Crackdown
2020/08/15
取り締まり、弾圧、検挙
ニュースで年中見聞きする “crackdown”。
【発音】 krǽkdàun
【音節】 crack-down (2音節)
–
だが、一般個人が日常的に使う言葉でないため、
中級学習者でも知らなかったりする。
もったいない。
「取り締まり」なので、基本的には警察や役所など、
不正や違反に対処する捜査・行政機関などの公的組織
が主体となる。
しかし、民間企業が内部規則に基づき、自社の社員を
取り締まる時にも用いることができる(例文参照)。
官民問わず、取り締まるには<正当な権限>が必須。
“crackdown”
–
strong official action that is taken to punish
people who break laws.
(ロングマン、LDOCE6)
【発音】 krǽkdàun
【音節】 crack-down (2音節)
–
※ 下線は引用者
字面・発音ともに、インパクトのある単語なので、
この場で覚えてしまおう。
–
◆ “crackdown” を<話し言葉>と記す辞書もある。–
(『ランダムハウス英和大辞典 第2版』など)
–
しかし、冒頭の通り、ニュースでも、
「取り締まり=crackdown」として定着済みである。
堅めの文章でも、当たり前のように使われている。
よって、<話し言葉>とは言えないだろう。
LDOCE6やOALD9(オックスフォード)には、
そのような表記はない。
–
◆ “crackdown” の初出は、1930年代。
–
“crack down”(厳しく取り締まる)を
名詞にしたもの。
–
“crack down on“(後述)の前置詞 “on” を
省略したものの名詞化との説もある。
–
◆ “crack down” は句動詞。
–
“crack” には、名詞・自動詞・他動詞・形容詞・副詞
があり、いずれも非常に多義である。
“crack” の語源は、古英語「鳴り響く」(cracian)。
多義といえども、語源からイメージできるものも多い。
–
クラッカー(cracker)もここから派生。
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名詞 “crack” は、鞭や銃などが鳴る「鋭い音」を示す。
パーン、ピシャッ、ガツン、パチン–
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実際の音を真似た擬音語(onomatopoeia=擬声語)である。
→ 詳細は、“ring a bell”、”Tingling sensation (ASMR)“
そこから「ひび」「割れ目」も意味する。
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いずれも可算名詞。
– 自動詞「鋭い音を立てる」「炸裂する」「砕ける」
– 他動詞「鋭く鳴らす」「ぴしゃりと叩く」「押し入る」
– 形容詞「一流の」※ まれ
– 副詞「バチンと」
句動詞 “crack down” は、自動詞の句動詞なので、
句自動詞(intransitive phrasal verb)。
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◆ 鋭く穏やかでない様子が、”crack” の共通イメージ。
–
副詞 “down”(倒れて、伏して)を伴い、句動詞「取り締まる」に。
2語が合体し、初めて「取り締まる」を意味するので、
典型的な句動詞と言える。
“crack down” には、2つのパターンがある。
■ crack down on
■ crack down against
副詞や形容詞が挟まれることもあるが、前置詞は
この2つでほぼカバーされる。
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両方とも、取り締まりの対象を示す前置詞。
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◆ 先述の通り、”crack down” または “crack down
on” が名詞化されたものが、可算名詞 “crackdown”。
「~の取り締まり」は、前置詞を引き継ぎ、
■ a crackdown on
■ a crackdown against
句動詞と同様、”on” の方が頻出。
「取り締まり」「取り締まる」にとどまらず、
「検挙」まで “crackdown” で表す場合もある。
※ 「検挙」とは、警察や検察などの捜査機関が、
犯罪の被疑者(起訴前)や違反行為を特定すること。
任意取り調べ、逮捕、書類送検などを含む。
正式な法律用語ではない。
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◆ 可算名詞 “crackdown” の使い方は難しくない。
–
以下、句動詞と一緒に実例を挙げる。
(上:名詞「取り締まり」、下:動詞「取り締まる」)
–
- “a crackdown on DUI”
“crack down on DUI”
(飲酒運転)
– - “a crackdown on bullying”
“crack down on bullying”
(いじめ)
– - “a crackdown on drugs”
“crack down on drugs”
(薬物)
– - “a crackdown on scams”
“crack down on scams”
(詐欺)
– - “a crackdown on personal Internet use at work”
“crack down on personal Internet use at work”
(職場でのインターネット私的利用)
– - “a crackdown on personal phone use”
“crack down on personal phone use”
(私用電話)–
–
◆ 名詞などを加えて完全文にするには、
基本的な英文法に従う。
- “The police are cracking down on DUI.”
(警察は飲酒運転を取り締まっている。)
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- “A law intended to crack down on fake news went into effect.”
(フェイクニュースを取り締まる法律が施行された。)
–
- “People are pushing for a crackdown on bribery.
(人々は贈収賄の取締を要請しています。)
– - “The school has started a crackdown on bullying.”
(学校はいじめの取り締まりを始めた。)
– - “We need a government crackdown on drugs.”
(政府による薬物の取り締まりが必要だ。)
– - “The government has ordered a crackdown on scams.”
(政府は詐欺の取り締まりを命じた。)
–
- “The company is having a crackdown on personal Internet use.”
(その会社はインターネットの私的利用を取り締まっている。)
– - “There has been a series of crackdowns on personal phone use.”
(私用電話の取り締まりが続いている。)
– - “The law cracks down on non-consensual distribution of
sexual content.”
(その法律は、合意のない性的コンテンツの配信を取り締まる。)
– - “There will be a crackdown on homeless people.”
(ホームレスの人たちへの取り締まりが行われるだろう。)
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※ すべて “on” を “against” に置き換え可能
–
【類似表現】
- “Get tough on – ”
https://mickeyweb.info/archives/10196
(~に厳しく対処する、取り締まる)
【関連表現】
- “crack up”
https://mickeyweb.info/archives/20422
(1. 爆笑する、爆笑させる 2. 精神的に参る 3. 衝突する)