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To the extent possible

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可能な限り、   できる限り

堅めのビジネス文書でよく見る 「 4語ワンセット 」。

文頭・文中・文末を問わない。

主な定訳は、

” to the extent possible ”  をご紹介する理由は、
使いやすく、 応用範囲が広いから。

後述の表現と異なり、 個別具体的な形容詞や副詞、
活用形、 時制などを考える必要はない。

「 4語ワンセット 」 で済んでしまうのである。

◆  こうした強みは、次の2つに共通する。


主に文書で使うが、 いずれも < ビジネス慣用句 >
で、筆舌不問が原則。

カジュアルトークには、 やや場違いだが、
ビジネストークでは、 違和感はない感じ。

日常用途であれば、 次の類似表現の方が一般的。

< 「 可能な限り 」 「 できるだけ 」 の主な英訳  >

  •  as far as possible
  •  as much as possible
    ( できる限り )

  •  as ______ as possible

    下線  =  形容詞・副詞・形容詞を伴う名詞

    【例】
    ・ fast ( できるだけ速い )
    ・ large ( できるだけ大きい )
    ・ long ( できるだけ長い )
    ・ many ( できるだけ多い )
    ・ often ( しょっちゅう )    ※  副詞
    ・ soon ( できるだけ速やかに )    ※  副詞
    ・ thoroughly ( 徹底的に )    ※  副詞

  •  as ______ as practical

    ※  下線  =  形容詞・副詞・形容詞を伴う名詞
    ※  【例】 と同じ
    ※  「 現在の条件で、実行可能な限り 」の意

  •  the most ______ possible

    ※  下線には形容詞

    ・ accurate ( できるだけ正確に )
    ・ thorough ( 徹底的に )


  •  as ______ as X can
  •  as ______ as X could

    ※  X  =  主格、下線には形容詞

    【例】 とほぼ同じだが、次の例外もある

    best ( できるだけベストで )
    △  as best as possible
    ○  as best as you can imagine
    ○  as best as I could run

  •  as ______ as X possibly can
  •  as ______ as X possibly could

    ※  X  =  主格、下線には形容詞

    ・ “I will study as hard as I possibly can.”
    ( できる限り頑張って勉強します。)

    ・ “Call me as soon as you possibly could.”
    ( できるだけ早めに私に電話して。)

  •  as best X can
  •  as best X could

    ※  X  =  主格

    ・ “He prepares as best he can.”
    ( 彼はできる限り準備する。)

    ・ “She answered their questions as best she could.
    ( 彼らの質問に彼女はできるだけ答えた。)

  •  to the best of Y ability

    ※  Y  =  所有格

    ・ “I will cooperate to the best of my ability.”
    ( 自分に可能な限り協力します。)


  •  maximize / minimize
    ( 最大限にする ・ 最小限にする )

    ・ “I need to maximize the chances of
    receiving a scholarship.”
    ( 奨学金受給の可能性を最大限にする必要がある。)

    ・ “We want to minimize the likelihood
    of food poisoning.”
    ( 食中毒の可能性を最小限に抑えたい。)


◆  日本語は「 できるだけ 」で済むが、英語の場合、
ざっと挙げても数多い。

ほとんどが基本で、中級学習者 であれば、
一度は目にされたことがあるはず。

「 できるだけ 」の意味が漠として、厳密さを欠くため、
言い回しが多彩に広がったとも考えられる。


◆  < 程度 > 表現は、 一般実務でも多様性に富む。

国家行政の場でも、混迷している模様。

一例を挙げると、

できるだけ速やかに

カナダ政府の規定する連邦法( Federal legislation )
で採用されている表現の代表格 がこちら。

  •  as soon as possible
  •  as soon as practicable
  •  as soon as reasonably practicable
  •  as soon as practical
  •  forthwith       ※  直ちに( 副詞 )
  •  immediately       ※  至急に( 副詞 )
  •  without delay
  •  within __ days

現在、標準化と統一を目指している様子だが、
推奨または努力義務の段階にとどまっている。

【 出典 】  カナダ司法省

Describing Time Periods

https://canada.justice.gc.ca/eng/rp-pr/csj-sjc/legis-redact/legistics/p1p33.html
Date modified : 2024-02-27

◆  表現の標準化は、 産業分野を問わず課題となる。

長年、 産学官軍を 渡り歩いて きたが、 どの組織も

「  用字用語の統一  」 に手を焼いていた。

【参考】    ※  外部サイト

統計表における機械判読可能なデータの表記方法の統一ルール ( 総務省 )
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01toukatsu01_02000186.html
2020年12月18日

【PDF】
https://www.soumu.go.jp/main_content/000723626.pdf
※  PDF 全22頁、 875KB


弊サイトで何度も触れているように、

人間の 感覚 には、 驚くほど差がある。

言語や文化が異なると、 なおさらだ。

ある程度の 見解の一致 が望めなければ、
円滑に実行できず、 運用に支障が出る。

とりわけ、 時間感覚 に違いがあるのは確実。

この意識の差異の厄介さは、 繰り返し取り上げてきた。

私自身が、 もう散々な目に遭ってきているからである。

例えば、 以下でご説明している。

仕事で「 できるだけ速やかに 」と命じられれば、
「 当日中 」と構える人も、「 今週中 」と考える人もいる。
「 今月中 」もありうるだろう。

個人差が目立つとはいえ、 おいそれと修正しようがない。

したがって、 事前に明確な日時を取り決めておかないと、
泣きを見る。

異文化理解力 」 をもろに試されるのが、 時間の認識である。


◆  表題の 「 できる限り 」 も似たようなもの。

努力の度合いの物差しは、人それぞれ。

ことによると、「 できる限り 」の含むあいまいさに乗じて、
自分に都合よく解釈し、 サボることもできる。

そのため法律では、 定義を明文化したり、 判例を適用したりして、

基準に一定の拘束力をもたせて、 あいまいさを排除


こうした機能が期待されている。

厳格な法的効力を発揮する条文や契約書では、 用語の定義を明確化・

統一化することで、 「 前提 」 を固める。

そのための 「 定義条項 」 ( definitions ) は、 英文契約書の場合、

たいてい冒頭に置く。

前提の約束事は、 文書の最初に載せる方が構成上便利だからである。

各人各様の解釈の余裕を排し、 食い違いを予防する効果がある。


◆  しかし、 実際の英文契約書において、

” to the extent possible ”  を使うことはままある。

狙いは、この文言を挿入することにより、

■  あえて不明瞭にしておき、 履行責任を回避する。

 たとえ履行できなくとも、契約上の不履行
としての 
賠償責任を負わない ようにする。

「 できる限り 」のことさえ実行すれば、
 基本的に 契約違反を問えなくなるようにする。


◆  再度掲げると、” to the extent possible ” の

一般ビジネス用法は、

◇  to は、 範囲の前置詞 「 ~ まで 」。

◇  extent は、 不可算名詞  のみの単語。

【発音】  ikstént  
【音節】  ex-tent  (2音節)

ラテン語 「 広げる 」( extenta ) が語源。

  ” extent ” の基本的意味は、

広さ 」 「 大きさ 」 「 長さ 」 「
さらに、
範囲 」 「 限度

「 程度 」 を 概ね網羅  


◆  冠詞は、 程度が規定されていれば、 定冠詞  ” the “。

「 ある 」 程度 なら、 不定冠詞。    →  後述

表題は「 可能な限り 」なので、 限度っぱい

すなわち、 これ以上はありえない、 ぎりぎり限界の  べスト
だから、
唯一

最高 ゆえに唯一

「 ある 」 程度みたいな、 選択の余地なし

事実上規定された 「 唯一 のため、 定冠詞の  ” the “。

【類似表現】

  to the extent  allowed  by laws
( 法律が許す範囲内で )

  to the extent  feasible
( 実行可能な範囲内で )


◇ 
possible   には、形容詞と名詞がある。

【発音】  pɑ́səbəl 
【音節】  pos-si-ble  (3音節)

語源は、 ラテン語 「 なされ得る 」( possibilis )。

ここでは、 形容詞 「 可能な 」「 実行できる 」。

目安として、 ” possible ”  は、 公算が 50% 以下 。

50% であれば、 ” probable ”  または  ” likely “。

probable = likely  > possible
       50%超                50%以下


この根拠は、米国の『 ブラックス法律辞典 』。

判例などに最も引用される辞典である。

1891年刊で、130年以上の歴史を誇る。

英米法を学ぶ学生で、知らない者は皆無レベルの 存在感

1990年刊の「 第6版 」には、こうある。

  • probable
    Having the appearance of truth.
    ( p. 1201. )
  • likely
    probable.
    ( p. 925. )
  • possible
    free to happen or not; the word denotes improbability,
    without excluding the idea of feasibility.  It is also
    sometimes equivalent to ” practicable ” or ” reasonable “.
    ( p. 1166. )

    “ Black’s Law Dictionary, 6th Edition ”
    (West Publishing Co. 1990).   より抜粋


◆  その後、 およそ四半世紀を経た 「 第10版 」及び「 第11版 」
に至ると、 形容詞 ” possible ” は、  大見出しから消えている。

第10版は、 2014年刊。

Amazon Japan  /  Amazon US


” possible ” の代わりに、 最も近いと考えられる
名詞  ” possibility ”  をご案内。

  • probable
    having more evidence for than against.
    ( p. 1395. )
  • likely
    probable.
    ( p. 1069. )
  • possibility
    the word often ( but not always ) conveys
    a sense
    of uncertainty or improbability.
    ( p. 1353. )

    Black’s Law Dictionary, 10th Edition
    (Thomson Reuters 2014).   より抜粋

第11版は、 2019年刊。


Amazon Japan  /  Amazon US

  • probable
    Likely to exist, be true, or happen.
    ( p. 1454. )
  • likely
    Apparently true or real;  probable.
    ( p. 1113. )
  • possibility
    the word often ( but not always ) conveys a sense
    of uncertainty or improbability.
    ( p. 1410. )

    Black’s Law Dictionary, 11th Edition
    (Thomson Reuters 2019).   より抜粋

likely ” は、ここでは副詞でなく、どれも形容詞。


◆  もっとも、 ” possible ”  が 「 50% 」 を含むか否かは、
解釈が割れる。

ジーニアス英和大辞典 』 は、
「 起る公算が  50%より小さい  と話し手が考えている場合 」
と記す。


ジーニアス英和大辞典
大修館書店、 2001年刊 ( ロゴヴィスタ アプリ版 )
…  “ possible ”  の語釈より
<大修館書店HP>


つまり、 ” possible ” は、 公算が 50% 未満  とする説を採用。

◆  ” to the extent possible ” の和訳は、 大して難しくない。

定訳があるため、 その通り当てはめればよい。

それより英文が問題。

本当に使いやすく、 応用範囲が広いのか、 これから見ていこう。


—–どうぞ よしなに

◆  このような英文を見ると、文体の堅さ  を感じる。

上掲リストの  ” as much as possible ”  などに比べて堅苦しい。

「 可及的速やかに 」 に似通うくらい堅い。

ビジネス場面では堅めの文体の方が適切  だったりする。

【参照】

先述の通り、カジュアルトークには不似合いでも、

ビジネス用途ならば普通。

その観点から、やはり応用力と利便性は認められる。

たった4語。  ぜひ押さえておきたい。

◆  なお、表題の発展編 がこちら。

日常使用では、意味することは大同小異。

目一杯 の趣旨は同然。

  to the fullest extent possible
  to the greatest extent possible    ※  後述
  to the maximum extent possible
  to the maximum extent practical
    ※  後述

→  「 可能な限り 最大限

「 最高限度 」 までという具合。

より意欲的・積極的な勢いが加わる感。

「 極力 」の極み。

これらを上回る激越な調子は、 公文書にそう見当たらない。

ビジネス英語のうち「 最も深刻な表現 」の部類に属する。

和訳に手こずる。

翻訳会社や法律事務所などが担当する、 専門性の高い内容であれば、
社内規定の定訳がある場合が多い。

そうでないとすれば、素直に置き換えると、「 激甚 」「 激切 」「 凄烈 」
「 酷烈 」「 厳烈 」のごとく、  見慣れない日本語になってしまいがち。

不自然さを避けるべく、 ” to the extent possible ” と 一緒の和訳にすることも。

「 趣旨は同然 」なので、 通常の使い方であれば、 それで大丈夫だろう。

もしも、同一文書内に併用されていれば、区別して訳さなければ
ならないものの、 併用されているケースはあまり見たことない。

【参考】    ※  外部サイト

 


◆  ” practical では、「 現在の条件で、実行可能な限り 」
の意味合いが強調される点は、既に述べた。

「 手近な手段によってなし得る 」 ということ。

普段使う際は、” possible ”  や  ” feasible
とさほど違わない印象である。

【発音】  prǽktikəl  
【音節】  prac-ti-cal  (3音節)

語源は、 ギリシア語 「 実行に適した 」( prāktikos )。


『 ランダムハウス英和大辞典  第2版 』
小学館、1993年刊 ( 物書堂 アプリ版 )
…  ” possible ” の語釈より

  to a  reasonable  extent

→  「 常識の 」 範囲内で

表題のような 「 唯一の限界状態 」ではなく、

  常識内の 「 ある 」 程度で、 選択の余地あり。

「 常識 」には、 多面的・相対的な見方があり、「 唯一 」 にあらず。

「 ベスト 」 の常識や 「 最高 」 の常識なんて、 なんともそぐわない。

唯一絶対の常識は、 そこそこ健全で平穏な人間社会には想定しにくい。

とりあえず、 まあまあ ゆとりがあって、 ぎりぎりではない。

だから、 不定冠詞の  ” a “。

【発音】  ríːznəbl  
【音節】  rea-son-a-ble  (4音節)

語源は、 古フランス語 「 道理に適した 」( raisonnable )。

reason “( 道理 ) +  ” able ” ( ~ に適した )の意味合い。

 

  to a  great  extent

→  「 かなりの  」 範囲内で

「 常識 」 同様に、 「 かなり 」 は様々な解釈ができ、
「 唯一 」 にあらず。

「 かなり 」 が漠然としていることは、 日頃の使い道で分かる。

大まかで、 便利に大雑把なのが、「 かなり 」。

実は、 がばがばで、 ぎりぎりではない。

  程度が 「 がばがば 」 で 選択の余地あり

だから、 不定冠詞の  ” a “。

【発音】  gréit  
【音節】  great (1音節)

語源は、 古英語 「 ( 価値・規模・数量・程度が )大きい 」( grēat )。

ドイツ語  ” gross “( 大きい ) と同語源。

量的大きさのみの  “ large ”  と異なり、 質的大きさも表現できる
点が  ” big ” に重なるが、 ” great ” は、 もっと形式張っている。

  to the greatest extent possible

がばがば  ” great ”  の末尾に、 最上級 を作る接尾辞  ” est ”  を追加。

【発音】  gréitist  
【音節】  great-est (2音節)

「 がばがば 」だったのに、 「 最上級  est 」で極めて厳しくなった。

度いっぱい で、 これ以上はありえない、 ぎりぎり限界の

グレーテスト だから、  ベストで最高  ゆえに唯一

「 かなり 」 と異なり、 選択の余地なし

よって、 定冠詞の  ” the “。

例えば、 1名の「  野球史上最高の投手 」は、 並びないオンリーワン
なので、 名詞は単数形となる。

一方、 「 野球 史上最高の投手 のうちのひとり 」 ならば、

グレーテスト だから、 ベストで最高  ゆえに、 ” the “。

接尾辞 ( suffix ) の ” est ”  が追加されているので、 ” the “。


ここまでは 【 基本の知識 】 である。

 

est ”  が、 必ず  ” the ” とは限らない【 応用の知識 】は後出。

◆  最初にご注意いただきたいポイントがこちら 

「 グレーテスト 」 や 「 ベストで最高 」は、 1名とは限ない

同列1位 」 「 同点1位 」 「 同率1位 」 「 1位タイ 」 に似る。

「 グレーテスト 」 や 「 ベストで最高 」が、 うじゃうじゃいても、

全員を グレーテスト   と評価して、 ” the “。

最上級の形容詞  ” greatestに随伴する  ” the ”  で、 数は無関係。

◆  ” one of – ” ( ~ のひとつ ) は、 単複が混乱しやすい。

中級前後の日本人学習者が、 とても苦手とする箇所である。

×  ” one of the greatest pitcher in the history of baseball ”

このように間違える人が数限りないのだが、 ミスに気づけない。

上級者は即座に見抜く。

 

「 史上最高の投手 」  が複数名いるので、 複数形  ” pitchers “。

「 最高 」 「 グレーテスト 」 が何人もいるのは、 なんだか妙。

感覚的にはおかしい気がするが、 押し並べて横並びとみなせばOK。

同列1位 」 「 同点1位 」 「 同率1位 」 「 1位タイ

結果的に、 トップ級の 全員  を表す。


◆  下記4文も同様で、 文法上は正しい。

感覚的にはおかしい気がするが、

もし 「 最高の友人 」 「 親友 」 がたくさんいるならば

全部ありうる。



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これならわかる!  英語冠詞トレーニング 』  pp. 170-173.

石田 秀雄 (著)
DHC、 2012年刊

<出版社HP>    <アマゾン>    <楽天>


◆  大学などの成績評価制度  ” GPA ” ( grade point average、

成績平均点 ) の最高点は通常「 4.0 」。

この 「 最優秀( highest ) 」 の優等賞は何人もの卒業生が獲得する。

各学校の方針によって若干異なるが、 全体の成績評価点の平均値次第

であり、 その多くは相対的なもの。

◆  「 最後の手段 」 =  ”  the  last resort ”  と学ぶのが基本だが、

”  a last resort ”  もありうる。

 「 最後の手段 」 と表現したい本人が、-tp


ぎりぎり限界の  ラスト 
とまでは思っておらず、

「 今のところは 」  おそらく  ラスト  かも  …


こんな風に考えている場合、   ”  a last resort ”  が出てくることがある。

「 ラスト 」 と言いつつ、 ” to a  reasonable  extent  ”  と同じく、 

とりあえず、 まあまあ ゆとりがあって、 ぎりぎりではない。

だから、 不定冠詞の  ” a “。

後がない、 本気で最後と切羽詰まったなら、 定冠詞の  ” the “。

 

◆  要は、

冠詞は使い手の意図する気持ちで変わる時も珍しくない

 

これぞ、 英語の冠詞の 【 応用の知識 】

 

絶対的でないことは、 常日頃より英語を使っていれば、 自ずと察知する。

英語ネイティブに日々接し、 奇妙に思える冠詞を山ほど見聞きするから。

 

「 なんでここが ” a ” なんだ ? 」 こうして考察することで向上していく。

初学者・初級者が見過ごす論点を捉え、 疑問が浮かび上がるのが中級者。

不明点が増えて嫌気がさし、 おびただしい挫折者が氾濫するのも中級者。

 

◆  2024年10月、 日本の法廷でa ”  と  ” the ”  が取り沙汰された。

豪州国籍の被告人が犯行に用いた表現を問う東京地裁の 「 空耳 」 裁判


ただ、弁護側の主張には疑念も残る。

通常、 「 ドアに向かえ 」 と英語で言う場合、
「 一般的なドア 」ではなく、 「 特定のドア 」に向かうことを指す。

文法的に言えば、 ドアに付く冠詞は「 a 」 ではなく「 the 」だ。

弁護側は、その点も踏まえて被告に質問。 被告は

「 ドアの場所を把握しておらず、一般論としてドアの方へ行って、
という意味だった 」 と説明した。

口にしたのは、 あくまで 「 強盗だ 」  に聞こえる可能性があった
「 Go to 『a』 door 」だった、 との主張だ。


「 強盗だ!」は「 Go to a door!」? 前代未聞、豪州男「 空耳 」裁判の行方
https://www.sankei.com/article/20241016-K3KQC66G7BPGJDZOU5Y3TN7MEA/
2024年10月17日付

※  ハイライト・太字・色字は引用者


ハイライトで示したように、 「 特定のドア 」 の場合、

文法的に言えば、 ドアに付く冠詞は「 a 」 ではなく「 the 」

これが基本。

しかしながら、 前記の通り、

冠詞は使い手の意図する気持ちで変わる時も珍しくない

絶対的でないことは、 常日頃より英語を使っていれば、 自ずと察知する。

英語ネイティブに日々接し、 奇妙に思える冠詞を山ほど見聞きするから。

強盗の言い逃れとしてはどうかと思うが、a  door ” も割と耳にする。

地裁の公判で争点に上がること自体が、 「 絶対的でない 」 と物語る。

明らかな間違いの英語ならば、 検察・弁護・メディアはこう取り上げない。

英語中級者であれば、 冠詞の 【 応用の知識 】 として知っておきたい。

 

  初学者・初級者は、 冠詞に時間をかけすぎてはならない。

中級学習者 は知る必要があるが、 初学者はざっくり押さえておけば事足りる。

この段階で、必要以上に深入りすると、「 英語嫌い 」になりがち。

やたらと目につく 「 例外 」 の数々に戸惑い、 頭が混乱してしまうから。

そのため、 中級 以上の実力に達してから、 舞い戻ってくるとよい。

そもそも 「 冠詞 」「 時制 」「 前置詞 」 などは、
初級レベルで 真に理解するには 無理がある。


英語の 「 全体像 」 がうっすら見え始めた中級学習者が、

ようやく把握できるようになってくる性質のもの。


上述の通り、 「 be動詞 」 は 極めて基礎に位置する 英語の必須知識。

議論の余地はないが、 実は「 be動詞 」 を抜いても、 おおよそ趣旨は伝わる。

その証拠のひとつとして、 記事見出し ( headlines )・ 看板 ・ 掲示板 ・
格言 ・ 慣用句 ・ 常套句では、 「 be動詞 」 と 「 冠詞 」 を略すのが一般的

視認性を重視する指示・注意喚起と等しく、 簡潔明快を旨とするため、 英文法
の基本から逸脱する表記が少なくなく、 「 be動詞 」 と 「 冠詞 」 なしが普通

プロの手による文言とはいえ、 「 be動詞 」 と 「 冠詞 」 を省略 して世間一般
公開され、
必要十分な情報伝達ができている。

◇  「 見出し 」 英語の解説は、 こちらが秀逸  ↓
英語ニュースの読み方 ( 見出し編 ) RNN時事英語

「 be動詞 」 がないと絶対通じない、 と神経質になりすぎないことだ。

大意は伝わるから、 学習者は英語の間違いをそんなに恐れないでよい。

日本人はむしろ、 英語を使わずじまいになる損失に、 神経質になるべき。

これこそ深刻な事態、 人生を費やし骨折り損のくたびれもうけに終わる。


Please be aware that – “  より



◆  上記では複数人を指すものの、

” the old “、 ” the poor “、 ” the weak “、” the sick “、 ” the vulnerable

” the rich “、 ” the needy ”

など、 形容詞を集団の複数扱いする、 「 ~ な人たち 」 とは別の用法。

~ な人たち 」 の  ” the ” の基本は、 次の通り。



『 ジーニアス英和大辞典 』
大修館書店、 2001年刊 ( ロゴヴィスタ アプリ版 )
…  “ the ”  の語法より
<大修館書店HP>


『 研究社 新英和大辞典 第6版 』
研究社、 2002年刊 ( ロゴヴィスタ  アプリ版 )
…  ” the ”  の語釈より

◆  うじゃうじゃひしめく、greatest ”  な投手たち 全員  を指すため、
複数形になるのだが、 ” one ” に引きずられると、 単数形と間違える。

日本語でも、 「 史上最高の ◯◯ のうちのひとり 」 と表現することはある。

「 No.1 」 の断定には危険が伴うから、 この方が無難。

日本語の単複表現は、 それほど明解ではないため、 複数人のうちの1人は、
「 最高の投手たち のひとり 」 の代わりに 「 最高の投手 のひとり 」も可。

しかし、 英語は複数形  ” pitchers ”  でないと間違い。

逆に、 下記の動詞(  be動詞 ” is ” )が 単数用 になるわけは、
中級学習者   なら理解できるはず。

今度は、 ” one ” そのものを指すので、 呼応する動詞は ” are ” でなく、
単数  ” is ” 。

この用法の  ” one ”  は、 代名詞( a pronoun )。

具体的には、 漠然とした不特定  の人・物・数 を表す、
不定代名詞 ( an  indefinite  pronoun ) の  ” one “。

この例文の不定代名詞  ” one ”  は、 漠然とした不特定の 「 人 」。

” one ”  の正体は「 Mr. X 」  →   1名だから、単数 ” is “。


X氏 ひとり だから、 is

言い換えると、


互角の Y氏 も加えると、

複数形の代名詞  ” ones ”  に比べて、 ここは  ” two ” の方が自然。

 

◆  英語に慣れてくると、 上記レベルの単複は使い分けられるようになる。

「 なんで、 こんなことに悩んでいたんだ … !  」  と不思議に思うくらい、

すんなり使いこなせるようになる。

この種の知識は、 理屈が通っているため、 きちんと会得すれば忘れない。

言語によくある、 恣意的・気分的要素も排除されているから、 難しくない。

言語の世界は、 理論と運用の一致しない場面が少なくない  が、これも非該当。

理論を学んだ後は実践。   

「 生の英語 」 に接する機会を、 漸次増やしていく姿勢が大切。

 

教材ばかりやっていると、 「 使える英語 」 から遠ざかる


通じる英語から、 知らず知らずかけ離れていく、 几帳面で必死な勤勉さ。

まともに英語を使うこともなく、  教材やるだけで人生が終わってしまう。

教材大国ゆえか、 教本に依存したまま寿命が尽きる、 背筋の凍る未来像。

日本の教育業界の巧妙なあおりを真に受けて、 終始一貫、 教材尽くし。

英語教育産業の思う壺。

 

こういう日本人が大勢おり、 実にもったいなく、 もう悔しくてたまらない。

悲しく切なすぎる反面、 自ら回避できる非運なので、 酷に言えば意気地なし。

危機を察し、 いつまでも報われない 「 万年受験生 」 から素早く脱出すべし。

私たちが大好きで、 皆が目指す資格取得にも、 同様の弊害が見受けられる。

 

◆  以下、 ” no need ”  より再掲。


英語を盛んに使って仕事する実務家は、 TOEIC に構わない方が大半。

天下に威勢を示す TOEIC の弊害を、 苦々しく受け止める人も目立つ。

高得点なのに即戦力から程遠い、 多数の社会人にお会いするとこうなる。

洋画どころか、 定例会議で聞き取れないのだから、 発言には至らない。

まるで冗談だが、 よくある実話。

ナレーターやキャスターら、 プロのしゃべりに慣れてはまる、落とし穴。

プロ音声と違い、 速度も口調も間合いも容赦のないのが、リアルな社会。

もごもごしてる間に、びゅんびゅん意見が飛び交い、スルーされてお終い。

敢えないものである。

一体、なにを試験してるのか、 との疑念と警戒心が沸き起こってくる。

「 TOEIC満点 」 と自惚れを口走れば、 笑い者にならぬとも限らない。

話題の糸口になりえないくらい、 皆一様に歯牙にも掛けない印象。

「 すごいけど、 よくそんなヒマあるな … 」  本音はこんな感じか。

「 録音相手に、 なにやってんのやら … 」  空しくならないのかねぇ。

生身の人間相手に勤しんでくれば、 人為的な匂いを敏感に嗅ぎ取る。

「 ごっこ遊び 」。

人間相手に英語を使う機会が増えてくると、 こう感じるようになる。

録音音声は模造品にすぎないと、 まざまざと実感できるようになる。

実際にやり取りして得る体験は、 試験とは別物であることが分かる。

容易に感づく。

試験と違い、 理解できなければ、 確認させていただくこともできる。

双方向のコミュニケーションが生じる瞬間であり、 生の英語の出番。

羨望の的となる 「 TOEIC満点 」 を誇負する振る舞いが、 大概の
実務家の目にどのように映っているか、 ご想像いただければと思う。

【参考】    ※  外部サイト

 

◆  こういった内実はなかなか明るみに出ず、 世上には流布しない裏事情である。

教材や資格には「 中毒性 」があり、「 向学心 」を刺激するから気づけない。

教科書・問題集・試験 に親しんでいる日本人にとって、 これらは安堵を誘う。

知らぬ間に逸脱し、  あらぬ方向に突き進みがちな日本人学習者の痛ましき姿、
そして予防策は、 no need  に事細かく記した。

→  主として、 中級学習者  対象の長文 ( 動画入り )

英語教育業界と教材学習がもたらすリスクについても、 大胆に暴き出した。

日本は、 「 使えない英語 」マニア ・ 詐欺教材 詐欺師   だらけ。

「 ごっこ遊び 」  の延長かも。

もったいない …

 

◆  以下、 ” hiatus ”  より再掲。


正確な文法解説には、日英の文法に精通する高い学力 を要するため、
ネイティブ音声を吹き込んだ素材を売る方が、 手間いらずなのです。

「 文法不要 」の背景には、 両言語の学識が浅すぎる実情がからむ。

日本語と英語の文法を、 ろくすっぽ知らないために、「 文法不要 」。

( 中略 )

◆  日本語に置き換えて眺めると、 べらぼうに
常識外れで、 噴飯物のおかしさが浮き彫りになる。

「 聞き流すだけで、 日本語ペラペラ 」
「 文法不要で、 日本語マスター 」
「 ○○日間で、 日本語習得 」
「 動画を毎日○分見れば、 日本語堪能 」
「 ○語以内の文を覚えれば、 聞き取れる 」
「 聞くと、 突然日本語が口から飛び出す 」
「 たった○○のみで、 日本語は話せる 」
「 使えば、 ネイティブ発音が身につく 」
「 動画を見るだけで、 日本語脳になれる 」
「 ○○で、 日本語ネイティブになれる 」


こんなこと信じられますか ?
このような教材に投資しますか ?
日本語学習者にお勧めしますか ?

第一、 「 ペラペラ 」 や 「 マスター 」 の水準とは ?

販促のキーワードに起用する際、 用語の定義は不可欠と考える。

「 ネイティブになれる 」 に至っては、 頭がおかしい。

軽々しい戯言に、 だまされる側もどうかしてるわ。

 


あなたも ネイティブになれる

( 2024年3月14日  筆者撮影 )

耳で聞くだけの
「 発音 」修行は、
もとより無謀 


口から排便するようなもの。

×  お口で うんこ

 

たぶん 無理です。

 

日英の音は、 舌・唇・歯・呼吸間の相互作用が
まったく違います

  英   語 「 息の音 」
  日本語 「 声の音 」

ご自分のお口


を 動かしましょう

日本語母語話者にとって、

英語の発音は動物の鳴き声に近い。

日本語で表記しがたいのは言うもおろか。

犬猫の声と一緒で、 そもそも日本語では書き起こし

きれないのに、 英語音を無理くり邦文で表現しようとする。

等しく不条理だからアプローチを変える。

口周りをまじまじと見据えて、 模倣する。

※  やり方は、 ” integrity ”  へ  ( 図入り、 動画入り )

【参考】    ※  外部サイト

 

「 音声 」 の日英比較も、 ” integrity ”  で詳細にご案内した。

◆  仕上げに、 英文読解。

先ほど抄出した 『 ブラックス法律辞典 』。

各項を全文読んでみよう。

■  Black’s Law Dictionary, 6th Edition
(West Publishing Co. 1990).

( p. 1201. )

( p. 925. )

( p. 1166. )


 「 第10版 」 「 第11版 」 との比較に、possibilty  追加 

( p. 1165. )

 

■ Black’s Law Dictionary, 10th Edition
(Thomson Reuters 2014).

( p. 1395. )
( p. 1069. )
( p. 1353. )

 

■  Black’s Law Dictionary, 11th Edition
(Thomson Reuters 2019).

( p. 1454. )
( p. 1113. )

( p. 1410. )


いかがだろう。

これが、 世界一有名な英米法辞典。

法律家とその卵たちが用いる専門辞典であっても、案外、読めたのでは。

中級学習者 の場合、 単語集・表現集などの市販の教材よりも、
リアルな英文を読む方が、 きっと 確かな 「 自信 」 がつく。

力量相応の英文を がんがん読もう

-ー

勇気を奮って、 教材以外の英文を読みまくれば、
ご自分の英語力を把握しやすくなるということ。

「 単語力 」 以上に 「 多読 」 を優先することを、 強く
お勧めする理由は、 ” no need
  にて詳らかにしている。

→  主として、 中級学習者  対象の長文 ( 動画入り )


◆  しんどい蛍雪の勤めの延長で、 いつまでも

「 点取り勉強 」 を続ける 「 万年受験生 」 の

日本人学習者が多すぎる。

「 点取り 」 「 丸暗記 」 中心の英語は、

受験勉強が終わったら、 けりを付けたい。


来る日も来る日も教材学習の果てに、 いつの間に 「 万年受験生 」。

あたかも 「 勉強のための勉強 」 に堕し、 懐疑にとらわれ、 立ち往生。

「 こんなこと、 いつまでやってればいいのか … 」

学ぶ楽しみは、 とうに失われ、 どうしたいか定かでなく、 惰性に流れる。

心ならずも、 教材にまみれて溺れてしまった学習者は少なくない様相。

TOEIC などにこだわりすぎると、 この運命が待ち構えている。

点数が下がるのが怖くて、 強迫的に受け続けるしかない無間獄。

これはつらい。

みじめだわ。

こうなりたい ?

私の感覚では 「 目を覚ませ」 とぶん殴りたいくらいの異常事態。

意気地なしなのか、 怠け者なのか、 バカなのか、 わけ分からない。

Life is way too short for such stupidity.


no need  より

  記事 内では、 有名翻訳サイト5つにおける、
上記英文の機械和訳を検証した ( 図入り、 実名入り )。

【 結果 】    2サイト    ×  3サイト


それほどまでに時間をかけてきたのに、

ミスして恥かくのが怖くて、

英語を使うことなく終わる。

せっかく学んできた英語。

もったいないので、 しまい込まずに、 使ってあげましょう。

◆  おすすめ YouTuber  ( 下記 ) と学習上の着眼点も、 ” no need ”  に詳述した。

( 図入り )

 


👄 唇をよく見て 🫦

さしあたり、

発音記号や音節を考えずに、 興味本位でじっと眺めてみる。

画面を戻して、 とことん観察 ( rewind and rewatch )。

必要に応じて、 コマ送りにする。

▼ TH

 

▼ F

▼ L


▲  焼肉しゃぶっているよう

日本語を話す時、 このようになりますか。

一瞬たりともないと思います。

なぜなら、 日本語の発音には不用な動きだからです。

 

日英の音は、 舌・唇・歯・呼吸間の相互作用が
まったく違います

  英   語 「 息の音 」
  日本語 「 声の音 」

実際に声を出してみないと、 英語の発音はできるようにならないです。

日本語とは完全異質だから、 耳で聞くだけでは、 口から出てこない。

どんなにリスニングをしても、 自ら発声しない限り

いつまでも話せない。

 

ごく自然に習得できるよう
「 人間の本能 」 に組み込まれた
第一言語 ( 母語 ) と違う点

 

根底からして異質な言語がお安く口から出るって、 結構なホラー話。

映画 「 エクソシスト 」 ( 1973年公開 ) の世界です。

適切な訓練なくして、 現実的にはあり得ないことに気づきましょう。

 

ご自分のお口

を 動かしましょう

 


Joce’s YouTube “  より


Joce Bedardカナダ人女性    先述の推しの YouTuber

 

相性のよさそうな

発信者や番組を見つけて、

がっつり食らいつく。

 

 

  日本人学習者を主たる顧客と想定した素材は、

長期的にはあまり望ましくないと私は考える。

中級学習者  が潜在能力を引き出し上達するには、

日本人相手ではない番組を中核に据える方が名手。

【 主な理由3つ 】

日本語母語話者向けに、 ほどよく加減され、

念入りに作り込まれた印象を受ける番組が多い。

登録者を増やすためか、 販売促進のためか、

どうしても視聴者におもねる調整が欠かせない。

理由は3つのデメリット。

(1) 漫然と視聴しただけで、 会得したと勘違いし、 英語学習した自己満足に陥りがち

(2) 自分の頭や口を動かさずに時間を使い切り、 成長しそびれているのに気づけない

(3) 手入れ後の日本人受けする英語なので、 そう自然ではない状態の英語が目立つ

一般向けの素材に慣れ親しんできた学習者であれば、

割合すぐ見透かせると思う。

 

 

 

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