プロ翻訳者の単語帳

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For your information (FYI)

      2021/12/13

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 4 minutes

1.   ご参考までに
2.   一応、言っておきますが

ビジネスでも、プライベートでも、
よく見聞きする < 3語ワンセット >。

口頭でも文面でも用いる。

1. 原則、参考情報の提供 が趣旨
2. 時に、きつめの忠告 を意図

意味は2つに分かれる。


両者の意味合いと使用場面は大きく異なる。

この違いは、日本語から考えても理解できる。

本質的に、言語面よりはコミュニケーションの問題。

すなわち、人間の心理作用が問われる。

状況と言い草次第では、いちゃもんをつける
一幕となり(2)、失礼に当たるので注意を要する。

なかなか危ない。


教えてやるよ

 

◆  ” for your information ” は、今回調べた8点の
英英辞典のうちの4点で項目立てされている。

1と2の両方を説明する辞書は、” OALD9 ” のみ。

それ以外は、いずれかを解説していた(後述)。

使用単語と文法は、基礎レベルである。

3語とも、最頻出かつ最重要の英単語。
そろって最高ランクの位置を占める。

  •  重要:最上位 <トップ3000語以内>
  •  書き言葉頻出:最上位 <トップ1000語以内>
  •  話し言葉頻出最上位 <トップ1000語以内>
    ( ロングマン、LDOCE6 の表記より )

中心となる語は  ” information “。

【発音】  ìnfərméiʃən
【音節】  in-for-ma-tion  (4音節)

” information ” の語源は、ラテン語「 教授 」「 情報 」( informatio )。

” inform “( 知らせる )と同源で、「 情報 」の概念は一貫している。

略式の表記  ” info ” は、筆舌不問で年中出てくる。

【発音】  ínfou
【音節】  in-fo  (2音節)

意味も用法も、それぞれ最も基本的なもの。

  • 目的の前置詞  ” for “(~ために)
  • 人称代名詞の所有格  ” your “(あなたの)
  • 不可算名詞   ” information “(情報)

カタカナで定着済みの「 インフォメーション 」そのもの。

直訳は、あなたの情報のために

分かりやすく換言すると、

1.  ご参考までに
2.  一応、言っておきますが

 

◆  次の流れはご理解できるだろうか。

あなたの情報のために

1.  ご参考までに ( 参考情報の提供

2.  一応、言っておきますが ( きつめの忠告


日本語からしても、不自然はない展開だろう。

既に言語の問題から離れている感がある。

それぞれ見ていこう。

 1.  ご参考までに 

【 使い手の意図 】
あなたのお役に立てばと願い、
情報提供させていただきます。

参考情報の提供

< あなたの情報のために > これが本来の使い方である。

他意はなく、もっぱら情報提供が目的。

「 本題から外れていますが、ご参考程度にどうぞ 」

よかれと考えた末の追加情報である。

使い手が想像する「 ご参考 」なので、実際には
役立たないケースもありうる。

” for your information “

also  FYI
used to say that you are telling or giving
someone 
something because they might
not know or have it 
and it could be useful
for them.

( CALD4、ケンブリッジ )


” OALD9 ” では、 ” For information only
と「 = 」で結び、 同義扱いする。

for information only

written on documents that are sent to
somebody who needs to know the information
in them but does not need to deal with them.
( OALD9、オックスフォード )

※  下線は引用者


下線にある通り、あくまでも
参考程度なので、受け手は対処しなくてもよい

放置してもよく、気楽であろう。

性質的に、あってもなくてもよい情報だが、
もしかしたら有益かも、と考えて追加した感じ。

日本語の「 ご参考まで 」と趣旨は同じ。

使用場面も重なる。
公私不問で使える。

頭文字の ” FYI ” と略記され、メールの件名
などに使われる。

そのまま「 エフ  ワイ  アイ 」と読む。

【発音】  FYI

 

 2.  一応、言っておきますが

【 使い手の意図 】
あなたの間違った認識を、
この私が訂正してあげます。

きつめの忠告

こちらは使用上、要注意の ” for your information “。

口頭の起用が目立つ印象。

項目立てする4点の英英辞書のうち、3点が解説する
意味合いである。( ” CALD4 ” は1のみ )

For your information

spoken
used when you are telling someone that
they 
are wrong about a particular fact.

( LDOCE6、ロングマン )

for your information

2.  (informal)
used to tell somebody that they are wrong
about something.
( OALD9、オックスフォード )

” for your information “

used for telling someone angrily that
they are 
wrong about something.
Macmillan Dictionary、マクミラン

※  下線は引用者


英英3点の共通文言が、” they are wrong “( 下線部 )。

「 彼らは間違っている 」と告げている( ” tell ” )。

” spoken “( LDOCE6 )、” informal “( OALD9 )で、
「 口頭( 話し言葉 )」「 くだけた表現 」。

◆  誤りの指摘の際に伴う感情は様々だろう。

この3点のうち、マクミランは  ” angrily “( 上記赤字 )
と明記する。

怒って 」を意味する副詞。

【発音】  ǽŋgrəli
【音節】  an-gri-ly  (3音節)

真顔でたしなめたり、皮肉めいたり、はたまた、
苦笑いしつつ述べることもあるだろう。

「 怒って 」は一例に過ぎないと考える。

それでも、辞書が記載するということは、「 怒って 」
が代表例であるからに違いない。

これまた、人間心理の問題。

相手が間違っている時、どう指摘するか。

相手のプライドを傷つけないよう、やんわり示したい。
社会人であれば、こう考えるのが普通。

図に乗ってやり込めたら、自分の苦境を招くかもしれない。

人生は多分に 因果応報 だから。

そう考える人は、むやみに ” for your information ” を使わない。

誤解される危険性があるからである。

先の副詞  ” angrily ” の通り、怒気を含むと解釈されても不思議はない。

「 一応、言っておきますが 」と和訳してみたが、どうだろう。

◆  もっと 率直な 口調なら、

  •  言っとくけど
  •  ひとこと言わせてもらうけど
  •  注意しておくけど

いずれも忠告だが、 相当いらだちを感じる。

直接言われてみると分かるが、 もう 脅迫 めいている。

In case you haven’t noticed, – ”  や  “ Just so you know, –
に似通う、いらついた言い様。

繰り返すが、 言語よりは人心掌握のスキルが焦点。

1 で検証したように、そもそも ” for your information ” は
あなたの情報のために を意味している。

きちんと使えば、間違いの指摘にも有効なはずだが、
誤解されがちな表現である。

マクミランの語釈( ” angrily )を思い出していただければと思う。

逆に、相手の誤りに対し、ここぞとばかり、しかし品よく
食らいつきたい時に、大変便利。

なぜなら、” for your information ”  の本分は、
「  1.  ご参考までに  」
にあり、 これを隠れ蓑にする  ことができるからである。

もとよりビジネスに多用される表現であり、 下品さは少ない。

むかつく相手を、 チクチクとっちめるには、 確かに使い勝手がよい。

嫌味に拍車をかけることができ、 嫌がらせに効果的。

もっとも、私たちノンネイティブ( 非英語母語話者 )の場合、
さじ加減を誤り、 とんでもない結果を招く可能性もある。

 要注意 の表現である点は、しっかり押さえておくべし。

 

◆  警告じみた「2」 の用法と区別するため
「1」を以下の如く表すことがある。

頭に ” just ” を付け加えて、

Just  for your information

” just ” には、形容詞と副詞がある。

【発音】  dʒʌ́st  (1音節)

語源は、ラテン語「 公正な 」(jūstus)。

ここでは、比較・程度の副詞 で、

ただ~だけ 」「 ちょっとだけ 」「 念のため 」。

露骨さを軽減する婉曲用法で重宝
される。

「 邪( よこしま )な動機はありませんから 」とアピール。

just checking in ”  の  ” just ” と似ている。

” just ” を付け足すことで、「 情報提供 」こそ目当てである
ことを強調。

いうなれば、予防線を張っている。

副詞  “ only “、” simply “、” merely ” と概ね同等。

言い振りを柔らかくしておき、相手の誤解と反発を防ぐ。

日本語にも見られる、トラブル回避の婉曲表現

クッション言葉 」が典型である。

 

 

【類似表現】

  for your reference
( ご参考までに )

→  意味も欠点も、” for your information ”
とやんわり重なるが、さほどきつくはない

  for future reference
( 今後のために、 後学のために )

  for your awareness
( ご参考までに )

→  ” for your information ” に比べると、
誤解されずらい印象

 

【関連表現】

” In case you haven’t noticed, – ”
https://mickeyweb.info/archives/2948
( 一応、言っておくけれど )

“ Just so you know, – ”
https://mickeyweb.info/archives/2160
( 念のため、 あなたに言っておきますけど )

“ Just to be safe ”
https://mickeyweb.info/archives/2895
( 念のため )

“ Reminder ”
https://mickeyweb.info/archives/3312
( 思い出させるための表現 )

“ That’s all I’ve got to say. ”
https://mickeyweb.info/archives/2227
( 自分には、それしか言いようがない。)

” Nothing personal. ”
https://mickeyweb.info/archives/1402
( 個人的な意味はない。 悪気はない。 )

“ With all due respect ”
https://mickeyweb.info/archives/3944
( お言葉を返すようですが、失礼ながら )

“ Correct me if I’m wrong. ”
https://mickeyweb.info/archives/4685
( 私が間違っていたら訂正してください。 )

“ No offense,  but – ”
https://mickeyweb.info/archives/11414
( 悪気はないのですが )

 

 

 

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