From time to time
2024/06/26
時々
最も身近な「時々」の英語。
それは、副詞 “sometimes” だろう。
【発音】 sʌ́mtàimz
1語で完結する上、文頭・文中・文尾に使用できる。
使い勝手がよく、気軽に使える簡潔さが強み。
見掛け倒しではなく、真の実力を備え持つ。
LDOCE6(ロングマン)の指標によれば、英単語全体における
副詞 “sometimes” の位置づけは、3項目すべて最高ランク。
- 重要度:最上位 <トップ3000語以内>
- 書き言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
- 話し言葉の頻出度:最上位 <トップ1000語以内>
基本的意味は「時々」。–
初出は14世紀。 成り立ちは、
- 形容詞 “some“(いくらかの)
- 名詞 “time“(時)
- 副詞語尾 “s“—※ 副詞を作る接尾辞
「いくらかの時」なので「時々」。
“sometimes” は「50%くらいの頻度」とされている。
同じ「時々」でも、”occasionally” より、頻度は高い。
“often” や “frequently” より、頻度は低い。
その根拠として、『ジーニアス英和大辞典』を引用する。
類語・関連語を頻度順・可能性の順に並べると
だいたい次のようになる。
■ 100%
always
–
■ 80%
generally
–
■ 60%
often, frequently, not always
–
■ 50%
sometimes
–
■ 20%
occasionally
–
■ 10%
seldom, rarely
–
■ 0%
never
ただし、always, never 以外は
判断基準によって実際の%は異なることもある。
『ジーニアス英和大辞典』 “always1” の「語法」より
青字の英単語は、ここでは副詞。
普段使いの「時々」は、日英ともに副詞が一般的。
ー
副詞の語義であることは、国語辞典でも確認できる。
ときどき【時時】
2.(副詞的に)いつもではないが、時として。
ときおり。まま。
天気予報では、その現象が断続的に起こり
合計時間が予報期間の2分の1未満のときをいう。
(広辞苑 第七版)
二(副)
頻度がかなり低いさま。ときおり。
(大辞林 第三版)
二《副》
ある程度の時間をおいて物事が繰り返されるさま。
ときおり。
「たびたび」「しばしば」より頻度が低く、
「たまに」よりは高い。
(明鏡国語辞典 第二版)
※ 下線は引用者
上記で省略した筆頭の語釈(1)は、名詞の「ときどき」。
「その時その時」「その季節その季節」「そのおりおり」
のいずれかで説明されるのが、名詞用法である。
ー
なんだか文語風。
世間一般が親しむ「時々」ではない。
やはり副詞こそ、日常用法に該当すると考えられる。
ー
ー
◆ さて、 表題の ” from time to time “。
ー
LDOCE6の指標では全項目ランク外の熟語であるものの、
それなりに出てくるのは確か。
ー
上表青字の単語よりとっつきにくそうだが、
下記の「時々」に比べれば、比較的使いやすいフレーズ。
- at moments
- at times
- at whiles
- ever and again
- every now and then
- every once in a while
- every so often
- from moment to moment
それゆえ、”sometimes” と併せて押さえておきたい。ー
ー
“sometimes” 同様、文頭・文中・文尾に置ける。ーー
字面が「時々」と重なる利点も大きい(後述)。
【参考】 “in this day and age“(このご時世に)
ー
◆ ” from time to time ” の頻度はいかほどに。
3大学習英英辞典(EFL辞典)をチェックしてみる。
“from time to time”
- sometimes, but not regularly or very often.
(LDOCE6、ロングマン)
– - occasionally but not regularly.
(OALD9、オックスフォード)
– - sometimes, but not often.
(CALD4、ケンブリッジ)
–
–※ 下線は引用者
そろって淡白。 一体これで理解できるか。
上掲『ジーニアス英和大辞典』の数値化した解説の方が親切。
下線の「時々」を再び掲げると、
■ 50%
sometimes
–
■ 20%
occasionally
確率論においては、この差は大きい。
しかし、日常感覚からは有意差はない
と解釈されている模様。
それが、辞書間の違いとして表れている。
数値は、あくまで参考程度にするとよい。
念のため、追加で2点調べてみた。
“from time to time”
- If you do something from time to time,
you do it occasionally but not regularly.
(COBUILD9、コウビルド)
– - sometimes, but not often.
(Macmillan Dictionary、マクミラン)
–
※ 下線は引用者
だめだ、こりゃ。
ー
埋め合わせに、
LDOCE記載の “thesaurus”(類語辞典)をご案内する。
–
◆ 時間の意識は、人によって相当異なる。
文化・習慣・価値観の異なる外国人なら、なおさら。
この点は、弊サイトにて何度も取り上げてきた。
–
例えば、以下でご説明している。
- “a while back“(先日、このあいだ)
- “to the extent possible“(可能な限り、できる限り)
- “Take a moment to – “(〜する時間をとる)
- “foreseeable future“(近い将来)
“ASAP” やら “real quick” やら、すぐやると言われ、
てっきり即時対応してくれるものと任せていたところ、
しれっと翌月回しにされていたりする。
ー
気づいた時には後の祭。– 決して珍しい話ではない。
ー
事前に取り決めておかないと、泣きを見る。
日時を明確にしておくことで、トラブルを防ぎたい。
ー
もっとも、締切日なんて、どこ吹く風とやり過ごす輩
も少なくない。
ー
待てど暮らせど、納期遅れの原稿が上がってこない。
- ご自分で指定した締切日だろ!
- 進捗表がめちゃくちゃになる!
- 翻訳時間がもはや残ってない!
しびれを切らして、ぷりぷり焦慮する日々。
待ちぼうけを食わすのは、多忙な高官が多かったり。
【参考】 “Let somebody down“(~を失望させる)
–
これぞ、我がルーチン。–
もう、慣れっこになっている。
それでも、時々立ち去りたくもなる。
- “I want to walk away from time to time.”
ー
◆ 日英の字面が似通っていることには触れた。
こんな感じ。
from time to time →「時」から「時」まで → 時々
直訳が「時から時まで」だから「時々」。
- 「時の起点」の前置詞 “from“(~から)
- 不可算名詞 “time“(時)
- 「時の終点」の前置詞 “to“(~まで)
- 不可算名詞 “time“(時)
LDOCEの3項目で最上位を占める単語ばかり。
“sometimes” と同じく、最重要・最頻出ということ。
ー
「時から時まで」が「時々」に転じる流れの理解も、
そう難しくないはず。
同義の “from moment to moment” も同じ構造。
「時から時まで」は、先述の『明鏡国語辞典 第二版』の
語釈そのもの。
再掲すると、
ある程度の時間をおいて物事が繰り返されるさま。
(明鏡国語辞典 第二版)
したがって、単語も文法も、基礎レベルなのが、
“from time to time”。
ー
おまけに、文頭・文中・文尾に使用可。
これも、既に述べた。
ー
「比較的使いやすい」とは、そういうこと。
ー
ー
◆ 基礎3単語のうち、中級学習者に再確認を促したい
のが、”time”。
ー
“ time ” には、名詞・形容詞・他動詞・自動詞 がある。
【発音】 táim (1音節)
ー
語源は、 古英語 「 時 」「 時間 」( tīma )。
ー
圧倒的に使われるのは名詞 ( noun )。
不可算 ( countable ) と 可算 ( uncountable )を兼ねる。
基本的知識は、 以下の通り。
–
◇ 「 時 」は、 個数として数えられないので、
無冠詞の 「 不可算名詞 」 が基本。
この場合でも、「 この時間 ・ あの時間 」 など
「 区別 」する場合は、 可算名詞。
何時何分、 何月何日など 「 出来事 」 の時間
を示す場合も、 「 可算名詞 」 が原則。
次の差異が分かるだろうか。
-
–
Do you have time ?
–
( 今、お時間ありますか ? )
-
–
Do you have the time ?
–
( 今、何時でしょうか ? )–
現在の時刻 ( current time ) を他者に尋ねる英語表現として、” What time is it ? “ と学校では学んだりするが、
これは実は相当ぶしつけな尋ね方。
「 今、何時 ? 」 同然の響き。
露骨でむき出しゆえ、 いきなり聞かれた側は不快かも。
赤の他人やさほど親しくない人に時間を聞くには、 先述の
” Do you have the time ? ” ( 今、何時でしょうか ? )
–
名詞 “ time ” については、 いかなる辞書を調べても、
不可算が優先 されている( uncountable noun )。
よって、 「 ” time ” の基本は不可算名詞 」 と覚える。–
“ from time to time ” の “ time ” も、 不可算名詞。
ー
◆ そこそこ使われる可算名詞 “ time ” は、 いわば
例外的な立ち位置にとどまる。
代表的な 「 可算 」 用例を示す。
- “I had a wonderful time.”
(素晴らしいひと時を過ごしました。)
– - “We need to set a time for the next meeting.”
(次回の会議の時間を決めなければならない。)
– - “I remember all the good times we’ve had.”
(一緒に楽しく過ごした時をすべて覚えています。)
複合語として「~回」「~倍」で使う場合も、可算名詞扱い。
- “three times”
(3回)(3倍)
– - “the seventh time”
(7度目)
– - “for the first time”
(初めて)
片や格言の “time” は、基本通りの不可算名詞が大半。
- “Time flies.”
(光陰矢の如し。)
– - “Time is money.”
(時は金なり。)
– - “Time works wonder.”
(時がすべてを癒す)
–
◆ 名詞 ” time ” のおさらいを終えたので、
文頭・文中・文尾ごとの例文を用いて、 大団円を迎えたい。
–
<文頭>
- “From time to time, he came to my house.”
(時々、彼は我が家にやってきた。)
ー - “From time to time, she brought us cakes.”
(時々、彼女はケーキを持ってきた。)
ーー - “From time to time, my dog gave me a hard time.”
(時々、愛犬にてこずらされた。)
–
<文中>
- “Maintenance is required from time to time to ensure safety.”
(安全確保のため、時々メンテが必要となる。)
ー - “He shows up from time to time to see us.”
(私たちに会うため、彼は時々顔を出す。)
ーー - “Hope we can work together again
from time to time in the future.”
(いつかまた、時々一緒に働けるといいですね。)
<文尾>
- “Such things happen from time to time..”
(そんなことも時々起こる。)
ー - “I think they need to have fun from time to time.”
(彼らも、時々楽しむ必要があると思います。)
ーー - “We still chat on the phone from time to time.”
(今も私たちは時々電話でおしゃべりします。)