プロ翻訳者の単語帳

Professional Interpreter / Translator at Government Agency

Custody

      2025/04/17

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 4 minutes

(1)拘禁   (2)保護、養育権   (3)保管・管理

一般人の日常生活には無縁に近いが、
ニュースには通年欠かせない単語。

【発音】 kʌ́stədi
【音節】 cus-to-dy (3音節)

年がら年中、 メディア報道に出てくる。

嫌でも見聞きする。

だが、 離婚か犯罪にでも巻き込まれない限り、
自ら使う機会はめったに訪れない。

とすれば、 使用上受け身中心になるため、
誤解している部分もあるかもしれない。

復習を兼ねて、 ここで再確認してみよう。

◆  ” custody ”  の品詞は名詞のみ。

不可算名詞uncountable  nounである。

語源は、 ラテン語 「 見張ること 」( custōdia )。

これから見ていくように 「 見張る 」 意味合いを貫く。



見張る

ぴりぴりした緊張感  が漂う語である。

 

◆  主な用途は3つ。

(1) 被疑者などの 拘禁
(2) 未成年などの 保護、養育権
(3) 金品などの 保管・管理


その道の専門家や訴訟当事者でなければ、
これらを押さえておけば、通常は間に合う。

ニュース用途も、 ざっくりこの3つに区分できる。

いずれも、 語源 「 見張る 」 が見え隠れする。

◆  報道で年中出てくるのは(1)。

次いで(2)。

最後に(3)。
こんな印象を私は受ける。

信用できる統計が見つかず、ご紹介できない
のが残念だが、常識的な報道価値から考えて、

(1)→(2)→(3)の頻出順と推測できる。
(2)→(1)→(3)もありうる。

◆  英英辞書の語釈も、概ね2つか3つに分かれる。

堅い内容なので、派手に派生しなかったらしい。
そのため、意味がきっちり固定されており、
辞書間の個性は乏しい。

今回調べた7点の英英辞書で、私にとって最も分かり
やすかったのが、LDOCE6。


custody


1.  the right to take care of a child,
given to one of their parents when
they have divorced.

2.  when someone is kept in prison until
they go to court, because the police think
they have committed a crime.

3.  formal
when someone is responsible for keeping
and looking after something.

( LDOCE6、ロングマン )

<ポイント>

1. 離婚時の子の 保護、養育権
2. 被疑者などの 拘禁
3. 金品などの 保管・管理


時に 冗長の きらいはあるものの、 LDOCEの説明は
いつもながら丁寧で容易。

【発音】 kʌ́stədi
【音節】 cus-to-dy (3音節)

3大学習英英辞典( EFL辞典 )の残りの2点は、
「 保護、養育権 」 と 「 保管・管理 」 をまとめて説明。


custody

1.  the legal right or duty to take care of
or keep somebody/something;
the act of taking care of something/somebody.

2.  the state of being in prison, especially
while waiting for trial.

( OALD9、オックスフォード )



1. the legal right or duty to care for someone
or something, especially a child after its parents
have separated or died.

2.  the state of being kept in prison, especially
while waiting to go to court for trial.

( CALD4、 ケンブリッジ )


LDOCE6よりすっきりしており、 これらを好む学習者
も多いだろう。

3大EFL辞典の記載から分かることは、”custody” の
意味は前掲赤枠にて網羅されている点。

基礎的かつ重要な法律用語でもあるため、専門家
向けにはさらなる説明が加わるのは言うまでもない。

◆  そこで、法律辞典の説明をご覧に入れたい。

 

Amazon Japan / Amazon US

弊サイトでお馴染みの『ブラックス法律辞典』。

1891年に発刊され、130年以上の歴史を誇る。

判例などに、最も引用される辞典である。

英米法を学ぶ学生で、知らない者は皆無レベルの存在感

現時点( 2018年7月 初稿時 )での最新版(第10版、
2014年刊)の ” custody ” の解説を全部転載する。

Black’s Law Dictionary, 10th Edition ”   p. 467.

(Thomson Reuters 2014).

※  枠線は引用者


exonerate “( 容疑を晴らす、免除する )のように、
数行の解説もあれば、 単語うじゃうじゃな ” custody ”
のような例もある。

先ほどの学習英英辞典とは比較にならない  …

一見こう思われる。

しかし、 目をさらすと、 これまた3つで完結している
ことに気づく。

すなわち緑の部分。

番号は異なれど、先の赤枠の内容に対応している。

  1.  金品などの 保管・管理
  2.  未成年などの 保護、養育権
  3.  被疑者などの 拘禁

「▶」の副項目が多いため、 煩雑に見えがち。

法律辞典なので、 各々詳述されているものの、
3本柱は一般辞書と重なる。

以上より分かることは、繰り返しになるが、
“custody” は赤枠内でカバーされている点。

専門家以外は、この3つをざっと把握すればよい。

◆  ” custody ” の場合、多用されるフレーズが
確立してることに特色がある。

collocation(s) ” と称し、「連語(れんご)」
と訳されるもの。

【発音】 kɑ̀ləkéiʃən
【音節】 col-lo-ca-tion  (4音節)

「 語と語のつながり 」 を指すが、 「 連語 」 と言っても
通じにくいためか、 カタカナ 「 コロケーション 」の方が
まかり通っている様子である。

◇  英日のコロケーション辞典は、こちらでご案内
→   辞書の「 自炊 」 と辞書アプリ


◆  先述の 3大学習英英辞典 は、 コロケーションも併記する。

この充実ぶりが、学習辞典の強みである。

特に、LDOCE ” と “ OALD ” は、コロケーション満載。

” custody ” の ” collocations ” は、オンライン版
でも確認できる。

< コロケーションについて >

・  aware
・  LDOCE( ロングマン現代英英辞典 )
・  辞書の「 自炊 」と辞書アプリ
・  英語辞書は「 紙 」か「 電子版 」か

【実例】    ※  辞書アプリの転載あり
thresholddamage、  scrutiny
backdroppaperworkstruggle
downfallbombshellfeasible

 

◆  時事ニュースによく出るコロケーションは、以下の通り。

  •  joint custody
    ( 共同親権 )
  •  child custody
    ( 親権 )

  •  a custody battle
    ( 親権争い )

  •  get / win custody
    ( 親権を得る、養育権を得る )

  •  seek custody
    ( 親権を得ようとする )

  •  lose custody
    ( 親権を失う )

  •  be held / kept in custody
    ( 拘禁される )

  •  take somebody into custody
    ( 拘禁する、保護する )

  •  place somebody in custody
    ( 身柄を拘束する )

  •  remain in custody
    ( 拘禁中である )

  •  be released from custody
    ( 釈放される )

  •  Suspect In Custody
    ( 容疑者の身柄確保 )  ※  ニュース見出し


こうきん【拘禁】

2.  [法] 留置施設・拘置所・刑務所などに
被疑者・被告人・受刑者などを継続的に
拘束すること。

りゅうち【留置】
[法]  人や者を一定の支配下におくこと。

こうりゅう【拘留】
自由刑の一種。
1日以上30日未満の間、
刑事施設に拘置する刑罰。

こうりゅう【勾留】
被疑者・被告人を拘禁する刑事手続上の強制処分。
未決勾留。

ひぎしゃ【被疑者】
犯罪の嫌疑を受けた者でまだ起訴されない者。
容疑者。

( 広辞苑 第七版 )


冒頭に 「 年がら年中、メディア報道に出てくる 」
と記したが、 概ね上記が該当する。

最近( 2018年6~7月 ) の日本関連のニュースであれば、
ハーグ条約( the Hague Convention )に基づき、
国内法を見直す政府の動向に伴い、” child custody ” が
旬の言葉になっている。

普段の移動時間などは、 英語ニュース に親しむとよいと思う。

” custody ”  は、ばんばん出てくるから、 自ずと身につくはず。

英語学習は、 情報収集を兼ねると一石二鳥で楽しくなる。

中級学習者の実力なら、 十分可能である。

 

【類似表現】

 

 

 

 

広告 / Advertisement




※ ページに広告が含まれる場合があります。

 - 英語, 英語フレーズ

プロ翻訳者の単語帳をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む