プロ翻訳者の単語帳

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It’s not my thing.

      2019/01/23

それは私の得意分野ではない。

<不得意>を示す時に使うカジュアル常套句。

口語として、下品さはないものの、正式な
言い方とも言えない。

「 得意じゃないから くらいの感じ。

“it’s” は “it is” の省略形。
このように “is” の代わりに、その縮約形「 ‘s 」を
使うことが多い言い回しである。

 

◆ 表題には、主格の代名詞 “it”(それは) 及び
一人称所有格 “my”(私の)を選んだが、
これらに限られない。

すなわち、代名詞でなくてもよい。

  • “Singing is not Ken’s thing.”
    (ケンは歌うことが得意でない。)

Inline image 1———-↑ 歌の苦手なケン

  • “Cooking is not my mom’s thing.”
    (料理は母の得意分野ではない。)
  • “Art is not my thing.”
    (僕は芸術に暗いから。)
  • “Reading is not Jane’s thing”
    (ジェーンは読書が苦手です。)
  • “Baseball is not his thing.”
    (彼は野球は得意でない。)

さらに、複数でもよい。

  • “Swimming and basketball are
    not her things.”
    (水泳とバスケは彼女の得意分野でない。)
  • “Kissing and hugging are not
    my dad’s things.”
    (キスしたりハグしたりすることは、
    父は苦手。)

だが、通常は単数。

誰かの不得意分野をべらべら他言する機会など、
めったに生じないから当然であろう。

 

◆ このフレーズでポイントとなるのが “thing”。

“thing” は名詞のみで、可算名詞と不可算名詞
を兼ねる。原則は可算名詞。

◼️ 基本的意味は「物事」=「」「

日本語の「物事」と同様、
抽象的・総称的な意味合いがある

日本語「もの」の指す内容が非常に広範で
あるように、”thing” のカバー範囲もすごい。

真面目な内容から猥談まで何でもござれ、
と言っても過言ではない。

例えば、男性器(penis、発音:ピーニス píːnis 
は、婉曲俗語で「モノ」= “thing” と称する。
日英で用途の重なることが多い名詞 “thing”。

表題 “It’s not my thing.” では、”thing” は
得意なもの・こと」「好きなもの・こと」を示す。

よって、直訳は「それは私の得意なことではない」
または「~好きなことではない」。

これ以外にも、「これは私の物ではない。」
との一般的な意味もなすのは言うまでもない。

文脈で判別できるのが普通だが、私たち英語学習者
にとって、「不得意」については推測しがたい。
そのため、本稿で取り上げた次第である。

 

◆ 否定の副詞 “not” を抜いた “It is my thing.” なら、
「これは私の得意なこと」「~好きなこと」。

トークショーで、ホストがゲストに向かって
What is your thing ? ” と尋ねた場合、
相手の興味を聞き出している。

  • 「あなたの得意なことは?」
  • 「あなたの好きなことは?」
    さらには、
  • 「今、はまっていることは?」

ここから話の糸口を引き出す流れである。

所有格(※)の直後に置く、この “thing” の意味合い
は昔から存在したが、インターネット時代に
入ってからより広まった用法だという。

※ one’s = my、your、his、her、our、your、their

次のサイトに詳しい。

“X isn’t really my thing” is a common formulation
used to express disinterest.

The nuance is different from dislike,
and is perhaps closest to “X bores me“,
but is softer.

“What is your thing?” is a playful response asking
what you are interested in.

https://ell.stackexchange.com/

※ 太字・赤字は引用者による

上掲サイトの説明通り、ニュアンスとしては
“dislike”(嫌い)というわけでは必ずしもない。
あくまで、興味がない、得意ではないということ。

よって、判断基準は好き嫌いではなく、<関心>
があるか否かという点である。

【類似表現】
“It’s not my forte.”
(それは私の得意分野ではない。)

be somebody’s forte” =
to be something that you do well
or are skilled at.
(ロングマンLDOCE6)※ 下線は引用者

【発音】
フォルティ fȯr-tē  (← 多用される)
または
フォート fɔ́ːrt

< 名詞 “thing” の用法 >

“Things change.”
https://mickeyweb.info/archives/3326
(事情は変わる。)

“Things happen.”
https://mickeyweb.info/archives/9323
(こんなこともある。)

“talk things out”
https://mickeyweb.info/archives/5615
(徹底的に話し合う)

“work things out”
https://mickeyweb.info/archives/9698
(問題を解決する)

“Sort things out”
https://mickeyweb.info/archives/1464
(解決する。対処する。けりをつける。)

“get things going”
https://mickeyweb.info/archives/10469
(事を進める)

“first thing in the morning”
https://mickeyweb.info/archives/5059
(朝一番に)

“everyday things”
https://mickeyweb.info/archives/10909
(日常の物事)

“Do the right thing.”
https://mickeyweb.info/archives/1552
(正しいことをする。)

“The thing is – ”
https://mickeyweb.info/archives/17132
(要するに、実際には)

“Here’s the thing.”
https://mickeyweb.info/archives/18051
(こういうことなのです。)

 

【関連表現】

“in the zone”
https://mickeyweb.info/archives/12844
(極めて集中して絶好調な状態)

“be into – ”
https://mickeyweb.info/archives/22466
(〜に熱中する、~に夢中になる、~にはまる)

“hooked”
https://mickeyweb.info/archives/24272
(夢中になる、はまる、中毒になる)

“obsessed with – ”
https://mickeyweb.info/archives/26219
(~に取りつかれる、~で頭が一杯になる)

 

 

 

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