Hope this helps.
2022/03/25
ご参考になれば幸いです。
メールや手紙を締めくくるシンプル文言。
何らかの情報を提供した際の常套句。
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◆ 一見、丁寧さに欠けるように見える。
しかし、< 決まり文句 >なので、心配無用。
この3語できっちり「 ご参考になれば幸いです 」。
社内文書や親しい相手に対する文書の結びに使う。
初めて接触する相手や顧客など、対外的には少々心許ない。
堅い正式文書では、主語抜きの表現は避ける方がよいかもしれない。
※ 後掲の参考書を参照
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■ ここでの ” hope ” は、他動詞「 願う 」「 望む 」。
語源は、古英語「 期待 」「 期待で胸が高まる 」( hopian )。
【発音】 hóup (1音節)
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■ ” help ” も、他動詞「 役立つ 」。
語源は、古英語「 手伝う 」( helpan )。
【発音】 hélp (1音節)
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よって、直訳は「 これが役立つことを願っています 」。
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◆ ” hope ” も ” help ” も、「 1音節(one syllable)」。
「音節」( syllable、シラブル )とは、発音の最小単位。
腹の底から ゲロする 迫力で、一息に発声する。
1音節は「 発音の最小単位 」に切れ目がないため、ゲロの凄みが出る。
一方、日本語の場合、原則として「 仮名一字が1音節 」。
平板で、均一なリズムが、日本語の持ち味である。
したがって、” help ” であれば、
【日】 3音節 「 へ – ル – プ 」
【英】 1音節
ヘル ップ
音節の日英比較は、” integrity ” で事細かにご案内している。
◆ 主語 ” I “( 主格 ) を略して使う場合が多い。
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無論、” I ” を入れても間違いではない。
- ” I hope this helps. ”
(ご参考になれば幸いです。)
英語では「 主語 」が欠かせないと学校で教わるが、
実際のところ、このような例は珍しくない。
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『 一億人の英文法 』 p. 50大西 泰斗、 ポール・マクベイ (著)
東進ブックス、 2011年刊
A5判、 688頁、【「アプリ」及び「CDブック」は別売り 】
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◆ とりわけ、 他動詞 ” hope ” には、主語省略の
パターンが数多く存在する。
- Hope all is going well.
- Hope everything will be fine.
- Hope this letter finds you well.
- Hope you got the message.
- Hope I’m not bothering you.
- Hope to see you again.
- Hope you are doing fine.
- Hope you don’t mind.
- Hope you feel better soon.
- Hope you have a wonderful weekend.
- Hope this clarifies.
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中級学習者 ならば、全部ひと目で読み取れるはず。
どれも日常的な言い回しで、口頭でも文面でも、
よく使われる印象。
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Hope this helps.
” this ” が指すのは、次のいずれか。
- 当該「 メール 」「 手紙 」
- 今回提供した「 情報 」
“ this ” は、独立用法 の代名詞。
指示形容詞 または 形容詞用法 の “ this ” との違いは、
” in this day and age ” で取り上げている。
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◆ 日本語の「 ご参考になれば幸いです 」にしても、
具体的に何を示すのかあいまいだったりする。
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その メール・手紙 なのか、はたまた 内容(情報)なのか。
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英語でも同様。
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◇ たとえ、複数の教示・情報を含んでいても、
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この < 決まり文句 > では、単数 ” this ” が通例。
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単数 だから、” helps “。
→ 末尾の “ s ” は、動詞の「 三人称単数現在形語尾 」。
通称「 三単現のS 」。
複数形( these )にはつかない。
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◆ 既述の通り、主語を入れても問題はない。
そのため、例えば、こう言い換えることができる。–
- ” I hope this information helps. ”
( この情報がご参考になれば幸いです。)
( この情報がお役に立てば幸いです。)
— - ” I hope my answer helps. ”
( 私の回答がご参考になれば幸いです。)
( 私の返事がお役に立てば幸いです。)
– - ” I hope you have found this helpful. ”
( お役に立てたならば幸いです。)
– - ” I hope this is helpful for you. ”
( これがお役に立てば幸いです。)
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同趣旨の典型文言で、和訳も大同小異、
そう神経質にならなくてよいと考える。
【類似表現】
- “Hope this answers your question.”
(ご質問のお答えになっていれば幸いです。)
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◆ 以下、 ” I hope you understand. ” より再掲。–
◇ 動詞 ” hope ” の特色
類語動詞 ” wish “、” expect “、” want ” に比べ、
“hope” には ほんわかとした語感 がある。
- 実現可能性と現実味の薄い ” wish “
- 当然のものとして期待する ” expect “
- ひたすらガツガツ欲しがる ” want “
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< ご注意 >
“ want ” は「 差し迫った要求 」 → 対面では高リスク
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■ これらに対し、” hope ” は、
実現可能性の高いものを信じ、望みつつ待つ。
のんびり安らかで、攻撃的な 要素がない。
前向きでポジティブな単語として、安定感がある。
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“ hope ” が、日本を代表するタバコ名として、
長年親しまれてきたのも不思議でない。
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< 発売当時のキャッチコピー >
あなたの夢を生かした新しいたばこ
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英語圏の女性の名前としても、安定した人気を誇る ” Hope “。
「 のぞみ 」のイメージに重なる。
【関連表現】
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“ high hopes ”
https://mickeyweb.info/archives/5827
( 大きな期待 )
“ hopefully ”
https://mickeyweb.info/archives/26621
( できることなら )