Snap
2020/01/05
ぴしゃりと言う、ブチ切れる
「スナップボタン」「スナップ写真」で
お馴染みの “snap”。
–
どちらも パチンと手早く 済む。
これが “snap” の基本イメージ。
◆ “snap” には、自動詞・他動詞・名詞・形容詞・
副詞・間投詞がある。
語源は、オランダ語「ぐいっとつかむ」(snappen)。
どこか小生意気な感じがする “snap”。
【発音】 snǽp
後述の通り、1音節なので、とにかく勢いがある。
多義で品詞は多いものの、この語感が基本的意味を貫く。
また、自他動詞の意味はほぼ重なる。
- 自動詞
「パチンと閉まる」「ポキッと折れる」「ブチ切れる」
「スナップ写真を撮る」「ぴしゃりと言う」「素早く動く」
– - 他動詞
「パチンと閉める」「ポキッと折る」
「スナップ写真を撮る」「ぴしゃりと言う」「素早く動く」
– - 名詞
「パチン、ポキッ」「指パッチン」「活力」「怒声」
※ 可算・不可算兼用。 「怒声」は 可算名詞
– - 形容詞
「パチンと閉まる」「即座の」
– - 副詞
「ポキッと」「ぷっつりと」
– - 間投詞
「わあ、同じだ!」 → 同種のものを見た時の叫び
「間投詞」(interjection)
とは感動や応答を表す語で、
単独で文となりうる呼掛け言葉。
【例】”Oh ! “、”Oops ! “、”Alas ! “、
“Whoa ! “、”Gross ! ”、“Welcome back ! ”、
“Check!”、”Well done ! ”、”Barf ! “
基本的意味のみでも、これほど多彩である。
「パチン」「ポキッ」という語感を、共通して
感じ取ることができるだろうか。
いずれも副詞で、実際の音を真似た言葉。
擬音語(onomatopoeia)または「擬声語」と言う。
【参照】 “tingling sensation (ASMR)”、“ring a bell”
さて、表題「ぴしゃりと言う、ブチ切れる 」。
上掲(緑字)にあるように、自動詞・他動詞・名詞
が関係する。
相手の言動にカチンと来て、激昂し、
—— 態度に出している状態
- ぴしゃりと言った
- ブチ切れた
描写の対象となる行動は、こうして既に終わっている場合が大半。
すなわち、実際に行われた言動や態度を表現する場面が多い。
したがって、現在形よりも過去形 “snapped“ が普通。
特に、文中では過去形が目立つ。
この傾向は、英語ほど<時制>に厳格ではない日本語でも
同様であろう。
ただし、ニュース見出しは、過去分も現在形が原則。
よって、”snap” や “snaps”(主語が単数でI、You 以外)
となる。
※ 「見出し」英語の解説は、ここが秀逸 ↓
英語ニュースの読み方(見出し編)RNN時事英語
“snap”
■「びしゃりと言う」:自動詞・他動詞
to say something quickly in an angry way.
■「ブチ切れる」:自動詞のみ
to suddenly stop being able to control your
anger, anxiety, or other feelings in a difficult situation.
- 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
- 書き言葉の頻出度:<2001~3000語以内>
- 話し言葉の頻出度:3000語圏外
以上、LDOCE(ロングマン)参照
【発音】 snǽp
多義の中、この2つの意味を取り上げたのは、
見出しやいざこざ記事で見かけることが少なくないから。
<感情露わ>の芸能ニュースで重宝される用法である。
最頻出には至らないが、上記の通り重要ではある。
「写真を撮る」と異なり、字面から意味を推測しにくく、
事前に知らないとお手上げ。
弊サイトでは、このような英語を優先させる方針を採用する。
ー
◆ “snap” も “snapped” も、1音節(one syllable)
で語勢が強く、まさに「ぴしゃり」の語感。
※「音節」(syllable)とは、発音の最小単位。
日本語の場合、原則として「仮名一字が1音節」。
そのため、音節を意識する機会は乏しい。
「ぴしゃりと言う、ブチ切れる 」の区別は、
文脈で判断するのが原則である。
後者は自動詞のみゆえ、そこでも判別できる。
次の各文を見て、区別できるとよい。
いずれも、今年2017年に発表された記事である。
- “What do you want? ” he snapped.
(「何の用?」彼はぴしゃりと言った。)
– - “After a stressful day at work, I snapped at my kids.”
(仕事でストレスの多かった一日を終えてから、
私は子どもにつらく当たった。)
– - “One morning I just snapped.” ※ 心が壊れる感じ
(ある朝、私はいきなりブチ切れた。)
–
- “Something inside me snapped, and I walked out.”
(心の中で何かがブチ切れて、私は立ち去ったのです。)
–
- X Snaps in Interview: “Why the F–k Am I Doing This?”
(Xがインタビュー中にブチ切れ「なぜ俺がこんなこと
しなけりゃならんの?」)
※ “F–k” は卑語(expletive)”fuck” の伏字
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PFU ScanSnap iX1500 FI-IX1500(2018年発売)
“snap” の形容詞「即座の」と動詞「写真を撮る」
で見事にアピールする、掛詞のネーミングである。