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Second to none

      2020/12/16

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 3 minutes

誰にも負けない、  人後に落ちない 

直訳は「誰に対しても2番目にない」(後述)。

2番目にないとは、それに劣る順位にもならない
ことを前提とするため、残りは1番目のみ。

したがって「誰にも負けない」に。

ただし、単独1位のみならず、同列1位であってもよい
との解釈もある。

英英辞典も、同列1位を匂わすものとそうでない
ものとに分かれる。

◆  以下、英英6点を調べた結果である。

“second to none”

◇  “LDOCE6” のみ、be second to none”


<単独1位>

  • to be the best.
    (ロングマン、LDOCE6)
  • nobody is better.
    (オックスフォード、OALD9)   ※  独立項目ないため、例文より
  • the best.
    (マックミラン)
  • better than all others of the same kind.
    (メリアム ウェブスター)

<同列1位もあり>

  • as good as or better than all others.
    (ケンブリッジ、CALD4)
  • it is very good indeed or the best that there is.
    (コリンズ / COBUILD)

一見、くだらない比較かもしれない。

だが、勝負事の場合、同列1位を許すか否かで
ランキングの全体像は違ってくる。

また和訳時も、何かと考慮する必要がある。

6辞書の共通項は、より勝る者がいない

この要件であれば、単独1位、同列1位ともに満たす。

“second to none” の定訳に近いのが、「人後に落ちない」。
人後(じんご)とは、「他人のあと」のこと。

「人後に落ちない」

■  他人にひけをとらない。人に劣らない。
(広辞苑 第七版)

■  人のあとになる。他人より劣る。他人の風下(かざした)
に立つ。おくれをとる。ひけをとる。
(精選版 日本国語大辞典)

上の2点の国語辞典の語釈すべてが、先の「より勝る者がいない」
の要件を満たす。

もちろん、単独・同列云々は一切不問。

堅い表現であるため、文脈・文体上、違和感なく適用できるかを
別とすれば、定訳として十分な内容である。

この2点の示す語釈は、”second to none” の主な和訳がそろっている

英和辞典だけでなく、国語辞典を上手に取り入れると、和訳が楽に
なる好例である。

類語辞典も便利。

私はどれも常時活用している。

【参考】  辞書の「自炊」と辞書アプリ

◆  “second to none” の単語は、全部が基礎レベル。

ひとつずつ見ていこう。

1) “second” には、形容詞・副詞・名詞・他動詞がある。

【発音】  sékənd
【音節】  sec-ond  (2音節)


語源は、ラテン語「2番目の」(secundus)。

カタカナ「セカンド」「セコンド」もこの通り。

平板で、均一なリズムの日本語では、
4音節の「 –  –  – 」。

英語では2音節で、初っ端の第1音節にアクセント(強勢)。

セカン 

音節」(syllable、シラブル)とは、発音の最小単位。

→  音節の差異が顕著な日英比較は、”integrity” 参照

 

◆  “second” の基本的意味は語源「2番目の」を貫く。

 

 

例外的なのは、他動詞「援助する」「賛成する」。

これとても、 ボクシングの「セコンド」=「介添人」
をイメージすれば、どうにか「援助する」に結びつく。

【注意】

「秒」「一瞬」を意味する “second” の語源
は同源(2番目の)だが、現在は別単語とされる。

英和、英英辞典でも、別項目扱いされている。
発音は同じ。

【発音】  sékənd
【音節】  sec-ond  (2音節)

表題では、形容詞「2番目の」転じて「劣る」。

second to – ” のフレーズで「~に劣る」となる。

 

2) “to” は、行為などの対象の前置詞「~に対して」「~にとって」。

形容詞 “second” に伴うため、「~に対して2番目の」
転じて「~に対して劣る」。

形容詞(斜体)+ 対象 “to” の例

  • “I’m new to here.”
    (ここに来たばかりです。)(ここの新人です。)
  • ”She is kind to others.”
    (彼女は他人に対して親切)
  • ”His story is known to everyone.”
    (彼の話は全員にとって知っていること。)
  • ”He seems nice to me.”
    (私にとって、彼はいい人に思える。)

 

3) “none” には、代名詞・副詞・形容詞がある。

【発音】  nʌ́n  (1音節)

語源は、古英語「ひとつもない」(nān)。

これは、” no one ” を意味する。

◇  no one,  not one,  nobody  より文語的

( 『ランダムハウス英和大辞典 第2版 』 )

語源から推定できるように、基本は代名詞。

代名詞 “none” は、”no” の代名詞用法に相当する。
“second to none” でもその通りで、「誰も~ない」。

< “none” の単複 >

代名詞 “none” は、単数扱いと複数扱いのいずれもある。

辞書を読んでもすっきりしないのは、例外がいくつかあるため。

基本は次の通り。

(1) “none” が指す名詞(多くが “none of” の直後)
が可算名詞
の複数形である場合、単複いずれもOKだが、
複数扱いが通例。


殊に “not one” の意味を強調したい時には、単数を使う。

  • None are completely satisfied.
  • None is completely satisfied.
    (完全に満足している人はいない。)
  • None of us were there at the time.
  • None of us was there at the time.
    (その時、我々の中でそこにいた人はいなかった。)

(2) “none” が指す名詞が、不可算名詞または単数形
の代名詞
の場合は、単数扱い

  • None of the furniture is worth buying.    ※  不可算名詞
    (これらの家具のどれも買うに値するものはない。)
  • It is none of your business.    ※  不可算名詞
    (それは余計なお世話です。)
  • None of this makes sense.    ※  単数形の代名詞
    (このどれも意味をなさない。)


◆  前出の『ランダムハウス』を再び引用すると、


( 『ランダムハウス英和大辞典 第2版 』 “none” )

以上より、3語を組み合わせると、
冒頭の「誰に対しても2番目にない」。

]”second to – “(上記の青字)の「~に劣る」を代入すると、
「誰に対しても劣らない」となる。

「人後に落ちない」との意味はそう難しくないが、
文法面はなかなか奥深い。

それでも、シンプルな3単語のおかげで、一度理解しておけば、
ご自分でも手軽に使えるようになるはず。

◆  基本は「be動詞」に続く。

先の “LDOCE6” の項目立て通りである(上記の緑字)。

“second to none” の<3語ワンセット>で、形容詞
の意味合いをもつため、「be動詞」に続くのが基本。

なぜ、基本として「be動詞」に続くのかは、”aware”、
vocal about”、”conclusive” で詳述した。

ぴんとくることがなければ、おさらいしていただければ幸い。

以下のような短文から、使い方を学び取るとよい。

負けないで


“As a runner, he is second to none.”
(彼はランナーとしては誰にも負けない。)

“She is second to none, by all accounts.
(誰に聞いても、彼女に比肩する者はない。)

“The quality of this product is second to none.”
(この製品の品質に並ぶものはない。)

“His record as a pitcher is second to none.”
(ピッチャーとしての彼の成績に迫る者はいない。)

“Her performance is second to none.”
(彼女の実績に匹敵する者はいない。)

“Their customer service is second to none.”
(あの会社のカスタマーサービスは唯一無二のもの。)

“Her expertise and devotion to duty are second to none.”
(彼女の専門知識と職務への熱意に肩を並べる者はいない。)

【関連表現】

  • second to last
    (最後から2番目)
  • second only to –
    (~に次いで2番目)
  • hands down
    https://mickeyweb.info/archives/26312
    (楽々、断然)

 

 

 

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