本人が自分の氏名を手書きしたもの ( = 本人の直筆サイン )
- wet ink ( wet-ink )
- wet sign ( wet-sign )
- wet signature
- physical signature
- physical sign
この5つは、 一般実務では、 ほぼ同じ意味合いで使用されている。
すなわち、
–
■ 物理的 ( → wet, physical )
な 「 手書き 」、
ひいては 「 原本 ( wet copy )」
■ 電子認証 ( → dry )
と 反対の立ち位置
–
大半の使い方は、 こちらを指す。
「 本人が 自分の氏名を 手書きしたもの 」
–
つまり、 ご本人の直筆サイン、 肉筆サイン、 自署。
昔ながらの 「 手書き 」。
–
■ 本来は 技術用語 として、 別の語義があるのだが、
実務では、 5つとも 「 自署 」 を意味する。
ひいては、「 原本 」( wet copy ) を示唆。
–
▼ 提出先が、 こう指示( ” wet ” 指定 )する場面で頻出。–
–
電子認証 ( → dry ) は不可
–
電子認証 では受け付けません。
メール提出は ×。
直筆署名した原本 を郵送などでご提出願います。
–
–
▼ 提出先の要求は、
–
「 直筆 」 かつ 「 原本 」( → wet )
–の文書を提出してください
▲ ” wet ” 指定 : メール提出 ×、 原本を 持参・郵送
–
【 実例 】 日本の役所の ” wet ” 指定 文言 ↓
–
本紙は、 氏名を直筆で記入いただく必要があるため、
電子メールでの送付はできません。
–
2023年7月、 官公庁から届いた実物である。
◆ まずは、表題の 「 3つの ” wet “ 」 を見ていきたい。
同じく ” wet ” で、 物理的な = physical な
” physical signature ” と ” physical sign ”
については後述する。
–
–
◆ ” wet ” には、 形容詞・名詞・自動詞・他動詞がある。
語源は、 古期英語 「 湿った 」 「 ぬれた 」 ( wǣt )。
【発音】 wét (1音節)
” wet ” は、 「 1音節 ( one syllable ) 」 の単語。
「 音節 」( syllable、シラブル ) とは、 発音の最小単位。
1音節だから、 腹の底から ゲロする 勢いで、 思いっきり、
ウエット
–
と吐き出し、 一息に発声する。
まさに、 ゲロ同然の響き。
–
日英の音は、 舌・唇・歯・呼吸間の相互作用が
まったく違います
–
英 語 「 息の音 」
日本語 「 声の音 」
ウエット
「 発音の最小単位 」 に切れ目がない 「 1音節 」 のため、
一気にゲロする凄みが出るのが ” wet “。
–
ここでも、 「 湿った 」 「 ぬれた 」 の意。
状態だから、 形容詞 ( adjective )。
- ダイビング用の潜水服 「 ウェット スーツ 」は、 ” wet suit “
- 「 ウェット シェービング 」では、 肌を 湿らせ、 ひげを剃る
- ” Wet Paint ” は、「 湿った ペンキ 」 で 「 ペンキ塗りたて 」
–
ウエット
- ” Wet Concrete ” は、 「 湿った コンクリート 」 で 「 塗りたて注意 」
–
ウエット
- ” Wet Floor ” は、 「 ぬれた 床 」 で 「 転倒注意 」
–
ウエット
- 母親に代わって、 お乳を飲ませる乳母は、 ” Wet nurse “。
–
授乳なしの場合、 ” Dry nurse “。
–
※ 乳母 ( うば )は、 熟字訓
–
” nurse ” の語源は、 ラテン語 「 乳母 」( nūtrīcia )。
看護師 「 ナース 」 と同じ単語で、 日英とも男女共通。
ウエット
ウエット
- ” Wet the bed ” は、 「 寝床を ぬらす 」 で 「 おねしょする 」
–
ウエット
「 誰々の寝床を ぬらす 」 なら、 ” Wet one’s bed “。
- “I wet my bed again.”
( また、おねしょしちゃった。)
– - “I wet my pants again.”
( また、おもらししちゃった。)
動詞の過去形 ” wet ” である。
◆ ” wet one’s bed ” も、 ” wet one’s bed ” も、 ” wet ” は
形容詞( adjective )ではなく、 他動詞( transitive verb )。
動詞 ” wet ” の活用形 ( verb forms ) は、 変則的。
- 過去形 ( past tense ) → ” wet ” と ” wetted ” 両方 OK !
- 過去分詞形 ( past participle ) → 同上
–
–
LANGUAGE NOTE :
–
The forms wet and wetted are both used as
the past tense ( 過去形 ) and past participle ( 過去分詞形 )
of the verb( 動詞 ).
–
そのため、
- wets – wet – wet – wetting
- wets – wetted – wetted – wetting
どちらも正しい。
–
よって、 こう換言できる。
–
- “I wetted my bed again.”
( また、おねしょしちゃった。)
– - “I wetted my pants again.”
( また、おもらししちゃった。)
動詞の過去形 ” wetted ” である。
◆ ” one’s ” とは、 「 誰々の 」。
【発音】 wˈʌnz (1音節)
–
” one’s ” には、 通常は人称代名詞 ( personal pronoun )の
所有格 ( possessive )を入れる。
すなわち、 次のいずれか。
- my 私の
- your あなたの
- his 彼の
- her 彼女の
- their 彼らの
- our 我々の
- its それの
” one’s ” は、所有格の代表形 として、
辞書などで起用される。
具体的には、不定代名詞( an indefinite pronoun )
” one ” の所有格が ” one’s “。
上記の所有格を代表する。
–
いわば、所有格のワイルドカードとして使われる。
–
◆ 「 ウェットティッシュ 」 は、 ” wet tissues ” よりは、
” wet wipes ” または 1語 ” wipes ” が一般的。
通常、 複数形 ” wipes ” で使う。
自他動詞 ” wipe ” ( 拭く、ぬぐう ) の名詞化。
【発音】 wáip (1音節)
「 拭くこと 」 「 拭くために使う用品 」 を指す。
用途に応じて、
- ” baby wipes ” 赤ちゃん用
- ” cleaning wipes ” 清掃用、 身体用
- ” deodorant wipes ” 制汗用、 防臭用
- ” makeup wipes ” メイク落とし用
- ” makeup remover wipes ” 同上
語源は、 古英語 「 拭く 」 ( wīpian )。
画面上の小窓 「 ワイプ 」、 記憶装置の消去 「 ワイプ 」も、
この ” wipe “。
–
◆ アダルトな 「 ぬれ場 」 は、 ” wet scene ” ではなく、
” love scene “、 ” sex scene “、 ” intimate scene “。
–
俗語の ” wet scene ” は、 血なまぐさい殺しの場。
この ” wet scene ” では、 エロくなくて凄惨な体液。
–
–
第七版 ( 2018年1月発行 ) に 初登場 !
◆ それぞれ直訳は、
- ” wet ink ” 湿ったインク
- ” wet sign ” 湿った記号
- ” wet signature ” 湿ったサイン
いずれも 「 自署 」 として多用される。
” wet ” の直後にハイフンを入れる、
複合名詞 の表記 ( wet-ink ) もある。
–
【発音】 sign /sáin/ 1音節
【発音】 signature /sígnətʃər/ sig-na-ture (3音節)
2語とも、 ラテン語 ” signāre “( 印をつける、 刻みつける )
から成り立っている。
この動詞から、さらに名詞化したラテン語 ” signum ” ( 印、 記号 )
より成り立ったのが、 ” sign “。
したがって、 同語源と考えてよい。
” sign ” には、 名詞の他、 他動詞と自動詞があるが、 語源に
忠実な意味合いばかり。
日本で使われる 「 サイン 」 「 サインする 」 と大方共通するので、
理解しやすい。
” signature ” には、 名詞と形容詞があり、 動詞はない。
- “She forged my signature.”
(彼女が私の署名を偽造した。)
(彼女が私のサインを偽造した。)
名詞中心で、 基本的意味は語源に沿った 「 署名 」 「 調印 」。
- “I don’t have an expected signature time frame.”
(承認の署名をもらえる時期は分かりません。)
(調印の予定時期は分かりません。)
形容詞はマイナー用法ではあるものの、
「 独自の 」 「 特徴的な 」 「 代表的な 」
の意味で、 見聞きする機会は少なくない。
- a signature style ( 独自の スタイル )
- a signature look ( 特徴的な 外観 )
- a signature smile ( 特徴のある 微笑み )
- a signature food ( 代表的な 食べ物 )
- a signature behavior ( 特徴的な 態度 )
- Jane Birkin’s signature wicker basket
( ジェーン・バーキンの かの有名な 藤の籠 ) ↓↓↓
▲ 東日本大震災直後、 愛用したバーキンバッグをオークションに出品して寄付。
病を押して、 いち早く自費で単身来日したジェーン・バーキン( 1946-2023 )。
渋谷の街頭にて自ら募金活動し、 復興支援イベントとコンサートを開催して貢献。
3年間のワールドツアーで27か国74都市を巡演し、 多額の義援金を集めてくれた。
–
◆ ” ink ” の他動詞用法には 「 署名する 」 の意も含む。
【発音】 íŋk (1音節)
- ” I have inked a contract with the company.”
(その会社との契約に署名しました。)
(その会社と契約を結びました。)
– - ” X has inked a long-term power supply agreement with Y.”
( X社はY社と長期エネルギー供給契約を締結した。)
––
How Shohei Ohtani’s historic deal was inked
( 大谷翔平の歴史的な契約はどのように結ばれたか )
–
–
https://www.cbc.ca/arts/commotion/how-shohei-ohtani-s-historic-deal-was-inked-1.7056630
2023年12月12日付
–
◆ ” ink ” の語源は、 ギリシア語 「 紫色のインク 」( enkauston )。
※ 同義扱いの 「 インキ 」は、オランダ語 ” inkt ” より
平板で、均一なリズムの日本語では、「 3音節 」の
イ – ン – ク
英語では 「 1音節 」 なので、 こっちも ゲロ。
インッ クッ
–
◆ 「 音節 」 の日英比較は、 ” integrity ” で事細かに取り上げた
( 図入り、 動画入り )。
–
–
殊に、 「 1音節 ( one syllable ) 」 の単語については、
––
日本語母語話者にとって、
英語の発音は動物の鳴き声に近い。
日本語で表記しがたいのは言うもおろか。
犬猫の声と一緒で、 そもそも日本語では書き起こし
きれないのに、 英語音を無理くり邦文で表現しようとする。
等しく不条理だからアプローチを変える。
口周りをまじまじと見据えて、 模倣する。
–
” integrity “ より
–
やり方も、 ” integrity ” でご紹介している ( 図入り、 動画入り )。
【参考】 ※ 外部サイト
- 多言語の習得は 「 音 」 から 脳領域特定、 文法理解早く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF251YP0V20C24A2000000/
2024年2月26日付–
★ 「 ゲロ同然の響き 」 で、 練習に最適な1音節単語が ” wet “。
ウエット
–
『 志村けんはいかがでしょう 』 ( 1993~1995年 放映 ) のコント
「 ろくでなし 」 の名物 「 ウィッ ! 」 ( 1音節 ) に似通うリズム。
–
これは、 典型的な 「 1音節 ( one syllable ) 」 の発音。
私たち日本語話者でも、 割と簡単に発音できることが分かる。
–
大勢の観客が声を合わせ 「 ウィッ ! 」 と叫んでいたことからも明らか。
当時、 画面越しに見ていた私も、 大喜びで 「 ウィッ ! 」 とやっていた。
–
【 ウィッ 動画 】
–
https://www.youtube.com/watch?v=UDaFmArGp4k
↑ 全長 24秒
–
https://www.youtube.com/watch?v=YXXnbmcV3vk
↑ 全長 40秒
–
” wet ” は 「 ウェット ! 」
無声歯茎破裂音 [t] を伴い、 最後は舌端を上歯茎に接触させて軽く調音。
やや難易度は上がるが、 「 ウィッ ! 」 と似ており、 発音できるはず。
–
◇ 「 湿った 」 とはいえ、 通常は ボールペン でもよい。
” wet ” は、自署に用いる
< 筆記具の種類 >よりは、
「 直筆 」 及び 「 原本 」 の指示 が趣旨
” wet ” 指定 ならば、 「 直筆 」 かつ 「 原本 」
■ 「 原本 」を提出 ( 持参 か 郵送 が一般的 )
■ メール添付は不可 ( 後述 ” dry ” 参照 )
—
◆ なお、手書きでなく、 ゴム印や印鑑 による署名
( 後述の 「 記名押印 」 や 「 記名 」 ) も、” wet ink “、
“ wet sign ”、 ” wet signature ” に含むとする解釈がある。
「 湿った 」( wet ) 点で、 条件を満たすからである。
—
–
A wet signature is created when a person
physically marks a document.Other cultures use name seals to the same effect.
–
https://www.laserfiche.com/resources/blog/whats-the-difference-between-wet-digital-and-electronic-signatures/–
【 参考和訳 】” wet signature ” とは、人が 物理的に 文書に署名すること。
文化によっては、 同じ用途に 印鑑 を用いることがある。
–
–
【発音】 síːl (1音節)
–
–◇ 人間の手で書いたり押したりする 「 物理的な 」 サインゆえ、
- physical signature
- physical sign
と表すこともある。
しかし、 表題の 「 3つの ” wet “ 」 に比べて、出番は少ない。
–
【発音】 physical /fízikəl/
【音節】 phys-i-cal (3音節)
–
【発音】 physically /fízikəli/
【音節】 phys-i-cal-ly (4音節)
–
- ” Always physically secure your laptop.”
( ノートパソコンは常に物理的に保護すること。)
( ノートパソコンは常に安全な場所に置くこと。)
( ノートパソコンは常にしっかり固定すること。)
→ 盗まれないようにしておけと注意喚起
– - ” Store owners are allowed to physically detain suspected shoplifters.”
( 店主は万引きの容疑者を物理的に拘束することができる。)
( 店主は万引きの容疑者の身柄を確保できる。)
→ 現行犯の場合、 逃げないよう私人逮捕できる場合がある
–
◆ 形容詞 ” physical ” には、
「 身体の 」 「 肉体の 」 の意味もある。
- “Mental health is as important as physical health.”
(心の健康は、身体の健康と同じくらい重要である。)
– - “Mental problems can cause physical symptoms.”
(精神的な問題が身体症状を引き起こすこともある。)
– - ” I actually won’t physically be here on Christmas Day.”
( クリスマス当日、私は実際にはここにいません。)
( クリスマスは別の場所で過ごします。)
→ 事前に録画しておくことを報告するユーチューバーの発言
– - ” He may not be physically here anymore,
but my love for him will never die. ”
( 彼の肉体はこの世にないかもしれないが、 彼への愛は
決してなくならない。)
–
→ 死んだ 「 彼 」 の身体がなくなったのは確実なのだが、
助動詞 ” may ” ( かもしれない ) で文意を和らげている。
–
もちろん、 推量と不確実の ” may ” の方が、 はるかに頻出。
–
◆ 被害などが身体に及ぶ際も、 ” physical “。
- ” The use of physical violence is unacceptable for any reason. ”
( 身体的暴力の行使は、いかなる理由でも許されない。)
– - ” Physical punishment is forbidden here.”
( ここでは体罰禁止です。)
– - “The human brain is vulnerable to physical injury.”
(人間の脳は肉体的損傷を受けやすい。)
–
◆ 「 肉体の 」 つながりで 「 好色の 」 も ” physical ”
で表せる。
–
‐
Let’s get physical !( 一緒に 寝よう ! )
–
▲ オリビア・ニュートン=ジョン( Olivia Newton-John 1948-2022 )
–
▼ 1981年の大ヒット曲 ” Physical ” の聞かせどころ ( さび )
–
‐
♪ レッツ ゲッ フィジコ ~ ♪
–
世界中で、1000万枚以上売れたものの、 際どい歌詞が物議を醸す。
卑猥さの隠れ蓑に、 PVなどでは激しく踊れども、 真意はバレバレ。
むやみやたら官能をそそる、誘惑されそうなエロい表情からも自明。
–
フィジコ ~ ウエット
physical / wet → 「 直筆 」 かつ 「 原本 」
–
–
◆ 自動詞 ” get ” ( ~ の状態になる ) を伴い、
“ get physical ” で、
- 肉体の状態( 肉体的 )になる
- 好色の状態 ( 好色的 )になる
–
→ 転じて 「 肉体関係を結ぶ 」
自動詞 ” become ” に比べ、 口語的な ” get ” の用法。
形容詞 ” physical ” を補語 ( complement ) とする、
「 第2文型 SVC 」。
( SVC = 主語 subject + 述語動詞 verb + 補語 )
自動詞 ” get ” の本義は、 自分の意思で 「 ある状態に達する 」。
【 フィジコ ~ 動画 】 ※ 全長 約 3分40秒
https://www.youtube.com/watch?v=yPXNZo40ePE
https://www.youtube.com/watch?v=E-JGTk_WM1k
–
1972年 初来日。 来日回数10回以上。
2015年 被災地の福島で歌ってくれた。
2021年 旭日小綬章 を受章。
–
2022年8月8日 逝去 ( 享年73 )
–
–
I first visited Japan in 1972 and since then I’ve been back
more than 10 times, one of my favourite countries and
favourite people. A particularly memorable moment was
my ” Pray for Fukushima ” concert in 2015 in Fukushima.
–【 参考和訳 】
1972年の初来日以来、 10回以上日本を訪れています。
大好きな国のひとつで、 日本人も大好きです。
とりわけ思い出深いのは、 2015年の福島でのコンサート、
” Pray for Fukushima ” ( 福島に祈りを ) です。
–
https://www.abc.net.au/news/2021-11-03/
dame-olivia-newton-john-to-receive-japans-highest-honour/100589182Dame Olivia Newton-John to receive Japan’s
highest civil honour, the Order of the Rising Sun2021年11月3日付
–
–
秋の叙勲受章オリビア・ニュートン=ジョンさん単独インタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=dJgg4G_xbj8
2021年12月22日
※ 全長 2分47秒 ( 日本語字幕付き )
–
尻振り オリビア ▼
『 グリース 』 ” Grease ” 米 1978年
–
◆ ゴム印や印鑑が、 ” wet signature ” として、
実際に通用するかと言えば、 心許ない。
提出先に確認する方が、 一安心できる。
ご本人が近場にいるなら、 サインしてもらう方が早いかも。
–
日本では「 記名 」だが …
—
–
–
◆ ” wet ” な原本をスキャンし、 電子メールの 「 添付ファイル 」 で送ると、
–
受け手側の取り扱いは、
” dry ” になってしまう。
–
からくりは、「 コピー 」 「 ファックス 」 同様。
無論、 送信者の手元の文書は、 ” wet ” のまま。
この点を理解せずにメールし、 提出期限 が過ぎたら大変。
悲惨だけれども、 なんだか間抜けな話だわ。
–
–
★ ” wet ” 指定 の場合、 持参 または 郵便・宅配便 で提出しましょう。
◆ 資力に恵まれた組織であれば、 電子認証 ( 後述 ) を導入可能。
海外と頻繁にビジネスするグローバル企業は、 既に活用しているはず。
一方、 それほど余裕のない零細・中小企業などは、 ” wet ” で署名し続ける
しか手立てがなかったりする。
法的効力のある電子認証を取り入れるには、 専門業者と契約する必要があり、
それなりのコストがかかるために、 固定費節減で投資できない事業者も多い。
よって、 メールで受信した電子( dry )署名入りの契約書( PDFなど )を
出力後、 手書き( wet )で署名し、 紙で送り返す( 郵便・宅配便 )。
これでは、 電子メールと電子認証の利点を享受しきれない、ちぐはぐな流れ。
すなわち、 次の電子認証のメリットが生かせず、 中途半端な有様。
【 電子認証の利点 】 → 返送不要ゆえに 郵送費 と時間、 さらに 印紙代
も節約でき、 手間なく 速やかに進められる ( 手続きの即日完了も可 )
–
【参考】 ※ 外部サイト
■ 「 直筆 」 の文書 = ” wet copy ”
を PDF にしたものは、「 原本 」 として通用しない。
–
◆ 要するに、 「 物理的 」 で “ wet ” な
「 手書き署名 」 「 ゴム印 」 「 印鑑 」 「 ハンコ 」 を、
以下に加工したものは、 どれも 「 原本 」 として通用しない。
PDF、 コピー、 ファックス、 電子メール、 スクショ
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
” dry ” になってしまう。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
–
提出先から、 ” wet ” 指定 があれば、 アウト
–
–
◆ 特に企業・組織間のビジネスで、 厳格な法的効力のある ” dry ” 署名
を実施するには、 専門業者( 第三者の事業者 )との契約が必須である。
これが基本。
「 本人性の確認 」 及び 「 非改ざん性の確保 」 が法的要件となり、 高度な
技術とシステムを要し、 たやすく自前開発・内製化できる類のツールではない。
★ 個人的な提出物 ( 履歴書など ) の形式的な電子署名とは根本的に違う。
→ 専門業者との契約は通常不要で、 アドビ などのソフトウェア のみで署名可能
→ パスワードはあるが、 「 本人性の確認 」 及び 「 非改ざん性 」 の効果は弱め
→ 形式的な本人確認で、 個人の日常的な提出物に法的効力を求める意図は大抵ない
実務上、 「 本人性の確認 」 は、 「 本人認証 」 「 本人確認 」 とも称する。
取引する双方が電子認証を導入していない限り、 電子メールでは完結しない。
結果的に非効率に陥るが、 私の経験上は珍しくなく、 現実的にやむを得ない。
移行期は、 新旧入り交じるのが世の習い。
電子認証の普及に伴い、 その確かな利便性から ” wet ” 指定 は減少
していくと考えられるが、 後に述べるように、 完全消滅はないだろう。
電子認証( dry ) と 物理的 ( wet ) な署名は、 おそらく併存していく。
◆ ” dry signature ” の直訳は、「 乾いたサイン 」。
後掲の 「 デジタル署名 」 もろとも、 カラッと乾いた印象である。
- 衣類用 「 ドライ クリーニング 」 は、 “ dry clean(ing) ”
- 「 ドライ アイス 」 は、 ” dry ice ” で、 もともと商標
- 眼球の表面が 乾く 「 ドライ アイ 」 は、 ” dry eye “
例えとしての 「 直筆 」が、 ” wet ” なのは想像できよう。ー
ー
◇ 「 原本 」の英訳
■ 原本は、 本質的に 唯一の存在 なので、
定冠詞 ” the ” が原則。
–
■ ただし、 特定の原本ではなく、 単なる呼称 としての
「 原本 」には不定冠詞も使う。
なぜなら、
どんな原本でも用をなし、 唯一の存在でない。
どれでもいい、1つのもの。
【 例 】 ” a wet ink copy ”
単なる呼称・総称で、 なんでもあり。
–
■ 原本が複数枚に渡ったり、種類が多数ある場合、
「 複数の文書 」を意味する複数形の単語
( documents や documentations など )
を付け加えて、 無冠詞 または “ the ”。
■ 日常実務では、枚数や種類にかかわらず、シンプルな
” the original ” と “ the original copy ” が 多用される。
–
【発音】 original /ərídʒənəl/ o-rig-i-nal (4音節)
【発音】 copy /kɑ́pi/ cop-y (2音節)
–
【 ご注意 】
■ この用法の ” copy ” は 「 原稿 」 の意味合い
–【誤】 × 写し × 控え × コピー
・ a wet ink copy = 直筆の 「 原本 」
・ a wet copy = 同上 ← 原本そのもの
【誤】 × 「 原本のコピー 」
–
一般的には、こう考えてよい。
× ” 〇〇 copy ” は 「 〇〇 の 」 ← 〇 原本 写し
–
「 原本 」
- the original
- the original copy
- the original paper
- the original version
- the original ____
【 例 】 manuscript ( 原稿 ) - original document(s)
- wet ink original(s)
- wet ink document(s)
- wet ink documentation(s)
- wet ink version
- wet ink copy
- wet copy
–
–
–
『 英文ビジネス契約書大辞典 [ 増補改訂版 ] 』 pp. 45-46.山本 孝夫 ( 著 )
日本経済新聞出版社、 2014年刊
–
–
▲ コピー機 ( 富士ゼロックス カラー複合機、 水色の下線は引用者 )
の表面に記載された 「 原本 」 は複数形の “ originals “。–
–
< ” copy ” 語源 >
ラテン語 「 たくさん 」( cōpia ) → 「 たくさん 書く 」
→ 「 原本を たくさん 写し取る 」 → 「 複写 する 」
▼ 「 複写 」「 写し 」 以外 の意味 ( 名詞 ” copy ” ) ▼
■ 1部・1冊・1枚
■ 原稿
■ 広告文
- a translated copy = 翻訳版 ← 翻訳版の「 写し 」ではない
- a translated version = 同上
- a copy of the DVD = そのDVD1枚 ← コピーしたDVDではない
- a copy of the book = その本1冊 ← コピーした本ではない–
- ” We need to provide a translated copy to her. ”
( 彼女には 翻訳版 を提供する必要があります。)
英和辞典の語釈はあいまいなものが多く、 やや紛らわしい感触。
–
【発音】 kɑ́pi
【音節】 cop-y (2音節)
【 マイナー用法 】 ※ ” Loud and clear. ” 参照
無線では、「 了解 」 を表す決まり文句。
市民ラジオ由来の表現とされる。
” Do you copy ? ” ( 聞こえますか ?)
→ ” Copy that ! ” ( 了解 ! )。
→ ” Copy ! ” ( 了解 ! )。
” I have received your transmission. ” ひいては
” I understand what was said. ” の意。
無線に限らず、 社内メールの返信でも見かける。
- ” Copy.” ( 了解しました。)
- ” Copy that.” ( その件、了解しました。)
- ” Copy on this.” ( この件につき、了解しました。)
- ” Copy on that.” ( その件につき、了解しました。)
- ” Copy all. ” ( 全部了解しました。)
メールの件名や返事に、 こうして出てくる場合、
- ” Good copy ” ( 興味深いお知らせ )
「 2語ワンセット 」 で、 ” interesting news ”
( LDOCE、 Merriam-Webster ) のこと。
→ 目上に対する 「 了解 」 の可否 についても、
” Loud and clear. ” 参照
–
◆ さらに、
■ digital signature ( デジタル署名 )
■ electronic signature ( 電子署名 )
–
これらも ” wet ink “、 ” wet sign “、 ” wet signature ”
に 該当しない。
どちらも “ dry ” signature である。
一般実務における 「 デジタル署名 」 「 電子署名 」 は、
「 原本 」 の概念にあまりそぐわない。
–
そもそも、 何枚でも印刷( print out )できてしまう。
–
–
–
◆ もっとも、 先に触れた通り、 専門業者と契約し、 法的効力のある
電子認証を導入すれば、 “ dry ” ながらも、 実務上は「 原本 」 に準じる。
有効な 「 原本 」 が複数生じる ものの、 本来の役割が異なるから可。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
しかしながら、 ” wet ” 指定 があれば、 これでは通じない
これぞ間違いやすい点で、提出先の要求 に従わないと、 先に述べた悲劇をもたらす。
電子認証で大抵OKだが、 ” wet ” 指定 されていれば、「 直筆 」 かつ 「 原本 」 。
分かりにくい感覚だが、 電子認証に使い慣れると容易に理解できるようになる。
–
◆ 電子認証に慣れると、 ” wet ” 指定 が面倒で煩わしく、 時代遅れに感じる。
わざわざ送るなんて、 「 時間・手間暇・人件費・郵送費・印紙代 のムダ ! 」
「 電子認証なら今日中に終わるのに、 締結完了のため、 来週まで待つのか ! 」
「 仕事を増やさないでよ ! 」 と勝手な恨み節がぶうぶう出てしまったりする。
ハンコが残る一因は、 あえてムダを残して、 雇用を維持するためとの説がある。
ハンコの市場規模は、 2022年でおよそ17億円。
–
◇ 本人確認 と 認証 こそ、
デジタル署名 ・ 電子署名 の役目
電子認証 ( → dry )
–
- ” Please digitally sign on the document.”
( この文書にデジタル署名をお願いします。)
– - ” The email invitation will be digitally signed.”
” The email invitation will have a digital signature.”
( 招待メールはデジタル署名されます。)
–
【発音】 dídʒətəli
【音節】 dig-it-al-ly (4音節)
◆ 昨今では、 身分証明書 ( identification = ID ) にも、
” physical ID ” と ” digital ID “ がある。
–
【発音】 iaidèntəfikéiʃən
【音節】 i-den-ti-fi-ca-tion (6音節)
–
” physical driver’s license ” と ” digital driver’s license ”
( 運転免許証 ) が筆頭格。
紙やプラスチックの状態は、 物理的な = physical。
ゆえに、 ” physical ID ” に分類される。
状態だから、 形容詞 ( adjective )。
◆ ” get carded ” とは、 身分証明書の提示を求められること。
- ” I’m 30 years old and I still get carded for buying alcohol. ”
( 30歳なのに、酒を買うのに身分証明書をまだ求められる。)
口語的な言い回しで、 自動詞 ” get ” と 他動詞 ” card ” を用いる。
ここでの ” get ” は、 受動態の変形で動作の変化を強調
( 『 ランダムハウス英和大辞典 第2版 』 ” get ” )する自動詞用法。
–
–
『 ランダムハウス英和大辞典 第2版 』
小学館、1993年刊 ( 物書堂 アプリ版 )
… ” get1 ” の語釈より
–
–
〔 自動詞用法の本義は 「 ある状態に達する 」〕。
–
『 ジーニアス英和大辞典 』
大修館書店、2001年刊 ( ロゴヴィスタ アプリ版 )
… “ get ” の語釈より
<大修館書店HP>
–
受身の 「 助動詞 」 ( auxiliary verb ) と明記する大辞典もある。
–
–
–
『 研究社 新英和大辞典 第6版 』
研究社、2002年刊 ( ロゴヴィスタ アプリ版 )
… ” get 1 ” の語釈より
–
いずれにせよ、 補語 ( complement ) に過去分詞を伴い 「 ~ される 」。
上記の補語は、 他動詞 ” card ” の過去分詞 ” carded “。
フィジコ ~
–
スマホなどで提示する、 従来にないデジタル方式が、 ” digital ID “。
これからの主流になるに違いない。
–
先述したように、 「 移行期は、 新旧入り交じるのが世の習い 」。
物理的 ( wet ) と 電子認証( dry ) の関係にも当てはまり、
” physical ID ” 限定で、 ” digital ID ” を認めない手続きもある。
–
【発音】 dídʒitəl
【音節】 dig-it-al (3音節)
◆ ” digital ” の語源は、 ラテン語 「 指の 」 ( digitālis )。
” digit ” ( 数字、 桁 ) の語源は、 ラテン語 「 指 」 ( digitus )。
「 指 」 で数えることから、 数字 につながった。
まさしく、 デジタル。
” Wet ” では ない 代表例
電子認証 ( → dry )
以下は例示。
–
【 例1 】 ” digital signature ” ( デジタル署名 )
【 例2 】 ” digital signature ” ( デジタル署名 )
–
【 例3 】 ” electronic signature ” ( 電子署名 )
–
◆ 日常実務では、 ざっくりと全部ひっくるめて、
” e-signature ” や ” e-sign ”
と呼ぶことがある。
–
” electronic ” ( 電子の ) の略で、 読みは 「 イー 」。
【発音】 ilèktrɑ́nik
【音節】 e-lec-tron-ic (4音節)–
- ” I have e-signed your letter.”
( レターに電子サインしました。)
” e-sport “、 ” e-sports ” ( イースポーツ )や
後出の ” E-Sign Act ” ( 電子署名法 ) も同様。
–
–
『 電子サインと電子署名で業務プロセスを変革 』
アドビ システムズ 株式会社
https://www.adobe.com/content/dam/dx-dc/pdf/jp/adobe-sign-electronic-and-digital-signatures-wp-jp.pdf
2021年4月 発表
※ PDF 全11頁、287KB
【 ご注意 】
上記資料で、アドビー社が「 電子サイン 」と和訳するものは、
本稿の「 電子署名 」( electronic signature )を指す。
–
◇ ” electronic signature ” の定訳は「 電子署名 」
本稿も定訳に従った。
–
■ 日本政府のサイトでも「 電子署名 」
『 電子署名及び認証業務に関する法律 』
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=412AC0000000102
–
【参考英訳】 日本法令外国語訳データベースシステム
” Act on Electronic Signatures and Certification Business “
–
■ 米国の電子署名法 ” E-Sign Act ” は、2000年施行
–
▼ 米政府発行
” Electronic Signatures in Global and National Commerce Act ”
https://www.govinfo.gov/content/pkg/PLAW-106publ229/pdf/PLAW-106publ229.pdf
2000年6月30日付
※ PDF 全14頁、223KB
–
■ 世界各国の電子サイン情報へのリンク( 英文 )
▼ アドビ システムズ 株式会社
https://www.adobe.com/trust/document-cloud-security/cloud-signatures-legality.html
–
■ 電子署名とは ? — 電子署名法2条・3条のポイント解説
–
電子署名法の全体構造と電子署名の要件
https://www.cloudsign.jp/media/20180803-denshisyomeihou/
–
電子署名、脱ハンコで急拡大 3年後は200億円市場に2020年10月13日付
新型コロナウイルス禍で 「 脱ハンコ 」 が進むなか、
電子署名の利用が急増している。
–
( 中略 )
–
電子署名はオンラインで契約を結ぶ際、契約者本人であることなどを
証明するのに必要となる。
–
( 中略 )
–
背景には電子署名の方式が2つに分かれていることがある。
–
「 電子署名、 脱ハンコで急拡大 3年後は200億円市場に 」
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64908610S0A011C2TJ2000/
2020年10月13日付
■ 『 電子契約サービスに関するQ&A 』
総務省 ・ 法務省 ・ 経済産業省
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/denshishomei_qa.pdf
2020年7月17日付
※ PDF 全3頁、221KB
–
かつて、 署名は 「 自署 」 が原則であった。
今では、「 記名押印 」 や 「 記名 」 も広く採用されている。
–
◆ 日本のビジネス慣習上、 法律的な証拠能力の有効性は、
次の順とされている。
- 署名捺印
- 署名
- 記名押印
- 記名
- 「 署名 」 本人が氏名を筆記具で書く
→ wet ink、 wet sign、 wet signature - 「 記名 」 ゴム印・印刷・代筆を含む
- 「 捺印 」「 押印 」 印章を押すこと
→ 名詞 seal、 他動詞 seal
–
【発音】 síːl (1音節)
–
【参考】 ※ 外部サイト
■ 『 押印についてのQ&A 』
内閣府 ・ 法務省 ・ 経済産業省
https://www.moj.go.jp/content/001322410.pdf
2020年6月19日付
※ PDF 全5頁、137KB
–
■ 『 地方公共団体における押印見直しマニュアル 』
内閣府
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/imprint/i_index.html
–
–
近年、 世界標準の実務にて急速に定着しつつあるのが、
” dry ” の 「 デジタル署名 」( 上図参照 )。
–
◇ 本人確認 や 改ざん防止機能 の実用性
から、認証用 に導入された。
” wet ink “、” wet sign “、” wet signature ”
では ない
–
文書を電子的にやり取りするのが日常になって以来、
自署やハンコ代わりに使われている。
◆ それでも、 自署を要する場面はまだまだ健在だ。
■ 日本語では、
「 自署 」「 自筆 」「 手書き 」「 直筆 」「 署名 」「 肉筆 」
■ 近頃、とみに見聞きするようになった英語が、
” wet ink “、” wet sign “、” wet signature “
–
直筆サインを求められる機会は、 今後もきっと完全には消えない。
–
一般組織では、2010年頃 から散見
電子認証 の導入に伴う新しい表現
■ wet sign
■ wet signature
「 直筆 」 かつ 「 原本 」 ← ポイント
–
‐
◆ 昔は、 もっぱら ” handwritten signature ” だった。
電子認証
–
の導入後は、 ” wet ” ばかり。
–
” handwritten signature ” は、
ビジネス社会では、 ほとんど死語に近い印象。
–
既記の通り、 dry と wet の概念は、 技術用語から派生 した。
日常的な形容詞である ” handwritten ” は分かりやすいけれども、
電子認証 の対ではなく、 的確な用語ではないことが消えた一因。
–
もっとも、 「 手書き 」 全般では、 現在も常日頃より使われる。
- “I made a handwritten correction to the date.”
( その日付を 手書き で修正した。)
– - “Postal items with handwritten labels will not be accepted. ”
( 手書きラベルの郵便物はお引き受けができなくなります。)
–
” in ” は、 手段の前置詞 「 ~ を使って 」 「 ~ で 」
ウエット
ー
直 筆
” wet ” 指定 ならば、「 直筆 」 かつ 「 原本 」
■ 「 原本 」を提出 ( 持参 か 郵送 が一般的 )
■ メール添付は不可 ( 上述の通り ” dry ” に )
◆ ” wet ink “、 ” wet sign “、 ” wet signature ”
の基本的意味を解説する英文サイトは数多く存在する。
また、 直筆を求める要求事項 ( requirements )には、
” wet ” を 引用符 で囲んだものが、 今なお少なくない。
- A ” wet “ signature is required on Page 3.
(3頁目に「 直筆 」サインをお願いいたします。)
– - Please ” wet “ sign and return the attached form.
(別紙に「 直筆 」でご署名の上、 ご返信ください。)
–
2024年現在、 世間一般には、さほど認知されていない証左であろう。
- “All signatures on the document must be wet ink.”
(その文書上の署名は 自署 に限ります。)
– - “This document must be wet ink signed by the CEO.”
(この文書への署名はCEOが 自署 すること。)
–
- “All signatures must be wet ink originals.”
(すべての署名は 直筆 でなければならない。)
– - “All documents must be certified in wet-ink by the spouse.”
(配偶者は、すべての文書に 直筆 で署名すること。)
–
- “Must be wet signature and not digital signature.”
(自署 が必要で、デジタル署名は不可です。)
–
- ” Wet signature is a big no-no on your leave form.”
( 休暇申請に手書きで署名することは厳禁です。)
– - “We will require your wet signature for documentation.”
(文書には 自署 していただきます。)
– - “Wet signatures of all his creditors are needed to
exonerate him.”
(彼を免除するには、債権者全員の 直筆サイン が必要です。)
ー - “All certificates will be signed electronically and no
longer contain a wet ink signature.”
(すべての証明書は電子署名を採用し、手書きの署名 は廃止されます。)
ー - “A wet signature is an alternative to a digital signature.”
(直筆サイン は、デジタル署名の代わりになります。)
ー - “Electronic signatures to replace ‘wet ink’ signatures”
(自署 から電子署名へ移行) ※ 見出し
【類似表現】
■ ” sign off ”
- 他動詞 ” sign “( 署名する )
- 副詞 ” off “( 完全に、すっかり )
他動詞の句動詞だから 「 句他動詞 」( transitive phrasal verb )。
主要な意味は、
–
「 署名して締結する 」 「 署名して承認する 」 「 締めくくる 」
–
- ” I signed off the post with a sad face emoji. ”
( 悲しい顔の絵文字で投稿を締めくくった。) 😔
「 絵文字 」 は、 英語でも ” emoji ” → ” shrug off ” 参照
–
【発音】 imóudʒi
【音節】 e-mo-ji (3音節)–
「 句他動詞 」( transitive phrasal verb ) の用法が目立つが、
「 句自動詞 」( intransitive phrasal verb ) でも使う。
- ” She may have signed off. ”
( 彼女は署名したかもしれない。)
–
副詞 ” off ” は、 ” top off “( 締めくくる ) と同じ用法。
主な使用場面は、 次の2つ。
-
承認権限のある部門・人物による 決裁
-
契約書・合意書の 締結
- ” CDC signs off on Moderna and Johnson & Johnson boosters “
- ” CDC director signs off on boosters of J&J, Moderna vaccines ”
( 米疾病対策センター、モデルナ・J&J製の追加接種を承認 )
2021年10月21日付
–
承認や締結の際に、重宝する句動詞である。
–
■ ” autograph “
【発音】 ɔ́ːtəgræ̀f
【音節】 au-to-graph (3音節)
– 名詞 「 自筆 」「 有名人のサイン 」 ※ 可算・不可算兼用
– 他動詞 「 自署する 」「 自筆で書く 」 ※ 自動詞はない
– 形容詞 「 サイン入りの 」「 肉筆の 」
- an autographed copy of her book
… 単数形 / 特定作品のサイン本1冊
– - autographed copies of her book
… 複数形 / ある特定の作品のサイン本がたくさん
– - autographed copies of her books
… 複数形 / 複数の著作物のサイン本がたくさん–
( 当該著者のサイン入りの本 )
※ その著者が男性なら、 所有格は ” his “
意味合いは表題に重なるものの、 普通のビジネス向けではない。
–
◇ 文芸 が主用途
–
すなわち、 文学 ・ 学問 ・ 芸術 。
著作者 または 芸能人 などの 有名人に使うのが通例。
・ autograph letter
( 手書きの手紙 ) ※ タイプ打ちでなく、肉筆
・ autograph letter, signed
( 署名入り肉筆手紙 )
・ autograph manuscript
( 手書きの原稿、 肉筆原稿 )
・ autograph manuscript, signed
( 署名入り肉筆原稿 ) 【 略 】 a.ms.s.
【発音】 mǽnjəskrìpt
【音節】 man-u-script (3音節)
【参考】 ※ 外部サイト
■ 脱ハンコで攻勢。
電子契約 “ 国内利用1位 ” VS “ 世界1位 ” それぞれの闘い方
https://www.businessinsider.jp/post-230201
2021年2月25日付
–
■ 行政手続きの認め印全廃 婚姻届や車検 実印は継続
【和文】
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66173380T11C20A1AM1000/
【英文】
https://asia.nikkei.com/Politics/Japan-to-drop-seal-requirement-in-99-of-administrative-procedures
2020年11月13日付
–
■ 弁護士の解釈「電子署名」と「電子サイン」の違い
https://toyokeizai.net/articles/-/375564
2020年9月30日付
–
■ ハンコは「抵抗勢力」か 印章制度の本質と過度なデジタル化の危険
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20200812/pol/00m/010/013000c
2020年8月13日付
–
■ 「脱ハンコ」へ整備加速 電子書類の公的認証、年内に テレワークの拡大契機
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59355130Q0A520C2EE8000/
2020年5月21日付
–
■ 在宅勤務で「電子印」広がる 慣行見直し加速か
https://www.sankeibiz.jp/workstyle/news/200521/ecd2005210655001-n1.htm
2020年5月21日付
–
■ 「紙」「ハンコ」「手書き」の三悪を撲滅せよ
アフターコロナ、「IT後進国」の日本は生まれ変われるか
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00868/050100079/?P=4
2020年5月12日付
–
■ 英語の「サイン」の書き方・使い方・求め方
https://eikaiwa.weblio.jp/column/knowledge/tourism/signature_autograph
2016年11月8日付
↓↓↓
–
自筆署名は 「 信頼 」 と 「 信用 」 そのもので、「 意思表示 」 と 「 自己同一性 」 の証明手段