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Miscommunicate / Miscommunication

      2021/04/05

動詞

  • miscommunicate
    ( 自動詞・他動詞 )

    誤って伝える、不十分に伝える

    【発音】  mɪskəˈmjuːnɪkeɪt
    【音節】  mis-com-mu-ni-cate  (5音節)

名詞

  • miscommunication
    ( 可算名詞・不可算名詞 )

    誤った伝達、
    不十分な伝達、
    伝達ミス、  連絡ミス


    【発音】  mìskə̀mjuːnikéiʃən
    【音節】  mis-com-mu-ni-ca-tion  (6音節)


◆  職場でトラブル原因を問われた時に、
よく出てくる言い開きがこちら。

There must have been
some miscommunication.

(なんらかの伝達ミスが生じたに違いありません。)

要は、コミュニケーションがうまくいかなかったということ。

助動詞と現在完了形の “must have been” (~だったに違いない)
で、懸命に弁解する様子がうかがえる。

逆に、相手に責任をかぶせたい場合は、こんな感じ。

You seem to have a miscommunication
with Mr. X.

( Xさんとの間に、伝達ミスが生じているようですね。)
( Xさんとの間に、伝達ミスが生じている模様ですね。)

自動詞 “seem” に、他動詞 “have”。

こっちの “have” は、助動詞ではないため、完了形にならない。

使い手には応分の自信があり、自身の主観的な憶測に基づき、
きつめに指摘している。

◆  近年、カタカナでも耳にするようになってきた
名詞 「 ミスコミュニケーション 」。

その動詞は 「 ミスコミュニケート 」。

定訳は存在しないに等しい。

意味の推測は難しくないだろう。それぞれ、

  •  接頭辞  “mis” + 名詞  “communication
  •  接頭辞  “mis” + 動詞  “communicate


◆  接頭辞  ” mis- ” は、「 誤って 」「 悪い 」。

“mis-“

bad or wrong; badly or wrongly.

(オックスフォード、OALD9)

これらは日本でも普及している。

  •  「ミスプリント」 ( misprint )
  •  「ミスキャスト」 ( miscast )

さらに「ミスする」は、「失敗すること」
の意で常用されている。

実のところ、「ミスする」はカタカナ語に近く、
英語では “miss” よりも “mistake” が適切(※)。

両方とも、名詞・他動詞・自動詞がある。

◇  詳細は、” miss out “( 逃す、~ し損なう )

妥当性は微妙だが、「ミス」 = 「誤り」
の意味合いで根づいているのは確か。

そのため、「ミスコミュニケーション」と
「ミスコミュニケート」の意味は比較的容易に
推し量ることができる。

◆  ” communicate ” には、他動詞と自動詞がある。

【発音】  kəmjúːnikèit
【音節】  com-mu-ni-cate  (4音節)

語源は、ラテン語「伝える」(commūnicātus)。
基本的意味は語源通りで、日常使用の中心。

その名詞 “communication” はもっとなじみ深い。

同じく、語源はラテン語「伝達」(commūnicātiō)。

【発音】  kəmjùːnikéiʃən
【音節】  com-mu-ni-ca-tion  (5音節)

可算と不可算を兼ねる。

  接頭辞  ” mis ” を加えた動詞

miscommunicate

誤って伝える 」 「 不十分に伝える

“communicate” 同様、他動詞 自動詞 がある。

【発音】  mɪskəˈmjuːnɪkeɪt
【音節】  mis-com-mu-ni-cate  (5音節)



  名詞形

miscommunication

誤った伝達 」 「 不十分な伝達

“communication” 同様、可算 不可算 名詞がある。

【発音】  mìskə̀mjuːnikéiʃən
【音節】  mis-com-mu-ni-ca-tion  (6音節)

伝達ミス

 

◆  不思議なことだが、動詞  “miscommunicate” は、
3学習英英辞典EFL辞典)に一切載っていない。

  • LDOCE6ロングマン)
  • OALD9 (オックスフォード)    ※  新版 OALD10 を後掲
  • CALD4 (ケンブリッジ)

いずれにも、項目立てされていないのだ。

無論、3辞典とも最新版 ( 2017年12月11日初稿現在 )。

おまけに、ワープロソフトのスペルチェックにひっかかる。

とすれば、”miscommunicate” は単語として
認められていないのだろうか。

申し開きとして重宝される以上、れっきとした
単語であるはず。

主要な英和辞典を調べてみた。

これらには “miscommunicate ” 及び “miscommunication”
の項目が設けられている。

唯一、最後の『 研究社 新英和大辞典 第6版 』には、
名詞 “miscommunication” のみ、掲載されている。

miscommunicate

  •  【自】 【他】  (~を)誤って[不正に]伝達[連絡]する

    [派] 【名】   miscommunication
    (ジーニアス英和大辞典)


  •  【自】 【他】  誤って伝達する、  間違った伝達をする
    (リーダーズプラス)

    miscommunication

    【名】  誤った伝達[連絡]、  伝達[連絡]不良
    (リーダーズ英和辞典 第3版)

  •   【自】 【他】  誤って[不十分に、あいまいに]伝達する

    miscommunication

    【名】  伝達不十分、誤った伝達
    (ランダムハウス英和大辞典 第2版)

 

  • 【自】  誤って伝達をする
    【他】 〔~を〕誤って伝達する

    miscommunication

    【名】  誤った [間違った] 伝達、 誤解、 聞き違い

    ( 英辞郎 on the WEB PRO)
    ※  2021年3月1日 アクセス 

  •  miscommunication
    【名】  誤った伝達[連絡], 伝達[連絡]不備[不十分].

    〔1964〕
    (研究社 新英和大辞典 第6版)

【発音】  mɪskəˈmjuːnɪkeɪt
【音節】  mis-com-mu-ni-cate  (5音節)

【発音】  mìskə̀mjuːnikéiʃən
【音節】  mis-com-mu-ni-ca-tion  (6音節)


◆  有名どころのオンライン英英辞典でも、
動詞 “miscommunicate” を見つけるのは大変。

辛うじて、見つけたものが、下記2つ。

前者に、動詞 “miscommunicate” の起源は「20世紀初頭」とある。

単語の初出年としては、比較的最近と言える。

以下の有力語源サイトの見出しは、動詞 “miscommunicate”
ではなく、名詞 “miscommunication” 。

名詞の初出は、「1959年」とある。

動詞より遅い。

https://www.etymonline.com/search?q=miscommunication
https://www.etymonline.com/search?q=miscommunicate


◆  別サイトでは、質問スレッドが立てられていた。

2003年付だから、随分以前である。

 Q)  Is “miscommunicate” a valid word ? 

A)  The editors of the Oxford English Dictionary
decided last year to add “miscommunicate”
(as well as “miscommunication”) to the dictionary.

http://answers.google.com/answers

【 参考和訳 】

 質問)”miscommunicate” は単語として正当か。 

回答)  昨年(訳注:2002年)、OEDの編者たちは
OEDに “miscommunicate”(及び “miscommunication”)
を追加することを決定した。

天下のOEDですら、この有様。


◆  “ OED “ ( オーイーディー )とは、
“The Oxford English Dictionary” の略称。

邦題 『 オックスフォード英語辞典 』 。

[ 公式サイト ]  →   http://www.oed.com/

1884年にイギリスで刊行が始まり、最新版の第2版は1989年刊。

全20巻、2万1730頁、29万1500の見出し語、62kg。

世界最大の英語辞典である。

語義の配列は、頻出順ではなく、発生順の「歴史主義」。
成り立ちを、系統的にたどれる利点がある。

“OED” 編集主幹の James Murray 博士  (1837-1915)
については、” in place ” で触れている(写真入り)。

▼  「 縮刷版 」及び「 CD-ROM版 」も発売されている  ▼

[ 両方入手済み ]  →   辞書の「自炊」と辞書アプリ



◆  この質問主が加えた下記内容は、本稿の疑問と重なる。

No dictionary listings can be found, however,
the word “miscommunication” is found.

How can you have miscommunication
without the ability to miscommunicate?

http://answers.google.com/answers

【 参考和訳 】

“miscommnicate” は、どの辞書
( 訳注:英語ネイティブ用の英英辞典と思われる )
にも載っていないものの、”miscommunication”
は見つかった。

しかし、”miscommunicate” することができなければ、
“miscommunication” の発生はあり得ないのでは。

もっともなご意見である。

「動詞」から派生し、「名詞」になる流れが英単語の主流
だが、”miscommunication” について該当しないのだろうか。

初出年は、既に記したように、

  •  動詞  ” miscommunicate ”    20世紀初頭
  •  名詞  ” miscommunication ”    1959年

なんだか、よく分からなくなってきた。

本当にどの辞書でも、先発の動詞 ” miscommunicate ”  を
差し置いて、名詞 ” miscommunication ” ばかりが目立つ。

◆  参考までに、「親」同士を比べてみる。

<頻出度>

communication  >  communicate

  communication :

–  話し言葉 :上位 1,001〜2,000語
–  書き言葉 :上位 1,000語以内

  communicate :

–  話し言葉 :上位 2,001~3,000語
–  書き言葉 :上位 2,001~3,000語


<重要度>

communication  =   communicate

ともに 「上位 3,000語以内」。

(ロングマン、LDOCE6 の表記より)


“miscommunication” については、
OALD9とCALD4には明記されている。

“miscommunication”

  failure to make information or your ideas
and feelings clear to somebody, or to
understand what somebody says to you.

(オックスフォード、OALD9)

■  failure to communicate ideas or
intentions successfully.

(ケンブリッジ、CALD4)

【発音】  mìskə̀mjuːnikéiʃən
【音節】  mis-com-mu-ni-ca-tion  (6音節)

LDOCE6 に至っては、”miscommunication” すら欠けている。

オンライン英英辞典では、

にも、名詞  “miscommunication”  の項目がある。
※  2021年3月1日 アクセス 

◆  前出 OALD9(2015年刊)の新版  OALD10 (2020年刊)
はこちら。

※  OALD10 →   写真入り短評 

OALD10 ”
(アプリ版) より転載

▼ オンライン版 ▼

https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/miscommunication?q=miscommunication


名詞 “miscommunication” の語釈は変わっていない。

そして依然として、動詞 “miscommunicate” の項目立てはない。

同じく、動詞 “miscommunicate” はなくても、
名詞はコリンズ系の英英2点には載っている。

COBUILD Advanced Learner’s Dictionary, 9th edition
(アプリ版) より転載

 

Collins English Dictionary, 12th Edition ”
(アプリ版) より転載

▼ オンライン版 ▼

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/miscommunication

実務的には、伝達ミス または 連絡ミス
くらいが穏当な和訳。

◆  冒頭で述べた通り、両者の意味合いは難しくない。

きっと、「 ミスリーディング 」(misleading)に似た
立ち位置で、カタカナでも定着する方向に向かうだろう。

用法は、”communication” と “communicate” に準じる。

  • “There was miscommunication between them.”
    (彼らの間では伝達ミスがあったようだ。)

  • “We fell apart due to a simple miscommunication.”
    (コミュニケーションの些細な失敗によって、私たちは別れた。)

  • “I think they deliberately miscommunicate users.”
    (彼らはわざとユーザーに不十分に伝えているのだと思う。)

  • I want to avoid miscommunicating my intention.”
    (自分の意図を間違って伝えたくないのです。)

 

【関連表現】

  •  “ misinformation ” ( 誤報

【発音】  mìsinfəméiʃən
【音節】  mis-in-for-ma-tion  (5音節)

 

 

 

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