プロ翻訳者の単語帳

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For your information (FYI)

      2024/03/14

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 5 minutes

1.   ご参考までに
2.   一応、言っておきますが

ビジネスでも、プライベートでも、
よく見聞きする < 3語ワンセット >。

口頭でも文面でも用いる。

頭文字の  ” FYI ”  で略記され、
エフ  ワイ  アイ 」 と読む。

【発音】  FYI

 

1.原則、参考情報の提供  が趣旨

2.時に、きつめの忠告  を意図


意味は 2つ に分かれる。


両者の意味合い と 使用場面 は大きく異なる。

この違いは、 日本語から考えても理解できる。

本質的に、 言語よりはコミュニケーションの問題。

すなわち、人間の心理作用が問われる。

状況と言い草次第では、いちゃもんをつける

一幕となり(2)、 失礼に当たるので注意を要する。

なかなか危ない。


教えてやるよ

 


◆  ” for your information ” は、今回調べた8点の
英英辞典のうちの4点で項目立てされている。

1と2の両方を説明する辞書は、” OALD9 ” のみ。

それ以外は、いずれかを解説していた( 後述 )。

使用単語と文法は、基礎レベルである。

3語とも、最頻出かつ最重要の英単語。
そろって最高ランクの位置を占める。

  •  重要:最上位 <トップ3000語以内>
  •  書き言葉頻出:最上位 <トップ1000語以内>
  •  話し言葉頻出最上位 <トップ1000語以内>
    ( ロングマン、LDOCE6 の表記より )

中心となる語は  ” information “。

【発音】  ìnfərméiʃən
【音節】  in-for-ma-tion  (4音節)

” information ” の語源は、 ラテン語「 教授 」「 情報 」( informatio )。

” inform “( 知らせる )と同源で、「 情報 」の概念は一貫している。

略式の表記  ” info ” は、筆舌不問で年中出てくる。

【発音】  ínfou
【音節】  in-fo  (2音節)

意味も用法も、それぞれ最も基本的なもの。

  • 目的の前置詞  ” for “(~ために)
  • 人称代名詞の所有格  ” your “(あなたの)
  • 不可算名詞   ” information “(情報)

カタカナで定着済みの「 インフォメーション 」そのもの。

直訳は、あなたの情報のために

分かりやすく換言すると、

 

1.  ご参考までに

2.一応、言っておきますが

 

◆  次の流れを ご理解できるだろうか。

あなたの情報のために

1.  ご参考までに ( 参考情報の提供

2.  一応、言っておきますが ( きつめの忠告


日本語からしても、不自然はない展開だろう。

既に言語の問題から離れている感がある。

それぞれ見ていこう。

 1.  ご参考までに 

【 使い手の意図 】
あなたのお役に立てばと願い、
情報提供させていただきます。


参考情報の提供

あなたの情報のために > これが本来の使い方である。

他意はなく、 もっぱら情報提供が目的。

「 本題から外れていますが、 ご参考程度にどうぞ 」

よかれと考えた末の追加情報・説明付与・補説である。

使い手が想像する 「 ご参考 」 なので、 実際には
役立たないケースもありうる。


” for your information ”

also
 FYI

used to say that you are telling or giving
someone something because they might
not know or have it and it could be useful
for them.

( CALD4、ケンブリッジ )


” OALD9 ” では、 ” For information only
と「 = 」で結び、 同義扱いする。


for information only

written on documents that are sent to
somebody who needs to know the information
in them but does not need to deal with them.

( OALD9、オックスフォード )

※  下線は引用者


下線にある通り、 あくまでも
参考程度なので、受け手は対処しなくてもよい

放置してもよく、 気楽であろう。

性質的に、 あってもなくてもよい情報だが、
もしかしたら有益かも、 と考えて追加した感じ。

日本語の 「 ご参考まで 」 と趣旨は同じ。

使用場面も重なる。

公私不問で使える。

頭文字の  ” FYI ”  と略記され、
メールの件名などにも使われる。

読みは 「 エフ  ワイ  アイ 」。

【発音】  FYI

 

  •  ” We’d love to have you over.  FYI : We’re a no-shoe household.”
    ( ぜひお越しください。  申し添えますと、 我が家は土足禁止です。)

 

 2.  一応、言っておきますが

【 使い手の意図 】
あなたの間違った認識を、
この私が訂正してあげます。


きつめの忠告

こちらは使用上、 要注意の ” for your information “。

口頭の起用が目立つ印象。

項目立てする4点の英英辞書のうち、 3点が解説する
意味合いである。( ” CALD4 ” は1のみ )


For your information

spoken
used when you are telling someone that
they are wrong about a particular fact.

( LDOCE6、 ロングマン )


for your information

2.   ( informal )
used to tell somebody that they are wrong
about something.

( OALD9、 オックスフォード )


” for your information ”

used for telling someone angrily that
they are wrong  about something.

( Macmillan Dictionary、マクミラン )

※  下線は引用者


英英3点の共通文言が、 ”  they are wrong ” ( 下線部 )。

「 彼らは間違っている 」 と告げている ( ” tell ” )。

” spoken “( LDOCE6 )、 ” informal “( OALD9 )で、
「 口頭( 話し言葉 )」 「 くだけた表現 」。

◆  誤りの指摘の際に伴う感情は様々だろう。

この3点のうち、 マクミラン は  ” angrily “( 上記赤字 )
と明記する。

「  怒って  」を意味する副詞。

【発音】  ǽŋgrəli
【音節】  an-gri-ly  (3音節)

真顔でたしなめたり、 皮肉めいたり、 はたまた、
苦笑いしつつ述べることもあるだろう。

「 怒って 」 は一例に過ぎないと考える。

それでも、 辞書が記載するということは、「 怒って 」
が代表例であるからに違いない。

これまた、 人間心理の問題。

相手が間違っている時、 どう指摘するか。

相手のプライドを傷つけないよう、 やんわり示したい。

社会人であれば、 こう考えるのが普通。

図に乗ってやり込めたら、 自分の苦境を招くかもしれない。

人生は多分に  因果応報  だから。

そう考える人は、 むやみに ” for your information ” を使わない。

誤解される危険性があるからである。

先の副詞  ” angrily ” の通り、 怒気を含むと解釈されても不思議はない。

「 一応、言っておきますが 」 と和訳してみたが、 どうだろう。


◆  もっと 率直な 口調なら、

  •  言っとくけど
  •  ひとこと言わせてもらうけど
  •  注意しておくけど

いずれも忠告だが、 相当いらだちを感じる。

直接言われてみると分かるが、 もう 脅迫 めいている。

In case you haven’t noticed, – ”  や  “ Just so you know, –
に似通う、 いらついた言い様。

繰り返すが、 言語よりは人心掌握のスキルが焦点。

1 で検証したように、 そもそも ” for your information ” は、

あなたの情報のために を意味している。

きちんと使えば、 間違いの指摘にも有効なはずだが、
誤解されがちな表現である。

マクミランの語釈 ( ” angrily ) を思い返そう。

 

◆  逆に、 相手のミスに対し、 ここぞとばかり、
しかし品よく食らいつきたい時に、 大変便利。

なぜなら、 ” for your information ”  の本分は、
「  1.  ご参考までに  」 にあり、

これを隠れ蓑にする  ことができるからである。

もとよりビジネスに多用される表現であり、 下品さは少ない。

むかつく相手を、 チクチクとっちめるには、 確かに使い勝手がよい。

嫌味に拍車をかけることができ、 嫌がらせに効果的。

もっとも、 私たちノンネイティブ( 非英語母語話者 )の場合、
さじ加減を誤り、 とんでもない結果を招く可能性もある。

 要注意 の表現である点は、しっかり押さえておくべし。

 

◆  警告じみた「2」 の用法と区別するため

「1」を以下の如く表すことがある。

頭に ” just ” を付け加えて、

Just  for your information


” just ” には、 形容詞と副詞がある。

【発音】  dʒʌ́st  (1音節)

語源は、 ラテン語「 公正な 」( jūstus )。

ここでは、 比較・程度の副詞 で、

ただ~だけ 」 「 ちょっとだけ 」 「 念のため 」。


露骨さを軽減する 婉曲 用法で重宝

される。

「 邪( よこしま )な動機はありませんから 」 とアピール。

just checking in ”  の  ” just ” と似ている。

副詞 ” just ” を付け足すことで、「 情報提供 」 こそ目当てである
ことを強調。

いうなれば、 予防線を張っている。

副詞  “ only “、 ” simply “、 ” merely ”  とあらかた同等。

言い振りを柔らかくしておき、 相手の誤解と反発を防ぐ。

日本語にも見られる、トラブル回避の婉曲表現

クッション言葉 」 が典型である。

 

 

【類似表現】

  for your reference
( ご参考までに )

→  意味も欠点も、” for your information ”
とやんわり重なるが、さほどきつくはない

  for future reference
( 今後のために、 後学のために )

  for your awareness
( ご参考までに )

→  ” for your information ” に比べると、
誤解されづらい印象

 

【関連表現】

” In case you haven’t noticed, – ”
https://mickeyweb.info/archives/2948
( 一応、言っておくけれど )

“ Just so you know, – ”
https://mickeyweb.info/archives/2160
( 念のため、 あなたに言っておきますけど )

“ Just to be safe ”
https://mickeyweb.info/archives/2895
( 念のため )

“ Reminder ”
https://mickeyweb.info/archives/3312
( 思い出させるための表現 )

“ That’s all I’ve got to say. ”
https://mickeyweb.info/archives/2227
( 自分には、それしか言いようがない。)

” Nothing personal. ”
https://mickeyweb.info/archives/1402
( 個人的な意味はない。 悪気はない。 )

“ With all due respect ”
https://mickeyweb.info/archives/3944
( お言葉を返すようですが、失礼ながら )

“ Correct me if I’m wrong. ”
https://mickeyweb.info/archives/4685
( 私が間違っていたら訂正してください。 )

“ No offense,  but – ”
https://mickeyweb.info/archives/11414
( 悪気はないのですが )

 

 

 

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