プロ翻訳者の単語帳

Professional Interpreter / Translator at Government Agency

For your information (FYI)

      2020/10/30

1.   ご参考までに
2.   一応言っておきますが

ビジネスでもプライベートでも、
よく見聞きする<3語ワンセット>。

口頭でも文面でも用いる。

  1. 原則、参考情報の提供 が趣旨
  2. 時に、きつめの忠告 を意図

このように意味は2つに分かれる。

両者の意味合いと使用場面は大きく異なる。

この違いは、日本語から考えても理解できる。

本質的に、言語面よりはコミュニケーションの
問題。すなわち、人間の心理作用が問われる。

状況と言い草次第では、いちゃもんをつける
一幕となり(2)、失礼に当たるので注意を要する。


教えてやるよ

 

◆  “for your information” は、今回調べた8点の
英英辞典のうちの4点で項目立てされている。

1と2の両方を説明する辞書は、”OALD9″ のみ。

それ以外は、いずれかを解説していた(後述)。

使用単語と文法は、基礎レベルである。

3語とも、最頻出かつ最重要の英単語。
そろって最高ランクの位置を占める。

  •  重要:最上位 <トップ3000語以内>
  •  書き言葉頻出:最上位 <トップ1000語以内>
  •  話し言葉頻出最上位 <トップ1000語以内>
    (ロングマン、LDOCE6 の表記より)

中心となる語は “information”。

【発音】  ìnfərméiʃən
【音節】  in-for-ma-tion  (4音節)

“information” の語源は、ラテン語「教授」「情報」(informatio)。
“inform”(知らせる)と同源で、「情報」の概念は一貫している。

略した “info” も頻出である。

意味も用法も、それぞれ最も基本的なもの。

  • 目的の前置詞  “for“(~ために)
  • 人称代名詞の所有格  “your“(あなたの)
  • 不可算名詞   “information“(情報)

カタカナで定着済みの「インフォメーション」そのもの。

直訳は、あなたの情報のために

現実的な言い回しに換言すると、

1.  ご参考までに
2.  一応言っておきますが

次の流れはご理解できるだろうか。

あなたの情報のために

1.  ご参考までに

2.  一応言っておきますが

日本語からしても、不自然はない展開だろう。

既に言語の問題から離れている感がある。

それぞれ見ていく。

 1.  ご参考までに

【使い手の意図】
あなたのお役に立てばと願い、
情報提供させていただきます。

<あなたの情報のために> これが本来の使い方である。

他意はなく、もっぱら情報提供が目的。

「本題から外れているが、参考程度にどうぞ」

よかれと考えた末の追加情報である。

使い手が想像する「ご参考」なので、実際には
役立たないケースもありうる。

“for your information”

also FYI
used to say that you are telling or giving
someone 
something because they might
not know or have it 
and it could be useful
for them.

(CALD4、ケンブリッジ)

“OALD9″ では、”For information only
と「=」で結び、同義扱いする。

for information only

written on documents that are sent to
somebody who needs to know the information
in them but does not need to deal with them.
(OALD9、オックスフォード)

※  下線は引用者

下線にある通り、あくまでも参考程度なので、
受け手は対処しなくてもよい

放置してもよく、気楽であろう。

性質的に、あってもなくてもよい情報だが、
もしかしたら有益かも、と考えて追加した感じ。

日本語の「ご参考まで」と趣旨は同じ。
使用場面も重なる。

公私不問で使える。

頭文字の “FYI” と略記され、メールの件名
などに使われる。

そのまま「エフ  ワイ  アイ」と読む。

【発音】  FYI

 

 2.  一応言っておきますが

【使い手の意図】
あなたの間違った認識を、
この私が訂正してあげます。

こちらは使用上、要注意の “for your information”。

口頭の起用が目立つ印象。

項目立てする4点の英英辞書のうち、3点が解説する
意味合いである。(”CALD4” は1のみ)

For your information …

spoken
used when you are telling someone that
they 
are wrong about a particular fact.

(LDOCE6、ロングマン)

for your information

2. (informal)
used to tell somebody that they are wrong
about something.
(OALD9、オックスフォード)

“for your information”

used for telling someone angrily that
they are 
wrong about something.
Macmillan Dictionary、マクミラン

※  下線は引用者

英英3点の共通文言 “they are wrong”(下線部)。

「彼らは間違っている」と告げている(”tell”)。

“spoken”(LDOCE6)、”informal”(OALD9)で、
「口頭(話し言葉)」「くだけた表現」。

◆  誤りの指摘の際に伴う感情は様々だろう。

この3点のうち、マクミランは ” angrily “(上記赤字)
と明記する。

怒って 」ということ。

真顔でたしなめたり、皮肉めいたり、はたまた、
苦笑いしつつ述べることもあるだろう。

「怒って」は一例に過ぎないと考える。

それでも、辞書が記載するということは、「怒って」
が代表例であるからに違いない。

これまた、人間心理の問題。
相手が間違っている時、どう指摘するか。

相手のプライドを傷つけないよう、やんわり示したい。
社会人であれば、こう考えるのが普通。

図に乗ってやり込めたら、自分の苦境を招くかもしれない。

人生は多分に因果応報だから。

こう考える人は、むやみに “for your information” を使わない。

誤解される危険性があるからである。

先の “angrily” が示す通り、怒気を含むと解釈されても不思議はない。

「一応言っておきますが」と和訳してみたが、どうだろうか。

より率直に言うなら、

  •  言っとくけど
  •  一言言わせてもらうけど
  •  注意しておくけど

いずれも忠告だが、時として相当いらだちを感じる。

直接言われてみると分かるが、もう脅迫めいている。

In case you haven’t noticed, – ” や “Just so you know,-
に似通う、いらついた言い様。

繰り返すが、言語よりは人心掌握のスキルが焦点。

1 で検証したように、そもそも “for your information” は
あなたの情報のためにを意味している。

きちんと使えば、間違いの指摘にも有効なはずだが、
誤解されがちの表現である。

マクミランの語釈(angrily)を思い出していただければと思う。

逆に、相手の誤りに対し、ここぞとばかり、しかし品よく
食らいつきたい時に、大変便利。

なぜなら、”for your information” の本分は「1. ご参考までに」
にあり、これを隠れ蓑にする ことができるからである。

もとよりビジネスに多用される表現であり、下品さはない。

むかつく相手をチクチクとっちめるには、確かに使い勝手がよい。

嫌味に拍車をかけることができ、嫌がらせに効果的。

もっとも、私たちノンネイティブ(非英語母語話者)の場合、
さじ加減を誤り、とんでもない結果を招く可能性もある。

とにかく、< 要注意 >の表現である点を、しっかり押さえておきたい。

 

◆  警告じみた「2」 の用法と区別するため
「1」をこう表すことがある。

Just for your information

just” には、形容詞と副詞がある。

【発音】  dʒʌ́st  (1音節)

語源は、ラテン語「公正な」(jūstus)。

ここでは、比較・程度の副詞で、

ただ~だけ 」「 ちょっとだけ 」「 念のため 」。

露骨さを軽減する婉曲用法で重宝
される。

【例】

・ “just checking in
・ “just a phase

 

“just” を付け足すことで、目的は情報提供にある
ことを強調している。

副詞 “simply“、”merely” と概ね同等。

言い振りを柔らかくしておき、相手の誤解と反発を防ぐ。

日本語にも見られる、トラブル回避の婉曲表現 である。

 

 

【類似表現】

■  for your reference
→  意味も欠点も、”for your information”
とほぼ重なる。

■  for future reference
(今後のために、後学のために)

【関連表現】

“In case you haven’t noticed, – ”
https://mickeyweb.info/archives/2948
(一応言っておくけれど)

“Just so you know, -”
https://mickeyweb.info/archives/2160
(念のため、あなたに言っておきますけど)

“Just to be safe”
https://mickeyweb.info/archives/2895
(念のため)

“Reminder”
https://mickeyweb.info/archives/3312
(思い出させるための表現)

“That’s all I’ve got to say.”
https://mickeyweb.info/archives/2227
(自分には、それしか言いようがない。)

”Nothing personal.”
https://mickeyweb.info/archives/1402
(個人的な意味はない。悪気はない。)

“With all due respect”
https://mickeyweb.info/archives/3944
(お言葉を返すようですが、失礼ながら)

“Correct me if I’m wrong.”
https://mickeyweb.info/archives/4685
(私が間違っていたら訂正してください。)

“No offense, but – ”
https://mickeyweb.info/archives/11414
(悪気はないのですが)

 

 

 

 

Sponsored Link




Jetpack

 - 英語, 英語フレーズ