プロ翻訳者の単語帳

Professional Interpreter / Translator at Government Agency

In theory

      2019/02/22

理論上は、理屈としては 

口頭・文面問わず使われる<2語ワンセット>。

  • 理論上は
  • 理屈としては
  • 理論的には

主な定訳はこの3つ。


◆ 使用場面は上記の和訳と重なる。
もたらす効果も同然。

つまり「現実面では」「実際には」の対になる。
“in theory” に対し、”in practice”。

ここでの “in” は、方法・様態の前置詞。

名詞用法の “theory” と “practice” は、
ともに可算・不可算兼用。
本稿の意味合いでは、不可算名詞となる。

  • “theory and practice”
    (理論と実践)
  • “a conflict between theory and practice”
    (理論と実践の対立)
  • “a gap between theory and practice”
    (理論と実践の隔たり)
  • Theory and practice are two different things.”
    (理論と実践は別物です。)

こうしてみると、”theory” と “practice” が
ペアになるのは、容易に推論できるだろう。

どちらもギリシア語を語源とする。

  • theory θíːəri)→ 理論、原理
    ギリシア語  “theōria”「見ること」「考察すること」
  • practice prǽktis)→ 実践、実行、実際、実地
    ギリシア語  “prāktikos”「実行する」

◆ 古くは、アリストテレス(前384年 – 前322年)の唱えた
概念が有名である。
プラトン(前427 – 前347)と並ぶ古代ギリシア最大の哲学者。

—-■ 事物の真理を理性的に知ろうとする「テオーリア
—-(観念)→  “theory”

—-■ 対象に対して実践的に働きかける「プラクシス
—-(実践)→  “practice”

アリストテレスは、テオーリアを人間が神と同等になる
瞬間と考え、人間の最高至福の活動とする。

実践よりも理論に重きを置いたのである。

観想的な生活こそ幸福、とうそぶいていられたのは、
アリストテレスが知識階級に属していたから。

一般的な労働者は、哲学などに熱中する身分にない。
抽象的な机上の理論より、自ら動く実践こそが大事。

今日の組織にも根強く見られる対立構造の要因である。
労使間に限らず、実務担当者同士のトラブル原因にもなる。ーーーーーーーーー

It’s not so easy in practice as in theory !
(実際には、理屈みたいに簡単じゃないんだよ。)

image.png
ーー ー ーー
理論上なら何でもあり
ーーー“In theory, anything could happen.”

対比される “theory” と “practice”。

本稿では “in theory” を取り上げてみたい。
“in practice” に比べて、概して応用が利くと考えるから。

“in theory” は、使い方次第で反発されたり、感心されたり。

ある意味、厄介であるが、先述したように使用場面は
日本語にかなり似通っている。

例えば、意見を出す際の決まり文言としても重宝する。

「理論上はこうなる」と言っておけば、とりあえず自分の頭
で考えていることを示すことはできる。

ボーッと上の空で聞いているわけでない旨のアピール。

たとえ反発を食らったとしても、よしと甘受すべき機会も
否応なしに生じるのが組織社会であろう。

◆  冒頭の通り、口頭でも文面でも用いる。
文頭に置くのが最も一般的だが、文中・文末でも可能。
やはり日本語に共通する。

定訳があるため、和訳は難しくない。
当てはめるだけで通じるケースがほとんど。

<口頭>

  • “In theory, it’s possible.”
    (理論上は可能だ。)
  • “Aren’t you supposed to be off today ? ”
    “Yes, in theory.”
    (今日は休暇でなかったの?)(理屈ではね。)
  • “Your idea sounds good in theory,
    but I think it won’t work.”
    (あなたのアイデアは理屈上はいいけど、
    うまくいかないだろう。)
  • “It’s not feasible in theory.”
    (理論上、実現不可能です。)
  • “I agree with you in theory,
    but it seems unrealistic.”
    (理論上は同意しますが、
    現実的でない気がします。)

<文面>

  • “In theory, they all should improve.”
    (理論的には全員が向上するはず。)
  • “In theory, everyone will have to pay more tax.”
    (理論上は皆が増税を負担しなければならない。)
  • “It could happen, in theory.”
    (理論上は起こりうる。)
  • “In theory, the training should take two months.”
    (理屈では訓練に2か月間かかる。)
  • “We can lose a ton of weight in just a week, in theory.”
    (理論の上では、たった1週間で激やせできる。)

中級学習者の実力があれば、お茶の子さいさいな例文ばかり。

先に触れた反発のリスクを伴うものの、”in theory” は
比較的分かりやすい表現に違いない。

◆ 最後の仕上げに、 4大学習英英辞典(EFL辞典)を確認。

“in theory”

something that is true in theory is supposed to
be true, but might not really be true or might
not be what will really happen.
(LDOCE6、ロングマン)

used to say that a particular statement is supposed
to be true but may in fact be wrong.
(OALD9、オックスフォード)

If something is possible in theory, it should be
possible, 
but often it does not happen in that way.
(CALD4、ケンブリッジ)

You used in theory to say that although something
is supposed to be true or to happen in the way stated,
it may not in fact be true or happen in that way.
(COBUILD9、コウビルド)

【発音】 in  θíːəri
→  “th”(θ) の発音は、”smooth out” 参照

一様に理屈っぽい語釈。
理詰めの戦法よろしく、理解に疲れる。

額面通り、理論的。

かえって分からなくなってしまったかもしれない。
EFL辞典には珍しく逆効果。

この場合、日本語でちゃちゃっと把握してしまう方が
手っ取り早い。

  • 理論上は
  • 理屈としては
  • 理論的には

 

 

Sponsored Link




Jetpack

 - 英語, 英語フレーズ