With all due respect
2021/04/05
お言葉を返すようですが、 失礼ながら
相手に反論する時の < 決まり文句 >。
–
主に口頭で、文頭中心に使われるのは和文と同じ。
文中で使われることもある。
文尾はまれ。
時に慇懃無礼に受け取られる場合もあるが、
耳馴染みのフレーズなので反発は生じにくいはず。
<4語ワンセット>が原則だが、後掲の英英辞典が示す通り、
<3語ワンセット>と<2語ワンセット>のパターンもある。
–
■ ” due ” には、形容詞・名詞・副詞がある。
語源は、ラテン語「借りている」(dēbēre)。
ここでは形容詞「然るべき」「正当な」。
【発音】 dú
【音節】 due (1音節)
後に触れるように、“due” がなくても通用する。
–
■ ” respect ” は、名詞と他動詞がある。
語源は、ラテン語「振り返ること」(respectus)。
ここでは不可算名詞「尊敬」。
【発音】 rispékt
【音節】 re-spect (2音節)
–
■ この2語に、随伴の前置詞 ” with “(~とともに)を加えた
“with due respect” の直訳は「然るべき尊敬とともに」。
【発音】 wíð
【音節】 with (1音節)
–
■ さらに、副詞 ” all “(完全な)を付け足すと、文意が強調される。
強意の副詞なので、“all” なしでも通じる ( 後述の英英辞書参照 )。
【発音】 ɔl
【音節】 all (1音節)
–
以上より、直訳は 「 然るべき完全な尊敬とともに 」。
これでは、わけ分からない。
「 然るべき完全な尊敬とともに 」とは、相手とその意見を
「 完全に尊敬 」した上で、あえて異議を呈する前置き。
- そちら様をきちんと尊重してるけど、言わせてください
- ちゃんとリスペクトしてるよ、でも言わせてね
くらいに理解しておけばよいだろう。
–
意図は、
- お言葉を返すようですが
- はばかりながら
- 失礼ながら
と同趣旨。
–
◆ 4大学習英英辞典( EFL辞典 )の語釈は次の通り。
強意の副詞 “all” と 形容詞 “due” をカッコに入れたり、
抜いたりして、任意扱いする辞書が過半数 な点に着目。
” with (all) due respect “
–
spoken
used when you disagree with someone or criticize
them in a polite way.
(LDOCE6、ロングマン)
–
” with respect, with all due respect “
–
(formal)
used when you are going to disagree,
usually quite strongly, with someone.
(OALD9、オックスフォード)
–
” with (all due) respect “
–
used to express polite disagreement in a
formal situation.
(CALD4、ケンブリッジ)
–
” with due respect “
–
You can say ‘with due respect’ when you are
about to disagree politely with someone.
(COBUILD9、コウビルド)
–
※ ハイライト・下線は引用者
4辞書に共通するキーワードにハイライトを施した。
すなわち、意見が合わないことを示す動詞 ” disagree ”
及び不可算名詞 ” disagreement “(不一致、相違)。
【発音】 dìsəgríː
【音節】 dis-a-gree (3音節)
【発音】 dìsəgríːmənt
【音節】 dis-a-gree-ment (4音節)
◆ 下線部はキーワードに準じるもの。
「 礼儀正しく 」または「 強めに批判 」の意味合い。
“with all due respect” は、言い回しとしては、
一見丁寧だが、 手痛い仕打ち
ぴりっとくる感じ。
–
◆ 相手に物言いする際は、言い方に気をつける必要がある。
下手に個性を出して相手を刺激するよりは、
誰もが使う<常套句>で切り抜ける方が
無難な場面も多い。
- “My boss, with all due respect, was not a nice person.”
(お言葉ですが、上司は優しい人ではなかったです。)
– - “With all due respect, I don’t agree with you.”
(お言葉ですが、ご意見に賛成できません。)
– - “With all due respect, you are wrong.”
(失礼ながら、あなたは間違っています。)
– - “With all due respect, you are making us uncomfortable.”
(失礼ながら、あなたは我々を不快にしています。)
– - “With all due respect, I feel that your time is up.”
(はばかりながら申し上げますが、
あなたの時代は終わりだと思います。)
【類似表現】
- ”Nothing personal.”
https://mickeyweb.info/archives/1402
(個人的な意味はない。 悪気はない。)
– - “In case you haven’t noticed, – ”
https://mickeyweb.info/archives/2948
(一応言っておくけれど)
– - “Correct me if I’m wrong.”
https://mickeyweb.info/archives/4685
(私が間違っていたら訂正してください。)
– - “No offense, but – ”
https://mickeyweb.info/archives/11414
(悪気はないのですが)
– - “Am I disturbing you ? ”
https://mickeyweb.info/archives/4177
(お取り込み中ですか? )
– - “Sorry to interrupt”
(お取り込み中、申し訳ないのですが)
(話の腰を折って失礼ですが)