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Crystal clear

      2019/01/08

非常に明確な

“crystal clear” は「クリスタルのようにクリア」
な状態を指す。状態だから形容詞。

頭韻法(head rhyme、alliteration)に基づく、少々
しゃれた言い回しだが、ニュースにも時々出てくる。

  • “The requirements for this case were
    crystal clear.”
    (この案件の要件は、非常に明確だった。)
  • “There is one thing that is crystal clear.”
    (非常に明らかなことが一つある。)
  • “His message is crystal clear.”
    (彼の伝えたいことは、極めて明確である。)

※【頭韻の例】
・ first and foremost
・ works wonder
・ blond bombshell

◆「クリスタルのようにクリア」と聞いて、構図が
イメージできれば、理解は容易になる。

■  クリスタル【crystal】
1. 水晶
2. 結晶
3. クリスタル・ガラスの略

■  クリア【clear】
1. 明らかなさま。明晰。んでいること。
冴えていること。
2. 高跳で、バーを越えること。
3. サッカーなどで、自陣ゴール近くのボール
を遠くに蹴り返すこと。
4. 難しい目標をこえること。基準を満たすこと。
5. コンピューターなどで、数値や指示が与えられて
いない状態にすること。また、画面を何も表示して
いない状態にすること。

(広辞苑 第七版)

2語とも、中型以上の主要な国語辞典にて
項目立てされている。語釈は広辞苑と重なる。
【例】
・ 大辞林 第三版
・ デジタル大辞泉
・ 精選版 日本国語大辞典

したがって、「クリスタルのようにクリア」な状態
であると説明しても、不親切とまでは言えない。
国語辞典に掲載されるカタカナ語は、日本社会にて
一定以上に普及したものに限定されるからである。

そこで、英英辞典に移る前に、上述の広辞苑から
検討して見よう。
英語の “crystal” 及び “clear” と共通する意味ばかり
なので、国語辞典から攻める方が手っ取り早い。

◆ まず、”crystal clear” の “crystal” から。
名詞のみの語で、語源はギリシア語「氷」
(krystallos)。

ギリシア人は氷、雪、霜などの美しさに
心を打たれた。やがてそれらの構造が明らか
になり「結晶」の意が生まれた。

(ランダムハウス英和大辞典 第2版)

“crystal clear” において、「水晶」(=不可算名詞、時に
可算名詞)なのか、「結晶」(=可算名詞)なのかは不詳。
語源から考えて、水晶の可能性が高い。

それよりも着目すべきは、不純物のない美しい姿。
これは両者に共通するため、「水晶」か「結晶」かは
大した問題ではないだろう。

次に、”clear”。ここでは動詞ではなく、形容詞。
形容詞 “clear” は、英単語全体から見ても、
最頻出かつ最重要。

すなわち、以下3項目にて最高ランク。

– 重要:最上位 <トップ3000語以内>
– 書き言葉頻出:最上位 <トップ1000語以内>
– 話し言葉頻出最上位 <トップ1000語以内>
(ロングマン、LDOCE6 の表記より)

表題における意味は、広辞苑の黄ハイライトの通り。
語源は、ラテン語「明るい、澄んだ」(clārus)。
clarify” と同源である。

澄んだ美しさ、明晰さはかなり好印象。素敵だ。

“crystal” または “clear” から派生した女性名は、
昔から存在する。”crystal” は名字にも見かける。
【例】
Clarice Starling(『羊たちの沈黙』主人公)

“crystal”(水晶、結晶)+ “clear”(澄んだ)

まじりけがなく、キラキラ透き通った様子。
一点の曇りもないので、はっきり見える。
転じて、非常に明確で、疑問の余地のない状態
を表す。

◆ 3大学習英英辞典(EFL辞典)の解説も
“crystal clear” に似つかわしく、冴えている。

“crystal clear”

1. very clearly stated and easy to understand.
2. completely clean and clear.
(LDOCE6、ロングマン)

1. (of glass, water, etc.) completely clear and bright.
2. very easy to understand; completely obvious.
(OALD9、オックスフォード)

1. extremely clear.
2. very easy to understand.
(CALD4、ケンブリッジ)

どれも “very easy to understand”。
この文言が全3冊に記載されているだけでなく、
語釈自体が押しなべて「大変分かりやすい」。

3大EFL辞典の面目躍如たる強みを見せつける。
英語の初学者でも、すっと理解できるだろう。

とりわけ、CALD4の簡潔な説明は美しい。
「1. 極めて澄んでいる 2. 大変分かりやすい」。

具体的な使い方は例文に任せるしかないのだが、
意味を把握するには要領を得ている。

学習上、何よりも大枠をつかむことが大切である。
枝葉末節よりも、全体像を優先すべきである。

この目的から見れば、EFL辞典は実に役立つ。
英語学習上、本質的な要素に焦点を絞っているから。
初学者、中級者のみならず、相当の英語力の持ち主
にとっても、あやふやな点の確認に有効である。

私自身、 3大学習英英辞典(EFL辞典)はもちろん、
英語ネイティブ用の英英辞典も頻繁に参照する。
弊サイトでは、双方を調べ、随時引用している。

◆ 名詞などの前に置く場合は、”crystal-clear
とハイフンを入れる場合もある。

しかし、同じ「複合形容詞」(compound adjectives)
の “well-liked” などと異なり、ハイフンなしの方が
一般的な形容詞である。

今回調べた8点の英英辞典のうち、1冊以外
はハイフンなしで項目立てしていた。

その1冊とは、2014年発行の
Collins English Dictionary 12th Edition
英語ネイティブ向けの英英辞典である。

コウビルド(COBUILD)の「兄」のような
位置づけにある。

そもそも「コウビルド」は、“Collins Birmingham
University International Language Database”
の頭文字をとって ”COBUILD“ と称する。

コリンズ社が資金を出し、バーミンガム大学が集めた
英文データベースを指す。

※ 詳細は、LDOCE(ロングマン現代英英辞典)

  • “The fact seems to be crystal clear.”
    (事実はこの上なく明らかに思える。)
  • “She has made that crystal clear.”
    (彼女はそれを非常に明確にしました。)
  • “His motives now became crystal clear.”
    (彼の動機は今や極めて明白になりました。)
  • “Let me make this crystal clear.”
    (はっきり説明して差し上げましょう。)
  • “We have a crystal-clear goal.”
    (我々には非常に明確な目標がある。)
  • “The water was crystal clear.”
    (水は完全に透明だった。)

【関連表現】
“loud and clear”
https://mickeyweb.info/archives/2776
(はっきり聞こえています。了解です。)

“send a clear signal”
https://mickeyweb.info/archives/12260
(明確なメッセージを送る、警告を送る)

 

 

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