Grope
2024/11/12
( 他者の ) 身体をまさぐる、 いじる
セクハラ事件でよく出てくる単語。
■ 男女間に限らず、 同性間のトラブルにも使う。
■ 加害者が女性、 被害者が男性のケースもOK。
–
- ” She was fired for groping his groin. ”
( 彼女は彼の股間を触って解雇された。)
–
※ ニュース記事より
–
◆ 発音注意で、「 グ ロ ウプ 」。
【発音】 gróup (1音節)
「 グ ル ープ 」ではない。 ※ 後述
–
ニュースに多用される ” grope ” も、 やはりセクハラ事件が目立つ。
後掲の通り、 ごく 普通の使い道もある。
–
しかし、
◇ “ grope ” と聞くと、 悪事を想起する
–
これが、 今時の反応だろう。
「 性癖 」 同様、 うかつに口にできない気配。
◆ ” grope ” には、 自動詞・他動詞・名詞 がある。
語源は、 古英語 「 つかみ取る 」( grāpian )。
全品詞を貫く意味合いである。
–
” grope “
- 自動詞 「 暗中模索する 」「 身体をまさぐる 」
- 他動詞 「 手探りする 」「 身体をまさぐる 」 ← 性的用法の中心
- 名詞 「 手探りすること 」「 身体をまさぐること 」
–
【発音】 gróup (1音節)
【活用形】 gropes – groped – groped – groping
–
◇ ” groping ” は、 上記活用形の「 動詞の現在分詞 」に加えて、
名詞 「 痴漢行為 」
を表す。
※ 現在分詞 ( present participle )
動詞 ” grope ” に、 接尾辞 ” ing ” を添えて名詞に。
【発音】 gropɪŋ
【音節】 grop-ing (2音節)
名詞 ” grope ” も「 痴漢行為 」を意味するが、名詞
” groping ” の方が、ニュースで起用されがちの模様。
痴漢報道で、頻繁に見聞きする。 ※ 例文参照
後述の ” inappropriate touching ” と重なる内容。
【発音】 ìnəpróupriət
【音節】 in-ap-pro-pri-ate (5音節)
すなわち、
- 不適切に触ること
- スケベなお触り
- 痴漢行為
要は、 みだらに 「 タッチ すること 」。
日本の英字新聞でも見かける。
–
名詞 「 痴漢する人 」
groper
––
【発音】 gróupər
【音節】 grop-er (2音節)
–
男女不問 だが、 どうしても男性に結び付きやすい。
–
–
グローパー
–
◆ ” er ” は、 ここでは 「 ~ する人 」 「 ~ の行為者」
を意味する接尾辞 ( suffix )。
名詞に添加する接尾辞なので、 名詞接尾ともいう。
動詞 ” grope ” に付けると、「 grope する人 」 なので、
「 痴漢する人 」。
同一用法の ” er ” ( ~ する人 ) の代表例を11語。
- キーパー ( keeper )
- コミッショナー ( commissioner )
- サーファー ( surfer )
- チャレンジャー ( challenger )
- トレーダー ( trader )
- ボクサー ( boxer )
- スピーカー ( speaker )
- ホルダー ( holder )
- メーカー ( maker )
- ランナー ( runner )
- リーダー ( leader ) ( reader )
日本語母語話者が難なく把握できる語を選んでみた。
- ユーチューバー ( YouTuber )
- インフルエンサー ( influencer )
も該当する。
そして、 無生物の 「 ~ するもの 」 の例として、
主な ” downers ” は、「 バルビツレート 」( barbiturate )。
主な ” uppers ” は、「 アンフェタミン 」( amphetamine )。
別稿 ” Let somebody down. ” で取り上げた話である。
◆ 以下、 ” perceive ” ( 知覚する ) より再掲。
超能力者のエスパー ( esper ) である。
▲ 1977年から 『 マンガくん 』 で連載開始 ( 全9巻 )
Esper = エスパー = 超能力者 ↓
頭文字 ” ESP ” + 「 ~ する人 」の接尾辞 ” er ”
↓
extrasensory perception ( ESP )
– 超感覚的 知覚 → 超能力
- extra ( 超 ) ※ 接頭辞 「 範囲外の 」
- sensory ( 感覚的 ) ※ 形容詞
- perception ( 知覚) ※ 名詞
” esper ” は SF用語 で、 中型辞書にも載っていなかったりする。
はるかに普及している呼び名は、 超能力者 = ” psychic “。
【発音】 sáikik
【音節】 psy-chic (2音節)
–
–
◆ 近頃、 インターネット上のコメント欄などで、
カタカナ 「 レイパー 」 を見かける。
英語では ” raper ” よりは、 ” rapist ” が一般的。
【発音】 réipist
【音節】 rap-ist (2音節)
–
” ist ” も、 同じく 「 ~ する人 」 を意味する接尾辞。
「 ~ 主義者 」 「 ~ 専門家 」 としても用いる。
動詞 ” rape ” に付けると、「 rape する人 」 なので、
「 性的暴行する人 」。
【発音】 réip (1音節)
語源は、 ラテン語 「 強奪する 」( rapere )。
【参照】 ” Spike ”
–
” ist ” ( ~ する人 )( ~ 主義者 ) の代表例を11語。
- アーティスト ( artist )
- エゴイスト ( egoist )
- エコノミスト ( economist )
- ジャーナリスト ( journalist )
- スタイリスト ( stylist )
- スペシャリスト ( specialist )
- バイオリニスト ( violinist )
- ピアニスト ( pianist )
- メダリスト ( medalist )
- フェミニスト ( feminist )
- タイピスト ( typist )
さらに、
- ミニマリスト ( minimalist )
も該当する。
◆ 以上、 日本社会に根付いた名詞ばかり挙げた。
もともと英単語なのに、 どれも常日頃より飛び交うカタカナ語。
別の言い方がすぐ思いつかないくらい、 日々の暮らしに
溶け込んでおり、 外来語の中では軒並み大出世した。
主要因として、これらの接尾辞 ” er ” や ” ist ” に随伴する
動詞または名詞が、 日本人に馴染んでいることが考えられる。
この点、 ” grope ” と ” groper ” は、 ハードルが高く、
今後も我が国の世間一般には浸透しないと私は推断する。
【参照】 ” Skill set / Skillset ”
◆ もっとも、「 グローパー 」 の語調は、 そこそこよい感じ。
なんか、 かわいらしい。
「 ウーパー ルーパー グローパー 」
思わず 口ずさんでみたくなる、 たまらなく懐かしい心地。
健全な活気に満ちた響きを放ち、 和気あいあいとした
雰囲気が味わえそうな気がして、 弾んだ調子が楽しい。
日本語との相性も良好かも。
けれども、 意味を知ると、 一転して気分がしぼむ。
–
ウーパールーパーは和製語で、 英語では ” axolotl “
【発音】 ˈæksəlὰṭl 【音節】 ax-o-lotl (3音節)
–
◆ ” grope ” は多義ではない。
このことが、 かえって ” grope ” をセクハラに
結びつけている様相。
もし、 語義が多ければ、 印象が分散されたはず。
ところが、 語源の 「 つかみ取る 」 のイメージ
で一貫しているせいか、 この用法がニュースで定着
してからは、 あまねく一般化した感がある。
–
その結果、 むやみやたらに、
–
卑猥な語感
–
を帯びるようになってしまった。
” screw ” の一般認識に似通う流れである。
–
◆ とはいえ、
◇ 本来は 際どい用途だけで ない
–
再度強調しておきたい。
- “I groped for the doorknob.”
(ドアノブを手探りした。)
– - “I groped in the darkness.”
(暗闇の中を手探りした。)
– - “I groped for an answer.”
(答えを模索した。)
– - “I groped my way to the kitchen.”
(手探りで台所まで進んだ。)
– - “I’m groping for my own writing style.”
(自分なりの書き方を模索中です。)
– - “I groped for a simple English word.”
(シンプルな英単語を見つけようとした。)
–
–
https://www.forbes.com/quotes/200/※ 2024年6月13日 アクセス
–
もし、 スケベな ” grope ” だったら、 怖すぎる。
AI はどう訳すか、 一例を挙げる。
2017年のサービス開始以来、 「 世界一高精度な翻訳ツール 」 と
自称する、 多言語翻訳サイトの 「 DeepL 」 ( ディープエル )。
本拠地はドイツ。
2024年6月13日実施。
‐
–
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–
仕事の秘訣を問われ、 「 股間をまさぐるんだ 」 だと。
アインシュタイン( 1879-1955 ) のたまわく、 ですぞ。
この和訳はありえない。
–
「 DeepL Pro 」 の文言が示すように、 有料版なのだが …
–
–
勝手に 「 幻覚 」 を生み出す怖さ人間が翻訳していれば絶対に起こり得ない誤訳を、
生成型AIは確率論の名において平気で冒すことが出来る
–
–
「 AIが間違えるハズがない 」 は危険。
平気で嘘をつく生成型人工知能の限界
https://www.mag2.com/p/news/583243/3
2023年8月31日付
–
次の洋書にも書いてある。
3本の黄色い下線に着目。
和訳を逐一見ていきたい。
–
–
p.175.
Susan Shaughnessy,
” Walking on Alligators: A Book of Meditations for Writers ”
HarperOne (1993).Susan Shaughnessy,
” Meditations for Writers ”
Aquarian Press (1993).※ 1993年に2社から発行されたが、 同一内容でページ番号も完全一致
※ 下線は引用者
–
その邦訳では、
–
–
How do I work ? I grope.どうやってするかって? 手探りでやるだけさ。
アルベルト・アインシュタイン
–
『 小説家・ライターになれる人、なれない人: あなたが書けない本当の理由 』p.24.
スーザン・ショフネシ− ( 著 )
宮崎 伸治 ( 翻訳 )
同文書院、 1998年刊
–
ベテラン翻訳者の手腕はさすが。
中ほどの ” grope ” と下から3行目の ” groping ” は、
–
–
Discoverers grope.発見する人は手探りで進みます。
–
同書 p.25.
–
I will be comfortable with groping in the dark.私は真っ暗闇の中を手探りで歩いていくのが怖くなくなるでしょう。
–
同書 p.25.
–
本書は、 別稿 「 単語の覚え方 」 でも少々触れた。
文を著す者が抱える普遍的な悩みを作家たちが言語化している。
洋の東西を問わず、 文士の思考の共通点がふんだんに見つかる。
共感できるアドバイスが探し出せるため、 物書きならば必読。
英文は、 中級英語力の持ち主であれば、 すらすら読める難易度。
◆ 次いで別件をご案内。
–
–
I am groping, groping, groping for my own particular style.
(私は今、自分独自のスタイルを懸命に探っているのです。)
–
–
–
Jack London ( 1876-1916 )
ジャック・ロンドン 米作家
1899年6月12日付 私信
” The Letter of Jack London Volume One: 1896-1905 “, p.83.
Stanford University Press (1st ed. 1988).
※ 下線は引用者、 拙訳
※ ジャックが長女に書き送った絶縁状を全文掲載 → ” Toxic relationship “
( 写真入り )
◆ 上文 ( アインシュタイン、 ロンドン )に、 みだらな要素は一切ない。
–
下記は混こぜ。
- “I found myself groping for words when she caught me groping her.”
(彼女に痴漢したことを見とがめられ、 なんとか言い逃れようとした。)
–
本稿末尾にて、 有名翻訳サイト5つの和訳を検証した ( 図入り、 実名入り )。
–
〇 2サイト △ 1サイト × 2サイト
–
◇ はっきり見えない中、手先の感触で探る様子
–
これぞ 「 手探り 」。
” grope “ は、それをズバリと示す。
–
「 身体をまさぐる 」 「 身体をいじる 」
を表すのに、 おあつらえ向き。
ただし、 自分の身体をいじくる際は、 通常使わない。 ※ 後述
–
–
まさにこちら。
–
情欲に駆られた魔の手の動き
–
その描写に用いられるのも不思議でない。
–
–
3大学習英英辞典( EFL辞典 )から、この意味の語釈を
引用すると、性的表現が明記されている ( 下線 )。
–
–
” grope ”
4. transitive
to move your hands over someone’s body
to get sexual pleasure, especially when they
do not want you to do this.
( LDOCE6、ロングマン )
–
3. transitive
to touch somebody sexually, especially when
they do not want you to.
( OALD9、オックスフォード )
–
transitive
to touch someone‘s body in order to get sexual pleasure,
usually when the person does not like it.
( CALD4、ケンブリッジ )
–【発音】 gróup (1音節)
※ 下線、太字、ハイライトは引用者
–
” transitive ” verb とは、「 他動詞 」のこと。
【発音】 trǽnsətiv
【音節】 tran-si-tive (3音節)
性的な用途では、 他動詞が一般的であることを示す。
3つの語釈すべてが、 不定代名詞 ( an indefinite pronoun )
の複合語である、 ” someone ” または ” somebody ” を含む。
「 ある人 」 「 誰か 」の意。
- especially when they do not want you to do this. ( LDOCE6 )
- especially when they do not want you to. ( OALD9 )
- usually when the person does not like it. ( CALD4 )
上記の通り、 それぞれの後半の記述と併せて、 先述した
「 自分の身体をいじくる際は、 通常使わない 」 を裏付ける。
–
[ somebody と someone ]
(1) somebody は someone より口語的 で、
呼びかけなどの場合に好まれる。
(2) 話し手と親密な関係にある特定の人を
念頭に置いている場合は someone が好まれる。
somebody はだれでもいい、とにかくだれか、
という気持を含む。
(3) 堅い書き言葉には通例 somebody は
用いない。
–
–
–
『 ジーニアス英和大辞典 』
大修館書店、 2001年刊 ( ロゴヴィスタ アプリ版 )
… “ somebody ” の語釈より
<大修館書店HP>
–
英英辞典の見出しは、” somebody ” だらけ。
略して、 ” sb “。
” someone ” は、語釈本文では使われるものの、
辞書見出しは慣習的に ” somebody = sb ” 中心
となっている。
◆ 実際のニュース報道では、 詳述を避け、
” grope ” の一言で終わらせる場合が多い。
あいまいにすることで、 当事者 ( 特に被害者 )の
名誉及び 「 プライバシー保護 」 を図っている。
被害者保護の観点から 非公表 に処するということ。
日本も似た状況だろう。
この意味でも、 便利な言い回しである。
ー
◆ 留意すべき点は、 ” grope ” は、
純粋な愛情表現 「 愛撫する 」 をも意味する。
非常にプライベートな愛情表現なので、
ニュースに出てこない。
事件性がなければ、 報道価値 は伴わない。
–
ニュース記事や他者との会話にも、 なかなかお目見えしない。
したがって、 一般用法として出回りにくい。
片や、官能小説においては、 お馴染みの他動詞。
- feel up ( 相手の体をまさぐる、 愛撫する )
も日常的に出てくる句他動詞 ( transitive phrasal verb )。
- ” He tried to feel her up.”
(彼は彼女の体をまさぐろうとした。)
(彼は愛撫を試みた。)
–
◆ ” grope ” 本領の用法を、< ニュース記事 > よりご紹介する。
新聞沙汰となった事件から、 せっせと集めたもの。
どこか あいまいさ が残る点に注目。
理由は既述した。
- “He groped me as I was going to the restroom.”
(トイレに行こうとしたら、彼につかまれたの。)
– - “No, I did not grope anyone.”
(いいえ、私は誰にも触ってません。)
– - “She was groped by him.”
(彼女は彼に触られた。)
– - “X had claimed Y groped her breast.”
(Yに片方の胸をつかまれたと、Xは主張した。)
–
↑ 単数 ” breast ” ゆえ、 両手の「 鷲づかみ 」ではないはず
↓ 両手で「 鷲づかみ 」( ” squeezing my breasts ” ) の ニュース
– - “Woman claims doctor groped her breasts when
she went to see him about a toothache”
(歯痛で受診の女性、 医者に両胸をつかまれたと主張)
–
【発音】 brést (1音節)
–
▲ ” breast ” は、 男女共通 の 「 胸 」。
–
語源は、 古英語 「 胸 」( brēost )。
原義は 「 ふくらみ 」。
ドイツ語 ” Brust ” ( 胸 )と同根。
–
–
” chest ” ( 胸郭 ) と比べれば、 「 乳房 」 を強調しがちで、
女性の胸の印象が強い。
–
「 おっぱい 」 を知的で上品に仕上げたイメージ。
よって、 女性の胸に使われる方が自然。
–
” breasts ” ときたら、 「 おっぱい 」 を思い浮かべて当然。
–
–
◆ 女性の胸に関する報道では、
” breast ” または ” breasts ” が大半。
- 授乳 breastfeeding
- 乳がん breast cancer
- 豊胸手術 breast implant / breast augmentation
→ 口語で、 boob job - 縮小手術 breast reduction
- 平泳ぎ breaststroke ( 男女共通 )
→ 背泳ぎは、 backstroke
–
★ 男性が女性一般に対して用いるには、 ややエッチかもしれない。
性的な誤解を防ぐため、 単数形 ” a chest ” が無難。
「 おっぱい発言 」 同然の ” breasts ” はまずいから、 男性の場合、
” a chest ” ( 胸部 )にしておく方が、 概してベター。
気の置けない親友同士ならともかく、 職場を含む公共の場では避ける。
上掲一覧の決まり表現 ( breastfeeding など ) であれば、 問題ない。
–
◆ ” a chest ” は、 両胸でも単数扱い。
片胸 ” a breast “、 両胸–” breasts ” とは異なる点。
” chests ” では、 複数人( 男女不問 ) の胸となる。
もとより、 ” chest ” は 「 胸郭 」 なので単数。
「 胸郭 ( きょうかく ) 」 とは、 胸部の外郭を形成する部位。
語源は、 ギリシア語 「 箱 」 ( kistē )。
–
–
breast は chest の前部
–『 ランダムハウス英和大辞典 第2版 』
小学館、1993年刊 ( 物書堂 アプリ版 )
… ” chest ” の語釈より
–
breast は 胸の前部, bust は女性の胸
–『 ジーニアス英和大辞典 』
大修館書店、 2001年刊 ( ロゴヴィスタ アプリ版 )
… “ chest ” の語釈より
<大修館書店HP>
–
” breasts ” と異なり、 ” chest ” は 「 おっぱい 」 に直結しない。
前述の通り、 単数 「 胸郭 」 を指すため、 いやらしくはない。
そのせいか、 人前では ” chest ” 一途の女性も普通にいる。
女性の 「 おっぱいの大きさ 」 も、 “ chest size ” が無難。
- ” Don’t tease your daughter about her small chest.”
- ” Don’t tease your daughter about her small chest size.”
( 胸が小さいと言って娘さんをからかうな。)
–
–
◆ 俗称( 卑語ではない ) は、
” boobs “、 ” tits “、 ” titties ” など。
【発音】 búːb (1音節)
【発音】 tít (1音節)
【発音】 títɪ
【音節】 tit-tie (2音節)
–
これらは 「 ぱいぱい 」 程度だが、 男性が気軽に使うには際どい。
- カジュアルな場面 : ” my boobs ” と女性が使う分にはOK
- 堅めの場面 : ” my breasts ” または ” my chest “
” tits ” と ” titties ” の成り立ちは、 後述の ” teats “( 乳頭 )
の 短縮形。
いずれも必ずしも下品な単語ではないが、 常に微妙な話題になる。
- ” She flashed me her boobs.” ← 複数形
- ” She flashed me her tits.” ← 複数形
- ” She flashed me her titties.” ← 複数形
( 彼女がおっぱいをちらっと見せた。)
- ” I showed off my boobs to him.” ← 複数形
- ” I showed off my tits to him.” ← 複数形
- ” I showed off my titties to him.” ← 複数形
( 彼におっぱい見せびらかしてやったわ。)
–
「 ぱいずり 」 は ” tittie fuck ” で、 こちらは確実に卑語。
【発音】 fʌ́k (1音節)
–
◆ 私のおすすめYouTuberである Joce Bedard は、
” boobs “、 ” tits “、 ” titties ” などの女性の胸を
“ yabos ” ( = ” yabbos ” ) と言い換えるのが常。
【発音】 jɑ́bous
【音節】 ya-bos (2音節)
” boobs ” も ” tits ” も、 YouTube にて使用禁止ではない語。
–
規約上のペナルティはないはずだが、 動画上で 「 おっぱい 」 発言
するには女性であっても気が引けるらしく、 ” yabos ” と置き換える。
→ 学習上の着眼点は、 ” No need ” に事細かく解説 ( 図入り、 写真入り )
→ このYouTuberの 頻出表現 で、” yabos ” / ” yabbos ” に言及 ( 動画入り )
◆ 「 ぱいぱい 」 は概ね2つの乳房を指すから、 基本的に
名詞の複数語尾 “ s ” を伴い、 ” boobs “、 ” tits “、 ” titties “。
” tits ” と ” titties ” は、 2つの 「 乳首 」 のみを指すこともある。
後述の ” teats ” ( 乳頭 ) 由来だから、 「 乳房 」 なしもあり。
–
小ぶりの胸は、 ” flat breasts ” よりは、
” a flat chest ” が圧倒的に使われている。
婉曲語 として、 ” chest ” が起用される場面。
–
–
–
『 ジーニアス英和大辞典 』
大修館書店、 2001年刊 ( ロゴヴィスタ アプリ版 )
… “ chest ” の語釈より
<大修館書店HP>
- ” I have a flat chest.” ← 単数形
- ” I have flat breasts.” ← 複数形
( ぺちゃぱいなの ♪ )
◇ 形容詞 「 平たい 」 ” flat ” / flǽt / (1音節)
パンクしたタイヤは、 ” a flat tire “。
◆ 「 乳首 」 といえば、 ” nipples “。
人間以外の動物の場合、 ” teats ” ( 乳頭 )とも言う。
概ね複数あるから、 大部分が名詞の複数語尾 “ s ”
を伴う点は、 ” boobs “、 ” tits “、 ” titties ” と同じ。
【発音】 nípl
【音節】 nip-ple (2音節)
上述の通り、 さほど品のない短縮形が、 ” tits “、 ” titties “。
–
ニッ ポー と私には聞こえるが、 いかがだろう。
–
◆ 配管に用いる、 継ぎ手パイプの 「 ニップル 」 は、
この 「 乳首 nipple 」 と同一単語。
乳首と違い、 複数あるとは限らないので、 単数形も使う。
出っ張りがあれば、 オスニップル ( male nipple )。
くぼみがあれば、 メスニップル ( female nipple )。
「 ニップル交換 」 など耳にすると、 照れてしまいます。
◆ 赤ちゃんの 「 おしゃぶり 」 も ” nipple ” なのだが、
いかにも生々しい語調ゆえか、 ” pacifier ” が好まれる。
nipple-shaped device for babies
赤子用 乳首型 デバイス ( 直訳! )
他動詞 ” pacify “( なだめる )の 動作主名詞( agent noun )。
乳児をなだめて、 落ち着かせる用品だから、 ” pacifier “。
1904年 までには記録されている用例。
【発音】 pǽsəfàiər
【音節】 pac-i-fi-er (4音節)
4音節で、 発音は複雑。–
2音節の ” nipple ” の方が言いやすい。
【発音】 nípl
【音節】 nip-ple (2音節)
–
–
◆ こうした流れで眺めると、 なぜ ” Nippon ” が回避する
方がよい英字表記の国名か、 推察できるのではないだろうか。
【発音】 nɪpάn
【音節】 Nip-pon (2音節)
口頭では ” nipple ” を略して、 ” nip “( 乳首 ) とも言う。
日本 ” Nippon ” を略して、 ” Nip ” と陰で中傷する人もいる。
” JAP ” ほどではなくても、 ” NIP ” は侮蔑的 ( derogatory )。
【発音】 níp (1音節)
–
「 乳首 」 は、 日英そろって、 卑猥な響き を帯びる傾向がある。
この点、 英語学習者の優れた語感と 「 異文化理解力 」 を発揮
するまでもなく、 すぐさま察知できるはず。
–
” breasts ” 以上に、 明け透けな鮮烈さを放つかもしれない。
–
「 おっぱい 」 と 「 乳首 」、 どっちがエロチックかしらん。
–
–
◆ ” Nippon ” は、 見た目も発音も、 どぎつい印象。
破裂音[p]入りの 促音 で、 なんだか寸詰まって余裕ない感じ。
–
漢字で書くと、 左右対称でとても美しい 「 日本 」 なのに、
お口の悪い人に言わせれば、 「 乳首 のお国 」 なのよ。
–
–
「 ニッポン ! チャチャチャ ! 」 どころでないかも。
「 乳首 ! 乳首 ! 乳首 ! 」 と連呼しつつ、 応援するのは
どうよ …
–
言いたくないけど、 聞いてて、 小っ恥ずかしいわ。
I hate to say this, but yes … so cringey.
ペプシコ・ジャパン ( 1991年発売 )
–
–
–
◆ ” Japan ” は、 「 漆( うるし ) 」 も意味し、 品がある。
まさしく、 我らが 「 日本 Japan 」 から派生した名詞である。
発音と音節は共通。
【発音】 dʒəpǽn
【音節】 Ja-pan (2音節)
2音節で、 アクセント( 強勢 ) は後半。
カタカナ発音では通じにくく、 案外難しい。
こんな風に私には聞こえる。
【カタカナ】 ジャ – パ – ン (3音節)
【英語】 ジュ – ペン (2音節)
–
–
–
『 ランダムハウス英和大辞典 第2版 』
小学館、1993年刊 ( 物書堂 アプリ版 )
… ” Japan ” の語釈より
–
「 子音 J ・ 母音 A ・ 子音 P ・ 母音 A ・ 子音 N 」
安定感抜群の文字配列。
知性きらめき情趣あふれる、 しっとり落ち着いた味わい。
左右対称の 「 日本 」 に負けず劣らず、 しめやかな字面。
「 乳首 のお国 」 と比べてみて。
「 子音 N ・ 母音 I ・ 子音 P ・ 子音 P ・ 母音 O ・ 子音 N 」
” JAP ” は 侮蔑語・差別語として確立・周知されている。
めったに使われない侮蔑語同士でも、 うっかり吹き出す
” NIP ” ( = 乳首 ) と異なり、 スケベな下品さはない。–
◆ 乳首が透けないよう貼り付けるシール 「 ニップレス 」 は、
現在は 男性用 も販売されている。
水着やレオタードの着用時に、 昔から女性に利用されてきた。
ネーミングの由来は、 接尾辞 ” less “( ~ のない ) を
名詞 ” nip ” ( = 乳首 ) に加えた和製語。
直訳は 「 乳首のない 」。
英語では、 ” nipple covers ” でだいたい通じる。
大抵は両方の乳首に貼るので、 複数語尾 “ s ” 付き。
米国アマゾン でも買える。
–
–
◆ 日本で使われる 「 バスト 」 は、 ” bust “。
【発音】 bʌ́st (1音節)
おっぱい用途では、 普段あまり見聞きしないものの、
前出の通り、 「 bust は女性の胸 」。
主に衣服との関連で使われる 「 女性の胸 」 。
” a chest ” 同様、 両胸でも単数扱い ” a bust “。
男性の 「 胸像 」 も ” a bust ” と称する。
- ” I have a huge bust.” ← 単数形
- ” I have a huge chest.” ← 単数形
- ” I have huge breasts.” ← 複数形
- ” I have huge boobs.” ← 複数形
- ” I have huge tits.” ← 複数形
- ” I have huge titties.” ← 複数形
( でかぱいなの ♪ )
◇ 形容詞 「 大きい 」 ” huge ” / hjúːdʒ / (1音節)
–
–
【参照】 「 お尻 」 の英語表現、 「 陰部 」の英語表現
–
- “He is the kind of guy that boasts about groping women.”
(彼は、女性たちにちょっかいを出すことを自慢するタイプの男性。)
– - “He groped her behind on the bus.”
(彼はバス内で彼女のお尻を触った。)
– - “I wasn’t aware of the camera recording me groping her ass.”
(彼女のけつを触っている様子がカメラに撮られていたなんて、
私は気づきませんでした。)
– - “Man arrested for groping woman in station”
(男が駅で女性に触り逮捕)
(男が駅で痴漢行為して逮捕) ※ 見出し
– - “He was accused of groping on a train.”
(彼は電車内での痴漢行為の罪に問われた。)
– - “He was accused of groping a woman on the street.”
(彼は路上で女性に触り、罪に問われた。)
– - “Groping is a big no-no in our workplace.”
(身体をまさぐるのは、私たちの職場ではご法度です。)
– - “She allegedly groped her student.”
(申立てによると、彼女は教え子にいたずらした。)
– - “He woke suddenly to a hand groping his genitals.”
(性器に触れる手にはっとして、彼は目覚めた。)
– - “The lawyer was accused of groping his junior colleague.”
(その弁護士は後輩を触ったとして告発された。)
– - “He groped and kissed a woman.”
(彼は女性に触り、キスした。)
– - “He denies groping the boy.”
(彼は少年へのいたずらを否定している。)
– - “The nurse groped the patient in a coma.”
(その看護師は、昏睡状態の患者にいたずらした。)
– - “He was being overly friendly and I guess kind of groping me.”
(彼はなれなれしくなり、 私を触っていたような気がします。)
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※ ” guess ” → 他動詞・自動詞・名詞 「 推測( する )」
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↑ 会議中に耳にしたので、 作図してみた ( ” overly ” 参照 ) ↓
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You’re a groper
◆ ” grope ” のスペルは、 集まりのグループ ” group ” に似ている。
発音の区別は、私たち日本人学習者には容易ではない。
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■ まさぐる ” grope “ gróup (1音節) グ ロ ウプ
■ 集まり ” group “ grúːp (1音節) グ ル ープ
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2語とも 「 1音節( one syllable )」 だから、
腹の底から ゲロする 勢いで、 一気に吐き出す。
日英の音は、 舌・唇・歯・呼吸間の相互作用が
まったく違います
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英 語 「 息の音 」
日本語 「 声の音 」
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グ ロ ウ プ
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日本語母語話者にとって、
英語の発音は動物の鳴き声に近い。
日本語で表記しがたいのは言うもおろか。
犬猫の声と一緒で、 そもそも日本語では書き起こし
きれないのに、 英語音を無理くり邦文で表現しようとする。
等しく不条理だからアプローチを変える。
口周りをまじまじと見据えて、 模倣する。
👄 唇をよく見て 🫦
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※ やり方は、 ” integrity ” へ ( 図入り、 動画入り )
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【参考】 ※ 外部サイト
- 多言語の習得は 「 音 」 から 脳領域特定、 文法理解早く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF251YP0V20C24A2000000/
2024年2月26日付–
「 音節 」( syllable、シラブル ) とは、 発音の最小単位。
1音節には、 「 発音の最小単位 」 に切れ目がないため、
ゲロ の迫力が出る。
一方、 原則として 「 仮名一字が1音節 」 なのが日本語。
そのため、 音節を意識する機会は乏しい。
日英の 「 音節 」 については、 ” integrity ” で深掘りしている
( 図入り、 動画入り )。
◆ 締めくくりに、 機械翻訳の検証。
先ほど記した一文を、 有名どころの5つのウェブ翻訳サイトで和訳してみた。
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I found myself groping for wordswhen she caught me groping her.
( 彼女に 痴漢 したことを見とがめられ、
なんとか 言い逃れ ようとした。)
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結果は次の通り。
△ 1つ 「 Weblio 」 ※ 3つの訳文のうち、 〇 1つ × 2つ
× 2つ 「 DeepL Pro 」 「 Google 」
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※ 「 DeepL Pro 」 以外は、 無料版。 誰でも利用可能。
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2023年2月4日実施。
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〇 【 和訳OK 】 「 Bing 」 「 Mirai 」
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△ 【 和訳一部OK 】 「 Weblio 」
※ 3つの訳文のうち、 「1」は OK、 「2」と「3」は 誤訳
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たった一文でも、 こうも違う。
今回は 「 若干不自然な日本語であっても、 どうにか通じる 」
という、比較的甘い評価基準を採用した。
痴漢を 「 手探り 」 と訳した 「 Mirai 」 を 〇 にしたのは、
全体としては 「 どうにか通じる 」 からである。
同じ 「 手探り 」 でも、 「 DeepL 」 を × としたわけは、
” she ” も ” her ” も訳出されず、 「 やっているのがバレて 」
は 「 自慰 」 を指すと解釈される可能性が高めと考えるため。
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【発音】 mæ̀stərbéiʃən
【音節】 mas‑tur‑ba‑tion (4音節)
被害者の存在が完全に消されたために、 文意が変わった感。
ここは、 決して省略してはならない 「 彼女 」 である。
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末尾のグーグル翻訳では、 「 彼女 」 が痴漢をやらかした。
なんてこった。
ひどい和訳だわ … なにが、 AI ( 人工知能 ) だ !
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◆ ” vocal about – ” には、 その他の誤訳例もたっぷり掲載している。
( 図入り、 実名入り )
『 AI翻訳革命 』 と題する和書 ( 2022年刊 )の 評論 も試みた。
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『 AI翻訳革命 あなたの仕事に英語学習はもういらない 』
隅田 英一郎 (著)
朝日新聞出版、 2022年刊
四六判並製、 272頁
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↑ ひと口で愚見を申し上げると、
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でかでかと表紙に掲げる販促文言として、
これで大丈夫なのでしょうか。
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自動翻訳 の英語力は TOEIC 900点
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日本人の大好きな英語資格だから、 この上ない説得力を持つが、
現場の内幕に熟知する者が読めば、 気恥ずかしくなるだろう。
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人工知能は TOEIC900点 の英語能力ネイティブ一歩手前 に到達した
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同書 p. 22.
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思わず苦笑してしまう。
” vocal about – ” で理由を述べた。
学者・研究者の視座はユニークである旨、 改めて思い知った。
誤訳の恐ろしさと語彙運用の機微を知らぬ 「 日本の第一人者 」。
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★ とんでもない趣旨を、「 第一人者 」 が恬として表明する 「 トンデモ本 」
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自動翻訳の歴史・仕組みの詳述と引用文献は素晴らしく、さすが 「 日本の第一人者 」 とつくづく感服する反面、
素人じみた翻訳実務の解説とのギャップがもったいない。
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◆ 「 打開策は全件を自動翻訳で処理してしまうことだ 」
( p. 212. )
とは、 いかんともしがたい思考回路。
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「 精度9割 」 やら
「 TOEIC 900点 」 やら
「 ネイティブ一歩手前 」 やら、のけぞりたくなるほど、 見当違いの見所がいかにも惜しく、
よもやと学識を疑う。
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” Vocal about – ” より
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検証不十分の訳文を一般公開するよう組織に奨励する学者。
これほど乱暴な邪説を、 よくまあ商業出版したもんだ。
「 毎日自ら自動翻訳を活用して、 その有用性を実感している
ので、 今後は英語に鐚 ( びた ) 一文かけない 」 ( p. 257. )。
こんなにずれていれば、 日本の英語教育はうまくいかないわ。
この辺りの話は、 ” conclusive ” で深掘りした ( 地図入り )。
2022年11月公開のAIチャットボット ” ChatGPT “ の
潜在的かつ深刻な危険性も、 ” vocal about – ” に記した。
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【関連表現】
- ” inappropriate touching “
(不適切に触ること) (スケベなお触り) → 痴漢行為
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【発音】 ìnəpróupriət
【音節】 in-ap-pro-pri-ate (5音節)
– - ” talk dirty “
https://mickeyweb.info/archives/14542
(猥談を話す)
– - “ private parts ”
https://mickeyweb.info/archives/18907
(陰部)