プロ翻訳者の単語帳

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For your information (FYI)

      2026/03/27

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 6 minutes

1.   ご参考までに
2.   一応、言っておきますが

ビジネスでも、プライベートでも、
よく見聞きする < 3語ワンセット >。

口頭でも文面でも用いる。

「 略語 」 ( abbreviation ) では、 頭文字の  ” FYI “。

頭文字語 で、 「 エフ  ワイ  アイ 」 と読む。

【発音】  FYI

「 頭文字語 」 と 「 頭字語 」 は混同されやすい。

  •  頭文字語initialism ) かしらもじご
    →  省略した語を、 1つ1つの 「 文字 」 で発音

    例 )
    FYIRSVPTBD、 IT、 DVD、 CD、 PDF、 NHK、
    BBC、 CIA、 FBI、 CNN
  •  頭字語acronym ) とうじご
    →  省略した語を、1つの 「 単語 」 で発音

    例 )
    UNICEF、 UNESCO、 NASA、 NATO、 JPEG、 GIF

 

1.原則、参考情報の提供  が趣旨

2.時に、きつめの忠告  を意図


” FYI ”  の意味は 2つ


両者の意味合い と 使用場面 は大きく異なる。

この違いは、 日本語から考えても理解できる。

本質的に、 言語よりはコミュニケーションの問題。

すなわち、人間の心理作用が問われる。

状況と言い草次第では、いちゃもんをつける

一幕となり(2)、 失礼に当たるので注意を要する。

なかなか危ない。


教えてやるよ

 


◆  ” for your information ” は、今回調べた8点の
英英辞典のうちの4点で項目立てされている。

1と2の両方を説明する辞書は、” OALD9 ” のみ。

それ以外は、いずれかを解説していた( 後述 )。

使用単語と文法は、基礎レベルである。

3語とも、最頻出かつ最重要の英単語。
そろって最高ランクの位置を占める。

  •  重要:最上位 <トップ3000語以内>
  •  書き言葉頻出:最上位 <トップ1000語以内>
  •  話し言葉頻出最上位 <トップ1000語以内>
    ( ロングマン、LDOCE6 の表記より )

中心となる語は  ” information “。

【発音】  ìnfərméiʃən
【音節】  in-for-ma-tion  (4音節)

” information ” の語源は、 ラテン語「 教授 」「 情報 」( informatio )。

” inform “( 知らせる )と同源で、「 情報 」の概念は一貫している。

略式の表記  ” info ” は、筆舌不問で年中出てくる。

【発音】  ínfou
【音節】  in-fo  (2音節)

意味も用法も、それぞれ最も基本的なもの。

  • 目的の前置詞  ” for “(~ために)
  • 人称代名詞の所有格  ” your “(あなたの)
  • 不可算名詞   ” information “(情報)

カタカナで定着済みの「 インフォメーション 」そのもの。

直訳は、あなたの情報のために

分かりやすく換言すると、

 

1.  ご参考までに

2.一応、言っておきますが

 

◆  次の流れを ご理解できるだろうか。

あなたの情報のために

1.  ご参考までに ( 参考情報の提供
2.  一応、言っておきますが ( きつめの忠告


日本語からしても、不自然はない展開だろう。

既に言語の問題から離れている感がある。

それぞれ見ていこう。

1.  ご参考までに

【 使い手の意図 】
あなたのお役に立てばと願い、
情報提供させていただきます。


参考情報の提供

あなたの情報のために > これが本来の使い方である。

他意はなく、 もっぱら情報提供が目的。

「 本題から外れていますが、 ご参考程度にどうぞ 」

よかれと考えた末の追加情報・説明付与・補説である。

使い手が想像する 「 ご参考 」 なので、 実際には
役立たないケースもありうる。


for your information

also
 FYI

used to say that you are telling or giving
someone something because they might
not know or have it and it could be useful
for them.

( CALD4、ケンブリッジ )


” OALD9 ” では、 ” For information only
と「 = 」で結び、 同義扱い する。


for information only

written on documents that are sent to
somebody who needs to know the information
in them but does not need to deal with them.

( OALD9、オックスフォード )

※  下線は引用者


下線にある通り、 あくまでも

参考程度なので、 受け手は必ずしも対処しなくてもよい

放置してもよく、 気楽であろう。

性質的に、 あってもなくてもよい情報だが、
もしかしたら有益かも、 と考えて追加した感じ。

日本語の 「 ご参考まで 」 と趣旨は同じ。

使用場面も重なる。

公私不問で使える。

同じく頭文字語 ( initialism )の  ” FYI ”  と略記される。

読みも 「 エフ  ワイ  アイ 」 で一致する。

【発音】  FYI


やはり情報提供の用途中心。

さらに、 控えめな注意喚起や穏やかな要請にも応用できる。

  •  ” We’d love to have you over.  FYI : We’re a no-shoe household.”
    ( ぜひお越しください。  申し添えますと、 我が家は土足禁止です。)

事務連絡のメール件名にも使われる。

  •  ” FYI : We’re moving servers next week ”
    ご参考:来週サーバーを移転します )

上の2文は、 割かし大切な伝達であり、 実は参考程度ではない。

「 放置してもよい 」 内容と判断しにくいものの、 強引さが少

ないから、 こうしたお願いやお知らせにも ” FYI ” は使われる。

 

2.  一応、言っておきますが

【 使い手の意図 】
あなたの間違った認識を、
この私が訂正してあげます。


きつめの忠告

こちらは使用上、 要注意の ” for your information “。

口頭の起用が目立つ印象。

項目立てする4点の英英辞書のうち、 3点が解説する
意味合いである。( ” CALD4 ” は1のみ )


For your information

spoken
used when you are telling someone that
they are wrong about a particular fact.

( LDOCE6、 ロングマン )


for your information

2.   ( informal )
used to tell somebody that they are wrong
about something.

( OALD9、 オックスフォード )


for your information

used for telling someone angrily that
they are wrong  about something.

( Macmillan Dictionary、マクミラン )

※  下線は引用者


英英3点の共通文言が、 ”  they are wrong ” ( 下線部 )。

「 彼らは間違っている 」 と告げている ( ” tell ” )。

” spoken “( LDOCE6 )、 ” informal “( OALD9 )で、
「 口頭( 話し言葉 )」 「 くだけた表現 」。

◆  誤りの指摘の際に伴う感情は様々だろう。

この3点のうち、 マクミラン は  ” angrily “( 上記赤字 )
と明記する。

「  怒って  」を意味する副詞。

【発音】  ǽŋgrəli
【音節】  an-gri-ly  (3音節)

真顔でたしなめたり、 皮肉めいたり、 はたまた、
苦笑いしつつ述べることもあるだろう。

「 怒って 」 は一例に過ぎないと考える。

それでも、 辞書が記載するということは、「 怒って 」
が代表例であるからに違いない。

これまた、 人間心理の問題。

相手が間違っている時、 どう指摘するか。

相手のプライドを傷つけないよう、 やんわり示したい。

社会人であれば、 こう考えるのが普通。

図に乗ってやり込めたら、 自分の苦境を招くかもしれない。

人生は多分に  因果応報  だから。

そう考える人は、 むやみに ” for your information ” を使わない。

誤解される危険性があるからである。

先の副詞  ” angrily ” の通り、 怒気を含むと解釈されても不思議はない。

「 一応、言っておきますが 」 と和訳してみたが、 どうだろう。


◆  もっと 率直な 口調なら、

  •  言っとくけど
  •  ひとこと言わせてもらうけど
  •  注意しておくけど

いずれも忠告だが、 相当いらだちを感じる。

直接言われてみると分かるが、 もう 脅迫 めいている。

In case you haven’t noticed, – ”  や  “ Just so you know, –
に似通う、 いらついた言い様。

繰り返すが、 言語よりは人心掌握のスキルが焦点。

1 で検証したように、 そもそも ” for your information ” は、

あなたの情報のために を意味している。

きちんと使えば、 間違いの指摘にも有効なはずだが、
誤解されがちな表現である。

マクミランの語釈 ( ” angrily ) を思い返そう。

 

◆  逆に、 相手のミスに対し、 ここぞとばかり、
しかし品よく食らいつきたい時に、 大変便利。

なぜなら、 ” for your information ”  の本分は、
「  1.  ご参考までに  」 にあり、

これを隠れ蓑にする  ことができるからである。

もとよりビジネスに多用される表現であり、 下品さは少ない。

むかつく相手を、 チクチクとっちめるには、 確かに使い勝手がよい。

嫌味に拍車をかけることができ、 嫌がらせに効果的。

もっとも、 私たちノンネイティブ( 非英語母語話者 )の場合、
さじ加減を誤り、 とんでもない結果を招く可能性もある。

 要注意 の表現である点は、しっかり押さえておくべし。

 

◆  警告じみた「2」 の用法と区別するため

「1」を以下の如く表すことがある。

頭に ” just ” を付け加えて、

Just  for your information


” just ” には、 形容詞と副詞がある。

【発音】  dʒʌ́st  (1音節)

語源は、 ラテン語「 公正な 」( jūstus )。

ここでは、 比較・程度の副詞 で、

ただ~だけ 」 「 ちょっとだけ 」 「 念のため 」。


露骨さを軽減する 婉曲 用法で重宝

される。

「 邪( よこしま )な動機はありませんから 」 とアピール。

just checking in ”  の  ” just ” と似ている。

副詞 ” just ” を付け足すことで、「 情報提供 」 こそ目当てである
ことを強調。

いうなれば、 予防線を張っている。

副詞  “ only “、 ” simply “、 ” merely ”  とあらかた同等。

言い振りを柔らかくしておき、 相手の誤解と反発を防ぐ。

日本語にも見られる、トラブル回避の婉曲表現

クッション言葉 」 が典型である。

 

 

【類似表現】

  for your reference
( ご参考までに )

→  意味も欠点も、” for your information ”
とやんわり重なるが、さほどきつくはない

  for future reference
( 今後のために、 後学のために )

  for your awareness
( ご参考までに )

→  ” for your information ” に比べると、
誤解されづらい印象

 

【関連表現】

 

 

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