Booze
2024/09/19
アルコール飲料、 大酒を飲む
洋画やドラマでも見聞きする名詞・動詞。
字面から意味を推測することは不可能に近いので、
事前に学んでおく必要がある。
そのため、こちらで取り上げてみる。
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◆ 手始めに、 実物をご覧に入れたい。
ともに、1992年日米公開のアメリカ映画。
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ふにゃ~
後者の ” boozy ” は、 名詞 ” booze ” を形容詞化したもの。
「 大酒飲みの 」 「 酒浸りの 」 の意。
【発音】 búːzi
【音節】 booz-y (2音節)
” boozy-woozy ” ( 酔っぱらった ) ともいう。
名詞に接尾辞 ( suffix ) ” y ” をつけて形容詞に。
- “I got boozy and puked on my daughter.”
- “I got boozy and barfed on my daughter.”
( 酔っぱらって、娘に ゲロ してしまった。)
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【発音】 pjúːk (1音節)
【発音】 bɑ́ːrf (1音節)
「 酔った 」 「 酔っぱらった 」 は、 状態なので形容詞 ( adjective )。
” boozy ” は、 俗語に近いマイナーな形容詞。
” booze ” そのものが、 後述の通り、 紛う方なく ” informal ” な英単語。
◆ はるかに重要かつ頻出な同義の形容詞は、 ” drunk ” と ” intoxicated “。
【発音】 drʌ́ŋk
【音節】 drunk (1音節)
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【発音】 intɑ́ksikèitəd
【音節】 in-tox-i-cat-ed (5音節)
” intoxication ” は不可算名詞で、 「 酩酊 」 及び病理上の 「 中毒 」 の意。
【発音】 intɑ́ksikèiʃən
【音節】 in-tox-i-ca-tion (5音節)
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※ 2024年7月31日 アクセス
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上記の ” drunkenness ” も不可算名詞だが、 機械・螺子・計測
の誤差の一種 「 よろめき 」 「 酔歩 」 で使われる方が一般的な印象。
【発音】 ˈdrʌŋ.kən.nəs
【音節】 drunk-en-ness (3音節)
警察や法廷における名詞 「 酩酊 」 は、 ” intoxication ” が優勢。
【発音】 intɑ́ksikèiʃən
【音節】 in-tox-i-ca-tion (5音節)
じっくり観察していただければと思う。
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◆ 後者の ” flaccid clown ” は、
1990年代の字幕版と吹き替え版では、
「 ふにゃちん 」 と和訳された。
無論、 男性器 を示す。
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◇ ” flaccid ” = たるんだ、 ふにゃふにゃの ( 形容詞 )
【発音】 flǽksid
【音節】 flac-cid (2音節)
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◇ ” clown ” = ピエロ、 役立たず ( 名詞 )
【発音】 klaun
【音節】 clown (1音節)
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数年後、 地上波で放送された際も 「 ふにゃちん 」 のまま。
日本テレビ 「 金曜ロードショー 」 の吹き替えが忘れられない。
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この ふにゃちんが!
ふにゃ~! ふにゃ~~!!
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「 あのメリル・ストリープ ( 1949- ) の罵倒が、 すごすぎ … 」
当時、 ずいぶんと話題を呼んだもんだ。
1990年代の日テレの吹き替えは傑作揃い。
ふにゃちん呼ばわりされた夫役は、 ブルース・ウィリス ( 1955- )。
米国でも、驚きをもって迎えられた名シーンである。
この映画の見所のひとつ。
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◆ ” booze ” の発音と語感は特徴的。
破裂音の子音 ” b ” から始まる( 頭子音 ) 。
【発音】 búːz (1音節)
[b] は、 英日共通 の 破裂音 ( はれつおん )。
- 英語の 破裂音 plosive は 6つ
[p][t][k][b][d][g]
具体的には 「 有声両唇破裂音 」。
” bombshell ” で詳しく触れた。
◆ 以下、 ” no need ” より再掲。
口周りの運動が大振りなため、 舌・唇・歯・呼吸間の相互作用が
分かりやすい、 英語ネイティブの おすすめ YouTuber をご紹介。
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この度合いの激動は、 日本語を話す際には、 見られないと言ってよい。日英の音 ・ 言語習慣 ・ 音節構造 ・ ジェスチャー の大差が垣間見れる。–
ゴムのように伸縮自在の口唇から放たれる、 抑揚満載の口調がたまらん。
とりわけ、 有声 [b] [m]、 無声 [p] の子音で始まる単語を発音する口元。
3つとも 「 両唇音 」( bilabial ) で、 上唇と下唇が強めに接触。
両唇を勢いよく口中に巻き込み、 直後にぷっと一息で突き出す。
これほど分かりやすい動きを示す英語話者を私は見たことない。
口唇と舌の激しい動作にしびれ、 毎度うっとり見とれてしまう。
音声を消して、 口周りを凝視すると、 日本語にはない動きを見て取れる。
外国人の仰々しい表情とジェスチャー( 身振り )に見慣れる上でも役立つ。
頭の回転が速く、 語りは猛スピードであるが、 中級者 であればいける。
表現力も豊かゆえ、 彼女専用の「 単語帳 」 を2022年より作成している。
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見本にする英語の先生を選ぶ際は、 ベロ出しの有無が目のつけ所のひとつ。
AI相手に英会話の練習をし続ける大なる欠点は、 表情と口元が見えにくいこと。
平板で均一なリズムの日本語が母語の私たちの口周りは、 こんな風に動かない。
普段は 舌運び を意識しないからこそ、 物珍しい眺めでびっくりするはず。
上掲 ” no need ” に加えて、 ” integrity ” 、 ” smooth out “、 ” hiatus ”
にて、 学習上の着目点を事細かに記した ( 図入り、 写真入り )。
→ Joce の 頻出表現 ( 動画入り )
👄 唇をよく見て 🫦
◆ 「 ブー イング 」 「 ブー ビー賞 」 「 ぶー たれる 」
などを想起し、 ネガティブに響き渡る感。
” booze ” には 「 お酒 」 関連の意味しかないので、
まんざら外れてない。
今回調べた英英辞典6点すべてに ” informal ” 表示がある。
すなわち、「 非正式 」「 くだけた言い回し 」。
俗語・スラングの雰囲気を帯びる感触だが、そうではない。
” informal ” でも、 単語自体に
下品さはなく、 使用上失礼はない。
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ただし、「 アルコール飲料 」と「 飲酒 」を指すため、
使用場面は限定される。
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ブ ー ズ
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◆ 語源は諸説あるが、 有力説は中世オランダ語
「 飲み過ぎる 」( būsen )。
名詞と自動詞があり、 徹頭徹尾 「 飲酒 」 に関連する。
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” booze “■ noun [ singular, uncountable ]
informal
alcoholic drink■ verb [intransitive]
informal
to drink alcohol, especially a lot of it.
( ロングマン、LDOCE6)【発音】 búːz (1音節 )
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◆ 英英6点とも酷似する語釈ばかりで、 個性は乏しい。
– 不可算名詞 「 アルコール飲料 」
– 自動詞 「 大酒を飲む 」
中身はこれだけ。
唯一の違いは 「 単数名詞 」( singular )の表記の有無。
「 単数名詞 」 とは、 単数形で使われるのが一般的な名詞。
上記のうち、 ” LDOCE6 ” のみに記載があった。
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” booze ” =「 酒 」
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くらいにざっくり覚えておこう。
なにかと印象的な単語なので、 さほど難なく銘記できるだろう。
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< 不可算名詞 >
- ”Bring some booze for the party.”
(パーティーに、お酒持ってきて。)
ー - “He has been on the booze for a week.”
(彼は一週間も酒浸りです。)
ー - “Take it easy on the booze.”
(アルコールは少々控えて。)
ー - “Just stay off the booze.”
(とにかくお酒を辞めなさい。)
ー - “I smelled the booze on her.”
(彼女からアルコールの臭いがした。)
ー - “They served desserts spiked with booze.”
(彼らはアルコール入りのデザートを出したの。)
【頻出のペア表現】
- booze and gambling ( 賭け事 )
- booze and cigarettes ( たばこ )
- booze and drugs ( 薬物 )
- booze and chips ( おつまみ )
- booze and self-pity ( 自己憐憫 )
<自動詞>
- “She went out boozing.”
(彼は飲みに出かけた。)
ー - “I quit boozing altogether.”
(完全に断酒した。)
ー - “They had been boozing all afternoon.”
(彼らは午後ずっと飲酒していた。)
ー - “I’d rather booze myself to sleep.”
(それよりは飲酒して眠りたい。)
ー - “I almost boozed myself to death.”
(アルコールで死にかけた。)
ー
【関連表現】
- booze-up
( どんちゃん騒ぎ ) ※ 可算名詞
– - boozer
( 大酒飲み )( 飲み屋 ) ※ 可算名詞
◇ ” alcohol ” = 「 アルコール 」 の英語発音は、
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アルコ ホー
アルカ ホー
などと聞こえる。
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al-co-hol (3音節)
–
3音節で、最初の第1音節に強勢( アクセント )を置く。
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◆ ” alcoholism ” = 「 アルコール依存症 」の英語発音は、
al-co-hol-ism (4音節)
4音節で、 こちらも初っ端の第1音節に強勢 ( アクセント )。
–
アルコ ホー リズム
アルカ ホー リズム
などと聞こえる。
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◆ 「 音節 」( syllable、シラブル ) とは、 発音の最小単位。
平板で、 均一なリズムが、 日本語の持ち味
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アクセントも音節も異なるカタカナ発音では、 どちらも
英語母語話者( ネイティブ )には、 ほぼほぼ通じない語。
日本語の場合、 原則として 「 仮名一字が1音節 」。
日頃、音節を意識する機会はなきに等しい。
「 音節 」 の日英比較は、 ” integrity ” で詳らかにした。
( 図入り、 動画入り )