Exonerate
2022/06/21
容疑を晴らす、 免除する
見慣れない単語かもしれない。
一般の日本人学習者の日常には無縁に近い。
だが、 ニュース報道ではちょくちょく顔を出す。
今朝( 2018年7月3日 初稿時 )、
通勤中に AP を聴いていたら出てきた。
–
これを奇貨として取り上げてみたい。
目で見て分からない単語であれば、聞き取りは困難。
発音もユニークなため、聞きそびれてしまうこと必至。
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【発音】 igzɑ́nərèit
【音節】 ex-on-er-ate (4音節)
ー
–
◆ 私自身、” exonerate ” の意味は長年知っていた。
ところが、ニュースを視聴していて、即座に「 あれだ 」と
認識できるようになるまでに、かなりの時間を要した。
若干専門的な動詞である。
だが、 一般人の押さえるべき用法 は限られている。
個性が強いゆえ、一度学べば記憶に残りやすい側面もある。
意味からして、自ら使う機会はめったに訪れないだろう。
したがって、まずは目視における理解を目標 とする。
次いで、音声ニュースなどで把握できるようになれば、
” exonerate ” の基本はよしとみなしてよいと考える。
同時に習得できれば、なおよい。
ー
◆ ” exonerate ” を「大辞典」で引くとこうなる。
そろってシンプルな語釈である。
黄色くハイライトしたのは、ニュースで多用される意味。
■ ” exonerate “
- 他動詞
1. <人を>[非難・罪などから]解放する[ 免れさせる ]
[ from, of ]。
2.[ 義務・責任・支払いなどから ]免除する、解除する
( relieve, exempt )[ from ]。
( 新英和大辞典 第6版 )
– - 他動詞
< 人 >を[ 義務・責任などから ] 免除する
( ジーニアス英和大辞典 )
– - 他動詞
1. < 人を >( 非難から )解放する、無実の罪を
晴らす、 身のあかし をたてる《 from, of … 》
2. < 人を >(義務・責任・仕事などから)
免除する、解除する( relieve ) 《 from, of … 》
( ランダムハウス英和大辞典 第2版 )
– - 動詞
( 非難・罪などから )免れさせる
( 新編 英和活用大辞典 )
※ 太字・ハイライトは引用者
【発音】 igzɑ́nərèit
【音節】 ex-on-er-ate (4音節)
–
英語の専門家なら、 誰しもご存知の4冊。
私はタブレットに入れて、持ち歩いている。
ーー
【参照】 辞書の「自炊」と辞書アプリ ( 写真入り )
◆ 4冊の大辞典から明らかなことは、主な意味が2つある点。
1) 解放する
2) 免除する
–
ニュース用途では「 免除 」より「 解放 」が目立つ。
とりわけ、
◇ 「 速報 」の中心 :
( 非難から )解放する、 無実の罪を晴らす
–
その一因は、「 解放 」の方が 優先 すべき
ニュースであるからと推測できる。
つまり、「 免除 」に比べて、報道価値 が高い
と考えられているのであろう。
発生件数の差よりも、こちらの方が主要因と私は考える。
ー
◆ この傾向は、3大学習英英辞典( EFL辞典 )の語釈
からも、うかがい知ることができる。
■ ” exonerate “
- to state officially that someone who has
been blamed for something is not guilty.
( LDOCE6、ロングマン )
– - to show or show that someone or something
is not guilty of something.
( CALD4、ケンブリッジ )
■ ” exonerate somebody ( from something ) “
(formal) to officially state that somebody is not
responsible for something that they have been
blamed for.
( OALD9、オックスフォード )
–
–※ 下線は引用者
–
・ ” blamed for ” = 非難される
・ ” not guilty ” = 無罪である
【発音】 igzɑ́nərèit
【音節】 ex-on-er-ate (4音節)
–
◆ 3冊が記すのは、先の「( 非難から )解放する 」と
「 無実の罪を晴らす 」の意味合いのみ。
「 免除する 」は明記されていない。
主な同義語は、同じく他動詞の
無論、「 免除する 」の意味が存在しないわけでない。
そうではなく、英語学習者にとって「 解放する 」
の方が重要であることを、EFL辞典は示している。
したがって、先に触れた「 一般人の押さえるべき用法 」
として、「 免除する 」以上に「 解放する 」を 優先すべき
と考えられる。
ー
◆ ” exonerate ” は、他動詞 のみ ( 自動詞なし )。
【発音】 igzɑ́nərèit
【音節】 ex-on-er-ate (4音節)
「 若干専門的 」と指摘したものの、
主な意味は「 解放する 」と「 免除する 」の2つだけ。
法律辞典の解説も、簡潔明快。
米国には、“ Black’s Law Dictionary “
( ブラックス法律辞典 )という有力な法律辞典
が存在する。
( Amazon Japan / Amazon US )
–
1891年に発刊され、130年以上の歴史を誇る。
判例などに最も引用される辞典である。
英米法を学ぶ学生で知らない者は皆無レベルの 存在感。
2014年刊「 第10版 」の語釈は、以下の通り。
–
■ ” exonerate “
verb (16c)
-
To free from responsibility.
-
To clear of all blame;
to officially declare (a person) to be free of guilt;
exculpate.
-
To free from encumbrances.
“ Black’s Law Dictionary, 10th Edition ” p. 696
(Thomson Reuters 2014).
■ ” encumbrance ” = 負債
–
【発音】 enkʌ́mbrəns
【音節】 en-cum-brance (3音節)
–
◆ 2019年刊「 第11版 」の語釈は、以下の通り。
( Amazon Japan / Amazon US )
–
■ ” exonerate “
verb (16c)
-
To free from responsibility.
-
To clear of all blame;
to officially declare (a person) to be free of guilt;
exculpate.
-
To free from encumbrances.
“ Black’s Law Dictionary, 11th Edition ” p. 721
(Thomson Reuters 2019).
–
一字一句、違わない。
もう拍子抜けするほど、 一本調子と感じる。
- 責任を免除する
- 非難から解放する
- 負債を免除する
世界一有名な、天下の英米法辞典すら、これで完結している。
” exonerate ” は多義でないと考えてよい。
結局のところ、
ラテン語 「 荷を下ろす 」「 免じる 」
( exonerātus )
–
こちらの < 語源 > に忠実なまま、さほど発展しなかったのである。
とにかく、この2つがすべて。
–
1) 解 放
2) 免 除
–
似通った意味なので、両方覚えるのも、そう難しくないだろう。
身晴れ
< 解放 >
- “He was exonerated based on DNA evidence.”
(彼はDNAの証拠に基づき、無実の罪を晴らした。)
–
- “I’ve been exonerated in the eyes of the court but not everybody.”
(裁判所からは無罪を宣告されたが、人々からは解放されていない。)
– - “She was exonerated of charges of wrongdoing.”
(彼女は不正行為の容疑から解放された。)
– - “Over 150 people on death row have been
exonerated since 1973.”
(1973年以来、死刑囚150名以上が罪を晴らした。)
– - “His testimony exonerated her from all
charges of bribery.”
(彼の証言により、彼女のすべての贈賄容疑が晴れた。)
– - “She had proof which exonerated him completely.”
(彼の容疑を完全に晴らした証拠を彼女は持っていた。)
– - “He was exonerated from the accusation of theft.”
(彼の窃盗の疑いが晴れた。)
ー
< 免除 >
- “He cannot be exonerated from responsibility as
parents.”
(親としての責任から彼を免除することはできない。)
– - “The bank exonerated him from the payment
of the debt.”
(銀行は彼のその債務の支払いを免除した。)
– - “I’m not going to exonerate them entirely.”
(彼らを完全に免除する気はないです。)
– - “Fulfilment of the legal responsibility did not
exonerate Japan from its moral responsibility.”
(法的責任を満たしたからといって、日本が道義的
責任を免除されたわけではない。)
– - “Wet signatures of all his creditors are needed to
exonerate him.”
(彼を免除するには、債権者全員の直筆サインが
必要となります。)
– - “She exonerated him from his oath.”
(彼女は彼の宣誓を免除した。)
ー
◆ 以上は、それぞれ代表的な使われ方。
ニュース報道として、耳目を引くのはどちらか。
これに気づけば、使われがちの用途が見えてくる。
さらに、学習上重点を置くべき用法も分かる。
答えは本稿にて、はっきり述べている。
分からなければ、再度ご確認いただければと思う。
◆ 他動詞 ” exonerate ” の名詞形は、
- exoneration
【発音】 ɪɡzɑnɚéɪʃən
【音節】 ex-on-er-a-tion (5音節)
- 無実の罪を晴らすこと
- 免除、免責
不可算名詞である。
そのまま対応しているから、一緒に身につけてしまおう。