プロ翻訳者の単語帳

Professional Interpreter / Translator at Government Agency

Is he (she) around ?

      2019/01/11

彼は(彼女)は近くにいますか?

Is X around ?
(Xさん、近くにいます?)

2018年に入ってから、職場に間違い電話が
多くかかってくる。

毎日最低1回は「Xさんはいますか」。
どこの国の誰だか、さっぱり分からない。

大規模な組織なので、内線を用いて世界中の
関連組織に電話できるシステムとなっている。

受電ごとに、

I think you’ve got the wrong number.
(電話番号が間違っていると思いますよ。)

と返答する。

どうやら、どこかのXさんの連絡先として、
間違って私の直通番号が記載されたらしい。

とすれば、見方によっては、”the wrong number”
と言えないかもしれない。

電話相手は、教わった番号に正しくかけている。

しかし、私にとっては、間違い電話に他ならない。
I think“(思います)は不要と知りつつ、
露骨な応答にならないよう、一応添えておく。

Xさんとは性別が異なるため、こちらの第一声で
別人だと伝わり、「Xさんはいますか」になる。

◆ 連日こうして目立つのが、冒頭の言い回し。

” Is X around ? “

「Xさん、近くにいる?」くらいの気軽さ。

日常的には失礼でないものの、丁寧でもない。

皆様きっと、私をXさんの同僚くらいに思っているはず。

受け手としては、煩わしいだけなので、

No !  Wrong number.  Bye ! 

と切口上でガチャ切りしたいのが本音。

それでも、<英語の練習>くらいに考えて、
毎日丁寧に応対している。

毎回違う相手なので、しかたがない。

こんな日々が2ヶ月以上続いている。
見知らぬXさんに、お駄賃を請求したい気分。


でも、題材として面白いフレーズかも、
と昨日ふと思いついた。

だから、本稿で取り上げてみたい。

◆ “around” には、副詞 と 前置詞 がある。

<語源>
中期英語「円に沿って」(around)。

■ 接頭辞a(~の方へ、~に)
– 名詞につけて、方向を示す副詞・形容詞を作る
– 海洋語に多い用法

  • ashore(岸へ)
  • adrift(流されて)
  • aground(座礁して)
  • afloat(浮かんで)
  • astern(船尾に)

■ 名詞 round(円、輪っか)

“around” は、頻出かつ最重要レベルの英単語。

・ 重要:最上位 <トップ3000語以内>
・ 書き言葉頻出:最上位 <トップ1000語以内>
・ 話し言葉頻出最上位 <トップ1000語以内>

すべて最高ランクである。
(ロングマン、LDOCE6 の表記より)

非常に多義だが、基本的意味は、
– 副詞「近くに」「あちこちに」「巡って」
– 前置詞「~の周囲に」「およそ」

基本的意味は、先の語源から推測可能な範囲である。

副詞と前置詞の境界があいまいなのが “around” の特色。
どちらとも解釈できる用法が珍しくない。

3大学習英英辞典のうち “LDOCE6”(ロングマン)は、
両者を一緒くたに示しているくらいである。

だが表題では、間違いなく副詞。
疑問文なので、語順は入れ替わっているものの、
be動詞に続く副詞である。

・ be動詞 “is“(いる)→ 存在を示す
・ 人称代名詞の主格 “he” または “she“(彼・彼女)※
・ 副詞 “around“(近くに)

【参考】
人称代名詞の主格 “she” と “he”
を合体し、s/he と表記することがある。

赤字のスラッシュを抜けば、she になる。
つまり、she/he を略記したもの。

“she or he” を指す。

【参照】
英英辞典の基本:
スラッシュ( / )=「または (or) 」


◆ 表題の場合、

“Is s/he around ? “

比較的堅めのビジネス文書でも目にする。

だが、少しでも誤解を招きそうな時は、
略さず書き出す
方がよい。

“around” が多義である点は既に触れた。
表題の副詞「近くに」の3大学習英英辞典の語釈をご紹介する。

“around”

  • 4 a) in an area near a place or person.
    SYN: round
    b) if someone or something is around,
    they are somewhere in the place where you are.
    (ロングマン、LDOCE6)
  • 7. present in a place; available.
    (オックスフォード、OALD9)
  • in or near a place.
    (ケンブリッジ、CALD4)

    【発音】 əráund※ SNY = 同義語(synonym)

この副詞用法の例文は、次の通り。

I don’t want him around.
(あの男に周囲にいてもらいたくないの。)
(私の周りをうろちょろしてもらいたくないの。)

↑<元彼>に対する典型的な扱い。
若い女性からよく聞く酷な言葉。

No one was around then.
(当時、誰も近くにいなかった。)

She must be somewhere around.
(彼女はこの辺りにいるはずです。)

Don’t cry when kids are around.
(子どもたちが近くにいる時は泣くなよ。)

We no longer see cassette tapes around these days.”
(近頃、カセットテープを見かけることもなくなった。)

【関連表現】※ 副詞 “around”

  • stick around(近くにいる、ぶらつく)
  • ask around(聞いて回る)
  • up and around(病気が治り、
    普通に動けるようになって)
  • See you around.“(またね。)
  • shop around(物色する)
  • hang around(うろつく)
  • lie around(そこら中に転がる)
  • sit around(のらくらする)
  • stand around(突っ立っている)
  • wait around(ぶらぶらしながら待つ)
  • push around(こき使う、振り回す)


【関連表現】※ 電話応対

“May I ask who is calling ? ”
“Who am I speaking to ? ”
(どちら様でしょうか?)

“Who is this ? ”
“Who is calling ? ”
(誰ですか?)(どなたですか?)

https://mickeyweb.info/archives/2745

 

 

 

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