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Hassle-free

      2019/07/03

手間なし

“hassle-free” は、キャッチコピーによく出る形容詞 。

  • 面倒な作業は不要
  • 誰でも簡単にできる
  • あっと言う間に完了

こんな製品・サービスの宣伝文句に打ってつけ。

形容詞なので、名詞を飾るのが基本。
be動詞を伴い、述語となることも普通にある(例文参照)。
→【参照】英語の形容詞は弱すぎて、述語として自立不能


◆「ネット通販戦国時代」とも称される通販全盛期の昨今。

とりわけ頻出な言い回しが、

hassle-free returns

<返品手続きが非常に簡単>な便利さが売り。

大手アマゾンイーベイが一部導入していること
からも、売り手(セラー)側の要求事項として、
事実上の標準になりつつある。

買い手(バイヤー)にとっては、確実な安心材料となる。
消費者保護の観点からも、有効な制度に違いない。

一方、セラー側にとっては、酷なケースが少なくない。
理不尽な返品をも受け入れる必要性が高まるからである。

法定の危険負担を上回る責任の大きさに耐えきれず、
撤退する販売業者も多い。

同時に、返品処理や苦情対応を担当する従業員の
ストレス軽減に役立つ側面もあり、損ばかりでない。

hassle-free returns は、即効の満足感と消費者重視を追求
する世界的時流に乗っており、今後ますます定着していくはず。

特に、海外通販・個人輸入・海外オークションには不可欠。
海外と取引する機会のある方は、ひと目で認識できるとよい。

◆ “hassle-free” の起用は、返品にとどまらない。

例えば、パソコン分野でも多用される。

  • hassle-free access
    (簡単アクセス)
  • hassle-free install
    (手間なしインストール)
  • hassle-free setups
    (簡単設定)

形容詞 “hassle-free” を1語入れるだけで、企業努力を
さり気なくアピールできる
から、企業に都合よい。

煩わしさを最小限に押さえてあり、
使い勝手がよい利点をさらりと示す。

くどい宣伝に見えないので、好印象。

形容詞1語と書いたが、実際は2語をハイフンで結んだ
複合形容詞compound adjective)である。

<「複合形容詞」例 >

laid-back“、”unheard-of“、”fill-in“、”go-to
self-explanatory“、”worst-case“、”wake-up“、
long-overdue“、”well-done“、”so-called“、
life-threatening“、”unheard-of“、”short-staffed”、
well-established”、”shell-shocked”、”self-inflicted

複合名詞(compound nouns)兼用も含む

“hassle-free” は、名詞 “hassle”(困難)に、
連結形 “free”(~がない)をつなげた複合語。

すなわち、<名詞+形容詞形>の複合形容詞。

ここでの “- free” は、接尾辞(suffix)でない。
独立した形容詞 “free” から生じた点で、
単独使用できない接尾辞 とは異なる。

間違いやすい点なので、おさらいしてみよう。

「接尾辞」(suffix)
単語の意味を変えたり、広げたりする部分
【例】”ful”(満ちている)、”less”(~のない)

「連結形」(combining form)
独立した単語を組み合わせて、新しい用語を作る
【例】“self-explanatory“、”well-established

普段は意識しなくてもよいが、英文法上、
「接尾辞」と「連結形」は区別すべきものである。

より詳細は、以下をご参照いただければと願う。

・ 「接辞」と「連結形」の違い
・ 「接辞」と「連結形」の違い

ー-

< 連結形 “free” を用いた複合形容詞の例 >

  • advertise-free / ad-free
    (広告なしの)
  • alcohol-free
    (アルコールを含まない)
  • barrier-free
    (バリアフリーの)
  • caffeine-free
    (カフェイン抜きの)
  • cancer-free
    (癌がない)(癌が治った)
  • cholesterol-free
    (コレステロール抜きの)
  • commercial-free
    (コマーシャルの入らない)
  • device-free
    (電子機器なしの)
  • drug-free
    (麻薬を使わない)
  • duty-free
    (免税の)
  • fat-free
    (無脂肪の)
  • hands-free
    (ハンズフリーの)
  • jam-free
    (紙詰まりなしの)
  • nuclear-free
    (非核の)
  • odor-free
    (無臭の)
  • regret-free
    (後悔なしの)
  • sugar-free
    (砂糖の入っていない)
  • toll-free
    (フリーダイヤルの)
  • distraction-free
    (気が散らない)

 

◆ “hassle” には、名詞・自動詞・他動詞がある。

語源は不詳とされるが、初出は20世紀前半。

– 名詞「口論」「けんか」「困難」 ※ 可算・不可算兼用
– 自動詞「口論する」
– 他動詞「悩ます」

一貫して困った様子で、ネガティブな印象
ここでは名詞「困難」、ひいては「面倒なこと」。

hassle

noun
1. [countable, uncountable] spoken
something that is annoying, because it causes
problems 
or is difficult to do.

2. [countable] American English; informal
an argument between two people or groups.

(LDOCE6、ロングマン)

【発音】 hǽsl  

【ご注意】

「ハッスルする」「張り切ること」

スペルは “hustle” で、別単語

こちらは「元気いっぱい」で ポジティブな印象

発音もまったく異なる。

【発音】 hʌ́sl  

 

◆ “hassle-free” の趣旨は、冒頭の緑字の通り。

名詞 hassle(困難)連結形 free(~がない)

で、「困難がない」。ひいては「面倒がない」。

定訳はないに等しいので、内容に応じて和訳する。

時折「ハッスルフリー」と書き表すウェブサイトを
見かける。

先述の “hustle” と混同する危険があるため、
カタカナ書きは避ける方がよいかもしれない。

“Let me show you a hassle-free way to cut meat.”
(お肉の簡単な切り方をお見せしましょう。)

“I want to make sure your trip is hassle-free.”
(あなたの出張が円滑にいくようにしたい。)

“This device provides hassle-free charging system.”
(このデバイスで手間なく充電できます。)

“Thank you for the hassle-free transaction.”
(スムーズなお取引をありがとうございます。)

“I’m looking for the hassle-free path to paperless.”
(難なくペーパーレス化する方法を探している。)

“Our immigration procedures were hassle-free.”
(我々の出入国手続きは手間がかからなかった。)

 

 

 

 

 

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