have the time ?
(今、何時?)
名詞 “time” については、どの辞書を調べても、
不可算が優先されているに違いない。
よって「基本は不可算名詞」と覚えてよい。
ー
ここでも不可算名詞。
ー
◆ “up” には、副詞・前置詞・形容詞・名詞・
自動詞・他動詞がある。
ー
非常に重要かつ多義で、共通イメージは「上がる」。
日本語の「上がる」にも含まれるように、
ここでは形容詞「終わった」。
ー
◆ よって、”My time is up.” の直訳は、
「私の時間が終わった」。ー
ー
【関連表現】
“Time’s up.”
https://mickeyweb.info/archives/1144
(制限時間が切れた、時間が来た)
◆ 終わり(”up”)の対象の時間(”time”)は、
次のいずれかを指すケースがほとんど
(1) 持ち時間
(2) キャリア(の最盛期)、現役時代
(3) 人生
通常は (1)、敗北直後は (2)、
命数が尽きる際は (3)。
いずれも、当人には重い発言である。
周囲にとっても、つらく切ない発言であろう。
ー
特に、本人の長年の刻苦勉励を知る者であれば、
胸が張り裂けるような痛みを共有するはず。
ー
ー
◆ ライバルや弟子が引導を渡す際、
Your time is up.
(あなたの時代は終わった。)
長生きすれば、遅かれ早かれ、
現役を終える日がくる。
厳しい世界ほど、最盛期からの幕引きが
早く到来したりする。
ー
◆ 実質的な「生涯現役」はめったにない。
ー
どんなに屈強なオーナーであっても、
寄る年波には勝てない。
したがって、自分のため、周囲のため、
第一線から退く決断を迫られることが多い。
ー
◆ 引き際は、社会的な成功者ほど注目される。
“My time is up.” と自ら決意するか、
それとも “Your time is up.” と指摘されるか。
自分らしい終幕(exit strategy)を考えておくことは、
キャリア戦略上、無駄にならないだろう。
ー
【類似表現】
“My lifetime is over.”
(私の人生も終わりだ。)
“His time is up.”
(彼も終わりだ。)
“The game is over.” ※ (1) ~ (3) いずれも可
(試合終了だ。)
“over the hill”
https://mickeyweb.info/archives/12627
(盛りを過ぎた、中年過ぎの)
【関連表現】※ 現実との折り合い
“life’s lesson”
https://mickeyweb.info/archives/778
(人生の教訓)
“The truth hurts.”
https://mickeyweb.info/archives/2061
(真実とはつらいもの。)
“Things change.”
https://mickeyweb.info/archives/3326
(事情は変わる。)
“Things happen.”
https://mickeyweb.info/archives/9323
(こんなこともある。)
“What goes around comes around.”
https://mickeyweb.info/archives/1038
(因果応報。因果は巡る。)
“It’s always darkest before the dawn.”
https://mickeyweb.info/archives/1963
(夜明け前が最も暗い。)
“rock bottom”
https://mickeyweb.info/archives/10672
(どん底)
“It is what it is.”
https://mickeyweb.info/archives/3877
(それが現実の姿です。)
“I can live with that.”
https://mickeyweb.info/archives/1872
(それで構いません。)
“at peace with”
https://mickeyweb.info/archives/9300
(心穏やかでいる、平和でいる)
“fact of life”
https://mickeyweb.info/archives/10864
(人生の真実、現実)
”Life goes on.”
(それでも人生は続く)