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Black out

      2018/12/09

(1)真っ暗になる(2)黒塗りする(3)失神する  

「ブラックアウト」は、日本でも見聞きする機会が増えている。
広辞苑 第七版にも初登場を果たした。2018年1月発売。

 ブラックアウト【blackout】

1. 意識を失うこと。
2. 停電であたりが急に暗くなること。また、
通信の遮断でパソコンの画面などが暗くなること。

(広辞苑 第七版)

これは、名詞の “blackout” 。

1も2も、英語の “blackout” の語釈と完全に重なる。
「ノックアウト」と同じく、和製英語ではない。
びくっと衝撃を覚える語感が、きっと日本人好みなのだろう。
このインパクトの片棒を担ぐのが、副詞 “out”(後述)。

両者とも、2語の句動詞が1語に合体して名詞となったもの。
英語に頻出の派生パターンである。

  • black out“(句自動詞・句他動詞)
    → “blackout“(可算名詞)
  • knock out“(句他動詞)
    → “knockout“(可算名詞)

本稿では、句動詞 “black out” を中心に取り上げる。
名詞 “blackout” は、句動詞の意味合いをそのまま引き継ぐ。
だから、一緒に学んでしまおう。

◆ 次の3つが、句動詞 “black out” の基本的意味。

(1)真っ暗になる

(2)黒塗りする

(3)失神する 

暗い。あまりに暗い。
気が滅入るくらい暗い(No pun intended)。

これぞ “black out” の本質である。

“black” の語源は、古英語「黒」(bæc)。
原義は「焼け焦げた」。

3学習辞典によると、

“black out”

(1)真っ暗になる
to make a place dark by turning off lights,
covering windows, etc.
(オックスフォード、OALD9)

(2)黒塗りする
to put a dark mark over something
so that it cannot be seen.
(ロングマン、LDOCE6)

(3)失神する
to become unconscious suddenly
but for a short period.
(ケンブリッジ、CALD4)

3冊とも平易な解説。
先の図がすぐ思い浮かべば、ちゃんと読み取れている。
いずれも可算名詞 “blackout” に引き継ぐ。

3つの基本的意味に加えて、

  • 報道管制する
  • 発表を控える
  • 記憶を消し去る
  • 停電になる

などの意味もある。
どれも基本3つから連想できる意味合い。

前者2つは、都合の悪い情報を隠蔽または事前抑制する趣旨。
「2. 黒塗りする」もこの用途で使う場合がある。

名詞では a news blackout” または
media blackout” と総称されたりする。

black out

If a film or a piece of writing is blacked out,
it is prevented from being broadcast or
published, usually because it contains information
which is secret or offensive.

コウビルド(COBUILD)/ Collins ※ 下線は引用者

また「停電」については、”blackout” または
power failure“。
計画的な供給停止なら、”power cut“。

戦時中の灯火管制は “wartime blackouts“(複数が通例)。
すべて可算名詞である。

◆ 次に、句動詞 “black out” について掘り下げる。
動詞 “black” に副詞 “out” を伴ったもの。

他動詞と自動詞の両方で使える句動詞なので、
句他動詞と句自動詞を兼ねる。
ということは、”black” に他動詞と自動詞
があるということ。

– 他動詞「黒くする」「名誉を傷つける」
「黒あざをつける」
– 自動詞「黒くなる」「真っ黒になる」
「気を失う」

上述の3つの基本的意味に当てはめると、

“black out”

(1)真っ暗になる → 句他動詞
(2)黒塗りする → 句他動詞
(3)失神する → 句自動詞

実際の使用時は、他動詞か自動詞かを
意識することは少ない。

◆ 形容詞や名詞と異なり、動詞 “black” の
重要度と頻出度はぐっと下がる。

  • 形容詞 “black”
    (黒い、真っ暗の、黒人の)
    頻出かつ最重要レベルの英単語。
    重要:最上位 <トップ3000語以内>
    書き言葉頻出:最上位 <トップ1000語以内>
    話し言葉頻出最上位 <トップ1000語以内>
  • 名詞 “black”
    (黒色、喪服、黒人)※ 可算・不可算兼用
    重要度:最上位 <トップ3000語以内>
    書き言葉の頻出度:<1001~2000語以内>
    話し言葉の頻出度:<1001~2000語以内>
  • 動詞 “black”
    (黒くする、黒くなる)※ 自他動詞
    重要度:ランク外 
    書き言葉の頻出度:ランク外
    話し言葉の頻出度:ランク外

    (ロングマン、LDOCE6 の表記より)

このように、品詞間に歴然とした差がある。

英単語として、最頻出かつ最重要な形容詞
“black” に比べ、動詞はすべてランク外。
日常的には、表題 “black out” 以外の動詞
“black” と出会うことはめったにない。

つまり、”black out” を除けば、マイナー用法
なのが動詞 “black”。

◆ 副詞 “out” は非常に多義だが、
“black out” では「消える」または
完全に、徹底的に」。

どちらの解釈もできる模様なので、
両方ご紹介する。

(1)真っ暗になる
真っ暗に消える完全に真っ暗

(2)黒塗りする
黒く塗り消す完全に黒くする

(3)失神する
意識が消える完全に気を失う

既出の “knock out” も両面で解釈できるだろう。
「消える」にせよ、「完全に」にせよ、語感ともども
威勢がいい。

前者「消える」の副詞用法には、以下の句動詞がある。
いずれも「なくなる」様子が目に浮かぶ。

  • put out(明かり・タバコを消す)
  • run out(尽きる)
  • blow out(吹き消す)
  • die out(死に絶える)
  • weed out(取り除く)
  • sold out(売り切れる)
  • wash out(洗い落とす)
  • gave out(尽きた)
  • turn out(消す)
  • phase out(段階的になくす)
  • bleep out(放送禁止用語をピーと消す)
  • fade out(フェードアウトする)

後者「完全に」の副詞 “out” の例は、

  • clean out(徹底して掃除する)
  • tired out(疲れきった)
  • burn out(燃え尽きる)
  • iron out(問題を解決する)※ 小規模な問題
  • hash out(徹底的に議論する)
  • spell out(詳しく説明する)
  • map out(綿密に計画を立てる)
  • talk things out(徹底的に話し合う)
  • smooth out(問題を解決する)

◆「ブラック」も「アウト」も日本社会に久しく
定着済みのカタカナ。
「ブラックアウト」は、今後ますます身近になると
予想できるので、本家の英語を学んでおくと心強い。

“I thought I was about to black out then.”
(あの時、気を失うかと思ったよ。)

“She had blacked out as she fell down.”
(転倒時に彼女は失神した。)

“We had to black out several lines for privacy
reasons.”
(プライバシー上の理由から、数行を塗りつぶさな
ければなりませんでした。)

“They blacked out English language during the war.”
(戦時中は英語は黒塗りにされました。)

“A power failure blacked out this town yesterday.”
(昨日、この町は停電だった。)

“I want to black out the screen without turning
the monitor off. ”
(モニターの電源を入れたまま、スクリーンを
暗くしたいのです。)

 

【類似表現】
“Dim the lights.”
https://mickeyweb.info/archives/24542
(照明を落とす。照明を落として。)

 

 

 

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