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Revere

      2020/12/22

尊敬する、  敬愛する

人物紹介記事で目にする褒め言葉の動詞。

【発音】  rivíər
【音節】  re-vere  (2音節)

口頭よりは文面中心。

主要な英和辞書には「あがめる」とある。

次の「大辞典」3冊とも、「あがめる」を筆頭に挙げる。

・ 新英和大辞典 第6版
・ ランダムハウス英和大辞典 第2版
・ 新編 英和活用大辞典

また「崇敬する」をトップに置くのが、
・ ジーニアス英和大辞典

英語の専門家なら、誰もがご存知の4冊。

押しも押されもせぬ「大辞典」である。

「あがめる」は、漢字で「崇める」。

表外音訓(ひょうがいおんくん)である。

常用漢字表にない読み方を指し、常用外(じょうようがい)とも称す。

  あがめる【崇める】
1.  非常に尊いものとして扱う。
2.  寵愛する。

  すうけい【崇敬】
あがめうやまうこと。

  ちょうあい【寵愛】
特別に愛すること。

  けいあい【敬愛】
うやまい、親しみの心を持つこと。

(広辞苑 第七版)


◆  日本語で「あがめる」「崇敬する」と聞くと、
ふと、こんなイメージが浮かぶ。

 

崇め奉る

「あがめたてまつる」と読む。

「アイドルをあがめる」感じか。

一般人の日常にそぐわない情景かもしれない。

少なくとも「あがめる」「崇敬する」は、
日本語の常用語とは言い難い。

もし、”revere” の使用場面がこんな具合であれば、
恐れ多くて常用などできないだろう。

既記のように、実際には人物紹介で普通に目につく。
とすれば、英和辞典や上図と使い方が異なると推測できる。

ここで考察してみたい。

◆  “revere” は他動詞のみ。 自動詞はない。

【発音】  rivíər
【音節】  re-vere  (2音節)

語源は、ラテン語「恐れる」「畏敬する」(reverērī)。
語源の意味をほぼ引き継ぎ、これ以外に意味はない。

したがって、辞書の語義はことごとくシンプル。
英英は1文、英和は2~3語で完結する。

単義に近いため、簡潔にならざるえないのである。

今回調べた英英9点すべての語釈は1文完結
(同義語と注意点の表示は除く)。

3大学習英英辞典(EFL辞典)も、この通り。

“revere”

■  formal
to respect and admire someone or something
very much.
(LDOCE6、ロングマン)

■  formal
to feel great respect or admiration for something / 
somebody.
(OALD9、オックスフォード)

■  formal
to very much respect and admire someone or something.
(CALD4、ケンブリッジ)

【発音】  rivíər
【音節】  re-vere  (2音節)

※  下線は引用者

皆一様に “formal”(格式張った) とある。

また、各辞書のキーワード(下線部)も同然で、
誰かまたは何かを大変 respect >として一致する。

ここでの “respect” は、カタカナ「リスペクト」と
ちょうど重なる。

  リスペクト【respect】

尊敬。敬意。敬意をはらうこと。

(広辞苑 第七版)

この内容が日常用法の “revere” である。
「あがめる」よりも、よほど的確である。

しかるに、上掲「大辞典」4冊の語釈は、

“revere”

■  (強い尊敬・愛情・敬意の念で)
崇(あが)める、崇拝する、尊敬する
(新英和大辞典 第6版)

■  (畏怖の念で)あがめる、畏敬(崇敬)する
(ランダムハウス英和大辞典 第2版)

■  あがめる、尊ぶ
(新編 英和活用大辞典)

■  ~を(…のことで)崇敬する、あがめる
(ジーニアス英和大辞典)

【発音】  rivíər
【音節】  re-vere  (2音節)

「あがめる」が定訳なのが、はっきりと分かる。

しかし日常的には、先の「リスペクト」の語釈
の方がよく合う。

◆  定訳「あがめる」に、私は物言いたい。

語源には忠実だが、厳かすぎて、場違いに
なりがちな和訳である。

特に、近くの人物を対象とする場合はそうである。

一方、<神様>や<物故者>のような手に届かない存在、
または<山>や<海>のような無生物であれば、
「あがめる」「崇敬」「崇拝」でも、さほど大仰に聞こえない。

そもそも「あがめる」などと言われたら、
褒められた側は、きっと困る。

あたかも <教祖> <導師> <guru> 扱いされるかのようで、
真っ当な社会人なら、気恥ずかしいどころか、気持ち悪いだろう。

He is revered by his friends.” の和訳として、
「彼は友人からあがめられています。」
なんて紹介された時には、からかわれている気分。

いい迷惑である。

だから「あがめる」は都合悪い。

日本語としては非日常すぎる。

これは、devastated” =「打ちひしがれた」
と共通する問題であり、定訳をそのまま使用すると、
不自然な印象
となる。

「使いづらい定訳」として弊サイトで詳説したものには、

などがある。

◆  無論、英和辞典が間違っているのではない。

語源の観点からは正しいのだが、もう一歩工夫が
必要なだけ。

このうち唯一『新英和大辞典 第6版』が示した通り、
「尊敬する」の記載が必要だったと私は考える。

「あがめる」「崇敬する」よりは、
尊敬する」「敬愛する」が自然。

さらに、「褒める」「評価する」などの、
身近な褒め言葉を用いないと、日常から浮いてしまう。

大げさな称賛は、往々にして逆作用をもたらす。

すなわち「褒め殺し」。

  ほめごろし【褒殺】

〚名〛
いやみになるほどほめること。極端にほめることで、
かえって相手をひやかしたりけなしたりすること。

(精選版 日本国語大辞典)

純な尊重や好意が、皮肉っぽく和訳される
のは、絶対避けたいことである。

“revere” の和訳時に気をつけるべき点なのだが、
英和辞典のみ参考にすると、気づきにくい。

なぜなら、これまで見てきたように、どの辞書も
「あがめる」とあるから。

「定訳」の落とし穴について注意喚起するべく、
ここで取り上げてみた。

  • “Her parents are revered by her.”
    (彼女の両親は彼女に敬愛されている。)
    (彼女は両親を敬愛している。)
  • “He is revered as a great national hero.”
    (彼は偉大なる国民的英雄として尊敬されている。)
    (彼は偉大なる国民的英雄として崇めら得ている。)
    ※  この内容ならば「あがめる」でも可
  • “His final resting place is revered by students.”
    (彼のお墓は学生に崇拝されている。)
  • “She was revered for her huge success.”
    (彼女は大成功したことで、尊敬されていた。)
  • “His can-do spirit was revered by all of us.”
    (彼のなせばなる精神は、私たち全員から
    敬われていた。)


◆  例文にも該当するが、”revere” は原則
受け身 (受動態)で使う。

LDOCE6 と OALD9 は “usually passive” と明記する。

だから、過去分詞形 “revered” がかなり目立つ。

能動態でも使えるものの、あまり一般的ではない。

  • “He reveres his parents.”
    (彼は両親を敬愛する)
  • “We revered her for her success.”
    (成功した彼女を尊敬した。)
  • “I revered his can-do attitude.”
    (彼の意欲を尊敬した。)

 

【同義語】

◇  「あがめる」意味合いでは、「他動詞」中心
→  表題 “revere” には、自動詞はない

ほとんど盲目的な称賛は、

  • idolize   ※  他動詞・自動詞
    偶像視する
    【発音】  áidəlàiz
    【音節】  i-dol-ize  (3音節)

  • worship“   ※  他動詞・自動詞
    集団的に崇拝する
    【発音】  wə́rʃip
    【音節】  wor-ship  (2音節)

  • adore“   ※  他動詞・自動詞
    敬愛する、 大好きである
    【発音】  ədɔ́r
    【音節】  a-dore  (2音節)

 

【関連表現】

reverence

–  名詞「尊敬」「崇敬」「敬愛」、
牧師・僧侶の敬称

–  他動詞「崇敬する」

【発音】  révərəns
【音節】  rev-er-ence  (3音節)

 

 

 

 

 

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