プロ翻訳者の単語帳

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For your information (FYI)

      2018/12/23

1. ご参考までに
2.(主に口頭)一応言っておきますが

ビジネスでもプライベートでも、
よく見聞きする<3語ワンセット>。
口頭でも文面でも用いる。

  1. 原則、参考情報の提供が趣旨
  2. 時に、きつい忠告を意図する

このように意味は2つに分かれる。
両者の意味合いと使用場面は大きく異なる。
この違いは、日本語から考えても理解できる。

本質的に、言語面よりはコミュニケーションの
問題。すなわち、人間の心理作用が問われる。

状況と言い草次第では、いちゃもんをつける
こととなり(2)、失礼に当たるので注意を要する。

◆ “for your information” は、今回調べた8点の
英英辞典のうちの4点で項目立てされている。
1と2の両方を説明する辞書は、”OALD9″ のみ。
それ以外は、いずれかを解説していた(後述)。

使用単語と文法は、基礎レベルである。
3語とも、最頻出かつ最重要の英単語。
そろって最高ランクの位置を占める。

– 重要:最上位 <トップ3000語以内>
– 書き言葉頻出:最上位 <トップ1000語以内>
– 話し言葉頻出最上位 <トップ1000語以内>
(ロングマン、LDOCE6 の表記より)

ここでの意味も用法も、それぞれ最も基本的なもの。

  • 目的の前置詞 “for”(~ために)
  • 人称代名詞の所有格 “your”(あなたの)
  • 不可算名詞 “information“(情報)

直訳は「あなたの情報のために」。
現実的な言い回しに換言すると、次のようになる。

  1. ご参考までに
  2. 言っておきますが

この流れはご理解できるだろうか。
既に言語の問題から離れている感がある。

<あなたの情報のために> →
「1. ご参考までに」→「2. 言っておきますが」

日本語からしても、不自然ではない展開だろう。
それぞれ見ていく。

 1. ご参考までに

【使い手の意図】
あなたのご参考になればと思い、情報提供をします。

<あなたの情報のために> これが本来の使い方である。
他意はなく、もっぱら情報提供が目的。

「本題から外れているが、参考程度にどうぞ」
とよかれと考えた末の追加情報である。

使い手が想像する「ご参考」なので、実際には
役立たない場合もありうる。

for your information” =
also FYI
used to say that you are telling or giving
someone 
something because they might
not know or have it 
and it could be useful
for them.

(CALD4、ケンブリッジ)

“OALD9″ では、”For information only
と「=」で結び、同義扱いする。

for information only” =
written on documents that are sent to
somebody who needs to know the information
in them but does not need to deal with them.
(OALD9、オックスフォード) ※ 下線は引用者

下線にある通り、あくまでも参考程度なので、
受け手は対処しなくてもよい

放置してもよく、気楽であろう。

性質的に、あってもなくてもよい情報だが、
もしかしたら有益かも、と考えて追加した感じ。

日本語の「ご参考まで」と趣旨は同じ。
使用場面も重なる。公私不問で使える。

頭文字の “FYI” と略記され、メールの件名
などに使われる。

 

 2. 一応言っておきますが

【使い手の意図】
あなたの間違った認識を、訂正してあげます。

こちらは使用上、要注意の “for your information”。
主に口頭で用いる。

項目立てする4点の英英辞書のうち、3点が解説する
意味合いである。(”CALD4” は1のみ)

For your information … ” =
spoken
used when you are telling someone that
they 
are wrong about a particular fact.

(LDOCE6、ロングマン)

for your information” =
2. (informal)
used to tell somebody that they are wrong
about something.
(OALD9、オックスフォード)

for your information” =
used for telling someone angrily that
they are 
wrong about something.
Macmillan Dictionary、マクミラン

※ 下線は引用者

英英3点の共通文言 “they are wrong”。
「彼らは間違っている」と告げている(”tell”)。

“spoken”(LDOCE6)、”informal”(OALD9)
と記されており、「口頭」「くだけた表現」
であることが分かる。

 

◆ 誤りの指摘の際に伴う感情は様々だろう。

この3点のうち、マクミランは “angrily“(上記赤字)
と明記する。「怒って」ということ。

真顔でたしなめたり、皮肉めいたり、はたまた、
苦笑いしつつ述べることもあるだろう。
「怒って」は一例に過ぎないと考える。

それでも、辞書が記載するということは、「怒って」
が代表例であるからに違いない。

これまた、人間心理の問題。
相手が間違っている時、どう指摘するか。

相手のプライドを傷つけないよう、やんわり示したい。
社会人であれば、こう考えるのが普通。

図に乗ってやり込めたら、自分の苦境を招くかもしれない。
人生は多分に因果応報だから。

こう考える人は、むやみに “for your information”
は使わない。誤解される危険性があるからである。

先の “angrily” が示すように、怒気を含むと解釈
されても不思議でない。

「一応言っておきますが」と和訳してみたが、
どうだろうか。もっと平たく言えば、

  • 言っとくけど
  • 一言言わせてもらうけど
  • 注意しておくけど

いずれも忠告だが、場合によっては、かなりの
いらだちを感じる。もう脅迫めいている。

繰り返すが、言語よりも人心掌握のスキルが焦点となる。
1 で検証した通り、そもそも “for your information” は
あなたの情報のために」を意味している。

きちんと使えば、間違いの指摘にも有効なはずだが、
先述のように、誤解されがちの表現である。
マクミランの語釈(angrily)を思い出していただきたい。

逆に、相手の誤りに対し、ここぞとばかり、しかし品よく
食らいつきたい時に、大変便利。

なぜなら、”for your information” の本分は
「1. ご参考までに」にあり、これを隠れ蓑に
することができるからである。

もとよりビジネスに多用される表現であり、下品さはない。
むかつく相手をチクチクとっちめるには、確かに
使い勝手がよい。

嫌味に拍車をかけることができ、嫌がらせに効果的。

もっとも、私たちノンネイティブが下手に使うと、
さじ加減を誤り、とんでもない結果を招く可能性がある。
とにかく、<要注意>の表現という点を押さえておきたい。

 

警告じみた 2 の用法と区別するため、1 をこう表すことがある。

Just for your information”

just” には、形容詞と副詞がある。
語源は、ラテン語「公正な」(jūstus)。

ここでは、副詞ただ~だけ」「ちょっとだけ」「念のため」。
露骨さを軽減する婉曲用法で重宝される。
【例】”just checking in“(お元気ですか)

“just” を付け足すことで、情報提供のみが目的である
ことを強調している。

日本語にも見られる、トラブル回避の婉曲表現である。

 

【類似表現】
for your reference
→ 意味も欠点も、”for your information”
とほぼ重なる。

for future reference
(今後のために、後学のために)

【関連表現】
“In case you haven’t noticed, – ”
https://mickeyweb.info/archives/2948
(一応言っておくけれど)

“Just so you know, -”
https://mickeyweb.info/archives/2160
(念のため、あなたに言っておきますけど)|

“Just to be safe”
https://mickeyweb.info/archives/2895
(念のため)

“Reminder”
https://mickeyweb.info/archives/3312
(思い出させるための表現)

“That’s all I’ve got to say.”
https://mickeyweb.info/archives/2227
(自分には、それしか言いようがない。)

”Nothing personal.”
https://mickeyweb.info/archives/1402
(個人的な意味はない。悪気はない。)

“With all due respect”
https://mickeyweb.info/archives/3944
(お言葉を返すようですが、失礼ながら)

“Correct me if I’m wrong.”
https://mickeyweb.info/archives/4685
(私が間違っていたら訂正してください。)

“No offense, but – ”
https://mickeyweb.info/archives/11414
(悪気はないのですが)

 

 

 

 

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