Hope this helps.
2021/01/13
ご参考になれば幸いです。
メールや手紙を締めくくるシンプル文言。
何らかの情報を提供した際の常套句。
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◆ 一見、丁寧さに欠けるように見える。
しかし、<決まり文句>なので 心配無用。
この3語できっちり「ご参考になれば幸いです」。
社内文書や親しい相手に対する文書の結びに使う。
初めて接触する相手や顧客など、対外的には少々心許ない。
堅い正式文書では、主語抜きの表現は避ける方がよいかもしれない。
※ 後掲の参考書を参照
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■ ここでの ” hope ” は、他動詞「願う」「望む」(後述)。
語源は、古英語「期待で胸が高まる」(hopian)。
【発音】 hóup (1音節)
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■ ” help ” も、他動詞「役立つ」。
語源は、古英語「手伝う」(helpan)。
【発音】 hélp (1音節)
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よって、直訳は「 これが役立つことを願っています 」。
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◆ “hope” も “help” も、「1音節(one syllable)」の単語。
「音節」(syllable、シラブル)とは、発音の最小単位。
1音節は、発音の切れ目がないため、腹の底から ゲロする 迫力で、
一息に発声する。
一方、日本語の場合、原則として「仮名一字が1音節」。
平板で、均一なリズムが、日本語の持ち味である。
したがって、”help” であれば、
【日】 3音節 「へ – ル – プ」
【英】 1音節
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ヘル ップ
→ 音節の差異が顕著な日英比較は、”integrity” 参照
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◆ 使い手の 主語 “I”(主格) を略して使う場合が多い。
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無論、“I” を入れても間違いではない。
- ” I hope this helps. ”
(ご参考になれば幸いです。)
英語では「主語」が欠かせないと学校で教わるが、
このような例は決して珍しくない。
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『 一億人の英文法 』 p. 50大西 泰斗、 ポール・マクベイ (著)
東進ブックス、 2011年刊
A5判、 688頁、【「アプリ」及び「CDブック」は別売り 】
<出版社HP> <アマゾン> <楽天ブックス>
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◆ とりわけ、 他動詞 “hope” には、主語省略の
パターンが数多く存在する。
- Hope all is going well.
- Hope everything will be fine.
- Hope this letter finds you well.
- Hope you got the message.
- Hope I’m not bothering you.
- Hope to see you again.
- Hope you are doing fine.
- Hope you don’t mind.
- Hope you feel better soon.
- Hope you have a wonderful weekend.
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中級学習者ならば、ひと目で読み取れるはず。
どれも、日常的な言い回しで、口頭でも文面でも、
よく使われる印象。
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Hope this helps.
“this” が指すのは、次のいずれか。
- 当該「メール」「手紙」そのもの
- 今回提供した「情報」自体
“this” は、独立用法 の代名詞。
指示形容詞 または 形容詞用法 の “this” との
違いは、”in this day and age” で取り上げている。
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日本語の「 ご参考になれば幸いです 」にしても、
具体的に何を示すのかあいまいだったりする。
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その メール・手紙自体 なのか、はたまた 内容(情報)なのか。
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英語でも同様。
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◇ たとえ、複数の教示・情報を含んでいても、
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この <決まり文句> では 単数 “this” が通例。
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単数だから、”helps“。
→ 末尾の “s” は、動詞の「三人称単数現在形語尾」。
通称「三単現のS」。
複数形(these)にはつかない。
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◆ 既述の通り、主語を入れても問題はない。
そのため、例えば、こう言い換えることができる。
- ” I hope this information helps. ”
(この情報がご参考になれば幸いです。)
(この情報がお役に立てば幸いです。)
【類似表現】
- “Hope this answers your question.”
(ご質問のお答えになっていれば幸いです。)
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◆ 以下、” I hope you understand. ” より再掲。
動詞 “hope” の特色
類語動詞 “wish”、”expect”、”want” に比べ、
“hope” には ほんわかとした語感 がある。
- 実現可能性と現実味の薄い “wish“
- 当然のものとして期待する “expect“
- ひたすらガツガツ欲しがる “want“
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< ご注意 >
“want” は「差し迫った要求」→ 対面では高リスク
これらに対し、”hope” は、
実現可能性の高いものを信じ、望みつつ待つ。
のんびり安らかで、攻撃的な要素がない。
前向きでポジティブな単語として、安定感がある。
“hope” が、日本を代表するタバコ名として、
長年親しまれてきたのも不思議でない。
—<発売当時のキャッチコピー>
あなたの夢を生かした新しいたばこ
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【関連表現】
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“high hopes”
https://mickeyweb.info/archives/5827
(大きな期待)
“hopefully”
https://mickeyweb.info/archives/26621
(できることなら)