プロ翻訳者の単語帳

Professional Interpreter / Translator at Government Agency

Is he (she) around ?

      2020/08/16

彼は(彼女)は近くにいますか?

Is X around ?
(Xさん、お近くにいます?)

2018年に入ってから、職場に間違い電話が
多くかかってくる。

毎日最低1回は「Xさんはいますか」。

どこの国の誰だか、さっぱり分からない。

大規模な組織なので、内線を用いて世界中の
関連組織に電話できるシステムとなっている。

受電ごとに、

I think you’ve got the wrong number.
(電話番号が間違っていると思いますよ。)

と返答する。

どうやら、どこかのXさんの連絡先として、
間違って私の直通番号が記載されたらしい。

とすれば、見方によっては、”the wrong number”
と言えないかもしれない。

電話相手は、教わった番号に正しくかけているのだ。

しかし、私にとっては、間違い電話に他ならない。

I think“(思います)は一切不要と知りつつ、
露骨な応答にならないよう、一応添えておく。

なぜなら、にべもなく断定すると、反発食らうから。

Xさんとは性別が異なるため、こちらの第一声で
別人だと伝わり、「Xさんはいますか」になる。

◆ 連日こうして目立つのが、冒頭の言い回し。

 Is X around ? 

Xさん、近くにいる?」くらいの気軽さ。

日常的には失礼でないものの、丁寧でもない。

皆様きっと、私をXさんの同僚ほどに思っているはず。

受け手としては、煩わしいだけなので、

No !  Wrong number.  Bye ! 

と切口上でガチャ切りしたいのが本音。

それでも、<英語の練習>くらいに考えて、
毎日丁寧に応対している。

毎回違う相手なので、しかたがない。

こんな日々が2ヶ月以上続いている。

見知らぬXさんに、お駄賃を請求したい気分。

でも、題材として面白いフレーズかも、と昨日ふと思いついた。

だから、本稿で取り上げてみたい。

◆ “around” には、副詞 と 前置詞 がある。

<語源>

中期英語「円に沿って

■ 接頭辞 a(~の方へ、~に)
– 名詞につけて、方向を示す副詞・形容詞を作る
– 海洋語に多い用法

  • adrift(流されて)
  • aground(座礁して)
  • afloat(浮かんで)
  • astern(船尾に)

■ 名詞 round(円、輪っか)

“around” は、頻出かつ最重要レベルの英単語。

・ 重要:最上位 <トップ3000語以内>
・ 書き言葉頻出:最上位 <トップ1000語以内>
・ 話し言葉頻出最上位 <トップ1000語以内>

すべて最高ランクである。
(ロングマン、LDOCE6 の表記より)

非常に多義だが、基本的意味は、
– 副詞「近くに」「あちこちに」「巡って」
– 前置詞「~の周囲に」「およそ」

基本的意味は、先の語源から推測可能な範囲である。

副詞と前置詞の境界があいまいなのが “around” の特色。
どちらとも解釈できる用法が珍しくない。

3大学習英英辞典のうち “LDOCE6”(ロングマン)は、
両者を一緒くたに示しているくらい。

だが表題では、間違いなく副詞。
疑問文なので、語順は入れ替わっているものの、
be動詞に続く副詞である。

・ be動詞 “is“(いる)→ 存在を示す
・ 人称代名詞の主格 “he” または “she“(彼・彼女)※
・ 副詞 “around“(近くに)

【参考】
人称代名詞の主格 “she” と “he”
を合体し、s/heと表記することがある。

赤字のスラッシュを抜けば、she になる。
つまり、she/he を略記したもの。

“she” または “he” を指す。

【参照】
英英辞典の基本:
スラッシュ( / )=「または (or) 」
→ “she” or “he”

◆ 表題の場合、

 Is s/he around ? 

比較的堅めのビジネス文書でも目にする。

だが、少しでも誤解を招きそうな時は、
略さず書き出す
方がよい。

“around” が多義である点は既に触れた。
表題の副詞「近くに」の3大学習英英辞典の語釈をご紹介する。

“around”

  • 4 a) in an area near a place or person.
    SYN: round
    b) if someone or something is around,
    they are somewhere in the place where you are.
    (ロングマン、LDOCE6)
  • 7. present in a place; available.
    (オックスフォード、OALD9)
  • in or near a place.
    (ケンブリッジ、CALD4)

    【発音】  əráund

※ SNY = synonym = 同義語

この副詞用法の例文は、次の通り。

  • I don’t want him around.
    (あの男に周囲にいてもらいたくないの。)
    (私の周りをうろちょろしてもらいたくないの。)

<元彼>に対する典型的な扱い。  若い女性からよく聞く酷な言葉。

  • No one was around then.
    (当時、誰も近くにいなかった。)
  • She must be somewhere around.
    (彼女はこの辺りにいるはずです。)
  • Don’t cry when kids are around.
    (子どもたちが近くにいる時は泣くなよ。)}
  • We no longer see cassette tapes around these days.”
    (近頃、カセットテープを見かけることもなくなった。)

【関連表現】  ※ 副詞 “around”

  • stick around(近くにいる、ぶらつく)
  • ask around(聞いて回る)
  • up and around(病気が治り、
    普通に動けるようになって)
  • See you around.(またね。)
  • shop around(物色する)
  • hang around(うろつく)
  • lie around(そこら中に転がる)
  • sit around(のらくらする)
  • stand around(突っ立っている)
  • wait around(ぶらぶらしながら待つ)
  • push around(こき使う、振り回す)


【関連表現】※ 電話応対

“May I ask who is calling ? ”
“Who am I speaking to ? ”
(どちら様でしょうか?)

“Who is this ? ”
“Who is calling ? ”
(誰ですか?)(どなたですか?)

https://mickeyweb.info/archives/2745

 

 

 

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