I'll let you go.
2024/08/25
( 電話中 ) そろそろ切ります。
電話を切る意思を示す常套句。
切るタイミングをつかみにくい時は、
この決まり文句が便利。
- 主格 ” I ” ( 私は )
- 助動詞 ” will ” ( します )
- 他動詞 ” let ” ( させます )
- 目的格 ” you ” ( あなたを )
- 自動詞 ” go ” ( 行く )
だから、 直訳は 「 私はあなたを行かせます 」。
転じて、「 あなたを 解放する 」「 あなたを 手放す 」。
Let go !
–
◆ 電話中であれば、 話し終えることで相手を解放する。
多くの場合、 副詞 ” now “( 今すぐ ) を加えて、
–
I will let you go now.
–
( そろそろ電話を切りますね。)
–
常套句ではあるが、 電話でも対面でも、
目上の相手には使わない 方が無難だろう。
本来の意味が、 相手を 「 解放する 」「 手放す 」なので、
目下に言われて不快を覚える人がいても不思議ではない。
電話で使う場合が圧倒的に多いが、 対面でも使える。
対面なら 「 そろそろ終わりにしましょう 」 くらい。
–
◆ ” this time ” ( 今回は ) を添えると、 概ねこんな具合。
–
I will let you go this time.( 今回は見逃してやる。)
–
直訳は 「 今回はあなたを解放する 」「 今回はあなたを手放す 」。
すなわち、 とがめるはずのことを、 大目に見て「 見逃す 」。
見て見ぬふりをするから、 「 目溢し 」である。
–
–
めこぼし 【 目溢し 】1. とがめるべきことを故意にとがめないこと。
見のがすこと。( 広辞苑 第七版 )
※ 語釈の該当項のみ引用
◆ 労使紛争や契約更改の場面で、 上役が口にしたら、 解雇宣言。
–
I will let you go.( あなたを 解雇する。) ( 契約解除 する。)
–
「 あなたを手放す 」 で 「 クビ 」。
「 ちょん切る 」 結果、 免職に。
同じ 「 解放 」 でも、 深刻な ” let go”。
- “He had been let go.”
( 彼は解雇されていた。)
– - “I was told that I was being let go.”
( 解雇されると言われた。)
– - ” I was let go immediately.”
( 私は直ちに解雇された。)
– - ” She was let go in a civil manner.”
- ” She was let go civilly.”
( 彼女は丁重に解雇された。)
解雇ではなく、 「 釈放する 」 の意味でも通用するものの、
実社会で見聞きする大抵の使い道は苛酷 = 「 クビ 」。
◆ ” let oneself go ” は、 ” oneself ” ( 〇〇自身 ) を 「 手放す 」
または 「 クビ 」。
–
She let herself go.
–
「 自身をクビにする 」 とは、 どういうことか。
英和辞書 を調べると、 「 自由 [ 好きなよう ] に振る舞う 」
「 羽目を外す 」 「 ( 抑制されている ) 自分を解放する 」
とも記されている。
明るく健全で幸せな改善につながる流れの ” let oneself go “。
これらも正しい。
ところが、 大方は失望してしまう内容に使われているのが現実。
◆ 実際のところ、 これまた不幸で不健全な文脈がやたらと目立つ用途。
「 自分自身をクビにする 」 様子で、 「 自分自身を放任 」 = 自己放任。
自己を見捨てる ” self-neglect “( セルフネグレクト = 自己放任 ) に近く、
病的と考えられる。
- ” Eddie seems to have let himself go.”
( エディは自暴自棄になってしまったみたい。)
容姿の激しい衰えは、 自らを完全放棄した印象。
単に外見を気にしなくなったわけでなく、 心の闇を看取する。
見てくれよりも、 ずっと深い心身の不調を示唆する。
周囲に分からない事情とはいえ、 傍目に明らかな異変。
なにかおかしい。
–
すべてを諦めたような、だらしない見た目と虚ろな目つき。
見る影もない衝撃的な面変わりに驚き、 言葉が出ない。
憧れのルックスだった頃と近影との落差に唖然、 時の残酷さを知る。
華やかにきらきら光り輝いていた、 かつての推しが一体どうした。
【参照】 ” test of time ”
–
こうした 「 劣化 」 系の話題は、 英語圏でも注目を集める。
余計なお世話だが、 大概の人間が持つのが下卑た好奇心。
野次馬根性と怖いもの見たさに抗えず、 ついつい見入る。
–
ご本人が幸せならよいけれども、 そうは見えない感じ。
どこか捨て鉢で、 やさぐれていて、 見ていてきつい。
子ども時代、 親・保護者に愛されなかったのだろうか。
よからぬ輩に取り囲まれて、 なにかされたのだろうか。
一例として、 こちらの動画をご覧いただければと思う。
【参考】 ※ YouTube
- 15 Celebrities Who Seriously Let Themselves Go
( 著しく劣化したセレブ15人 )
https://www.youtube.com/watch?v=pBtIq7zqsCk
2022年1月7日付 ※ 全長 21分06秒
好き好んで、 投げやりになる人はいない。
もっとご自分を大切にして、 と叫びたくなる。
それができないから問題。
” beyond recognition ” でも、 似たように痛々しい 「 劣化 」 動画
を複数ご案内している。
ー
◆ ” let oneself go” の ” oneself ” とは、「 〇〇自身を 」。
【発音】 wʌnsélf
【音節】 one-self (2音節)
–
ここでの “ oneself ” は、 再帰用法の代名詞 ( pronoun )。
” one ” には、 通常は人称代名詞 ( personal pronoun )の
目的格 ( objective )を入れる。
すなわち、 次のいずれか。
- my 私を
- your あなたを
- him 彼を
- her 彼女を
- them 彼らを
- our 我々を
- it それを
” one ” は、 主格・目的格・所有格の代表形 として、 辞書などで起用される。
具体的には、 不定代名詞( an indefinite pronoun ) の ” one ” で、
「 誰々 」。
便宜上、 上記では 〇〇 と表記した。
再帰代名詞( a reflexive pronoun )の代表形 が ” oneself “。
いわば、 ワイルドカード。
–
【関連表現】
- “ Let it go. ”
https://mickeyweb.info/archives/3216
( 放っておく。 手放す。 諦める。)
– - “ Let’s call it a day. ”
https://mickeyweb.info/archives/1799
( 今日はここまでにしましょう。)
– - ” I’ve got to run. ”
https://mickeyweb.info/archives/1966
( もう行かないと。)
◆ 以下、 ” Self-inflicted ” より再掲。
–
自分だって、 いつかそうなるかもしれないのだ。
他人の不幸を軽々しく口にしない方がよいと思う。
◆ こんな格言もある。
趣意は同じ。
–
- 「 親の因果が子に報ゆ 」
https://kotobank.jp/word/%E8%A6%AA%E3%81%AE%E5%9B%A0%E6%9E%9C%E3%81%8C%E5%AD%90%E3%81%AB%E5%A0%B1%E3%82%86-454981
– - “ The sins of the fathers are visited upon the children. ”
Merriam-Webster.com Dictionary, Merriam-Webster,
https://www.merriam-webster.com/dictionary/the%20sins%20of%20the%20fathers%20are%20visited%20upon%20the%20children.
Accessed 4 Mar. 2024.
▲▲ 再掲終わり ▲▲