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Newbie

      2019/08/13

1. 新人    2. 初心者   

インターネット記事で見かける機会が多く、
ネット時代の新語かと思いきや、そうでない。

1969年には「新人」の意味での使用が記録されている。

米軍が発祥の地で「新入りの軍人」を表す俗語。

これが語原の有力説である。
・ https://www.etymonline.com/word/newbie
・ https://en.wikipedia.org/wiki/Newbie

「英辞郎 on the WEB」には、 “new boy” とある。
・ https://eow.alc.co.jp/search?q=newbie&ref=sa

可算名詞で、複数形は “newbies”。

image.png————Hi.  I am a newbie.”

【発音】 ˈnjuːbi  

「ニュービー」だなんて、なんだかふざけたような語感。
軍隊の厳かな雰囲気に不似合いな甘ったるさを感じる。

【音節】 new ・ bie2音節)
ーーーーーーー ニュー ビー

長音の2音節で、カタカナ表記もしやすい。
アクセントは “new” に置く。

「音節」(syllable)とは、発音の最小単位。
日本語の場合、原則として「仮名一字が1音節」。
そのため、音節を意識する機会は乏しい。

◆ 新米がちょっかいや揶揄嘲弄の対象になる
傾向は、集団や組織に普遍的に見られる。

それが行き過ぎた際、米軍では “hazing“(しごき)
と称し、全面的に戒めている。

学校では、”bully” や “bullying“(いじめ)に結びつく。

もとより面白半分な動機から生じ、悪意はなかったり
するので、対処に窮する問題ではある。

興味本位にいじられるのは、新人が本能的に好奇心を
あおり立てる、気になる存在だからかもしれない。


◆ “newbie” の語義は、次の2つを押さえておけばよい。

  1.  新人  (新米・新参者・新入り・新顔)
  2.  初心者 

日常的にはこれで充分。 1 の各語は、ほぼ同義。
いずれも “new” から連想できる意味合いなので、
難しくない。

◆ “new” には、形容詞・副詞・名詞がある。
語源は、古英語「新しい」(nīwe)。

【参照】”new to – “(~の新入りである)

bie” は、上掲の語原サイト “etymonline.com
によれば、

 diminutive or derogatory suffix

【参考和訳】
指小辞または軽蔑的な接尾辞

https://www.etymonline.com/word/newbie

【発音】
・ diminutive( dimínjətiv
・ derogatory ( dirɑ́gətɔ̀ːri )
・ suffix( sʌ́fiks

指小辞(ししょうじ)とは、主に名詞や形容詞につき、
小さい」「かわいい」のニュアンスを加える接辞(affix)。

以下、黄ハイライト部が指小辞。

  • booklet(冊子)→  小さな書物
  • duckling(アヒルの子)→  かわいいアヒルちゃん
  • applet(小規模アプリケーション)→  ちっこいアプリ
  • freebie(無料の景品など)→  ささやかな品物、粗品

このように、英語の指小辞には接辞が多い。

片や日本語では、接辞が目立つ。

  • ぎれい

“newbie” は、さしずめ「新人ちゃん」か。

もし後者の「軽蔑的な接頭辞(derogatory suffiix)」
の説を採用するならば、「新入りども」くらいになる。

◆ どちらの解釈であっても、周囲の興味を巻き起こし、
思わず手出しをしたくなる流れについては既述の通り。

下品なスラング扱いする辞書も散見するものの、
実際にはニュース記事の見出しに使われている。

今年2019年に発表された10件をご覧に入れたい。

  • “Day in Life of a Newbie SEO”
    (SEO初心者の一日)
    SEO = search engine optimization
    ーー——–= 検索エンジン最適化
  • “From Grammy Newbie to Global Superstar”
    (グラミー賞新人から国際的スーパースターへ)
  • “Tips For Winning Real Estate Listings As
    A Newbie Agent”
    (新人不動産業者が物件販売リストで
    成功するコツ)
  • “5 BIGGEST mistakes made by newbie XX riders”
    (XX乗りの初心者が犯す5大ミス)
  • “Newbie Investing Mistakes and How to Avoid Them”
    (新人投資家が犯す間違いと対策)
  • “The Newbie Guide to Blogging”
    (ブログ初心者のための入門書)
  • “When You’re The Newbie At Work”
    (職場で新人の場合)
  • “2019 Travel Goals for the Newbie Traveler”
    (2019年版  旅行初心者のための目的地)
  • “Are You a New Year’s Resolution Newbie,
    Master or Flunkee? ”
    (あなたは「新年の抱負」の新人・達人・落ちこぼれか)
  • “Here’s what you should know if you’re a public
    transit newbie in X ”
    (X の公共交通機関の入門者が知るべきこと)

※ 「見出し」英語の解説は、ここが秀逸 ↓
——-英語ニュースの読み方(見出し編)RNN時事英語

◆ 以上10件。すべて真面目なニュースである。

出自が俗語とはいえ、実用における “newbie” の
立ち位置は悪くないことが推察される。

ただ、インターネット上のフォーラムなどでは、時に
「無知の新人くん」のごとく、馬鹿にする含意を
読み取ることもできる。

例えば、

  • a newbie question
    (新人めいた質問)

とりわけマニア向けサイトでは、初心者くさい質問が
お呼びでない様相を呈すのはよくある話。

低レベルで場違いな門外漢であれば、生意気な厄介者
として雑言を浴びせられ、排斥されても不思議でない。

こんな見方。

“newbie” 

《電子会議室などで (時に 基本的な質問をして迷惑な)》
新参者

英和コンピューター用語辞典、研究社、2001年刊)


◆ 新人や初心者の処遇は、居場所によって大きく異なる。

これまで見てきたように、”newbie” の放つニュアンス
に差が出る理由は、主に場の違いにある。

「一見さんお断り」にやたらと近づくと大変。

無知で間抜けな言動により、たちまち炎上し、
焼き出された上、締め出されることも。

一方、初心者向けであれば「ようこそ」と歓迎される。
ここでの “newbie” が、意地悪で難しい理屈
伴わないのは、言うまでもない

◆ 名詞 “newbie” の基本的語義が<中立的>なのは、
4大学習英英辞典(EFL辞典)からも明らか。

“newbie” 

■ informal
someone who has just started doing something,

especially using the Internet or computers.
(LDOCE6、ロングマン)

■ informal
a person who is new and has little experience
in doing something, especially in using computers.
(OALD9、オックスフォード)

■ informal
someone who has just started doing an activity,
a job, etc.
(CALD4、ケンブリッジ)

A newbie is someone who is new to an activity, 
especially in computing or on the internet.
(COBUILD9、コウビルド)

【発音】 ˈnjuːbi

COBUILD 以外には、”informal” 表記がある。
すなわち「非正式またはくだけた表現」の意。

要点にハイライトを施した。

どの語釈を見ても、「新人」または「初心者」を示すのみ。
英語学習者の注意を促す記載は一切ない。

つまり、先述の和訳 1 と 2 に沿った語義である。

1.

  • 新人
    新たに加入した人。新顔
    (広辞苑 第七版)
  • 新米
    [「しんまえ(新前)」の転 ]
    まだ始めたばかりで、その事柄に慣れていない人。
    新参。未熟な人。
    (大辞林 第三版)
  • 新参者(しんざんもの)
    あらたに使えた人。また、新しく仲間に加わった人。
    新参。新入り。新座衆。新座者。
    (精選版 日本国語大辞典)

2.

  • 初心者
    習い始めたばかりでまだ未熟な人。
    (明鏡国語辞典 第二版)

※ 各辞典の該当する語釈のみ転載


「日常的にはこれで充分」と書いたのは、あながち
間違っていないだろう。

その場にそぐわぬ挙措の新顔に限り、”newbie” が
とげとげしい言葉になりがちといった案配である。

 

 

 

 

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