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Paperwork

      2024/01/04

・ Estimated Read Time ( 推定読了時間 ): 5 minutes

文書業務、  事務作業、  事務手続き

紙を扱う仕事だから「 文書業務 」。

【発音】  péɪpɚwɝ̀k
【音節】  pa-per-work  (3音節)

不可算名詞( 後述 )である。

  • 名詞 paper ( 紙 )
  • 名詞  work ( 仕事 )

本来は、中立的な意味合い。

ところが、なぜかネガティブな文脈で
使われる場面が日常的に見受けられる。

粗末な扱い  に甘んずる位置づけの印象。

  • I got sick and tired of endless paperwork.
    ( とめどない書類作成にうんざりした。)
  • I have to deal with a lot of paperwork.
    ( 大量の書類仕事をやらねばならない。)
  • I’m wasting my time doing paperwork.
    ( 文書業務なんかで時間を浪費している。)
  • I spent my weekend preparing paperwork.
    ( 書類作成に週末を費やした。)
  • I did all my paperwork during lunch break.
    ( 昼休みに事務手続きをすべて終えたよ。)
  • I don’t want to wait until all paperwork is perfect.
    ( 書類が完全に整うまでなんて、待ちたくない。)


こんな風にぶちまけたりする。

オフィスにおける代表的な使用例である。

文書業務は、円滑な業務運用や手続きに
欠かせない仕事の一部( 後述の語釈参照 )。

しかし、創造性や生産性とは無縁で、誰に
でもできる「 作業 」とみなされている様子。

その割に注意力を要し、手抜きご法度 で、
時間がかかる。

手書きで書き損じた場合、文書によっては、
一からやり直す 必要が生じることさえある。

こうして、荷厄介な仕事未満の面倒事として、
大勢が毛嫌いするのが  ” paperwork “。

◆  先に記した通り、成り立ちは単純。

2つの名詞を合わせた 不可算名詞

” paper ” と ” work ” は、ともに可算と不可算を兼ねる
名詞である。

日本人学習者が混乱しがちな点なので、
これから詳しく見ていこう。


” paperwork ” の数々


■  paper  ( 可算・不可算 )

語源は、ラテン語「 パピルス 」( papȳrus )。

【発音】  péipər
【音節】  pa-per  (2音節)

パピルス  とは、 水生植物の一種。

紙がパピルスで作られたことから、” paper ”  に。

「 パピルス 」は、 シャープ  の電子辞書の名称として、
名を馳せた。

その後、 「 Brain 」 に移行した。

□   名詞  ” paper ”  のポイント5つ

  1.  原則は、不可算

    「 紙 」 と言えば、 普通は 「 不可算名詞 」
  2.  「紙」が成果物になったものは、可算名詞

    【例】  新聞、  論文、  答案、  紙袋
  3.  可算・不可算を兼ねるものもある ( どちらも使う )

    【例】 「 壁紙 」( wallpaper )
  4.  複数扱いの ” papers ” で、 総称的な「 証明書 」「 書類 」

    【例】
    –  身分証明書 ( identification papers )
    –  入管書類 ( immigration papers )
  5.  不可算の 「 紙 」 には、 決まり表現がある

    【例】
    –  ” a sheet of paper ”
    –  ” three sheets of paper ”
    –  ” a roll of paper ”


    ◇  不可算の「 水 」の
    –  ” a glass of water ”
    –  ” three glasses of water ”
    と重なるパターンである。

    「 単位 」「 容器 」 による < 輪郭づけ > である。

    【参照】   ” hot water

 

■  work  ( 可算・不可算 )

語源は、古英語「労働」(weorc)。

【発音】  wərk
【音節】  work (1音節)

□  名詞  ” work ”  のポイント4つ

  1.  原則は、不可算

    「仕事」と言えば、普通は不可算名詞。
    職業としての「 総称的な仕事 」を指す。
  2.  具体的に課せられた「任務」や
    特定の「勤め口」としての「仕事」は、
    可算名詞が原則

    次の類義語と同じ。
    –  task
    –  job
    –  assignment
    –  duty
  3.  「仕事」が成果物になったものは、可算名詞

    【例】  著作、  芸術作品
  4.  複数扱いの “works” で、特に「工事」「事業」

    ” work ” のままでも使われることもある。

    【例】
    –  基礎工事( ground works
    –  公共事業( public works )


上記のポイントは似通っている。

なぜなら、可算と不可算を区別する視点が
同じだからである。

◇  不可算  →  抽象的な概念
◇  可算  →  形の見えるもの

中級学習者 なら、これらの原則は学習済み。

「 例外 」が多すぎるように感じるため、混乱してしまうのだ。

paper
「 紙 」は、
もともと 「 ロール状の塊 」

 どうにも 数えようのない、どでかい 物質 
として、不可算。

例えば、こちら。

両端に写る人間を凌駕する「ジャンボロール」である。

【出典】   https://www.asahi.com/articles/ASN3366LZN33UQIP02Z.html

食パン 」も、同様の考え方で、不可算名詞。

work
割り当てられるまで は、

 抽象的な、職業としての「 総称的な仕事 」
として、不可算。

【参照】   “ in place “、  “ take action ”、  “ acting


区別の基本は、以上の通り。

私たち日本人には、かなり分かりにくい。

「 例外 」に思えるものにも、実は筋道が成り立つ。

確かに、数ある「 例外 」を学ぶのは大変だが、
「 基礎知識 」を押さえるのは、さほど難しくない。

【参考】    ※  外部サイト

可算と不可算を見分ける簡単なコツ
可算と不可算を兼ねる名詞について
可算と不可算についてよくある質問
不可算名詞は「物質」「抽象」「固有」の3つ

 

◆  ” paperwork ”  が 不可算名詞 であることに、
異説はない模様。

後掲の 4大学習英英辞典( EFL辞典 )は、すべて
uncountable “( 不可算 ) と明記する。

  • 不可算名詞  ” paper “( 紙 )
    →  具体的な成果物ではない
  • 不可算名詞  ” work “( 仕事 )
    →  総称的なやるべきこと

ここでは両方が不可算名詞。

それが合わさった ” paperwork ” が
不可算なのは、自然の成り行き。

初出は、1587年。

最初は「 紙製の作品 」を意味したが、
1889年から「 文書業務 」に。


” paperwork “

  • 1.  work such as writing letters or reports,
    which must be done but is not very interesting.
    2.  the documents that you need for a business
    deal, a journey etc.
    ( LDOCE6、ロングマン )
  • 1.  the written work that is part of a job,
    such as filling in forms or writing letters
    and reports.
    2.  all the documents that you need for
    something, such as a court case or
    buying a house.
    ( OALD9、オックスフォード )
  • –   part of a job that involves writing
    letters and reports and keeping records.
    –   the written records connected with a
    particular job, deal, trip, etc.
    ( CALD4、ケンブリッジ )
  •  Paperwork is the routine part of a job
    which involves writing or dealing with
    letters, reports, and records.
    ( COBUILD9、コウビルド )

【発音】  péɪpɚwɝ̀k
【音節】  pa-per-work  (3音節)


※  下線・下線は引用者


4点とも似たり寄ったりで、 月並みの
「 文書業務 」「 事務作業 」を説明する。

唯一、個性を認めるのは下線部( 赤字 )。

「 退屈 」 を示唆する  ” LDOCE6 “。

軽視の対象であることを匂わせている。

そうなる理由は既に触れた。

カタカナの「 ペーパーワーク 」にも、
「 ペーパードライバー 」( 和製語 )のような
軽い響きをかすかに覚える。

いかがだろう。


ペーパーワーク【paperwork】

事務処理。 事務手続き。
( 大辞林 第四版 )

1. 文書を扱う事務の仕事。
書類を作成する仕事。
2. 紙で作ること。またその作品。
( 広辞苑 第七版 )


◆  ” paper ” とはいえ、 2024年現在は、
電子版( electronic )文書 が盛んに導入されている。

英語圏の記入用紙では普通に見られる書式。

社員対象の事務手続きの場合、大組織であれば、
電子的な  ” paperwork ” の方が一般的であろう。

電子メール経由の提出や決裁が容易で、時間短縮
につながる。

デジタル署名や電子署名  を用いれば、「 紙 」と
変わらぬ効力をもたらす。

全般的に管理しやすいのが、 電子版の利点である。

電子化の流れは、 時代の趨勢に沿っている。

【参考】    電子版  vs  「 自炊 」

ただし、 ” wet ”  指定があれば、「 直筆 」 かつ 「 原本 」。

 

◆  冒頭に掲げた6つの例文は、不可算名詞
” paperwork ” の使い方の基本を表す。

” paperwork ” につながる主な単語( 連語 ) は、
次の通り。



Oxford Collocations Dictionary for
Students of English

( アプリ版 )

※  漢字は追加


このように「 コロケーション辞典 ( 連語辞典 )」を
引けば、組む べき単語をすぐ調べることができる。

  • “Paperwork is pervasive.”
    (事務手続きがまん延している。)
    (事務作業がやたらと多すぎる。)
  • “I submitted the paperwork at the courthouse.”
    (裁判所に書類を提出した。)
  • ” We’ll have all the paperwork finished if you
    just bear with me for a few more minutes.”
    ( あと数分ご辛抱いただければ、事務手続きは終わります。)

 

< コロケーションについて >

aware
・ LDOCE( ロングマン現代英英辞典 )
・ 辞書の「 自炊 」と辞書アプリ
・ 英語辞書は「 紙 」か「 電子版 」か

【実例】    ※  辞書アプリの転載あり

thresholddamagescrutiny
backdropstruggledownfall
bombshellalternativefeasible
disparitypresence

 

 

 

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