(1)拘禁 (2)保護、養育権 (3)保管・管理
一般人の日常生活には無縁に近いが、
ニュースには通年欠かせない単語。
【発音】 kʌ́stədi
【音節】 cus-to-dy (3音節)
年がら年中、メディア報道に出てくる。
嫌でも見聞きする。
だが、 離婚か犯罪にでも巻き込まれない限り、
自ら使う機会はめったに訪れない。
とすれば、使用上受け身中心になるため、
誤解している部分もあるかもしれない。
復習を兼ねて、ここで再確認してみよう。
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◆ ” custody ” の品詞は名詞のみ。
不可算名詞である。
語源は、 ラテン語「 見張ること 」( custōdia )。
これから見ていくように 「 見張る 」 意味合いを
貫くのが ” custody “。
–
ぴりぴりした緊張感 が漂う語である。
◆ 主な用途は3つ。
(1)被疑者などの 拘禁
(2)未成年などの 保護、養育権
(3)金品などの 保管・管理
その道の専門家や訴訟当事者でなければ、
これらを押さえておけば、通常は間に合う。
ニュース用途も、ざっくりこの3つに区分できる。
いずれも、語源「見張る」が見え隠れする。
–
◆ 報道で年中出てくるのは(1)。
次いで(2)。
最後に(3)。
こんな印象を私は受ける。
信用できる統計が見つかず、ご紹介できない
のが残念だが、常識的な報道価値から考えて、
(1)→(2)→(3)の頻出順と推測できる。
(2)→(1)→(3)もありうる。
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◆ 英英辞書の語釈も、概ね2つか3つに分かれる。
堅い内容なので、派手に派生しなかったらしい。
そのため、意味がきっちり固定されており、
辞書間の個性は乏しい。
今回調べた7点の英英辞書で、私にとって最も分かり
やすかったのが、LDOCE6。
“custody”
1. the right to take care of a child,
given to one of their parents when
they have divorced.
2. when someone is kept in prison until
they go to court, because the police think
they have committed a crime.
3. formal
when someone is responsible for keeping
and looking after something.
(LDOCE6、ロングマン)
<ポイント>
1. 離婚時の子の 保護、養育権
2. 被疑者などの 拘禁
3. 金品などの 保管・管理
【発音】 kʌ́stədi
【音節】 cus-to-dy (3音節)
冗長のきらいはあるものの、LDOCEの説明は
いつもながら丁寧で容易。
3大学習英英辞典(EFL辞典)の残りの2点は、
「保護、養育権」と「保管・管理」をまとめて説明。
“custody“
1. the legal right or duty to take care of
or keep somebody/something;
the act of taking care of something/somebody.
2. the state of being in prison, especially
while waiting for trial.
(OALD9、オックスフォード)
“custody”
1. the legal right or duty to care for someone
or something, especially a child after its parents
have separated or died.
2. the state of being kept in prison, especially
while waiting to go to court for trial.
(CALD4、ケンブリッジ)
【発音】 kʌ́stədi
【音節】 cus-to-dy (3音節)
LDOCE6よりすっきりしており、これらを好む学習者
も多いだろう。
3大EFL辞典の記載から分かることは、”custody” の
意味は前掲赤枠にて網羅されている点。
基礎的かつ重要な法律用語でもあるため、専門家
向けにはさらなる説明が加わるのは言うまでもない。
–
◆ そこで、法律辞典の説明をご覧に入れたい。
( Amazon Japan / Amazon US )
弊サイトでお馴染みの『ブラックス法律辞典』。
1891年に発刊され、130年以上の歴史を誇る。
判例などに、最も引用される辞典である。
英米法を学ぶ学生で、知らない者は皆無レベルの存在感。
現時点( 2018年7月 初稿時 )での最新版(第10版、
2014年刊)の ” custody ” の解説を全部転載する。
” exonerate “( 容疑を晴らす、免除する )のように、
数行の解説もあれば、単語うじゃうじゃな ” custody ”
のような例もある。
先ほどの学習英英辞典とは比較にならない …
一見こう思われる。
しかし、目をさらすと、これまた3つで完結している
ことに気づく。
すなわち緑の部分。
番号は異なれど、先の赤枠の内容に対応している。
- 金品などの 保管・管理
- 未成年などの 保護、養育権
- 被疑者などの 拘禁
「▶」の副項目が多いため、煩雑に見えがち。
法律辞典なので、各々詳述されているものの、
3本柱は一般辞書と重なる。
以上より分かることは、繰り返しになるが、
“custody” は赤枠内でカバーされている点。
専門家以外は、この3つをざっと把握すればよい。
–
◆ ” custody ” の場合、多用されるフレーズが
確立してることに特色がある。
” collocation(s) ” と称し、「連語(れんご)」
と訳されるもの。
【発音】 kɑ̀ləkéiʃən
【音節】 col-lo-ca-tion (4音節)
<語と語のつながり>を指すが、「連語」と言っても
通じにくいため、カタカナ「コロケーション」が
まかり通っている。
◇ 英日のコロケーション辞典は、こちらでご案内
→ 辞書の「自炊」と辞書アプリ
–
◆ 先述の3大学習英英辞典は、コロケーションも併記する。
この充実ぶりが、学習辞典の強みである。
ー
特に、“ LDOCE ” と “ OALD ” は、コロケーション満載。
” custody ” の ” collocations ” は、オンライン版
でも確認できる。
< コロケーションについて >
・ “aware”
・ LDOCE(ロングマン現代英英辞典)
・ 辞書の「自炊」と辞書アプリ
・ 英語辞書は「紙」か「電子版」か
–
【実例】 ※ 辞書アプリの転載あり
“threshold“、”damage“、 “scrutiny“、
“backdrop“、”paperwork“、”struggle”、
”downfall“、”bombshell”、“feasible”
◆ 時事ニュースによく出るコロケーションは、以下の通り。
- joint custody
(共同親権)
– - child custody
(親権)
–
- a custody battle
(親権争い)
–
- get / win custody
(親権を得る、養育権を得る)
–
- seek custody
(親権を得ようとする)
–
- lose custody
(親権を失う)
–
- be held / kept in custody
(拘禁される)
–
- take somebody into custody
(拘禁する、保護する)
–
- place somebody in custody
(留置する)
–
- remain in custody
(拘禁中である)
–
- be released from custody
(釈放される)
–
- Suspect In Custody
(容疑者の身柄確保) ※ ニュース見出し
–
こうきん【拘禁】
2. [法] 留置施設・拘置所・刑務所などに
被疑者・被告人・受刑者などを継続的に
拘束すること。
りゅうち【留置】
[法] 人や者を一定の支配下におくこと。
こうりゅう【拘留】
自由刑の一種。1日以上30日未満の間、
刑事施設に拘置する刑罰。
こうりゅう【勾留】
被疑者・被告人を拘禁する刑事手続上の強制処分。
未決勾留。
ひぎしゃ【被疑者】
犯罪の嫌疑を受けた者でまだ起訴されない者。
容疑者。
(広辞苑 第七版)
冒頭に「年がら年中、メディア報道に出てくる」
と記したが、概ね上記が該当する。
最近(2018年6~7月)の日本関連のニュースであれば、
ハーグ条約(the Hague Convention)に基づき、
国内法を見直す政府の動向に伴い、”child custody” が
旬の言葉になっている。
普段の移動時間などは、英語ニュースに親しむとよいと思う。
“custody” は、ばんばん出てくるから、自ずと身につく。
英語学習は情報収集を兼ねると一石二鳥で、楽しい。
中級学習者の実力なら、十分可能である。
【類似表現】
“keep an eye on – ”
https://mickeyweb.info/archives/784
(~に目を光らせる、~を監視する)
“keep tabs on – ”
https://mickeyweb.info/archives/12749
(〜を見張る、~を監視する)
“oversee”
https://mickeyweb.info/archives/22952
(監督する)