プロ翻訳者の単語帳

Professional Interpreter / Translator at Government Agency

Draw the line

      2024/04/17

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 10 minutes

限界を設ける、  一線を画する、  線引きする

直訳は 「 一線を引く 」。

” draw a line ”  も 「 一線を引く 」。

私たち日本人には、 同じ意味に感じる。

だが、 あの厄介な 「 冠詞 」 の区別を思い起こせば、
なんらかの違いがあるはずだと見当が付く。

 

どっちなの ?

 

結論から述べると、 共通点も相違点もある

また後述の通り、 大差はなく、 ごっちゃに
されていたりする。

両者の比較は、 特に 中級学習者 にとっては、
復習を兼ねた思考を巡らすきっかけとなる。

 

◆  2つはニュースにも出てくる。

どちらが用いられたか、なぜそちらが起用されたのか。

代替可能なのか。

今後、 見聞きした際に考察してみるとよい訓練になる。

いざ自ら使う時に、 あまり迷いにくくなるだろう。

外語の場合、 母語と異なり、大して意識せずに
的確な表現が出てくるまでには、相当の工夫が必要。

一般的に「 本能的に 」 習い覚える第一言語( 母語 )
と外語とでは、 習得過程が大きく異なる。

母語は、 環境・知能などに問題がなければ、 自然に
習得できるよう 「 人間の本能 」 にプログラムされている。

普通に育った子が、 文法を勉強する前から、 母語となる現地語
を話せるようになる、主な理由である。

基礎文法がいつしか無自覚で内面化できているのは、 母語ゆえ。

【参照】  日本語母語話者の 英語習得は かなり難しい

母語と外語とでは、 習得過程が異なるため、 特殊な環境・
才能に恵まれた人を除けば、 読み書きを含む文法を別途
学ばない限り、 外語としての「 4技能 」は身につかない。

文法学習なしで、 4技能を一定水準以上まで会得できるのは、
特殊な環境・才能に恵まれた人を除けば、 「 母語に限る 」。

特殊な環境・才能に恵まれた人であっても、 厳密に検証すると、
彼らの一部は、 なんと 「 セミリンガル 」 だったりする。

【参照】  母語が確立できていない 「 セミリンガル 」 の悲惨

 

◆  知識をきちんと整理し、自ら試す地道な努力を重ねて、
ようやく無意識レベルで使えるようになるのが外語。

私自身、 40年以上に渡り、 単語帳 を日に日に作成中。

地味で暗い作業かもしれないが、 結構楽しんでいる。

弊サイトでは、その中から選り抜いてご紹介している。

 

◆  ” draw ” は、多義の自動詞・他動詞・名詞。

語源は、古英語「 引く 」( dragan )。

【発音】  drɔ́ː  (1音節)

ここでは、 他動詞「( 線を )引く 」 「( 線で )区分する 」。

引き分け 」「 抽選 」「 ドローイング 」も、 ” draw “。

【活用形】  draws – drewdrawn – drawing


◆  本稿の表題は  ” the ” にした。

なぜなら、 ” a ” に比べ、 数多くの辞典で項目立てされていたから。

そのため、 ” the ”  の方が熟語的だと目星が付く。

調べてみると、 果たして予想通りであった。

まずは、 LDOCEで比較。


  draw a line  ( between something )

to think or show that one thing is different
from another.

→  両者の区別を考えたり示したりすること


  draw the line  ( at something )

to allow or accept something up to a
particular point, but not beyond it.

→  受容する限界を定めること


  where do you draw the line ?

spoken
used to say it is impossible to decide at
which point an acceptable limit has been
reached.

→  「どこに限界を設ければよいのか?」
と受容する限度を判断しかねる疑問文

( LDOCE6、 ロングマン )

※  矢印は参考和訳


直訳は 「 一線を引く 」 と冒頭に記した。
この日本語も、 実は一義にとどまらない。

ここに気づけば、話が早い。


   いっせん【一線】

[名]
2.  はっきりしたくぎり。 区別。 けじめ。
また、限界限度

  いっせん【一線】を画(かく)する

境界をはっきりさせる。はっきりとくぎり
をつける。 区別する。

精選版 日本国語大辞典

  一線を画する

( 境界線を引いて ) 相互の区別をはっきりさせる。

大辞林 第四版


国語辞典と先の ” LDOCE6 ” の語釈を比較する。

「 一線 」には、 「 区別 」 と 「 限界 」 の両方の意味がある。

一方、 ” a line ” =「 区別 」、 ” the line ” =「 限界 」
と  ” LDOCE6 ”  は示す。

とすれば、「 一線 」 は  “ a line ”  と  ” the line ”  を兼ねる。

「 一線を画する 」は、「 区別 」 しか明示していないものの、
「 一線 」の意味を考慮すれば、「 限界 」 も含むこととなる。

さらに、 次の「 一線を越える 」からも、「 区別 」 「 限界 」
とも適用できることが分かる。


  一線を越える

けじめや限界を越える。
現状を変えるような思い切った行動をする。

『 広辞苑 第七版 』
新村 出(編) 岩波書店、  2018年刊
( ロゴヴィスタ アプリ版 )


となると、 日本語の「 一線 」は、 文脈次第で
” a / the line ”  のいずれも可能と考えられる。

これは 「 線引きをする 」  にも当てはまる。


  せんびき【線引】

[名]
4.  一般に区分すること。 境界を定めること。

( 精選版 日本国語大辞典 )


こうなると、 ” draw a line ”  と  ” draw the line
の和訳は、 「 一線を画する 」 「 線引きをする 」
で間に合ってしまう。

 

◆  名だたる 「 英和大辞典 」 3点では、


  draw a [or the] line

(2)( … を )区別する 《 between … 》
(3)一線を画す,   限界をおく;  ( …の ) 一線を越えない,
( … の手前で )一線を画す,  ( …までは )やらない《 at … 》


※  n.1.  ( ペン・鉛筆などで引いた )線;( 路上に描かれた ) 白 [ 黄色 ]の線
※  n.8.限界( 線 ); 限界,  限度; 〔 法律 〕( 不動産の ) 限界


『 ランダムハウス英和大辞典  第2版 』
小学館、1993年刊 ( 物書堂  アプリ版 )
  …  ” line 1 ”  の語釈より

 


  draw the [a] line

(1)( … に )制限を設ける( set a limit ),
( … の点で )いけないと言う( object );
( … するのを )断る( at,  against ).
(2)( … の間に)一線を画す,
( … を)区別する( between ).


『 ジーニアス英和大辞典 』
大修館書店、2001年刊 ( ロゴヴィスタ アプリ版 )
…  “ line 1 ”  の語釈より
<大修館書店HP>

 


  draw the [a] line ( at… )

( … に )行動の限界をおく,
( … まで  [ 以上 ] は )やらない


『 研究社 新英和大辞典 第6版 』
研究社、2002年刊 ( ロゴヴィスタ  アプリ版 )
  …  ” line 1 ”  の語釈より  


どれも  “ draw the [a] line ”  の語釈すべて。

日本が誇る錚々たる 「 英和大辞典 」 3点である。

英語の専門家なら誰もが知る、 堂々の 存在感

ところが、 今回調べた9点の英英辞典では、
一括りに項目立てしたものは1つだけ ( 後掲 )。

先に触れたように、 ” the ” は多くの英英( 9点中7点
が独立項目を設けていたが、 ” a ”  は   ” LDOCE6 ” と
” COBUILD9 ”  のみが該当した。

また、 英英7点のうち6点において ” a ” は併記
されていなかった。

留意すべき相違点である。

 

◆  とはいえ、 先述の通り「 大差はない 」 ことは確認できた。

前掲の LDOCE6 を除いた6点の語義を挙げる。


  draw the line
( between something and something ) “

to distinguish between two closely related ideas.
( OALD9、 オックスフォード )  

   draw the line

to never do something because you
think it is wrong.
( CALD4、 ケンブリッジ )

  draw the line at

If you draw the line at a particular activity,
you refuse to do it,  because you disapprove
of it or because it is more extreme than
what you normally do.
( COBUILD9、 コウビルド )

  draw the line

to reasonably object ( to ) or set a limit ( on ).
( Collins English Dictionary, 12th Edition )

  draw the line

to say that you will definitely no allow or
accept something.
( Macmillan Dictionary、 マクミラン )

  draw the line or draw a line

1.  to fix an arbitrary boundary between
things that tend to intermingle.
2.  to fix a boundary excluding what one will
not tolerate or engage in.   
Merriam-Webster、 メリアムウェブスター )


ここには、” a line ” であっても違和感のない語釈
「 区分 」が含まれている。

すなわち 「 」 のOALD9。

」 の Merriam-Webster は、
「 英和大辞典 」 同様に、 一括して説明する唯一の英英。

「 英和大辞典 」 の一括りは、 間違いとまでは言えないのだろう。

以下の英語学習サイト( 英文 )を見ても、
両者の違いについて、 歯切れの悪い回答が並ぶ。

https://forum.wordreference.com/threads/draw-a-the-line.2506269/

 

◆  解釈が分かれる( = 論点となる ) 箇所については、
一般学習者の場合、 時間をかけすぎない方がよい。

とりあえず、「 両方使われているらしい

くらいに理解しておき、 さっさと次へ進もう。

論点に深入りするのは 「 危険 」。

時間と意欲の浪費で、 学習の頓挫を招く。

典型的な挫折の経緯であり、 実にもったいない。

論点の分析は、 学者や研究者などの専門家に任せる。

一般学習者が考え抜いても、 混乱するだけであろう。

これからやるべきことは、 まだまだたくさんある。

優先して学習すべき重要点に、 もっと注力したい。

いちいち立ち止まると、 せっかくの努力が報われない。

 

◆  言語の世界は、 理論と運用の一致しない場面が少なくない。

【参照】  ” threshold “、    ” elaborate

恣意的・気分的要素も珍しくなく、 理屈が通らないことも。

高い素養を積んだ、 立派な学者らプロですら、
歯切れの悪い回答をしている事例はままある。

こんな分野に素人がはまると、 どうなるか。

いつまでたっても 前進 できずに、 嫌気がさす。

失意の淵に落ちて、 失望したまま段々と遠のく。

その後、 激しい自己嫌悪に襲われたりするのが、 悪しきパターン。

この流れでは、 英語学習がしんどく、 嫌いになるのも無理はない。

「 真面目な人 」 が英語に挫折しやすい、 主な原因である。


印欧語族 同士は 「 りんご – ぶどう 」 、

日英間は 「 りんご – くるま 」 みたいな差。

この雲壌の相違が、 英語習得の難易度の隔たり。

( 中略 )

◆  日本語と英語の埋めがたい差異を踏まえると、 日本語で
英語をどこまでも理解しようとする 思惑そのものがよくない。

日本語は、 英語習得の 「 踏み台 」 になりにくい言語

強引に結びつける熱意自体が、 激しいストレスを作り出す

無理強いして、 嫌がる男女をくっつけようと奮闘するかのよう。

相性悪いんだから、 やめとけ !

先の 「 りんご – くるま 」 の共通点をあくせく探るようなもの。

それほど生真面目ではない学習者は、 一筋に思い詰めない。

必要以上に日本語と比較検討せず、 くよくよ思い煩わない。

「 ああ、 英語ってこうなんだ〜 」 くらいに別物として捉え、
ピッチを上げてぐいぐい取り込み、 まっすぐ伸びていける感じ。

「 りんご – くるま 」  がどう違うか焦慮し、 始終かりかりしたり、
やきもきしないから、 疲れず、 意気消沈しにくく、 挫折しない。

神経をすり減らさず、 エネルギーを消耗せず、 のんきに続ける。

思わず知らず 「 習うより慣れよ 」 をあっさり具現・体現する。

初級を卒業し、 基礎単語・基礎文法を修得した 中級者 ならば

日本語で詳細に解説するような教材よりは、 ぜひ早め早めに

力量相応の 「 生の英語 」 を中心に据える方が、

良好な結果を生む。


no need  より

あんなに頑張ったのに …    あの努力はなんだったんだ …

大勢のつまずきを思うと、 非常に悔しく、 胸が痛む。

分からない箇所は、 後日戻るべく目印をつけて飛ばし、 先に進め

Trying to be perfect leads to procrastination.
( 完璧を目指すと、先延ばしを招く。 )

 


「 なんでここが ” a ” なんだ ? 」 こうして考察することで向上していく。

初学者・初級者が見過ごす論点を捉え、 疑問が浮かび上がるのが中級者。

不明点が増えて嫌気がさし、 おびただしい挫折者が氾濫するのも中級者。


To the extent possible “  より

 

理屈が通りにくい、恣意的・気分的要素を踏まえ、 解き明かすことはややこしい。

その解説が適切であればまだしも、 言語の世界は一筋縄ではいかないことが多い。

あらゆる角度から分析した達意平明の教材よりは、 粗製濫造じみた傾向があり、

異議を挟みたくなる記述が散見される。

Could you update  – ?  ”  の後半にて、 ネイティブ学者の説に反証してみた。

 

 

正しい文法は尊ぶべきものだけれども、

日英の総合的な雲泥の差を加味すれば、

深入りしすぎる前に切り上げないと、

それだけで人生が終わってしまう

 


プロであれば、 好き嫌い抜きで、 強行突破する折が多々生じる。

お金をいただいており、 正式に職責を負うためで、 言うを俟たない。

対して、 アマチュアの英語学習者の場合、 苦手でしんどい課題に、
あまり時間をかけすぎない方が、 好手ではないかと感じている。

強行突破で金稼ぐプロ以上に、 不振に見舞われる危機に立たされる。

( 中略 )

非現実的な 「 理想 」 に執着するよりも、 ご機嫌に続ける方が、
最終的に勝ることは、 おびただしい学習者の挫折を見て学べる。

最初から欲張らずに、 さして無理なく継続できるペースを保つ。

不得手分野は、 そこそこ自信がついてから、 戻ってくればよい。

一旦棚上げにし、 得意分野をきびきび歩む方が、 ぐんと伸びる。

手つかずでも、 影響がなさそうであれば、 後回しまたは手放す。

no need  より


目標が違うプロ・セミプロの基準は別で、 軌を一にするはずないのが常識。

同じ野球でも、 「 プロ野球 」 と 「 高校野球 」 を同水準で論じない。

どちらも食うか食われるかの真剣勝負だが、 同じ土俵で向かい合わない。

あるいは、 草野球を楽しむアマチュア選手にプロ野球の厳しさは不相応。

並々ならぬ犠牲を伴うのがプロの道、 無報酬で立ち入るべき世界でない。

こと英語教育に限っては、 久しく混こぜにしてきた異常さに気づくべし。

conclusive  より


  中級の大人であれば、

苦手分野には構わず

相性と力量に釣り合う、 得意分野の「 生の英語 」 に絞り、

 日常にぶち込む 

 

「 人生に残された時間 」 との兼ね合いを考慮すると、

苦手分野に近づかない勇気と決断は大切。

 

英語で稼ぐプロとは違う。

プロは 「 お金をもらう側 」。

予算も設備も人脈も桁違い。

実力と努力量も当然違う。

 

「 お金を払っている側 」 の中高年であれば、

暮らしが 「 楽しくなる 」 学習法がベター。

得意分野の英語を突破口にする。

手痛い挫折から逃れられ、 ご機嫌に続く。

日本語と英語の違い  より


日常にそんな機会はない

そう、 だから英語ができない。

ぶち込む機会が平素になければ、 オンライン英会話などで作り出す。

※  「 ネイティブキャンプ 」 と 「 レアジョブ 」 を推す

( 2024年4月 現在 )

趣味を含むライフスタイルを、 可能な範囲で2か国語環境に改造する。

「 英語でなんて言うんだ 」 と調べ、 好きな領域をバイリンガルに。

機会ゼロだと便便だらり身につかず、 英語はできるようにならない。

使い道を作り出し、 速やかに実行して、 一気に脳に焼き付ける。

こうすれば、 自律性・能動性を保ちながら、 ずんずん学習が進む。

どんどん使ってやれば、 新入りも喜び、 ちゃんと定着してくれる。

 

◆  以上の英英・英和辞典より推断できることは、

draw a line ”  と  “ draw the line
の区別に、 さほど神経質になる必要はない


そして、国語辞典3点より、「 一線を画する 」 及び
「 線引きをする 」を兼用できる 
点も検証した。

目安としては、

  •  draw the line
      限界  のために 「 線引きをする 」

  •  draw a line
    →   区別   のために 「 線引きをする 」

 

draw the line

draw a line

  ◇  厳格に区別できるものでないと考えられる。


同一視 する英和・英英辞典も存在する。

 

 

  • “I don’t mind helping them out, but I
    draw the line at working overtime.”
    (彼らを支援することにやぶさかでないが、残業はしない。)
    ※  ” overtime ” ( 時間外勤務、 残業 ) =  OT
  • “He helps us out but draws the line at
    working overtime.”
    (彼は手伝ってくれるものの、残業はしない。)
  • “He didn’t know where to draw the line.”
    (彼はどこで制限すべきか分からなかった。)
  • “We must draw a line between good and bad.”
    (善悪の区別は必要です。)
  • “She always draws a line between her personal
    and professional lives.”
    (彼は常に公私の区別はつけています。)
  • “It is difficult to draw a line between what is
    power harassment and what is not.”
    (パワハラの線引きは難しい。)
  • “We draw the line with my clients.”
    (弊社では顧客との関係に制約を設けている。)
  • “Where do you draw the line between rich
    and superrich ? ”
    (金持ちと大金持ちはどこで線を引くべきか。)
  • “I will do whatever you want me to, but I
    draw the line when you ask me to lie.”
    (あなたの希望することはなんでもやりますが、
    頼みだからと言って、嘘はつきませんから。)
  • “We draw the line at racial slurs.”
    (我々は人種的中傷を許しません。)

【関連表現】

draw a line under –
( ~ を終わりにする。 ~ に終止符を打つ。 )

 

 


 

◆  以下、 ” 英文法の参考書 ”  より再掲。

 

そもそも 「 冠詞 」「 時制 」「 前置詞 」 などは、
初級レベルで 真に理解するには 無理がある。


英語の 「 全体像 」 がうっすら見え始めた中級学習者が、
ようやく把握できるようになってくる性質のもの。

私にとっての冠詞・時制・前置詞も、 まさしくこの流れだった。

つい最近まで、 詳しく分かってなかったことを潔く白状します。

長期間あいまいな知識で、 平然と使ってきたわけだが、 初級
レベルで把握できるほど、 浅はかな領域ではないに違いない。

己の理解は、 とんでもない自惚れだったと後から知りました。

40年以上、 文字通り毎日英語を勉強してきても、 このザマよ。


当初は私も、「  深さ50cm、 最深せいぜい2m  」 くらいに見積った。

けれども、 実相は底なしの奈落であることを、 数十年後に知りました。

職業選択を間違ったかも、 と絶望して泣きました。

( 中略 )

何を隠そう、 脳に渦巻く猛烈な焦燥のあまり、 半ベソかきながら、
勉強したり翻訳したりと、 情けないあがきの、 星霜ここに幾十年。

受験が苦しいのは言うに及ばず、 プロになっても、 なかなか大変。

やっと勘所を押さえた、 と喜びも束の間、 新たな疑問がすぐ浮き
上がるから、 いつまでたっても、 輪郭がおぼつかない状態のまま。

英文法の参考書 『 一億人の英文法 』  より


やっても、 やっても、 一向に不明点がなくならない …

そんなの当たり前で、 語学とはそうした学問。

むしろ、 向上すればするほど、 次々と疑問が生じたりする。

それを 「 正常 」 とみなして、 受け入れる方が、 気が楽。

 

◆  以下、 ” no need ”  より再掲。

真面目な日本人学習者にありがちなのは、 単語数を増やすほどに、
英語ができるようになると妄信し、 上級語の暗記に精を出す盲進。

( 中略 )

◇  語感の持つ重要性を知れば、闇雲に単語数を増やそうと思わない

なぜなら、 まともに使いきれない上級語を増やして悦に入るよりは、 皆
が使う基礎単語と 句動詞 phrasal verb ) を習得する方が、 実用に
即しており、 確実に通じるようだ、 と感知するから。

( 中略 )

日常語すら心許ないのに、 高難度の語に飛びついたところで、 まず使えない。

マニアックなものに手を出す前に、 誰もが使う単語と表現をきっちり固める。

日常会話さえできないのに、 ハイレベルの知識を詰め込んでいるのが日本人。

自ら使うに至らぬまま、 しゃかりきに習い理論武装を重ねる方が極めて多い。

高難度な単語を覚えることに精一杯で、 簡単な単語を使いこなす余裕がない。

会話なくして口を動かさない 「 英語の勉強 」 に満悦し、 時間を使い果たす。

勉学に専念し、 user になることなく、 English learner だけで一生を終える。

おかしな話だ。

( 中略 )

際限のない語学なのに、 きっちり勉強さえすればマスター
できる、 とノンネイティブの私たちが信じ切る背後には、

身のほど知らずの虚栄心と傲慢な思い違いが潜んでいる。

初歩はとっつきやすい英語だが、 中級以降はそう簡単でもない。

日本語の教本ばっかで、 口を動かすことなく、 英語で会話も試みず、
英語習得を切に欲する無思慮の幼稚さに思い当たらないのだろうか。

底の知れない深淵ゆえ、 きりがない  と強硬に言い張りたい。

このことを認め、 腹をくくれば、 やるべきことも見えてくる。

いくら教材をやり続けても、 どうせ 埒が明かない状態が今後も続く

 

▲▲  再掲終わり  ▲▲

さもないと、 まともに英語を使うこともなく、  教材やるだけで人生が終わる。

教材大国ゆえか、 教本に依存したまま寿命が尽きる、 背筋の凍る未来像。

英語教育産業の思う壺。

英語資格と教材学習がもたらすリスクも、 ” no need ”  で暴き出した。

知らぬ間に逸脱し、 あらぬ方向に突き進みがちな日本人学習者の
痛ましき 「 万年受験生 」 姿を描写し、 予防策を詳らかにした。

→  主として、 中級学習者 対象の長文 ( 動画入り )

 

 

 

 

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