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Bombshell

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爆弾、  突発事件、  衝撃 

” bombshell ”  には、 名詞と形容詞がある。

最も基本となるのが、 可算名詞

形容詞はマイナー用法。

英単語全体から見れば、 重要でも頻出でもない。

今回調べた  9点の英英辞典  すべてがノーマーク。

例えば、 LDOCE6( ロングマン )では、 全3項目ランク外。

しかし、 ニュース見出し にはちょくちょく顔を出す。

重要でも頻出でもない割に、 いざお出ましの際は、
強烈な 存在感 を放つのが、  ” bombshell “。

記事の中身は、 軒並み衝撃的である。

” bombshell ”  の描く 「 衝撃 」 は、 度合いの激しさ及び
変化や動きが突然の様子、 すなわち急激さの両方をカバーする。

その結果 「 思いがけない出来事 を表すことに。
ひいては 「 発事件 」 を指す。

受け手にとっては予想外。

寝耳に水」 「 不意打ち」  と激しく動揺し、
ぶったまげ たり、  びっくり仰天  したり。

程度の差はあれど、 天下の耳目を驚かす出来事こそ、
” bombshell “。


It was an absolute bombshell.

それはまったく 衝撃的 だった。


◆  語原は、

この上なく物騒な2語が合体したもの。

内容が激しくなるのは、 自然の数。


◆  ” bombshell ”  の主な意味は、 上記3つのハイライト。

派生の流れを追うのは、 難しくない。

こんな感じ。

 


どちらも感情の高ぶりを覚えがちの対象であろう。

a blonde bombshell ”  ときたら、「 ブロンド美人 」。

先の 英英9点 全部が記載する語釈である。

例えば、

” blonde bombshell “

humorous a sexually attractive woman
with
 light-coloured hair.
( LDOCE6、ロングマン )

” a blond(e) bombshell “

a very attractive woman with blonde hair.
( OALD9、オックスフォード )

※  下線は引用者

【発音】   blɑ́nd bɑ́mʃɛ̀l


LDOCE が  ” sexually ” と明け透けに説明するのに対し、
OALD は  ” very attractive ” と控え目。

blond bombshell ” で、” b ” と ” b” 。

2単語が出だし ( 語頭 ) で韻を踏み ( 押韻 )、 耳心地がよい。

これは「  頭韻( とういん )」である。

英語では、” head rhyme ”  または  ” alliteration “。

同例を挙げると、


有名な頭韻の商標名・固有名詞は、
first and foremost ”  で 一覧にした。

◆  「 頭韻 」 の反対は 「  脚韻( きゃくいん )」。

この  ” end rhyme ” の一例は、 ” nitty-gritty “。

blond  bombshell ” は、 妙になまめかしく、

同時に迫力のみなぎる語感を印象づける。

” blond ”  も  ” bombshell ” も、 子音 ” b ” から始まる( 頭子音 )。

[b]  は、 英日共通 破裂音 ( はれつおん )。

具体的には有声両唇破裂音 」。

多くの言語に存在する音である。

頭子音が韻を踏んでおり、日本語ネイティブにも
威勢のよい雰囲氣を読み取ることができる。


口角泡を飛ばして、

とありったけの いけず口ぬかす 場面の語調は激しい。

皆一様に、 有声両唇破裂音

「 音声 」「 音節 」の詳細と日英比較は、” integrity ” で深掘りした
( 図入り )。

 

◆  以下、 ” no need ”  より再掲。

口周りの運動が大振りなため、 舌・唇・歯・呼吸間の相互作用が

分かりやすい、 英語ネイティブの  おすすめ YouTuber  をご紹介。


この度合いの激動は、 日本語を話す際には、 見られないと言ってよい。

日英の音言語習慣音節構造 ジェスチャー の大差が垣間見れる。

ゴムのように伸縮自在の口唇から放たれる、 抑揚満載の口調がたまらん。

とりわけ、 有声 [b] [m]、 無声 [p]  の子音で始まる単語を発音する口元。

  •  破裂音  plosive  /b/
  •  鼻音  nasal  /m/
  •  破裂音  plosive  /p/

3つとも 「 両唇音 」( bilabial ) で、 上唇と下唇が強めに接触。

両唇を勢いよく口中に巻き込み、 直後にぷっと一息で突き出す。

これほど分かりやすい動きを示す英語話者を私は見たことない。

口唇と舌の激しい動作にしびれ、 毎度うっとり見とれてしまう。

音声を消して、 口周りを凝視すると、 日本語にはない動きを見て取れる。

外国人の仰々しい表情とジェスチャー( 身振り )に見慣れる上でも役立つ。

頭の回転が速く、 語りは猛スピードであるが、 中級者 であればいける

表現力も豊かゆえ、 彼女専用の「 単語帳 」 を2022年より作成している。


見本にする英語の先生を選ぶ際は、 ベロ出しの有無が目のつけ所のひとつ。

平板で均一なリズムの日本語が母語の私たちの口周りは、 こんな風に動かない。

普段は  運び  を意識しないからこそ、  物珍しい眺めでびっくりするはず。

上掲  ” no need ” に加えて、  ” integrity ” 、 ” smooth out “、  ” hiatus

にて、 学習上の着目点を事細かに記した ( 図入り、 写真入り )。

→  Joce の  頻出表現

 

◆  ” blonde bombshell ”  系の使い道は、 いかんせん限られる。

時事ニュースとビジネスでは、 魅惑の匂い立つ 「 悩殺的な美女
は場違い。

お堅いメディアにそぐわない。

したがって、 ニュース用法としては、 語原に沿った「 爆弾 」。

そして 「 突発事件 」。

この辺の意味合いが一般的。

3大学習英英辞典 ( EFL辞典 ) でも明らか。

持ち前の 「 激しさ 」 は、 下線の形容詞が示す。

” bombshell “

  an unexpected and very shocking piece of news.
(LDOCE6、ロングマン)

■  Usually singular, informal
an event or a piece of news which is unexpected
and usually unpleasant.
(OALD9、オックスフォード)

■  INFORMAL
a sudden and often unpleasant piece of news.
(CALD4、ケンブリッジ)

※  下線は引用者

【発音】   bɑ́mʃɛ̀l
【音節】   bomb-shell  (2音節)


OALD と CALD は、 ” informal ” と表示する。

くだけた表現、非正式ということ。

OALDの ” usually singular ” は、「 通常は単数名詞」の意。

単数名詞( singular noun )とは、
単数形で使われるのが一般的な名詞

英英辞書で “ S ”  また “ sing ” 略記されたりする。

単数名詞の辞書表示には、かなりのばらつきがみられる。

他の2点には記されていない。


◆  多用される名詞用例を4つ。

  • bombshell  announcement
    ( 爆弾発表 )
  • bombshell  question
    ( 爆弾質問 )
  • bombshell  revelation
    ( 爆弾発言、 爆弾告白、 衝撃的な暴露 )
  • bombshell  statement
    ( 爆弾発言、 爆弾告発 )


4つとも 「 爆弾 」 めいたインパクト。

日本のメディアも使う言い回しばかり。

動詞を用いて表現すると、

  • ” He dropped his bombshell during the press conference. “
  • ” He dropped a bombshell during the press conference. ”
    (  彼はその記者会見中に 爆弾〇〇 を実行した。)


他動詞  ” drop” ( 落とす ) で 「 爆弾を落とす 」 が直訳。

「 爆弾を落とす 」は比喩であるのが通例なので、
状況に応じて和訳は違ってくる。

そのため、「 ○○ 」で示した。

” drop ” の代わりに、他動詞  ” explode “( 爆発させる )もOK。

【発音】   iksplóud
【音節】   ex-plode  (2音節)

意味が重なるのは、中級学習者 なら理解できよう。

また、自動詞 “come”  や  be動詞 を用いて、

  • His bombshell  came  during the press conference.
  • The bombshell  came  during the press conference.
  • His              came as  a bombshell
  •               came as  a bombshell
  • His              was  a bombshell


ここに示した黄ハイライトは、次のコロケーション辞典
にそのまま記載されている。

時制などにより、 語形変化 ( 活用 ) を伴うのは言うまでもない。

【例】  come  →  came ( 過去形  past tense

 



Oxford Collocations Dictionary for Students of English
(アプリ版)より転載


新編 英和活用大辞典
(アプリ版)より転載


ともに、 定評のある 辞典。

重要度・頻出度は大半の辞書で「 ランク外 」にもかかわらず、
でかでかと取り上げられる  “ bombshell ”。

マイナーな単語のはずなのに、 なぜ

英単語全体から見た評価と、実務における有用性の差異
を示唆するものと考えられる。

要は、< 実務上の需要 > が高い。

こちらに似通う持ち味である。

◆  2019年新年早々、 大々的に発表されたニュース見出しから、
” bombshell ”  を抽出してみた。


※  2019年1月7日 初稿時点


採集 に要したのは、 たった5分。

本当にもてもての有様であった。


◆  2020年以降のニュース報道からも、 追加でご案内。

◆  1979年創刊の日本のアイドル系グラビア雑誌 『 BOMB 』 は、

ボム 」。

 

 

 

◇  「 見出し 」英語の解説は、ここが秀逸  ↓
英語ニュースの読み方( 見出し編 )RNN時事英語

 

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・ “aware
・ LDOCE(ロングマン現代英英辞典)
・ 辞書の「自炊」と辞書アプリ
・ 英語辞書は「紙」か「電子版」か

【実例】    ※  辞書アプリの転載あり

threshold“、”damage“、 “scrutiny“、
backdrop“、”paperwork“、”struggle”、
downfall“、”alternative”、”feasible”、
disparity“、”presence

 

 

 

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