プロ翻訳者の単語帳

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Please do so.

      2020/07/07

(1)そうしてください   (2)そうやれよ

May I use this whiteboard ?
(このホワイトボードを使ってよいでしょうか。)

Please do so.
(そうしてください。)

“Sure.” か “Yes.” と副詞1語の応答が一般的。
時に、別の対応をされることがある。

その中で、比較的よく聞くのが “Please do so.”。
「そうしてください。」が定訳。

  • 間投詞please(どうそ)
  • 他動詞 do(する)
  • 副詞 so(そのように)

このように構造は容易。
単語も文法も基礎レベル。

 

◆ シンプルな応答表現には、
別のニュアンスも兼ね持つ場合がある。

  一見簡単だが、実は微妙な表現。

“Please do so.” も、その一例。

何ら問題がなさそうな「そうしてください」。
ところが、使用場面によっては、相手を刺激するから
怖い。

3語の使用単語のうち、火種になるのはどれか。
答えは、3語すべて。全体的に誤解を招く。

 

◆ まず、間投詞 “please”

副詞とも解釈できる(後述)。

「間投詞」(interjection)とは、
感動や応答を表す語で、
単独で文となりうる呼掛け言葉。

【例】”Oh ! “、”Oops ! “、”Alas ! “、
Whoa ! “、”Gross ! ”、“Welcome back ! ”、
Check!”、”Well done ! ”、”Barf ! ”

 

◆ これまでにも、”please” のリスクについては、
弊サイトで何度も取り上げてきている。

日本の学校教育でほとんど教えないこと。

目上だからと “please” をつけると、
かえってよくないことが多々あるのだ。

以下、Take good care of – ” より再掲

◆ 目上の相手の自重自愛を祈る場合、

この2つの言い回しなら、すっきり恬淡な
「ご自愛ください」

  • Take care.
    △ Please take care.
  • Take care of yourself.” 
    Please take care of yourself.

上記の場合、“please” を入れない方が無難

【注意】
目上だからと “please” をつけると、
かえってよくない場合も多々ある。

なぜなら、
 副詞・間投詞 “please”(どうか)には「命令形」が続く
のが原則のため、状況と相手によっては、失礼が生じる。

please” の弱点 :
■ 時に押しがましくまたは子ども扱い 
■ 慇懃無礼嫌味な印象を伴うリスク  

命令調に聞こえがちで、目上を怒らせる

日本語「ください」の弱みに似る

※ 詳細は “Take good care of –

■ ” Please V(= 動詞)” を半命令形 と称することもある。

【参照】
・ 上司には “please” よりも “could you” が無難
・ “need” や “want” は「差し迫った要求」→ 対人用途では高リスク 

<言葉の裏表>については、まだ実社会に出ていない
中学・高校生に教えるのは難しかったりする。

時間や受験との兼ね合いもあり、額面通りの意味を、
基本に忠実に教えるに留める方が現実的だろう。

すなわち、依頼や要求に添えて丁寧にする “please”。

 

◆ “please” には、他動詞・自動詞・間投詞がある。

依頼や呼掛けの「どうぞ」を間投詞でなく、
副詞または自動詞として扱う辞書も少なくない。

【例】
・副詞 →『ランダムハウス英和大辞典 第2版』
・自動詞 →『リーダーズ英和辞典 第3版』

語源は、ラテン語「喜ばす」(placēre)。

  • 他動詞「喜ばせる」「喜ぶ」
  • 自動詞「喜ばせる」「好む」
  • 間投詞「どうぞ」「どうか」「ぜひ」

表題 “Please do so.” では、間投詞。
質問に対し「そうしてください」と応じる
時に使うことは前述の通り。

 

◆ この回答がまずい場面は、相手が目上の時。

目上に “please” がよくない主な理由は、上の赤枠に
記した。

“Please do so.” では「子ども扱い」「慇懃無礼」でなく、
命令調」に聞こえる危険がある。

“do so”(そのようにする)(そのようにやる)自体
に失礼はないのだが、応対としては微妙なのである。

  • そうしてよ
  • そうやってよ

という感じ。

相当ざっくばらんな物言いである。

Go ahead.” や “OK.” と似た言い振りであり、
質問相手への答え方としては、無骨

目上なら、無作法と受け取られても不思議でない。

これに、”please” をつけると、

  • そうしてください
  • そうやってください
  • どうぞそうして
  • どうぞそうやって

今度は「命令調」になってしまう可能性。
目上なら、気分を害してもおかしくない。

繰り返すが、 日本語「ください」の弱みに似る


◆ 言葉遣いは難しい。

理由を伺うつもりで「どうして?」と尋ねたら、
いきなり目上の相手が気色ばんだ。

なぜなの、と日本語学習者から先日相談された。

“Why ? ” を日本語に置き換えたのだろうが、
確かに失礼かも、と即座に思った。

日本語を母語にする社会人であれば、この
トラブルの原因を察することはできるはず。

これが、日本語ネイティブの強みである。

それでは、この日本語学習者に論理的に解説
できるかと言えば、なかなか難しい。

「Why = どうして」と学校で教わったとすれば、
疑問が生じて当然であろう。

 

 

◆ 英語にも、この種の問題が多い。

表題も一種。

学校教育で教えないというより、諸般の事情を考慮
すれば、すべてを教えることは非現実的なのである。

私自身、相手の予期せぬ反応から、英語の
<裏ニュアンス>を学ぶことは、今もままある。

親切な方であれば、質問すれば教えてくれるが、
実社会は甘くない。

ぷいと席を立たれて、茫然自失したりする。

それなりに傷つくが、原因調査後、語彙採集の一環
として、脳みそと「単語帳」にさっそく格納してしまう。
一生忘れない表現になること必至。

長期的には有益だから、感謝千万である。

 

 

 

 

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