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False alarm

      2018/10/26

誤報、いたずら、誤作動

形容詞 “false“(間違った)+
可算名詞 “alarm“(警報)

「間違った警報」が直訳。
「誤報」と換言できる。

日本語の「誤報」は、文字通りの意味しかない。

誤報」=

まちがったしらせ。
(広辞苑 第七版)

間違えて知らせること。
また、間違った知らせ。
(大辞林 第三版)

まちがって知らせること。
事実と違うことを知らせること。
また、そのしらせや報道。
(精選版 日本国語大辞典)

ところが、英語の “false alarm” は、
虚偽の情報」「いたずら」「誤作動
による誤報も含む。

ニュース用法としては「誤報」と同等、
またはそれ以上に出てくる意味合いである。
「誤報」だけなら、わざわざ取り上げないが、
日本語にない内容を含むため、ご紹介したい。

◆ “false” には、形容詞と副詞がある。
語源は、ラテン語「偽の」(falsus)。
自他動詞・名詞の “fail”(失敗する)と同源
であり、語源からしてネガティブ。

基本的意味は、この語源の印象を貫くため、
理解は難しくない。
発音は、少々厄介(fɔ́ːls)。

– 形容詞「間違った」「事実に反する」
「不誠実な」「虚偽の」「本物でない」
– 副詞「間違って」「不誠実に」

形容詞中心で、”false alarm” でも形容詞。
副詞用法は少なめ。
いずれもネガティブ満載である。

“true” と対になる使用場面も多い。

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◆ “alarm” には、名詞と他動詞がある。
自動詞はない。
語源は、イタリア語「武器を取れ」
(all’arme)との命令。

基本的イメージは「アラーム」通り。

アラーム」=
1. 警報。警報装置。
2. 目覚し時計。また、その音。
(広辞苑 第七版)

カタカナ「アラーム」は名詞のみだが、
“alarm” には他動詞もある。
名詞は不可算と可算を兼ねる。
上記「アラーム」の語釈は可算名詞。

– 名詞「警報」「警告」→ 可算
「驚き」「恐怖」→ 不可算
– 他動詞「驚かす」「おびえさせる」
「警報を出す」「警報器を取り付ける」

一方、「驚き」「恐怖」の感情は、不可算名詞。

「警報」が鳴り響くことで、急速に生じる類
の情動と考えてよい。

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“false alarm” では、可算名詞の「警報」。
したがって、不定冠詞の “a” がつく。

◆ 冒頭に述べたように、「間違った警報」
すなわち「誤報」が基本的な意味である。

英英辞書でも「誤報」中心の解説になっている。
まず、3大学習英英辞典(EFL辞典)からチェック。

false alarm” =

a situation in which people wrongly think
that something bad is going to happen.
(ロングマン、LDOCE6)

an occasion when people wrongly believe
that something dangerous or unpleasant
is happening or will happen.
(ケンブリッジ、CALD4)

※ 下線は引用者

この2冊は、ほぼ同義。
要約すると「悪いことが起きると間違って
思ってしまうような状況」。

一方、OALD9は趣きが少し異なる。

a warning about a danger that does not happen;
a belief that something bad is going to happen,
when it is not.

(オックスフォード、OALD9)

後段は先の2冊と同様。
前段は「起こらないことへの警告」で、
ずばり「誤報」を指している。

3大EFL辞典の語釈は、前掲の国語辞典3冊の
「誤報」の域を出ない。やはり、これが基本。

以上の解釈のどれをとっても、意図は問わない。
つまり、故意なのか不注意なのか不問である。
とにかく、あるべきものとは違う知らせ。
それが「誤報」。

◆ ところが、実際のニュースでは、さらに展開
された意味合いで起用される場合が少なくない。

つまり、作為的な情報操作が伴う報道や
わざと事実と異なる情報を含む知らせ。
例えば、「デマ」。

デマ」=
(デマゴギーの略)
1. 事実と反する煽動的な宣伝。悪宣伝。
2. 根拠のない噂話。流言飛語。
(広辞苑 第七版)

既記の通り、通常、日本語の「誤報」には含まれない
内容である。

◆ 論より証拠で、実例を挙げる。

  • “The bomb threat proved to be a false alarm.”
    (その爆破予告は何事もなく終わった。)


日本のニュースでは「不審物は発見されなかった
などと結論されることが多い。

一方、英語では、
– “nothing was found“(何も見つからなかった)
– “no evidence of – “(~の証拠なし)
– “found to be unsubstantiated“(根拠がなかった)
など。

  • “That distress call proved to be a false alarm.”
    (その遭難信号はいたずらだった。)
  • False alarm puts high school on lockdown”
    (いたずら通報により高校封鎖)※ 見出し
  • “The threat to shoot up school turn out to be a false alarm.”
    (学校乱射の予告は虚偽と判明した。)

日本語では、基本的に故意の犯行を「誤報」には含まない
以上、”false alarm” で済む英語と違い、表現しにくい。
ニュースでも「いたずら」「虚偽」などとある。

◆ 以下は「誤報」でよい。
勘違いした人が、警報発動・通報してしまった例。

  • “Missile false alarm resulted in panic”
    (ミサイル発射の誤報でパニック)※ 見出し
  • “Police received false alarm about gunman”
    (警察に武装犯の誤通報)※ 見出し
  • “Reports of school shooting was
    determined to be a false alarm.”
    (学校乱射事件は誤報と確定された。)

機器自体の誤作動も “false alarm”。

  • “Because of so many false fire alarms, people
    started ignoring the fire alarms.”
    (誤作動があまりに多かったため、人々はその火災報知機
    を無視し始めた。)

趣旨は様々であろうが、愉快犯的な “prank call”、
または “fake news” の “hoax“(でたらめ、偽物)
に重なる要素も多い。

情報が一気に拡散するインターネット時代の流れ
から考慮すれば、受け手側が自衛する方法を
身につける必要性が高まっている。

< 注意喚起の事前通知 >

 

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