Is he (she) around ?
2020/09/30
彼は(彼女)は近くにいますか?
Is X around ?
(Xさん、お近くにいます?)
2018年に入ってから、職場に間違い電話が多くかかってくる。
毎日最低1回は「Xさんはいますか」。
どこの国の誰だか、さっぱり分からない。
大規模な組織なので、内線を用いて世界中の
関連組織に電話できるシステムとなっている。
受電ごとに、
I think you’ve got the wrong number.
(電話番号が間違っていると思いますよ。)
と返答する。
どうやら、どこかのXさんの連絡先として、
間違って私の直通番号が記載されたらしい。
とすれば、見方によっては、”the wrong number”
と言えないかもしれない。
電話相手は、教わった番号に正しくかけているのだ。
しかし、私にとっては、間違い電話に他ならない。
“I think“(思います)は一切不要と知りつつ、
露骨な応答にならないよう、一応添えておく。
なぜなら、にべもなく断定すると、反発食らうから。
Xさんとは性別が異なるため、こちらの第一声で
別人だと伝わり、「Xさんはいますか」になる。
–
◆ 連日こうして目立つのが、冒頭の言い回し。
Is X around ?
「Xさん、近くにいる?」くらいの気軽さ。
日常的には失礼でないものの、丁寧でもない。
皆様きっと、私をXさんの同僚ほどに思っているはず。
受け手としては、煩わしいだけなので、
No ! Wrong number. Bye !
と切口上でガチャ切りしたいのが本音。
それでも、<英語の練習>くらいに考えて、
毎日丁寧に応対している。
毎回違う相手なので、しかたがない。
こんな日々が2ヶ月以上続いている。
見知らぬXさんに、お駄賃を請求したい気分。
うっとうしい–
でも、題材として面白いフレーズかも、と昨日ふと思いついた。
だから、本稿で取り上げてみたい。
–
◆ “around” には、副詞 と 前置詞 がある。
<語源>
中期英語「円に沿って」
■ 接頭辞 “ a “(~の方へ、~に)
– 名詞につけて、方向を示す副詞・形容詞を作る
– 海洋語に多い用法
- adrift(流されて)
- aground(座礁して)
- afloat(浮かんで)
- astern(船尾に)
■ 名詞 ” round “(円、輪っか)
–
【発音】 əráund
【音節】 a-round (2音節)
“around” は、最頻出かつ最重要レベルの英単語。
・ 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
・ 書き言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
・ 話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
(ロングマン、LDOCE6 の表記より)
すべて最高ランクである。
非常に多義だが、基本的意味は、
– 副詞「近くに」「あちこちに」「巡って」
– 前置詞「~の周囲に」「およそ」
基本的意味は、先の語源から推測可能な範囲である。
副詞と前置詞の境界があいまいなのが “around” の特色。
どちらとも解釈できる用法が珍しくない。
3大学習英英辞典のうち “LDOCE6”(ロングマン)は、
両者を一緒くたに示しているくらい。
だが表題では、間違いなく副詞。
疑問文なので、語順は入れ替わっているものの、
be動詞に続く副詞である。
・ be動詞 ” is “(いる)→ 存在を示す
・ 人称代名詞の主格 ” he ” または ” she “(彼・彼女)
・ 副詞 ” around “(近くに)
【参考】
人称代名詞の主格 “she” と “he”
を合体し、s/he と表記することがある。
赤字のスラッシュを抜けば、she になる。
つまり、she/he を略記したもの。
“she” または “he” を指す。
【参照】
英英辞典の基本:スラッシュ( / )=「または (or) 」
→ “she” or “he”
◆ 表題の場合、
Is s/he around ?
比較的堅めのビジネス文書でも目にする。
だが、少しでも誤解を招きそうな時は、
省略せずに書き出す方がよい。
“around” が多義である点は既に触れた。
表題の副詞「近くに」の3大学習英英辞典の語釈をご紹介する。
“around”
- 4 a) in an area near a place or person.
SYN: round
ーb) if someone or something is around,
they are somewhere in the place where you are.
(ロングマン、LDOCE6)
– - 7. present in a place; available.
(オックスフォード、OALD9)
– - in or near a place.
(ケンブリッジ、CALD4)
–
【発音】 əráund
【音節】 a-round (2音節)
※ SNY = synonym = 同義語
この副詞用法の例文は、次の通り。
- “I don’t want him around.”
(あの男に周囲にいてもらいたくないの。)
(私の周りをうろちょろしてもらいたくないの。)
<元彼>に対する典型的な扱い。 若い女性からよく聞く酷な言葉。
- “No one was around then.“
(当時、誰も近くにいなかった。)
– - “She must be somewhere around.“
(彼女はこの辺りにいるはずです。)
– - “Don’t cry when kids are around.“
(子どもたちが近くにいる時は泣くなよ。)}
– - “We no longer see cassette tapes around these days.”
(近頃、カセットテープを見かけることもなくなった。)
【関連表現】 ※ 副詞 “around”
- stick around(近くにいる、ぶらつく)
- ask around(聞いて回る)
- up and around(病気が治り、
普通に動けるようになって) - “See you around.“(またね。)
- shop around(物色する)
- hang around(うろつく)
- lie around(そこら中に転がる)
- sit around(のらくらする)
- stand around(突っ立っている)
- wait around(ぶらぶらしながら待つ)
- push around(こき使う、振り回す)
ー
【関連表現】 ※ 電話応対
“May I ask who is calling ? ”
“Who am I speaking to ? ”
(どちら様でしょうか?)
“Who is this ? ”
“Who is calling ? ”
(誰ですか?)(どなたですか?)
https://mickeyweb.info/archives/2745