In the back of my head
2024/07/17
頭では
直訳は「 頭の後ろでは 」。
実際は後頭部ではない。
「 頭の隅 」と同様に、「 頭の中 」を指す。
日本語の「 頭 」の用途と同じく、使用場面はさまざま。
例えば、
-
頭では分かっていた → うすうす気づいていた
I knew it in the back of my head. -
頭の中にはある → 一応覚えている
I have it in the back of my head. -
頭の隅に留めておく → 忘れないでおく
I will keep it in the back of my head.
説明するとなると、なかなか厄介だが、
状況のイメージ自体は難しくない。
便宜上、表題では “my” にしたが、その他の所有格、
your / his / her / their / our / its でもよい。
所有格が複数形(their、our)の場合、
頭も複数形 “heads” になるのが原則。
だが、単数形 “head” のまま、使われることも少なくない。
この点、”turn one’s back on – ” に似通うパターン。
◆ 本稿では「 1. 頭では分かっていた 」を論じたい。
理由は2点。
日常的に最も耳にする用途である点、
及び意味が最も推測しにくい点である。
統計に基づく頻出度ではないが、
他の2つより確かに目立つと考える。
3つとも、推測は比較的容易。
“in my head” と換言しても大意は通じる。
それでも、2.と3.に比べれば、1.の方が難しいだろう。
3つの共通点は、現場が「 頭の中 」。
しかも、その「 後部 」。
◇ 優先順位が低めで、後ろ向き な状態
を示唆する。
–
◆ はっきり意識しているわけではないが、うすうす察している。
ぼんやりした感覚なのに、なぜか確信できる気もする。
「 頭では、なんとなく分かっている 」様子が 1。
- 胸がざわつく
- なにかがおかしい
- そうあってもらいたくない
- できれば、考えたくもない
「 頭の中 」 からの警告
いわば、「 第六感 」 「 直感 」に近い。
「 第六感 」
身体にそなわった感覚器官を超えて、ものを直感
する感覚。視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚以外の、
するどく物事の本質をつかむ心の働き。
直感。 勘。 霊感。 インスピレーション。
虫のしらせ。
–
「 直感 」
説明や証明をまたないで、直ちに物事の真相を心で
感じること。 直観。
(精選版 日本国語大辞典)
※ 視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚が「五感」で、
それを感覚器官で把握するはたらきが 知覚
人間には、感覚器・触覚器・視覚器・聴覚器・
嗅覚器という 「 五官 」 が具わっている。
【参照】 “perceive”
その五官でとらえた「五感」以外にも、自分を守る
心の働きがある。
それが、第六感。
理論を超越するインパクトのある不思議な現象を
体験された方は少なくないはず。
胸のざわつきも、きっとその作用のひとつ。
–
胸がざわつく
- “I knew in the back of my head that
he was cheating on me.”
(彼の浮気にはうすうす気づいていた。)
– - “I knew in the back of my head that
she will leave me soon.”
(彼女にまもなく捨てられることは、ぼんやりと分かっていた。)
–
- “In the back of my head, I knew she hated me.”
(彼女が俺を嫌っていたことは、なんとなく知っていた。)
– - “I knew in the back of my head that
this will be my last game.”
(これが自分の最後の試合になることは、なんとなく分かっていた。)
– - “I knew in the back of my head that
we won’t see it again.”
(我々がこれを経験することは二度とないに違いない
と、あいまいながらも分かっていた。)
– - “In the back of my head, I knew we were
spinning our wheels.”
(自分たちが空転していることに、うすうす気づいていた。)
– - “I knew in the back of my head that
we won’t be able to see each other again.”
(お互い二度と会えないだろうと漠然と感じた。)
– - “In the back of our heads, we knew it was coming. ”
(漠然とだが、そうなることが我々には分かっていた。)
※ “head” 単複両方可
– - “In the back of our heads, we knew what was going on.”
(なにが起こっているか、私たちの頭では分かっていた。)
※ “head” 単複両方可
–
–
【類似表現】
■ ” deep down ”
(心の中では)
–
“I was taken aback, but deep down I felt silly.”
(私は驚いたが、内心バカげていると思った。)
–
■ ” at / in the back of your mind ”
(心の中では)
→ my / your / his / her / their / our / its も可
◆ CALD4 の解説は次の通り。
“at / in the back of your mind”
you intend to do it, but are not actively
thinking about it.
(CALD4、ケンブリッジ)
冒頭の2に当たる。
だが、このフレーズにも、1と2の意味合いがある。
したがって、表題 ” in the back of my head ”
の同義フレーズとして出てくることが多い。
さほどメジャーな言い回しではないため、
各種英英辞典で調べても、解釈は分かれている。
それでも、概ね先の3つに収まる。