Unaccounted for
2021/07/18
(人や金品が) 行方不明である
まず、今年2018年発表のニュース見出し(headlines)のご紹介。
- 110 girls unaccounted for after attack
(少女110名が襲撃後に行方不明)
– - Dozens still unaccounted for in mudslide
(土砂崩れで行方不明者が今も多数)
– - One Person Still Unaccounted For After Fire
(火事で今なお行方不明者1名)
– - Model still unaccounted for as boyfriend shoots himself
(モデルは今も行方不明、恋人は自殺)
– - Chemical plant worker unaccounted for after explosion
(爆発した化学工場の従業員が行方不明)
– - 1 dead, 1 unaccounted for, 6 injured in construction site fire
(建設現場火事で、死者1名・行方不明者1名・負傷者6名)
すべて有名ニュースサイトから抽出したもの。
一読して意味がつかめただろうか。
–
◆ 見出しは記事内容の要約であり、読者が中身を読むべきか
どうかの判断基準を示す。
したがって、販促などマーケティングのためにも、メディアは
見出し作りに知恵を絞り、一目瞭然の平明な表現に努める。
◇ 「見出し」英語の解説は、ここが秀逸 ↓
英語ニュースの読み方(見出し編)RNN時事英語
6文とも、中級学習者にとっては実力範囲内の難易度。
即座に把握できることが望ましい。
もしひっかかったとすれば、表題のフレーズであろう。
■ “unaccounted for“
事件・事故の「行方不明」報道に頻出
【発音】 ʌnəkaʊntɪd fɔːʳ
–
◆ “unaccounted for” の特徴は、この2語で「形容詞」扱い
されること。
成り立ちとしては、
■ 形容詞 “unaccounted”
–
【発音】 ˌʌnəˈkaʊntɪd
【音節】 un-ac-count-ed (4音節)
■ 前置詞 “for”
【発音】 fər
【音節】 for (1音節)
しかし、3大学習英英辞典を含む次の5つのオンライン
英英辞典では、2語丸ごと「形容詞」 と記す。
形容詞 ” tapped out ” と似通う感じ。
特筆すべきことは、<2語ワンセット>の “unaccounted for”
で、独立した項目が設けられている点。
<項目立て>されたフレーズは、一定以上に重要なもの。
ニュース報道の頻出表現とする前記の裏付けにもなる。
一方、『ランダムハウス英和大辞典 第2版』は、
“unaccounted–for”(説明されていない)
とハイフン入りで項目立てする。
ランダムハウスの示す形容詞は、先の5つとは異なる。
<名詞を修飾する言葉>としての形容詞(adjective)である。
また、カッコ内の和訳(緑字)から明らかだが、意味も異なる。
すなわち、次のOALD9の語釈2に当たる。
本稿の主題は1。
“unaccounted for”
adjective
1. a person or thing that is unaccounted for
cannot be found and people do not know what
has happened to them or it.
2. not explained.
(オックスフォード、OALD9)
※ 下線は引用者
【発音】 ʌnəkaʊntɪd fɔːʳ
2の “not explained”。
これがランダムハウスの “unaccounted-for”(説明されていない)。
ごく普通の形容詞である。
本稿の主題は、1の「行方不明」。
- 形容詞 “missing” と換言できる。
- 無生物でもよい(OALD9 下線部、後述例文)。
- ニュースでは、人間・お金・武器が中心となる。
報道価値の伴う「行方不明」は、大抵3つ(青字)のいずれか。
断トツは人間。
これは世界共通のはず。
◆ OALD9の語釈2 “not explained” =「説明されていない」
から推察できるように、形容詞 “unaccounted” は合成語。
接頭辞 “un”(~でない)と “accounted” を足したもの。
とはいえ、”accounted” という単独の形容詞は存在しない。
先程の5つの英英辞典の他にも、合計5冊の英英辞典と英和辞典
を調べたが、形容詞 “accounted” の記載はなかった。
項目立てはもちろんのこと、形容詞として単独で使われている
形跡は、どこにも見つからなかった。
ところが、である。
“unaccounted” を項目立てする辞書はあった。
当然、”for” 抜きである。(”for” つきは、上掲5つの通り)
“unaccounted”
adjective (usually foll by for)
1. missing
→ as many as 100 people are unaccounted for
2. not included in an account
→ 70 million dollars of unaccounted money
3. not explained adequately
→ unaccounted friendliness
【発音】 ʌnəˈkaʊntɪd
【音節】 un-ac-count-ed (4音節)
“usually foll by for”とは「通常 for が続く」の意。
※ “foll” = followed、following の略
やはり、”unaccounted” の単独使用はめったにないらしい。
形容詞 “accounted” はどこにも項目立てされていないのに、
形容詞 “unaccounted” はある不思議。
何だか分からなくなってきたが、”unaccounted for” が
かなり特徴的な形容詞であることは確かだろう。
重要なのは、2語で形容詞として使われていること。
“account” は、古フランス語「計算する」(acont)由来の
多義な単語で、自動詞・他動詞・名詞がある。形容詞はない。
それでも、”account” の語源を “unaccounted” が継承するのは、
疑いない。
“unaccounted for” は、副詞 “still“(今も)を伴うことが多い。
【参照】 “better still“(できることなら)
■ “still unaccounted for” (今なお行方不明)
緊迫感と焦燥感を強調する言い回しであり、<3語ワンセット>で
多用される。
冒頭の例文2、3、4 が該当する。
◆ 人間の行方不明は、災害関連で年がら年中見聞きする話。
大概、悲しい結末に終わる印象の “unaccounted for”。
以下の例文には、より出番の少ない金品の行方不明を掲げた。
一律「行方不明」と和訳したが、金銭の場合は「使途不明」
とも訳される。
–
–
使途不明金 ?
–
- “Millions of dollars are still unaccounted for.”
(いまだに数百万ドルが行方不明です。)
– - “All my bags are completely unaccounted for.”
(私のすべてのバッグが完全に行方不明だよ。)
– - “A lot of money remains unaccounted for.”
(大金が行方不明のままである。)
– - “The audit found that one handgun was unaccounted for.”
(ピストル一丁が行方不明であることが、審査で明らかになった。)
– - “A million yen in cash is unaccounted for.”
(現金100万円が行方不明です。)
【関連表現】
“accountable”
https://mickeyweb.info/archives/21196
(責任・説明責任を負う)
“by all accounts / from all accounts”
https://mickeyweb.info/archives/25345
(皆の話によれば、誰に聞いても)