At peace with -
2020/01/04
(1)心穏やかでいる、安心している
(2)仲良くしている、平和でいる
特定の人間や主体の心理状態や様子を表す。
ポジティブなイメージにあふれる。
定訳がないため、和訳は単純でない。
しかし、英文はシンプルなため、
大意は理解しやすい。
状態を示す前置詞 “at”(~の状態でいる)+
不可算名詞 “peace”(平和)+
対象の前置詞 “with”(~に対して)
よって、直訳は「~に対して平和な状態でいる」。
–
◆ “peace” は、名詞のみの単語。
【発音】 píːs
語源は、ラテン語「平和」(pāx)。
不可算名詞または単数名詞である。
※ 「単数名詞」(singular noun)とは、
単数形で使われるのが一般的な名詞。
英英辞書では “S” または “sing” と略記。
表題の用法では、無冠詞で使われるのが通例。
「平和」「講和」「治安」「無事」
など比較的多義だが、静かで平穏な
意味合いは一貫している。
◆ ここでは「平和」で、日英とも二分できる。
- 心の状態
- 外部の状態
“at peace with” も、これに対応する。
- 心穏やかでいる、安心している
- 仲良くしている、平和でいる
(1) で最頻出なのは、”with” の直後に、
主語の目的語の代名詞 “-self”(~自身)
を続ける用法である。
- “I am finally at peace with myself.”
(私はようやく心穏やかでいられる。)
(私はやっと安心だ。)
– - “She seems to be at peace with herself.”
(彼女は心が穏やかに見える。)
(彼女は安心しているようだ。)
(1) は、不可視な内面の描写である以上、
他者については推測となる。
よって、本来なら自動詞 “seem”(~に見える)
などを伴うはずである。
–
しかし、これなしで断言してしまうケースも多い。
この点、日本語でも同様だろう。
- “She was at peace with herself.”
(彼女は安心していた。)
– - “He is at peace with the world.”
(彼は穏やかで幸せな人生を過ごしていた。)
– - “He has always been at peace with himself.”
(彼は常に自分自身を受け入れていた。)
– - “He was at peace with the onset of old age.”
(彼は老いをしっかり受け入れている。)
(老後を迎えても、彼は心穏やかであった。)
–
◆ “at peace with” が、「安心」ではなく、
「心穏やか」で使われる場合、
葛藤・確執(emotional conflicts)
の果てに辿り着いた心境 を表すことが多い。
–
【参照】”comfortable in one’s own skin”
もともと安らかで幸せな人を取り上げる需要は、
決して大きくないのが現実である。
–
他方で、どうにか自分と折り合いをつけ、
万難を排して穏やかな境地に至った人に、
感銘を受け、共感する人は大勢いる。
結果的に、報道価値が認められるため、
この用途が目立つことになる。
(2) は、もっと単純である。
–
争いのない模様を示す。
より客観的に状況確認できる「平和」「仲良し」である。
- “I am at peace with my neighbors.”
(近所付き合いはうまくいっている。)
– - “This country is at peace with other countries.”
(この国は他国と争いはしていない。)
既記の通り、”at peace with” には、
定訳とされるものはない。
–
本稿の和訳も一例である。
シンプルな英語で構成されるので、
状況や心境を読み取りつつ理解すれば、
大きく外すことはないだろう。
–
–
【類似表現】
–
■ “peace of mind” → “presence of mind” に似る
(心の平和、安らぎ)
※ 無冠詞が通例
- “I want to live safely in peace of mind.”
(安全で安らかに暮らしたいです。)
– - “Would you dish out $800 for
peace of mind ? ”
(あなたは安らぎに800ドル払うか?)
– - “My dog gives me peace of mind.”
(愛犬は安らぎをもたらしてくれる。)
■ “make peace with – ”
(~と仲直りする)
- “I want to make peace with her.”
(彼女と仲直りしたいの。)
– - “I decided to make peace with my parents.”
(両親と和解する決意をした。)
■ “rest in peace” = “RIP”
※ “passed away” より再掲
“rest in peace“
- said to express the hope that someone’s
spirit has found peace after death. - Abbreviation RIP often written on a gravestone.
(CALD4、ケンブリッジ)
–
【関連表現】※ 現実との折り合い
“life’s lesson”
https://mickeyweb.info/archives/778
(人生の教訓)
“The truth hurts.”
https://mickeyweb.info/archives/2061
(真実とはつらいもの。)
“Things change.”
https://mickeyweb.info/archives/3326
(事情は変わる。)
“Things happen.”
https://mickeyweb.info/archives/9323
(こんなこともある。)
“What goes around comes around.”
https://mickeyweb.info/archives/1038
(因果応報。因果は巡る。)
“It’s always darkest before the dawn.”
https://mickeyweb.info/archives/1963
(夜明け前が最も暗い。)
“rock bottom”
https://mickeyweb.info/archives/10672
(どん底)
“It is what it is.”
https://mickeyweb.info/archives/3877
(それが現実の姿です。)
“I can live with that.”
https://mickeyweb.info/archives/1872
(それで構いません。)
“fact of life”
https://mickeyweb.info/archives/10864
(人生の真実、現実)
“My time is up.”
https://mickeyweb.info/archives/11257
(私の時代は終わった。)
”Life goes on.”
(それでも人生は続く)