【転職】英語を使う仕事に変えるべきか
2022/06/23
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職業柄、 英語学習者から、 転職のご相談を受けることがある。
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英語が大好きで、長年勉強してきた。
でも、今の仕事では英語を使わない。
転職すべきでしょうか。
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転職には、ご本人の 年齢・資質・諸条件 が影響する。
ご家族の構成が大事な要素となるのは言うまでもない。
よって、一様に返答できないし、正答は人それぞれだろう。
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◇ たったひとつ、私が全員にご紹介する持論がある。
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実務で使う英語と学習者向けの英語
には、隔たり があると思います。
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◆ ビジネスのような激しく動く実社会で使う英語
と、概して静的な学習に適した英語はやはり異なる。
普段から英語を使っているか否かは、 当人の発する
英語を見聞きすれば、 比較的容易に判断可能な印象。
すなわち、 4技能 ( 聞く・読む・書く・話す ) のうち、
英語の運用能力は 「 書く 」と「 話す 」 に表れやすい。
見る人が見れば、 実力が分かるということ。
日本人が書く英語教育系のメルマガを、 私は多数購読している。
取り上げる表現及び解説により、 発信者の英語力は推量可能。
めったに使われない英語表現が、 頻繁に記載されていれば、
ご自身の実生活で、 英語は疎遠であることが明らかになる。
おそらく、 和英辞典などから抜き出したのだろう。
英語ができるふりを装っても、 結局ばれるわけだ。
真っ当な発信者を探す方が難しい感で、 もう 詐欺師 だらけ。
詐欺師呼ばわりは失敬だが、 見分けのつかない学習者に、
器量不足の者が企画した商材を売りつけるのは許せない。
たとえ見破っても、見抜いたことは、おくびにも出さない。
お見通しでも、 わざわざ口を出すことなく、 黙っている。
けれども、 ご当人に対する心証は、 悪化してしまう。
かくして、 見栄っ張りは信用を損ね、 運を落とす。
残念なことに、 日本は 「 詐欺教材大国 」。
好例は、「 文法不要 」 「 カタカナで学ぶ 」 「 聞き流すだけ 」。
昔から、 出ては消えての繰り返し。
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◆ 実務では、英語はあくまで、コミュニケーション手段。
文法や丁寧さは二の次で、スピードが求められる。
職場は学校ではない。
「 労働の対価 」 として、お金をいただいているのだ。
社会人として、コストと利害関係の分別は欠かせない。
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◆ 転職を重ねた結果、私は正規社員( 正規職員 )として、
「 産学官軍 」に従事した。
- 「 産 」+「 学 」= 10年以上
- 「 官 」+「 軍 」= 15年以上
計画したのではなく、図らずも雑多なキャリアが仕上がった。
使う英語は様々であったが、日本の一般学習者
が接するであろう英語とは、程遠かった気がする。
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◆ 生意気にも、 率直な感想を申し上げると、 こんな具合。
大勢が損得ずくで活発に活動する現場の英語と、授業料で運営
され、 高い素養を積んだ先生方が手取り足取り教えてくれる、
学校の英語が同じわけない。
すごい剣幕で主張が飛び出し、 感情丸出しで議論が高潮する、
荒れ模様の会合に臨んでいる際、 ふと思う。
「 常々英語を使っていない限り、 こりゃ聞き取れないわ … 」
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◆ 端的に言うと、「 プロとアマは違う 」。
文法にやや難があっても、 相手に通じればまずOK。
些細な文法ミスを、 わざわざ指導する人は想定しにくい。
直属上司ですら、 注意を与えず、 スルー するのが一般的。
先生ではないのだから、 当たり前。
「 他人の弱点にかまう暇なんかない 」という雰囲気。
本心はともかく、 いちいち気に留めないのが、 仕事のできる人。
仕事のできる人は、 余計な仕事を増やさない。
外資系の場合、 自分の仕事をさっさと終えて、 定時に
上がるのが常例だったりするから、 当然かもしれない。
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日常業務では、完璧な文法 や 過剰な礼儀 は、
さほど期待されない。
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そんなことより、スピード優先。
それが実務であり、プロの世界。
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特殊分野を除けば、どこも似たり寄ったりだろう。–
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使える英語を本気で身につけたければ、
英語を年中使う職場に移る方がよい
かもしれません。
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英検1級 や 国連英検特A級 などの資格は、私も持っているが、
必置資格ではないため、 実務上、 なんの意味もないに等しい。
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TOEICで満点を取るよりも、
英語の会議に参加し、
自分の意見を発言 できる方が
ずっと価値がある。
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私はこう考える。
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以下、 ” no need ” より再掲。
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英語を盛んに使って仕事する実務家は、 TOEIC に構わない方が大半。天下に威勢を示す TOEIC の弊害を、 苦々しく受け止める人も目立つ。
高得点なのに即戦力から程遠い、 多数の社会人にお会いするとこうなる。
洋画どころか、 定例会議で聞き取れないのだから、 発言には至らない。
まるで冗談だが、 よくある実話。
ナレーターやキャスターら、 プロのしゃべりに慣れてはまる、落とし穴。
プロ音声と違い、 速度も口調も間合いも容赦のないのが、リアルな社会。
もごもごしてる間に、びゅんびゅん意見が飛び交い、スルーされてお終い。
敢えないものである。
一体、なにを試験してるのか、 との疑念と警戒心が沸き起こってくる。
「 TOEIC満点 」 と自惚れを口走れば、 笑い者にならぬとも限らない。
話題の糸口になりえないくらい、 皆一様に歯牙にも掛けない印象。
「 すごいけど、 よくそんなヒマあるな … 」 本音はこんな感じか。
「 録音相手に、 なにやってんのやら … 」 空しくならないのかねぇ。
生身の人間相手に勤しんでくれば、 人為的な匂いを敏感に嗅ぎ取る。
羨望の的となる 「 TOEIC満点 」 を誇負する振る舞いが、 大概の
実務家の目にどのように映っているか、 ご想像いただければと思う。
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◆ 常日頃から外国人に接し、一緒に仕事したり、遊んだり、
けんかしたりしないと、身につかないことは非常に多い。
この辺りは、語学力以外に「 異文化理解力 」も問われる。
—とにかく英語で、日々揉まれる必要がある。
言語習得の決め手は、持続性。
一度学んだら終わりではなく、使ってなんぼ。
日常における使用がすべて。
” Think globally, act locally ” などと世に喧伝されるが、
高度な語学に関しては、 そうは問屋が卸さないと感じる。
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前出の4技能を万遍なく、 一定水準以上まで会得するには、
それに似つかわしい環境を、どうにか整える覚悟を要する。
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例えば、 年収が下がっても、 英語を使う職に変えられるか。
▲ 日本の公務員を退職する際の私が、 こういう状況だった。
当時の自分としては、 並々ならぬ勇気を奮い立たせたものだ。
「 絶対に後悔したくない ! 」と奮起し、安定した職を捨てた。
案の定、 失った身代・逃した好機・切ない苦痛 は数多生じた。
何十年も経た現在は、 それでも正しい決断だったと結論する。
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この点の心構えは、 初学者・初級者レベルと大きく異なる。
繰り返すと、 ご家族を含む諸々に影響が及ぶため、 動かない
方がよい方々もおられるはず。
幸せの形は各人各様であり、 総合的なバランスが重要と考える。
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中級までの英語力で納得できれば、 さして痛みは伴わない。
そもそも、 高レベルの外語が、 我が人生に本当に必要なのか。
高みを目指せば、 相応のリスクと犠牲が伴うのが、 この世の理。
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生半な努力では、 中途半端な立場に自身を追いやることになる。
よく考えてみたい。
多様性( diversities )に恵まれた、ダイバーシティ環境の
職場で、 長年働いた経験をお持ちの方であれば、 以上の話
はきっとご理解いただけるであろう。
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チャンスがあるなら、
ぜひ活かそう
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うかうかしていると、 あっという間に年老いて、 機会を 失う。
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■ 英語をどう使って < 残りの人生 > を過ごすか
■ 「 ライフスタイル 」「 人生観 」の考察も大切
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英語を使わなくても、普通に生きていける日本
という国で、 真摯に英語と付き合う ためには
「 今後の生き方 」に思案を巡らす必要がある。
英語でなにをしたいのか。 どんな未来にしたいのか。
ご自分の切実な声に向き合おう。
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【参照】 ” conclusive ”