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Integrity

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(1)   誠実、  高潔       (2)   完全性

産学官軍を問わず、 米国のリーダー
の演説に付いて回るのが、 ” integrity “。

【発音】   intégrəti
【音節】   in-teg-ri-ty  (4音節)

語源は、 中世フランス語 ( intégrité ) または

ラテン語 ( integritatem ) の 「  完全  」。

初出は14世紀。

これから見ていくように、 そこそこ重要なものの、
とにかく訳しにくい。

和訳が難しい、 英単語の代表格である。

翻訳者として、 毎度もどかしく感じている。

vulnerable ”  同然の、 翻訳者泣かせの厄介さ。


◆  ” integrity ” は  名詞のみ  で、基本的意味は冒頭の2つ。

  一般社会で、より頻出なのは   (1)  誠実、高潔 


よって、本稿では (1)中心に取り上げる。

(1)   誠実、高潔


The quality of being honest and strong

about what you believe to be right.

( ロングマン、LDOCE6 )


理想の人格や心構えを示す際に使われる。

  心が清くて、 後ろ暗いところがない。

” integrity ” は、 米国人リーダーの大好きな言葉。

そんな印象が強い。

それを端的に表す表現がこちら。

英和辞典に欠かせない言い回し。

ともに、 人品骨柄への最大級の賛辞に起用される。

” integrity ” は、不可算名詞。

” a man of integrity ”  の 不定冠詞  ” a ” は、
可算名詞 ” man ” についたもの。

格言・成句・ことわざに使われる ” man ” であり、
男女不問の不特定な 「 人 」。


◆  人の性格や態度を、言葉で表現するのは容易でない。

いずれも無形ゆえ、 不可視的で抽象的。

イメージばかりが先行し、 つかみどころがないのだ。

ポジティブな言葉で飾り立てると、 眉唾物になりがち。

白黒つけがたいことまみれの、 厳しい現実を生きる人々
にとって、 自ずと疑いが生じやすくなるからであろう。

とりわけ人格面は、 斜に構えた見方をする大人が少なくない。


◆  にもかかわらず、米国の指導者たちは、
事も無げに  ” integrity ”  を多用する。

東西文化の違いなのだろうか。

孔子一門のたまわく 「 水清ければ魚棲まず 」。

人格が清廉すぎると、 人に親しまれなくなってしまう。

おまけに、 受け手の嫉妬・ひがみを刺激しないよう、
細心の配慮を要するのが日本社会。

称賛しあうような色合いに乏しい文化であるから。

【参照】
stand tall “、 ” well-liked “、 ” dazzling “、 ” against all odds

そのため、 和訳は難しい。

反発を遠ざけ、 美点を汲み上げて訳出  するのに難儀する。

この辺りは、 語学力以外に「  異文化理解力  」も問われる。

結局、 定訳をそのまま使う のが、 私の常。

歯がゆく、 もどかしい理由はここにある。

◆  長年、 新聞・雑誌・ウェブ記事における
” integrity ” の和訳に注目してきた。

  ” integrity ”  頻出和訳  < トップ6 > 
 ( 1990 – 2023年 )     ※  私見

  1.  誠実
  2.  高潔
  3.  品位
  4.  真摯
  5.  清廉潔白
  6.  公正

◇  名詞をつくる接尾辞( suffix ) 「 ~ さ 」 及び
~ 性 」 などの接尾辞的な語を加えた形も含む


◆  直近5年( 2019 – 2023年 )は、
「 誠実 」 と 「 真摯 」 が目立ってきている。

しっくりこない気もするが、 これら6つに大概収まる。

  • professional  integrity
    ( 仕事上の誠実さ  →  意訳 : 高いプロ意識 )
  • moral  integrity
    ( 道義面の誠実さ  ←  善悪基準などがまとも )
  • intellectual  integrity
    ( 知的誠実さ  ←  事実のでっち上げ / fabrication
    嘘偽りなど、 知性への信頼を損なう行為をしないこと )
  • academic  integrity
    ( 学術的な誠実さ  ←  研究上の剽窃 / plagiarism
    捏造 / fabrication ・ 改ざん / falsification などがない )

    ※  詐欺行為 ( research fraud ) は言うに及ばず、
    無意識の不正 ( unconscious  misconduct ) も含む
  • “people of questionable integrity and talent”
    ( 誠実さと才能に疑問の余地がある人たち )
  • “Men of talent and integrity are rare.”
    ( 才能と誠実さを具える人はまれです。)
  • “We have to behave with integrity.”
    ( 私たちは公正に行動しなければならない。)
  • “Act with integrity.”
    ( やましいことをするな。) ( 誠実に行動しろ。)
  • “I expect every employee to act with integrity.”
    ( 各従業員には誠実に行動することを期待する。)
  • “You are the only custodian of your own integrity.”
    ( 自分の品位を管理できるのは自分自身のみ。)
  • “People are raising questions about her integrity.”
    ( 彼女の人間性について、人々は疑問を投げかけている。)
  • “I never doubted his integrity.”
    ( 彼の品位を疑ったことはありません。)
  • “We are committed to publishing works of quality and integrity.”
    ( 弊社は質の高い、 誠実な作品を出版することをお約束します。)
  • “We need to ensure integrity and accountability to the public.”
    ( 国民の皆様に対する誠実さと説明責任を確実にする必要がある。)

 

◆  米国の FBI( 米連邦捜査局 )の紋章( seal )には、

3語からなる標語 ( motto ) が帯に強く刻まれている。

Fidelity( 忠誠 )、 Bravery( 勇気 )、 Integrity

この  ” integrity ”  はどのように訳せばよいのだろうか。

Wikipedia などでは、「 保全 」 と和訳されているが、

いかにも場違いでちぐはぐ、 適訳とは言えないと考える。

公正 」 または 「 高潔 」 の方が調和して的確だろう。

 

Fidelity,  Bravery,  Integrity

https://www.fbi.gov/


Seal of the Federal Bureau of Investigation


◆  「 経営学の父 」 ピーター・F・ドラッカー
( Peter Ferdinand Drucker,  1909-2005 ) の数ある作品中
の  ” integrity ”  で、 定訳扱いされているのは「 真摯さ 」。

主要著作の和訳を長年担当された、上田 惇生 ( 1938-2019 )が、
「 真摯さ 」と和訳している。

世界で一番読まれた経営学書は、 言わずと知れた『 マネジメント 』。

英文原著の発売は、 1973年。


They may forgive a person for a great deal:

incompetence, ignorance, insecurity, or bad manners.
But they will not forgive a lack of  integrity  in that person.

Management: Tasks, Responsibilities, Practices
Harper Business  (Reprint ed. 1993).

※  原著初版は、 1973年刊


無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、寛大たりうる。
だが、   の欠如は許さない。

[ エッセンシャル版 ]  マネジメント – 基本と原則  』 
上田 惇生 ( 翻訳 )、 ダイヤモンド社、 2001年刊


マネジャーに絶対不可欠な素質は、 ” integrity ”  =  「 真摯さ 」。

integrity in leadership ” であり、「 真摯さ なくして組織なし 」。

有名なくだりである。

直前の一文も、 相当怖い。


The people with whom a person works, and especially subordinates,

know in a few weeks whether he or she has  integrity  or not.

ともに働く者、特に部下に対しては、 真摯 であるかどうかは
二、三週間でわかる。

( 同上 )


◆  奈良大学の教授が書いた、 次の和文論文も興味深い。

300万部超え のベストセラー 『 もしドラ 』 と併せて、
キーワードの 「 真摯さ( Integrity )」 を解明している。

2020年発表。


領内 修 (2020)「 『 もしドラ 』の Integrity  」、
『 奈良大学紀要 』 48,   pp.75-97.,   2020-02.

http://repo.nara-u.ac.jp/modules/xoonips/download.php
/AN00181569-202002-1006.pdf?file_id=7400

※  PDF 全24頁、 1.5MB


読みどころは、「 Ⅲ  Integrity 」 解説  ( 83~86頁 )。



◆  LDOCE6 ( ロングマン ) の指標によると、
名詞  ” integrity ”  の位置づけは、

  •  重要度:<6001~9000語以内>
  •  書き言葉の頻出度:3000語圏外
  •  話し言葉の頻出度:3000語圏外

【発音】   intégrəti
【音節】   in-teg-ri-ty  (4音節)

” integrity ”  の意味合いからして、 日々出番が生じるわけない。

したがって、 頻出度がランク外であることに不思議はない。

一方、 重要度は < 6001~9000語以内 > にランクイン。

上述の指標は、 英単語全体における立ち位置ゆえに、
先の 「 そこそこ重要 」 たる所以になると考える。

加えて、 < Academic Word List > (※) 入りしている。

※  英語圏の大学教科書の頻出単語570語

演説では、 キーワードになったりする。

ーー

(2)   完全性


formal: the state of being united as
one complete thing.

( ロングマン、 LDOCE6 )

※  ” formal ”  =  正式な表現、堅めの表現


全体的に欠けてるものがなく、 ぴしっと整っている具合。

システム構築をはじめとする、 技術分野に使われることが多い。

JIS・ISOの工業規格やIT( 情報技術 )の分野では当たり前
でも、 世間一般では今ひとつ馴染みのない日本語であろう。

ISO/IEC 27001( 情報セキュリティマネジメントシステム )
の3大要素( 機密性 ・完全性 ・可用性 )のひとつでもある。

対応する 日本工業規格( JIS )を引用すると、


3.28  情報セキュリティ( information security )

情報の機密性(3.10),完全性(3.36)及び可用性(3.7)を維持すること。

3.36  完全性( integrity )
正確さ及び完全さの特性。

JIS Q 27000:2019
情報技術−セキュリティ技術−情報セキュリティ マネジメントシステム−用語
https://www.kikakurui.com/q/Q27000-2019-01.html


英文の  ” ISO/IEC 27000:2018 ”  に当てはめると、

定義上の 「 完全性 」 とは、情報が  正確かつ完全  な状態を指す。

「 完全性 」 が保たれていないと、 情報としての信頼性を欠く。

この対策の一例は、 情報の  ダブルチェック  を義務づけること。

近年のビジネスでは、 デジタル署名や電子署名  などの導入により、
改ざん・虚偽のデータ作成を予防し、「 完全性 」 を維持している。

保全性 とも言う。

ソフトウェアなどの 「 整合性 」 を意味する 「 インテグリティ 」 は、
IT業界  で定着済み。

 

◆  2019年発行の国語辞典では、

インテグリティ  [ integrity ]

完全な状態。   統一(性)。


大辞林 第四版 』  ( アプリ版
松村 明(編集)三省堂、  2019年刊
<三省堂HP>

◆  2021年発売の辞書アプリでは、

インテグリティー  [ integrity ]

  1.  誠実。  正直。  完全無欠。
  2.  コンピューターのシステムやデータの整合性、 一貫性、 無矛盾性、 完全性。


物書堂 『 大辞泉 』  ( アプリ版

  この 物書堂 版アプリは、2012年発売の小学館『 大辞泉 第2版 』の
書籍版 を底本とするものの、その後も継続更新している小学館データ
ベースの最新データが反映されているため、書籍版を超える収録数を誇る。

◇  小学館 『 デジタル大辞泉 』 特設サイト
https://daijisen.jp/digital/index.html


以上、 語釈全文である。

 

◆  2020年発行の「 カタカナ語辞典 」では、

インテグリティー  [ integrity ]

完全。  不可欠性。  統一(性)。


コンサイス  カタカナ語辞典  第5版
三省堂編修所(編集)三省堂、  2020年刊
<三省堂HP>


同じく、 語釈全文。

映画などの作品名に 「 インテグラル 」 と添えてある場合、
「 ノーカット 完全版 」 を指すのが通例。

機器取説・マニュアルに  ” an integral part ”  とあれば、
「 不可欠な部分 」 または 「 一体化 」 「 一体型 」の部品。

【発音】   íntəgrəl
【音節】   in-te-gral  (3音節)

上掲 「 第5版 」 は、 2020年9月10日に発行された。

それから、 ちょうど26年前の1994年9月10日に発行
された 「 初版 」 の全文はこちら。

インテグリティー  [ integrity ]

完全。  不可欠性。


『 コンサイス  カタカナ語辞典  初版 』
三省堂編修所(編集)三省堂、  1994年刊


「   統一(性) 」 がない。

◆  英語では 「 4音節 」。

intégrəti

in – teg – ri – ty  
イン – グ – リ – ティ
–  2    3 4  音節

 4 音節  =  4 syllable  =  4 シラブル


「 音節 」( syllable、シラブル ) とは、 発音の最小単位

◆  片や、 日本語では 「 6音節 」。

平板で、 均一なリズムが、 日本語の持ち味

ティ
1 2   3 5 6   音節

初っ端の第1音節 「 イ 」 にアクセントが来る感じ。

第4音節 「 グ 」 に置く人もいるかもしれない。

音節の長さは均等、 同じ速さで発音し、 高低のアクセントを使う。

これが、 日本語の基本。

◆  「 アクセント 」 は、 言語体系によって、 大きく二分される。

アクセントとは、 音声学 ( 後述 ) の用語で「 単語を区別する 」 もの。

音の強弱か高低かで、「 強弱 アクセント 」 または 「 高低 アクセント 」。

英語は 強弱。

日本語は 高低。

ドイツ語は 強弱。

中国語は 高低。



◆  さらに、「 イントネーション 」 との違いを粗く述べると、

アクセント( 強勢 )は、英語で  ” stress ” とも言う。    ※  後述

なおかつ説明すると、「 イントネーション 」 は、

「  単語の単位を超えた、文などの全体に現れる音調で、
話し手の聞き手に向けた態度表明の役割を持つもの  」

英語のような強弱アクセントの言語では、 おおよそ、

「 アクセントは強さ、 イントネーションは高さの変化 」。

【音節】  ac-cent  (2音節)    ※  動詞は、 ac-cent  (2音節)
【音節】  in-to-na-tion  (4音節)



◆  学術的な研究結果の一部によれば、

音声発話 ( 後述 ) の理解度を決定する要素として重要なのは、
母音・子音の 「 発音 」 以上に、 「 イントネーション 」。

「 イントネーション 」 こそ、 話し言葉の理解度を左右する。

こう結論づける論文は多数提出されている。

 

◆  アクセントも、音節も、 異なる「 カタカナ発音 」( 後述 )
では、英語母語話者( ネイティブ )には、 まず通じないのが、
integrity ” 。

◇  日本語母語話者が、英語を学ぶ上で、一段と留意
  する必要があるのは、音節 ( syllable、シラブル )


◆  「 音節 」がおかしいと、 通じないケースが多々ある。

私たち日本人は、 やたらと 「  発音( pronunciation ) 」
のせいにしがちだが、

 ★★★ 「 音節 」 も 大きな課題  ★★★ 


実際のところ、 発音以上に影響することすら珍しくない。

日本語の場合、 原則として 「 仮名一字が1音節 」。

日頃、 音節を意識する機会はなきに等しい。

日本の英語教育は、「 音節 」 をもっと重視するとよい


本質的に、「 音節 」 は 「 発音 」 と同時に学ぶべきもの。

「 音節 」とは 「 発音の最小単位 」 だから、 それが道理である。

「 音節 」 の概念が身につくまでは、 英単語に接する都度、

と考える習慣をつければ、 すぐ慣れる。

「 発音 」 とペアで確認しよう。

「 音節 」 が分かるようになれば、  英語を見る目が変わる。

1音節、 2音節、 3音節、 4音節、 5音節、 6音節、 7音節  …  と、
音節ごとに好きな英単語を探し求め、 四六時中、 口ずさむとよい。

軽やかに発音できて、 耳心地のよい語り口の単語をいくつか選ぶ。

ご自分の好みでOK。

こうすれば、 あっという間に 「 音節 」 の雰囲気がつかめる。

慣れるまでは、 音節を意識しながら、 少し大げさに発音する。

日の出から日没まで、 夜となく昼となく、 静かにつぶやく。

慣れてきたら、 強さアクセント  =  強勢  =  ストレス  も加味。

【参考】    ※  外部サイト

 

もしも、「 音節 」を知らずに、 英語を学んできたとすれば、

それは根本的に間違っており悲劇の英語教育だと感じる。


正直申し上げると、 「 素っ裸で通勤するレベル 」  の異常な有様。

それくらいまずい、 と私は断言したい。

「 音節 = シラブル  」 抜きで、  どうやって英語学べるんだ

教育上、 あってはならないこと。

総毛立つ衝撃を受けるあまり、 もうどうにも我慢ならない。

教材その他の適否を見直すよう、 その尻を乱暴にひっぱたきたくもなる。

【参照】  「 お尻 」 の英語表現



3 Cool Methods for Inventing a Nickname
https://www.wikihow.com/Come-Up-with-a-Nickname
2023年1月28日付


このように、 英語圏の愛称はシラブル由来が数限りない。

シラブル ( 音節 ) が見えると、 すとんと腑に落ちる。

 

【 音節とアクセントを学べる動画 】    ※  YouTube ( 全長 13分51秒 )

syllable ”  と  ” word stress ”  の概要は、  これ1本で習える。

” word stress ” とは、「 強勢 」 = 「 強さアクセント 」 の意。



Syllables and Word Stress
https://www.youtube.com/watch?v=Vu6UVwkUgzc
2019年2月22日付    ※  全長 13分51秒


男女の英語ネイティブ講師が、 懇切丁寧に基礎から教えてくれる。

とても秀逸な出来映え。

一見の価値ありと思うので、 ご高覧いただければ幸い。

全編英語 ( 男性側はイギリス英語 ) だが、  自信がなくても大丈夫。

先生と一緒に( ” Repeat after me. ” )、 声を出して、 練習してみたい。



【 音節が一発で出てくるサイト 】    ※  外部サイト

 

◆  単語学習も発音訓練も、 「 音節 」 を意識することで、 随分と楽になる。

見知らぬ単語を前にして、 「 どの部分で切ればよいか 」 見えるからだ。

音節は英単語の奥義であり、 小手先の収拾策ではないため、 常に有効。

ネイティブ児童の発音ルール 「 フォニックス( phonics )」 を取り入れる
英語学習法は、 母語と外語の習得過程を区別しておらず、 日本人学習者には
必ずしも実効がないが、 「 音節( syllable )」 は必ず有益で即効性がある。

今、 この瞬間から役立つ。


でかでか大書して 脳に刻む

【発音】 fənétiks    【音節】 pho-net-ics (3音節) →  後述
【発音】 fənɑ́lədʒi   【音節】 pho-nol-o-gy (4音節) →  後述


ホワイトボードにも 書きまくる

線を入れ、 番号を振り、 アクセントにマークし、 発音する

【発音】 kɑ̀ːnvəlésənt    【音節】 con-va-les-cent (4音節)

  別稿 「 単語の覚え方 」 より

【音節カウンター】 https://www.howmanysyllables.com/

 

音節を知らずして、 新しい英単語を記憶したり発音したりすることは、

私にとっては 「 100% 」 あり得ないし、 自分には不可能と言い切る。

未知の英単語に接した時は、 まず音節を調べてから、 発音を練習する。

どの部分で切ればよいか 」 分かれば、 暗記も発音もしやすくなる。

弊サイトでも、 発音( pronunciation ) の下に併記するようにしている。

一体、 「 音節 = シラブル  」 抜きで、  どうやって英語学べるんだ

どの部分で切ればよいか知らないと、 でたらめに見えない 

非常に奇怪であり、 先に記したごとく、 英語教育上、 あってはならない。

「 音節 = シラブル  」 に一切触れない発音教材などには、 気を付ける。

ひらがな・カタカナ・漢字の3重表記を解説しない日本語教材になぞらえる。

各言語の根幹をなす基礎知識であり、 初・中級者向けの教本なら掲載必須。

 


◆  世界中の英語学習者に対して発信される、 本場の講義動画を推奨する。

私自身、 年がら年中お世話になっており、 心より感謝、 恩に着ます。

今回の  ” Oxford Online English ”  は大いにお勧め。

英語人口、15億人

地球上の英語の使い手の概数である。

英語母語話者( 英語ネイティブ )は、 世界の全人口の 約 5%

つまり、 世界の 95% の人にとって、 英語は母語ではない。

15億人の英語力は様々であることを知れば、 気が楽になるはず。

ここは英語学習者ばかりなので、 気後れなんていらない。

英語を学ぶ者のために設けられた専用の場所で、 全員が学習者。

各国の学習者が書き寄せたコメントも必見。

勇気を出して、 英文の投稿にトライしてみよう。

学習仲間から返信が来たりするので、 英作文にも申し分のない場。

「 いいね( Like ) 」もあり、 結構尽くめで、 励みになる。

視聴者同士の進歩と 切削琢磨 を目指し、 どんどん書き込もう。

 

相性のよさそうな発信者や番組を見つけて、

がっつり食らいつく。

 

市販の教材にしがみつくよりは、 きっと成長する。

なにより、 楽しい。

 

  日本人学習者を主たる顧客と想定した素材は、

長期的にはあまり望ましくないと私は考える。

中級学習者  が潜在能力を引き出し上達するには、

日本人相手ではない番組を中核に据える方が名手。

【 主な理由3つ 】

日本語母語話者向けに、 ほどよく加減され、

念入りに作り込まれた印象を受ける番組が多い。

登録者を増やすためか、 販売促進のためか、

どうしても視聴者におもねる調整が欠かせない。

理由は3つのデメリット。

(1) 漫然と視聴しただけで、 会得したと勘違いし、 英語学習した自己満足に陥りがち

(2) 自分の頭や口を動かさずに時間を使い切り、 成長しそびれているのに気づけない

(3) 手入れ後の日本人受けする英語なので、 そう自然ではない状態の英語が目立つ

一般向けの素材に慣れ親しんできた学習者であれば、

割合すぐ見透かせると思う。

 


常用語は、無限に無償提供されている。

採集素材は、至る所に ある。

本や会話はもちろんのこと、映画、ラジオ、標識。

一般人が気軽に発した生の英語に触れられる穴場は、
YouTubeの コメント や商品 レビュー( アマゾンなど )。

教材としても推奨できる。

【参照】  おすすめ YouTuber  と着眼点は、” No need ”  に詳述

( 図入り、 写真入り、 動画入り )

お手元に英語素材がなければ、 手始めに コメントとレビュー
から取り掛かるとよい。

魅了された動画や商品の英文コメントを、 ついでに読む 「 習慣 」。

「 今日からできる 」 英語学習であり、 人生を変える効果がある。

翻訳機能を使えば、 その場で答え合わせでき、 気苦労は少なめ。

すこぶる奨励する学習法のひとつであり、 私も毎日実行している。

玉石混交とはいえど、 手近な インプットの宝庫で、 とにかく楽しい。

昔ながらの新聞・雑誌の読者欄は言うまでもない。

なにしろ、 投稿者の感情がほとばしり、 エネルギーが充満する。

コメント回り 」 と称して、 めぼしい日英表現を見つけては、

こうして語彙採集するのが、 永年の私の日課である。

見聞きした対象を、その都度、書き留めるだけ。

だから、 ネタ集めに困らない。

なんでもかんでも 「 先生 」 と勝手に思っている。


語彙採集  より

 

◆  日本語の「 音節 」は、 「  拍( はく ) とも称する。    ※  後述

英語では  ” clap ” (1音節)。

拍手 」( 可算名詞 )と「 拍手する 」( 動詞 ) の意味もある。

句自動詞 ( intransitive  phrasal verb ) の  ” clap back ”  は、
ぴしゃりと反撃する 」。

ここでの  ” back ”  は、 副詞 ( adverb )。


the clap ” は、 性病の  ” gonorrhea ” ( 淋病 りんびょう )の俗称。


【参考】    ※  外部サイト

 

【 ご注意 】

「 ローマ字表記 」 と 「 音声記号表記 」 は、 別物。

同義なのは、

英語用として、 大正時代以降の日本で有力視されてきた音声記号は、

以下3つ。

 

◆  音声記号は、ブラケット  [ ] で括るルールがあり、
ローマ字表記とは区別されている。

【発音】   brǽkit
【音節】   brack-et (2音節)

例えば、日本語の「 う 」 のローマ字表記は  “u”。

IPA記号では、通常は  [ɯ] 、まれに [u] 。

[ ]  の代わりに、 スラッシュ  // で括る場合もある。

【発音】   slǽʃ
【音節】   slash (1音節)

言語学者の慣習としては、

[ ]  は、 最も正確な表音の「 精密表記 」 とみなすことも。

言語学者の用いる正式名は、

本稿では、 [ ]   //  を併用している。


音声表記

音韻論 で抽出した有限の音素 ( phoneme ) は
スラッシュ / /  の間に入れて音韻表記するが、

音声学 における物理的な異音 ( allophone )は
国際音声記号 ( IPA ) を始めとした音声記号を
角括弧 [ ] で囲んで単音表記する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%B3%E5%A3%B0%E5%AD%A6

※  2024年5月14日 アクセス

※  太字・改行は引用者

◆  なお、 [ ]  は、 引用した書き手が注釈を加える際にも使う。

引用者による補足的説明を、 原文から区分する役目。

ニュース記事や学術論文でも用いられる。

具体例は、 ” He is in a better place now. ”  に示した。

 

◆  弊サイトで取り上げた単語のうち、 日英の音節の
差異が著しい 「 12語 」 を例示する。

■  strike  stráik / 1音節

【日】  5音節 「  –
【英】  1音節

ストライ

「ライ」を強調。

https://mickeyweb.info/archives/11891

■  spike  / spáik / 1音節

【日】  4音節 「  –  –  – 
【英】  1音節

パイ

破裂音[p]に力を込めて「パイ」。

https://mickeyweb.info/archives/38396

 

■  stand  / stǽnd / 1音節

【日】  4音節 「  –
【英】  1音節

タン

破裂音[ t ]で「タン」を強調。

https://mickeyweb.info/archives/40016

 

■  trump  / trʌmp / 1音節  

【日】  4音節 「  –  –  – 
【英】  1音節

第45代米国大統領  “ Trump ” も同様。

https://mickeyweb.info/archives/3272

 

■  blast  / blǽst / 1音節  

【日】  4音節 「  –  –
【英】  1音節

ブラ

表面処理の「 エアブラスト 」「 ショットブラスト 」「 サンドブラスト 」
がこれ。

https://mickeyweb.info/archives/7795

 

■  chance  / tʃǽns / 1音節

【日】  3音節 「 チャ –  – ス 
【英】  1音節

チヤ

複数形  ” chances ”  は「2音節」になる。

https://mickeyweb.info/archives/20490

■  thrill θríl / 1音節

【日】  3音節 「  – – ル 
【英】  1音節

スリッル

過去形・過去分詞形・形容詞の ” thrilled ” も「1音節」。

https://mickeyweb.info/archives/50437

 

■  slam  / slǽm / 1音節

【日】  3音節 「  – 
【英】  1音節

「 スラム街 」 も 「1音節」 だが、 別単語の ” slum “。

https://mickeyweb.info/archives/14790

 

■  test  / tɛst / 1音節

【日】  3音節 「  –  
【英】  1音節

 テ

破裂音[ t ]が、殊に強調される感覚。

https://mickeyweb.info/archives/7468

 

■  time  / taɪm / 1音節

【日】  3音節 「  –  –  
【英】  1音節

 タイ

「ム」は消え入るようで、聞こえないくらい。

https://mickeyweb.info/archives/7468

 

■  help  / hélp / 1音節

【日】  3音節 「  –  
【英】  1音節

カタカナ発音でも、ぎりぎり通じるかも。

https://mickeyweb.info/archives/6691

 

■  ink íŋk / 1音節

【日】  3音節 「  –  – ク 
【英】  1音節

イン

同義扱いの 「 イン」は、 オランダ語  ” inkt ” より。

https://mickeyweb.info/archives/6217

 

◇  12語 すべて 「 1音節 」( one syllable )  


どれも、 腹の底から ゲロする 勢いで、
思いっきり吐き出し、一息に発声する。

発音の最小単位

に切れ目がない1音節のため、
一気にゲロする凄みが出る。

■ う ( 1音節 )

■ お ( 1音節 )

■ げ~  ( 1音節 )

1 音節  =  1 シラブル

 

 

  英   語 「 息の音 」

  日本語 「 声の音 」


※  後述

 

日英の音は、 舌・唇・歯・呼吸間の相互作用が
まったく違います

「  音節( syllable ) 」 の感覚を知るため、

ゲロ の迫力で、 しばらく練習するとよい。

→  ゲロ吐くように、 発音してみる


日本語母語話者にとって、

英語の発音は動物の鳴き声に近い。

日本語で表記しがたいのは言うもおろか。

犬猫の声と一緒で、 そもそも日本語では書き起こし

きれないのに、 英語音を無理くり邦文で表現しようとする。

等しく不条理だからアプローチを変える。

口周りをまじまじと見据えて、 模倣する。

※  やり方は後述

【参考】    ※  外部サイト

 


ご自身の頭脳と身体の 「 新しい使い方 」 を獲得するチャンス。

「 単語 」 単位に限ると、 ネイティブレベルの発音まで到達可能。

きちんと訓練すれば、 大抵の日本人ができるようになる。

 

自分のベロや唇が、 こんなに動く日が来るなんて …

我が唇から出てくる発音が信じられず、 ひとしお感無量。

うれしくてうれしくて、 英語音の独り言が日課となる。

ぶつぶつ我知らず独りごちて、 変人扱いされるが、 心は弾む。

「 日本語と英語の違い 」  より

◆  以下、 ” Wet ink / Wet sign / Wet signature ”  より再掲。

wet ”  には、 形容詞・名詞・自動詞・他動詞がある。

語源は、 古期英語  「 湿った 」 「 ぬれた 」 ( wǣt )。

【発音】  wét  (1音節)

” wet ”  は、 「 1音節 ( one syllable ) 」 の単語。

「 音節 」( syllable、シラブル ) とは、 発音の最小単位

1音節だから、 腹の底から  ゲロする  勢いで、 思いっきり、

ウエット


と吐き出し、 一息に発声する。

まさに、 ゲロ同然の響き。

( 中略 )

志村けんはいかがでしょう 』 ( 1993~1995年 放映 ) のコント

「 ろくでなし 」 の名物 「  ウィ ! 」 ( 1音節 ) に似通うリズム。

これは、 典型的な  「 1音節 ( one syllable ) 」 の発音。

私たち日本語話者でも、 割と簡単に発音できることが分かる。


大勢の観客が声を合わせ 「  ウィ ! 」 と叫んでいたことからも明らか。

当時、 画面越しに見ていた私も、 大喜びで 「  ウィ ! 」 とやっていた。

【 ウィッ 動画 】

https://www.youtube.com/watch?v=UDaFmArGp4k
↑  全長  24秒

https://www.youtube.com/watch?v=YXXnbmcV3vk
↑  全長  40秒


” wet ”  は 「  ウェット !

無声歯茎破裂音  [t]  を伴い、 最後は舌端を上歯茎に接触させて軽く調音。

やや難易度は上がるが、 「  ウィ ! 」 と似ており、 発音できるはず。

▲▲  再掲終わり  ▲▲

◇  もし分からなければ、 ペットに耳を傾けてみよう。


     (1音節)

      (1音節)

 ハムスター    (1音節)

 インコ    (1音節)

◆  日本語母語話者が、擬音語 ( オノマトペ、 onomatopoeia )
で表現すると、

    / 1音節

【日】  2音節 「  
【犬】  1音節

   / 1音節

【日】  2音節 「 ニャ  
【猫】  1音節

ゲロも似たようなもの。

    / 1音節

【日】  3音節 「 う  
【?】  1音節

    / 1音節

【日】  3音節 「
【?】  1音節

 

うなり声・うめき声に乗せて、 「 1音節 」 のリズムをつかむとよい。

    ブラ    /  タン 

 パイ        /    


1 音節 = 1 シラブル

 

ワンコと合唱し、 練習しましょう。


◆  身近な犬猫の鳴き声と、 日本語表記の隔たりからも、 先述

平板で、 均一なリズムが、 日本語の持ち味

をなんとなく体感できると思う。

日本語の基本を再び挙げると、

音節の長さは均等、 同じ速さで発音し、 高低のアクセントを使う。

聞く音声と表記のギャップこそ、 我らが母語の特色の反映。

違和感めいた手応えがあれば、 英語の「 音節 」に近づける。


【参考】    ※  外部サイト

◆  立場を逆にして、 普通の英語ネイティブの皆様に、 私が
日本語をお教えすると、 最初のうちは、こんな風に仕上がる。

【日】  5音節 「  –
【?】  2音節

        / 2音節


皆一様に、「 2音節 」で発声する。

なんて器用で、 けったいな  …  なんでこうなる

なんとも、 すごすぎ  …

我々日本語ネイティブには、 皆目不明な感。

幾度となく、 繰り返してもらっても、 なかなか改善しない。

お互い様ね。

 

◆  お手持ちの 「 虎の巻 」 を見せていただいた。

  •  Excuse me
    sue-me-mah-sehn
    ( すみません )


学術的な教本ではなく、旅行ガイドに準じる実用書。

旅行者向けなので、無論、音声記号とは無縁である。

ローマ字表記( su-mi-ma-se-n )と驚くほど異なる。

sue-me-mah-sehn

英語母語話者にとっては、 この方が把握しやすい
ということだろう。

◆  日本語を習いたての外国人の発音が不自然なのも、

実は「 音節 」に問題があることが多い。

そろいもそろって 「     ッ  」 と返されるので、

なにふざけているんだと、  始めの頃は本気で憤慨していた。

両言語の  音節構造の違い  を、 あの頃の私は知らなかったのである。

既出単語のうち、 「 子音の連続 」 の好例は、 ” strike ”  stráik / 1音節

のっけから、子音の3連発 str- )で、 日本語ならあり得ない  / CCC / 。

英語は音節頭で子音が3つ続くことはよくあるが、 日本語にはない配列である。

ローマ字表記は、  su-to-ra-i-ku  ( 5音節 )。

◆  日本語の音声の大部分は、 母音で終わる開音節 」( open syllable )。

ただし、 子音で終わる音節「 閉音節 」( close syllable )は、日本語にもある。

すなわち、 「 促音 」 と 「 撥音 」。

母音が付かなくても、 1拍分の長さを持ち、 1拍とカウントされるのが特徴。

日本語で、 子音だけを表す表記は、 以上の

を除いて存在しない。

もっとも、 これらを音声記号( IPA など )で表す際は、
そう単純でなく、 複数の音声記号に分かれたりする。

既述の通り、 ローマ字と音声記号表記は、 まったく別。

 

◇  「 子音 」 多めの 英単語の発音が 苦手で、
  無意識にも 「 カタカナ発音 」

になってしまう
日本人が大勢いる、 根本原因

 

は、 日英の  音節構造の違い  にある。

 /CV/  →  「 子音 + 母音

日本語の音の基調
( 結合音節 )



1音節
の英単語  ” strike ” を、 日本語の語彙の中に組み込むためには、
子音の間と語尾に 「 母音 」を挿入 し、5音節組み替える しかない。

なぜなら、 日本語音は「 母音 」と組む のが大原則   なので、
基本的に、 「 母音 」がつかないと、日本語になりえない。

◆  英語の  ” strike ” は、 [ stráik ]  →  / CCCVSC / で、 1音節。

S ” は、 ” semivowel ” ( 半母音 )。

  子音3連   の1音節  ” strike ”  を

日本語に   迎え入れるため、  無理やり

ウ [ɯ]  と オ [o]   という  母音  添加


【日】  5音節    [ sɯtoraikɯ ]
【英】  1音節    [ stráik ]          


こうして、

 

日本語に取り入れるため

子音3連発 str-の  strike ” に、

母音ɯoɯ  突っ込んだ結果、

1音節  から  5音節  になってしまった。

  [ stráik ]  →  [ sɯtoraikɯ ]


もはや、 どうしようもない開き。

英語の音の原形をとどめていない。

これでは、 通じるわけない。

 

■  「 母音 」を組み合せる「 結合音節 」が、日本語の音  

原則、 日本語に取り込むには 「 母音 」 必須

- 

強引すぎるが、 やむを得ない、 母音添加。

 「    母音の呪縛 ( じゅばく )    と称されたりする。

外語習得に支障を来す 「 母語干渉 」 ( mother language intervention
の典型である。


 母語干渉とうまくつきあおう 

丹羽 牧代 (編著)  丹羽 卓 ・ 地蔵 繁範 (著)
彩流社、 2019年刊
A5判、 239頁

<出版社HP>    <アマゾン>    <楽天>


完全異質の英語を習う上で、 本能的な母語である日本語が邪魔をする。

ほぼ無意識に妨げるため、 指摘されない限り自覚しかねる学習者が多い。

かくして、 おあつらえ向きの 「  カタカナ英語  」 の出来上がり。

前掲のその他 「 11語 」 も、 同様のパターン。

◆  こうした流れを踏まえると、 行き着く先はこうなる。

◇  日本語が母語だと、
どうしても
母音を添加 」して
発音してしまう

「 カタカナ発音 」 の正体だ

 

   母音の呪縛   


母語干渉の典型


日本語音の性質上、 必然 言語習慣  ゆえに、

子音の連続だらけの英語のハードルは、 ひときわ高くなる。

日本語ネイティブならば、 当然成り行き


◆  音節構造の違い  をおさらいすると、

子音 」 の取り扱いが、真逆  に近い。


日本語の母音は  5 個  しかないのに対し、
英語の母音は、 一説によると  26 個 。

英語の母音は、 単母音・長母音・二重母音・三重母音
の4種類もあり、 その合計が26個。

「 ア 」は、 日本語の母音では、 [a]  の1つだけ。

英語の母音では、 舌の位置や隣接点の違いにより、
[ʌ]、 [æ]、 [ɑ]、 [a]、 [ə]   の5つ。

日本語の子音は  13 個、 英語の子音  24 個 。

濁音半濁音・短音など込みで、 日本語音は  114
英語音は  2,100  との学説もある。

※  複数の異論あり

換言すれば、 英語の母音は、 日本語の5倍以上に
細分されている

日本語の母音は 5 個  に仕切られているのに対し、
英語にはその5倍以上の母音 ( 26 個 ) がある。

 

◆  先ほどの 「 虎の巻 」 の続き。

英語母語話者には、 次のように聞こえているらしい。

  •  Good Morning
    oh-HI-oh goh-zigh-mahs
    ( おはようございます )

  •  Good Afternoon
    kon-nee-chee-wah
    ( こんにちは )

  •  Good Evening
    kon-bahn-wah
    ( こんばんは )

  •  Good Bye
    Sigh-oh NAH-rah
    ( さようなら )

  •  How are you ?
    oh-GEHN-kee dess kah ?
    ( おげんきですか ?

  •  Nice to meet you
    hah-jee-meh-MAHSH-teh
    ( はじめまして )

  •  Please
    Oh-nee GUY-ee shee-mahs
    ( おねがいします )

  •  Thank you
    Ah-ree-gah-toh goh-zye-mahs
    ( ありがとうございます )

  •  I’m sorry
    goh-men nah-sigh
    ( ごめんなさい )

  •  You are welcome
    doy dah-shee-mahsh-teh
    ( どういたしまして )
  •  Do you speak English ?
    Ey-ee-goh oh hah-nahs sehmahs kah ?
    ( えいごをはなしますか ?


日本語母語話者が見ると、 思わず笑ってしまう。

もう滅茶苦茶で、 突っ込みどころ満載。

私たちのカタカナ英語と、 どっこいどっこい。

ジョン万次郎 ( 1827-1898 ) の 英会話教本 ( 1859年刊 )
を彷彿させる、 ユニークな音声表記の長所と短所。

ここで、  ローマ字表記との大差を、 再度指摘しておきたい。

やはり、   子音の連続    が目に付く。

とりわけ、 ” gh ”  と  ” hs “。

加えて、 語末の  ” h ”  と  ” y “。

基本的に、

日本語には、あり得ない  のに …


※  日本語の拗音 ( ようおん、 小文字 「 ゃ 」「 ゅ
」「 ょ 」 )
のローマ字表記では、 子音の後に w  を加えることもある。

 

言語習慣  及び  音節  の相違点を見せつけられた感。

※  「 滅茶苦茶 」と前記したものの、  学術的な音声記号
とは別に、 実はそれなりに確立されている表記法  である。

 

◆  言語習慣母音  が大好きな日本語ネイティブとは反対に、

子音  が得意な英語ネイティブは、

母音の連続   が不得手。


私たちは、 難なく発音できるはず。

英語ネイティブは、 途方に暮れる。

初見では、 手のつけようがない。

でたらめに見えてしまい、 お手上げ。

 

促音も難関で、 初期段階では発音できない。

長音・促音・撥音 といった「 特殊拍 」及び拗音の識別は、

あらかた苦手。

日本語初学者は、 聞き分けられない人がほとんど。

私の経験からは、 初学者で、 区別できた方は皆無。

ゼロです。

絶対に同じ発音だと、 半ベソで食ってかかられたこともある。

何度聞いても、 違いがまったく分からないとおっしゃる。

日本人にとっての 「 L 」 「 R 」 同然。

日英の音言語習慣音節構造   は、 ひどくかけ離れている。

 

◆  日本語を一切知らない、 並大抵の英語ネイティブが、

日本語のローマ字表記を、 どう認識し、 発音するか。

発音向上に有効な着眼点であると、 経験上、 確信している。

それゆえ、折に触れて、 多種多様な試行錯誤 を重ねてきた。

同僚を含む、 数多くの外国人に頭を下げて、 ご協力を求めた。

尾籠で赤面の至りだが、 卑近な例では、

■ ち こ~う (2音節)   chinko

■ ち  ち (2音節)   chinchin




米国人数名にお願いして、 語意は伝えずに、
ローマ字表記を読み上げていただいたもの。

高官の温かいお力添えも賜りました。

  こ~う (3音節)   pachinko

■ ち ぱあ  ~う (3音節)   chinpoko (※)



私の耳には、 だいたいこう聞こえるが、 いかがだろう。

例外なく、     を「 1音節 」 の 音声で発していた。

【日】  3音節 「   –  」   chi – n – ko
【英】  2音節 「    –   」   chin – ko

【日】  4音節 「   – ち  」   chi – n – chi – n
【英】  2音節 「    –   」   chin – chin

【日】  4音節 「   – ん こ  」   pa – chi – n – ko
【英】  3音節 「    –    こ     pa – chin – ko

【日】  4音節 「       chi – n – po – ko (※)
【英】  3音節 「  ちん  –  ぽ  –       chin – po – ko


確かに、 英語の  ” chin ”  は、 1音節。

可算名詞の 「 顎 ( あご ) 」 である ( 後述 )。

【発音】   tʃín
【音節】   chin  (1音節)

日本語の  「 ん 」 は子音で、 前述の 撥音( はつおん、 はねる音 )

外国人風に、「 ちんこ 」 「 ちんちん 」 と発音してみよう。

ここでは、 恥ずかしがらずに、 元気な声で威勢よく発声する。

語学の基本は 「 真似 」 だから、 幼児のように無邪気に真似る。

「 音節 」 の格差の真髄を、 骨身に徹して体得するためには、 

日の出から日没まで、 夜となく昼となく、 静かにつぶやく。


語意はともかく、 両言語の音の違いを会得するには、 もってこい。

身近な言葉やひいきの言葉ならば、 なおさら短期でコツがつかめる。

学校教育では採用されぬ卑猥さを帯びる 「 ちんこ 」系 は惜しいわ。

上記の単語を歌詞に盛り込み、 日本語と英語の発音をペアで組み、

誰もが気軽に口ずさめる、 美しき 「 ちんこ 」 ソング を広めたい。

音の違いを肌で感じていただくためで、 画期的な学習法と考える。

胸底に秘めた、 我が野望である。

◆  正式な  ヘボン式  及び  訓令式 のローマ字表記は、
それぞれ以下の通り。

【ヘボン式】  chinko
【訓令式】  tinko

【ヘボン式】  chinchin
【訓令式】  tintin

【ヘボン式】  pachinko
【訓令式】  patinko

【ヘボン式】  chimpoko
【訓令式】  tinpoko


※  比較の便宜上、 ” chinpoko ” と表したが、 ヘボン式では、
” P ”  の前の 撥音「 ん 」は、 ” N ” の代わりに ” M ” となる
ため、” chimpoko ” ( ちんぽこ ) が正しい表記である。

パスポートの表記は、 原則ヘボン式 ( the Hepburn system )。

その他、 ” chimpo ” ( ちんぽ ) については、
What’s the use of – ? ”   で言及した ( 図入り )。

【ヘボン式】  chimpo
【訓令式】  tinpo

 


表意文字を持たず、 表音文字みどろの英語母語話者には、

” chimpo ”  と  ” tinpo ”  がともに 「 ちんぽ 」 を示すこと

は到底納得できない感。

普通名詞なのにスペルを異にし、 等しく 「 ちんぽ 」 を

表すなんて、 概念そのものが一向に不可解な様子である。

表意文字を何一つ知らないため、 とんと話が通じない。

◆  外国人の 「 私の名前を漢字で書いて 」 という突飛で難儀な依頼。

決して珍しくないリクエストだが、 表意文字を知らないがゆえである。

ある時、 たっての頼みに吉相の漢字を当てて差し上げたところ、 後日、

そのキラキラネームが彩る手首を得意げに見せつけられ、 ほとほと困惑。

まさかと目をむくしかなかったが、 言語・文化の開きを如実に物語る。

通訳者・翻訳者でなくとも、 こうした依頼に出くわすことはあるかも。

彫り物はまずい、 現在は必死に説得するか、 お断りして逃げ切る流儀。

 

表意文字の基礎概念が理解できていない外国人に、
当て字漢字の名前入りプレゼントを贈るのも危うい。

そのインフォーマルな当て字で、 なにされるか分かったものでない。

うちらの認識はエンタメ・遊び心、 その後の責任は取りかねる。

表音文字しか持たぬ一般人の知見が追いつかないのが、 表意文字。

外語学習と 異文化理解  の難しさの一端を披瀝する。

 

概念を整理し規定するシステムは言語・文化で異なり、 定義された
概念の中身と範囲も相違する。

見えている世界とその解釈は依拠する言語・文化で食い違うのだが、
各自が血肉化した世界認識は、 概ね無意識・無自覚に作用する。

外語習得と 異文化理解 が生易しくないのは、 必然の成り行きである。

◆  ” chimpo ”  と  ” tinpo “、 発音だって違ってくる。

英語に素直に発すると、 両方2音節で、 前半に強勢。

■ ち ぽ~う (2音節)   chim-po

■ て  ぽ~う (2音節)   tin-po



見てくれも音も違うのに、 これが同一単語なの


( 中略 )

時に誤訳とミススペルを疑われるため、 翻訳者にとって、

日本語のローマ字変換は面倒事が頻発し、 手間がかかる。

今めかしい外語風の建物名は画像検索し、 表札写真を目視。

固有名詞は言わずもがな、 普通名詞のローマ字表記も煩雑。

公式サイトも不統一で、 官公庁さえも当てにならない印象。

本局・外局・URLで、 表記のばらつく自治体は少なくない。

清濁音訓 を間違えているローマ字道路標識もあって困る。

個性豊かに見事不揃いなので、 どれを採用するべきか悩む。

表記揺れが多くて、 信頼できるサイトを見極めるのが大変。

私の経験では、 氏名はパスポートの表記が最も信用される。



What’s the use of – ?  より


【参考】    ※  外部サイト



日本語のローマ字表記の推奨形式
https://park.itc.u-tokyo.ac.jp/eigo/UT-Komaba-Nihongo-no-romaji-hyoki-v1.pdf
東京大学教養学部英語部会 / 教養教育開発機構
2009年
※  PDF 全6頁、  208 KB

◆  英文を書く時の日本語のローマ字表記は、 SWET
が作成した、 こちらのガイドブック( 英文 )が役立つ。

PDF版は無料。


第3版
2022年 8月28日 更新
※  PDF 全92頁、  810 KB

https://japanstylesheet.com/download-jss/


「  1950年代から 日本で活動した プロたちの経験と助言による蓄積  」

https://swet.jp/jp


https://swet.jp/shop/japan-style-sheet

◆  以下、 再び  ” What’s the use of – ? ”  より再掲。

半濁音 「 ちんぽ 」 よりは、 濁音 「 ちんぼ 」 の方が

優位らしく、 前掲の日本大の国語辞典 『 日国 』 ( 全13巻+別巻

で項目立てされているのは 「 ちんぼ 」。

【ヘボン式】  chimbo
【訓令式】  tinbo


ヘボン式では、 ” B ”  の前の 撥音 「 ん 」 も、 ” M ” となる。


ちんぼ [ 名 ] ( 「 ちんぽ 」 とも  )


語大辞典 第二版 』  第9巻、 p.192.
小学館 ( 2001年刊 )

<小学館HP>

※  太字・ハイライトは引用者


語源辞典でも同様。


ちんぼ [ 名 ] ( 「 ちんぽ 」 とも  )


『 日本語源大辞典 』  p.754.
前田 富祺 (監修)、 小学館、 2005年刊

※  太字・ハイライトは引用者


おまけに、 「 ちんぽこ 」。

【ヘボン式】  chimpoko
【訓令式】  tinpoko


「 用例 」 が大いに振るっている。


ちんぼこ [ 名 ] ( 「 ちんぽこ 」 とも  )


語大辞典 第二版 』  第9巻、 p.192.
小学館 ( 2001年刊 )

<小学館HP>

※  太字・ハイライトは引用者


同じく、 濁音 「 ちんぼこ 」 優先。

【ヘボン式】  chimboko
【訓令式】  tinboko


以上、 それぞれ全文である。

◆  英語風に発音すると、 「 ちんぼ 」 「 ちんぽ 」 は2音節、

「 ちんぼこ 」 「 ちんぽこ 」 は3音節になると考えられる。

「  ちん  」 を1音声で発するのが、 英語では自然だからである。


可算名詞の 「 顎 ( あご ) 」 は、

【発音】   tʃín
【音節】   chin  (1音節)

語源は、 古英語 「 あご、 ほお 」 ( cin )。

だいたいこのように聞こえると推測できるが、 いかがだろう。

■ ち ぼ~う (2音節)   chim-bo

■ ち ぽ~う (2音節)   chim-po

■ ち ばあ  ~う (3音節)   chim-bo-ko 

■ ち ぱあ  ~う (3音節)   chim-po-ko 

( 中略 )

【日】  3音節 「   – ぼ  
【日】  3音節 「   –  
【日】  4音節 「    
【日】  4音節 「    

▲▲  再掲終わり  ▲▲

 

◆  学術的な音韻論では、 同一の音素  /N/  として、 日本語でも、

「 ちんこ 」「 ちんちん 」 もろとも 「 2音節 」 とする解釈がある。

厳密に述べると、 日本語 「 ん 」 には、 [N]  の他にも、
5通りの発音がある。 ( 合計6種類、 複数の異論あり )



【参考】    ※  YouTube ( 全長1分 )

【参考】    ※  外部サイト


撥音 ははねる音ともいわれ、 で表記する。

次に音が何もない場合の語末の撥音は口蓋垂音の「ɴ」である。

しかし、子音が後続する場合、 ンの発音はその影響を受けて
[m]  [n]  [ŋ]   に変化する。

両唇音の  [p] [b] [m]  の前では  [m]、
歯音歯茎音の  [t] [d] [ɾ] [n]  などの前では  [n]、
[k] [ɡ] [ŋ]  の前では  [ŋ]  となる。

また、 母音や半母音の前ではそれに近い 鼻母音
( 例えば、 [i] [j] の前では   [Ĩ]  ) になる。

つまり 、撥音は鼻音的要素の一拍分の持続であることから、
これを  音韻的に/ɴ/  と表す。

ただ、それらは義務的ではなく、 ゆっくり発音すれば、
「新派」 は   [ʃiɴpa]  のように、 軟口蓋の後部と奥舌面との
ゆるい閉鎖による鼻音  [ɴ]  がまず調和され、
[p] へのわたりとして  [m]  が発音されるのである。

唇の閉鎖は遅れて行われるのであって、
積極的に  [m]  を発音しているのではない。

日本語の音 ( 大辞林 特別ページ )    ※  前出
http://daijirin.dual-d.net/extra/nihongoon.html

※  引用者により、 改行・色・太字・ハイライトは調整済み


わざわざ区別を教えてもらわなくても、 私たちは 「 」 を発音できる。

日本語は、「 本能的に 」 習い覚えた 「 母語 」 ( 第一言語 ) だから。

一般的に、 母語と外語とでは、 習得過程が異なる。

no need ”  で解き明かしたので、 ご参照いただければ幸い ( 図入り )。

 

◆  学術的には、 ( phonology 声学phonetics ) は異なる。

互いに補い合い、 明確に線引きする性質にはないとはいえ、 基本を概括すると、


音声学 は 「 音声がどうやって作られ、どのように伝わり、
どのように理解することが出来るか 」

音韻論 は 「 音声がどのように並べられ、どのように入れ替わり、
どのように意味を持った上で区別するか 」


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%B3%E9%9F%BB%E8%AB%96

※  2024年5月14日 アクセス

※  青字・太字・改行は引用者


音韻論において、 音声学的な違いはどうであれ、
心理的な実在として、 母語話者にとって同じ

と感じられ、 また意味を区別する働きをする音声上の最小単位
となる音を 「 音素 」 という。

また、音声学的に異なるとされる、物理的な音を「 異音 」 という。

例えば日本語では、

「 さんばい( 三倍 )」
「 さんだい( 三台 )」
「 さんかい( 三回 )」

の3つの語において、

日本語話者はこれらの 「 ん 」 を「 同じ音 」として認識している。

しかし、 実際に発音してみると、

さんばい  [sambai]
さんだい  [sandai]
さんかい  [saŋkai]

となり、

「 ん 」 の音声が  [m]  [n]  [ŋ]  のように異なっていることが分かる。


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%B3%E5%A3%B0%E5%AD%A6

※  2024年5月14日 アクセス

※  赤字・太字・改行は引用者


両者とも学問としての歴史が長く、 深奥幽玄で、 学説・学派・論点も多岐。



https://spice-of-englishgrammar.com/phonetics/

※  2024年5月14日 アクセス


日本語の「 音節 」は、 「  拍( はく ) とも称すると上述
したが
、  音節 ( シラブル ) と 「 拍 」 は完全には一致しない。

音の時間的長さの単位をさすのに用いられる 音韻論的音節が、
「 拍 」  =  ” mora ( モーラ )” で、 リズム上の単位のこと。

その道の専門家は、 音節とモーラ ( 拍 ) を切り分けて追究。

すべての言語は音節を持つが、 モーラをもたない言語もある。

英語、 中国語、 朝鮮語は、 「 拍 」 =  モーラ を持たない。

専門家ではない学習者の手に届く水準にない上、 英語学習上
の優先順位を勘案すると、 深入りすべき対象でないと考える。

はっきり言って、 難しすぎる。

一見すると造作なく思えるが、 勉強するうちに大抵混迷する。

こういった領域に入り込むと、 停滞と挫折を招き、 危ない。

一般的な 中級学習者 は、 手を出さない方がよいと私は思う。

これからやらねばならないことは、 まだまだたくさんある。

本稿は、 あくまでも 「 実用 」 に焦点を絞った内容である。

調査はしたが、 学者から見れば、 稚拙な考察もあるだろう。

大づかみな把握を求める、一般学習者の一助になればと願う。

【参考】    ※  外部サイト

 

 

正しい文法は尊ぶべきものだけれども、

日英の総合的な雲泥の差を加味すれば、

深入りしすぎる前に切り上げないと、

それだけで人生が終わってしまう

 


プロであれば、 好き嫌い抜きで、 強行突破する折が多々生じる。

お金をいただいており、 正式に職責を負うためで、 言うを俟たない。

対して、 アマチュアの英語学習者の場合、 苦手でしんどい課題に、
あまり時間をかけすぎない方が、 好手ではないかと感じている。

強行突破で金稼ぐプロ以上に、 不振に見舞われる危機に立たされる。

( 中略 )

非現実的な 「 理想 」 に執着するよりも、 ご機嫌に続ける方が、
最終的に勝ることは、 おびただしい学習者の挫折を見て学べる。

最初から欲張らずに、 さして無理なく継続できるペースを保つ。

不得手分野は、 そこそこ自信がついてから、 戻ってくればよい。

一旦棚上げにし、 得意分野をきびきび歩む方が、 ぐんと伸びる。

手つかずでも、 影響がなさそうであれば、 後回しまたは手放す。

辞める・病める人間になる前に達成しやすい目標に修正

自己評価が健全で成熟した勇気のある学習者なら、きっとこうする。

no need  より


目標が違うプロ・セミプロの基準は別で、 軌を一にするはずないのが常識。

同じ野球でも、 「 プロ野球 」 と 「 高校野球 」 を同水準で論じない。

どちらも食うか食われるかの真剣勝負だが、 同じ土俵で向かい合わない。

あるいは、 草野球を楽しむアマチュア選手にプロ野球の厳しさは不相応。

並々ならぬ犠牲を伴うのがプロの道、 無報酬で立ち入るべき世界でない。

こと英語教育に限っては、 久しく混こぜにしてきた異常さに気づくべし。

conclusive  より


  中級の大人であれば、

苦手分野には構わず

相性と力量に釣り合う、 得意分野の「 生の英語 」 に絞り、

 日常にぶち込む 

 

「 人生に残された時間 」 との兼ね合いを考慮すると、

苦手分野に近づかない勇気と決断は大切。

 

英語で稼ぐプロとは違う。

プロは 「 お金をもらう側 」。

予算も設備も人脈も桁違い。

実力と努力量も当然違う。

 

「 お金を払っている側 」 の中高年であれば、

暮らしが 「 楽しくなる 」 学習法がベター。

得意分野の英語を突破口にする。

手痛い挫折から逃れられ、 ご機嫌に続く。

日本語と英語の違い  より


日常にそんな機会はない

そう、 だから英語ができない。

ぶち込む機会が平素になければ、 オンライン英会話などで作り出す。

ネイティブキャンプ 」 及び 「 レアジョブ 」 を推す。

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ご両社とも、アフィリエイトのリンクではありません。
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( 2024年11月 現在 )

趣味を含むライフスタイルを、 可能な範囲で2か国語環境に改造する。

「 英語でなんて言うんだ 」 と調べ、 好きな領域をバイリンガルに。

機会ゼロだと便便だらり身につかず、 英語はできるようにならない。

使い道を作り出し、 速やかに実行して、 一気に脳に焼き付ける。

こうすれば、 自律性・能動性を保ちながら、 ずんずん学習が進む。

どんどん使ってやれば、 新入りも喜び、 ちゃんと定着してくれる。

 

◆  私たちが予想だにできない読み方をしかねない点は、

上掲一覧に目を通せば、 嫌でも察するに違いない。

的外れであっても、 微妙な一貫性を感じ取り、 気づきが生じる。

まさしく、 日英の音言語習慣音節構造  のヒントの宝庫。


ちなみに、 志村けん ( 1950-2020 ) の伝説の英語授業コントも、
日英の音 のずれを面白おかしく誇張することで、 笑いをとっている。

【参考】     ※  YouTube ( 全長  5分21秒 )

https://www.youtube.com/watch?v=Ic53hhFllPM
https://www.youtube.com/watch?v=ugDIYqWmbX8  ( 英語字幕付き ) 
  2022年12月、 著作権者の申し立てにより動画は削除された

 

◆  英文を書く時の日本語のローマ字表記は、 SWET
が作成した、 こちらのガイドブック( 英文 )が役立つ。

PDF版は無料。


第3版
2022年 8月28日 更新
※  PDF 全92頁、  810 KB

https://japanstylesheet.com/download-jss/


「  1950年代から 日本で活動した プロたちの経験と助言による蓄積  」

https://swet.jp/jp


https://swet.jp/shop/japan-style-sheet



◆  英語力が確実に上がってくると、

gh “、  “ hs “、 “ h ” 、  “ y

で日本語の発音を表している理屈が通ってくる。

英語を母語とする一般人向けであれば、

日本で普及している 「  ヘボン式  」 や 「  訓令式 

よりも、 これらの表記が好ましい背景が分かるようになる。

日英の音言語習慣音節構造
の根本的な違いの基礎知識が身についた証左である。

◆  英語ネイティブの発する英語音が、 なんだか短く、 不足気味

に聞こえる一因は、 文単位でも  強弱  が激しく作用しているから。

つまり、「 強弱アクセント 」 の英語には、 文にも単語にも

強弱  が存在するのである。

言語習慣、  母音 を加えたくなる  日本語ネイティブ

と裏腹に、 連続する単語の発音時に、 子音 が挿入されたりする。

音が連結して、「 1つの音 」 として発音される。

これは、 リエゾンliaison という、
「 連音 ( れんおん ) 」 の一種。

音韻論 ( 前出 ) の現象で、 英語よりはフランス語で顕著。

単語 「 リエゾン ( liaison ) 」 自体もフランス語由来。 

英語では、 リンキング linking ) とも言う。

音声変化 phonetic  change ) の筆頭格である。

リエゾン・リンキング ( 連音 ) 以外の主な 声変化 は、

 

◆  ネイティブの英語が聞き取れない主要因は、 発音などが

「  速すぎるから  」 と思い込んでいる日本人は極めて多い。

けれども、 決して   速度だけの 問題ではない

これまで見てきた、  日英の音言語習慣音節構造  

の恐るべき乖離から、 ご理解いただけるのではないだろうか。

日本語は 「 声の音 」、 英語は 「 息の音 」 と呼ばれる。

口を開いてものを言う 「 発話 」( utterance ) と、 出てくる
音声 」 の両方の構造が、 この上ない度合いで相違する。

日英の「 舌・唇・歯・呼吸間の相互作用 」 は極端に離れている。

口周りどころか、 音声器官の動きが違うと言っても過言ではない。

声帯・喉頭・咽頭・鼻腔・肺・気管・顎・口蓋も、 もれなく関与。

それこそ口の中に手を突っ込み、 プロが矯正するくらいでないと。

従来の学校教育でカバーできるわけないことに、 すぐさま感づく。

英語の不得手な日本人が大多数を占める一因も、 すんなり知れる。

日本語音と同じ感覚で英語音をしゃべっているから全然伝わらない。

「 発音 」 だけで判断するのは、 とてつもなく危険で浅学すぎる。

根底からして異質な言語がお安く口から出るって、 結構なホラー話。

適切な訓練なくして、 現実的にはあり得ないことに気づきましょう。

 

【参考】    ※  外部サイト

 

◆  日本語を話す場合、 舌・唇・歯・呼吸の相互作用は小さく、

顎も大きく動かない。

日本語母語話者が、 英語を習い覚えるために、 大切な行為は、

 

英語話者の口周りを

しげしげと注意深く観察する

対面なら、 非礼がないよう、 さりげなく、 ちらりちらり、 そっと、 うかがう。

対面でなければ、 画面越しに口元を食い入るようにじろじろ見つめ、 学び取る。

 

なによりも、

 

自分の口を動かす


その場で無理なら、 後で思い出しつつ真似する。

唾液飛ばして舌を動かし、 幼児みたいに声を出して、

きゃっきゃっと真似っこ。

★  語学の基本は「 真似 」 ★


ことさら、

 ベロを注視 

 

 

動きを観察

 

「 発音 」 の生産現場なのに、

お口に着目しないのは、 ちゃんちゃらおかしい。

口を動かさずに発音を学ぼうとするのは、 あたかも、

口から排便せんとして、 うんうん踏ん張るような痴態

×  お口で うんこ

 

たぶん 無理です。

◆  職業柄、舌が発音を決めることを熟知するためか、 真っ先に口元に目が行く。

昔から今に至るまで、 盛んに動く口唇ばかり、 こっそり見ながら会話している。

ぶっちゃけ、 ベロ以外、 眼中に置いてないわ。

日本語を話す者から見れば、 みじんも想像しかねる激動の場が展開されている。

失礼ながら、 うちのワンコの舌に負けず劣らず、 生き生き躍動していて感動よ。

日本人の皆様、 これぞ英語学習の醍醐味ですぞ  !!


平板で均一なリズムの日本語が母語の私たちの口周りは、 こんな風に動かない。

普段は  運び  を意識しないからこそ、  物珍しい眺めでびっくりするはず。

まるで、 謎の未確認生物がお口を出入りしている様子だから、 やや気味悪い。

舌の存在を疑うくらい、 一切見えない英語話者も少なくないので、 各人各様か。

見本にする英語の先生を選ぶ際は、 ベロ出しの有無が目のつけ所のひとつ。

AI相手に英会話の練習をし続ける大なる欠点は、 表情と口元が見えにくいこと。

 

耳をそばだてると同時に、 舌の出し入れ  に集中することが学習を促進させる。

 

聞き取れなくても、   口唇とベロに注目しよう。

 

ひたすら見ているだけでも、 日本語とは別次元の言葉であることが体感できる。

詳しくは、 ” no need “、  ” smooth out “、  ” hiatus ”  でご案内している。

ゴムのように伸縮自在な唇の持ち主で、 口周りの運動が大振りで分かりやすい、

推しの YouTuber  も取り上げた ( 図入り、 写真は後掲 )。

これほど分かりやすい口元の動きを示す英語話者を、 私は見たことない。

音声を消して、 口周りを凝視すると、 日本語にはない動きを見て取れる。

外国人の仰々しい表情とジェスチャー( 身振り )に見慣れる上でも役立つ。

さしあたり、

発音記号や音節を考えずに、 興味本位でじっと眺めてみる。

画面を戻して、 とことん観察 ( rewind and rewatch )。

必要に応じて、 コマ送りにする。

▼ TH

▼ F

▼ L


▲  焼肉しゃぶっているよう

日本語を話す時、 このようになりますか。

一瞬たりともないと思います。

なぜなら、 日本語の発音には不用な動きだからです。


Joce’s YouTube “  より


Joce Bedardカナダ人女性    先述の推しの YouTuber


学習上の着目点は、
no need “、  ” smooth out “、  ” hiatus

にてご説明した ( 図入り、 写真入り )。

→  Joce の  頻出表現 ( 動画入り )

 

👄 唇をよく見て 🫦

 

 

◆  日英の音の基礎はおろか、 「 音節 」 の概念さえ知らなければ、

どんなに  ゆっくり  きれいに  穏やかに  話してもらっても

「 ぜんぜん 聞き取れない …  」 と相変わらず落ち込むはめに

超スローな発音により、 超たやすくなるかどうか。

話し手・聞き手になり、 自ら実際に試してみるとよいと思う。

この時点で 「 速度の問題ではないのか 」 と自覚するのが望ましい。

「 速度 」 よりも、 はるかに本質的な上記3点を押さえておきたい。

日英の音言語習慣音節構造  が徹頭徹尾別様なのです。

この点の正しい知識が、 日本人学習者を救うと私は信じる。

単なる 「 努力不足 」 なんかではない。

私たちのせいではない。

先生のせいでもない。

 


そもそも  努力云々などの個別的な域にはない  懸案 ★

「 受験英語が ~ 」 と強調する人は、 本質を捉えていないばかりでなく、
「 実生活で英語をさほど使い込んできていない 」 と経験上私は推断する。 

両言語を常々使って本物の学びを積んでくれば、 こんな見様に行き着かない。

さらに申し添えると、 実務で本格的な英語を使ってこなかったと推察できる。

口幅ったいことをはっきり言えば、 とんちんかんで、 よく分かっていない人。

できるふりを装っても、 見る人が見れば、 浅知恵と一知半解の徒はバレます

教育以前の話で、 「 受験英語が ~ 」 ではなく、 根源的に万事が天地。

 

「 相性すぎ 」

 

「 互換性なし 」

 

「 親和性なし 」


extremely incompatible


日本語と英語の違い 」  より

◆  言語に収まらず、 歴史・文化など、 ありとあらゆる方面が雪と墨。

そもそも論として、 努力云々などの個別的な域にはない懸案である。

すとんと腑に落ちるには難度が高すぎで、 大多数には現実離れ。

万事に天と地の開きが見られるためで、 真に理解するのは至難の業。

根源的に相異なる実在であり、 永遠に交わらざる平行線をたどる。

大まかに総括すると、 日本語と英語には互換性・親和性がない。

The Japanese and English languages are highly incompatible.

本源を一にする 印欧語族 とは別格の、 第一義的な不調和である。

あちらの根っこはつながっている。

この点を過小評価したのが、 日本の英語教育が犯した最大級の過ち。



英語の不得手な日本人が
過半を占めるのは、 自然の数

■  「 本能的に 」 習い覚えた第一言語( 母語 )の影響力は、常に絶大 
■  人間は言語を用いて考えるため、母語こそ「 思考の土台 」を形作る 


◆  英語教育の内容の適不適は、 第二義的な問題にすぎない。

受験英語の弊害 」 ?

本当は、 そんな程度の話ではないのだ。

大胆に例えると、 ワンコ ニャンコ  に仕立てようとするくらい、

一般的な環境に育った日本人にとって、  英語習得は難易度が高い。

からくりをきちんと解かずして、 むやみに詰め込む、 こんな様相。

「 ワ! 」 はダメ、  正しくは 「 ニ! 」 

挙句の果てに混乱し、 授業についていけない脱落者が続出する。

「  なんで、ニャン が正解で、ワン は間違いなんだよ ?

どうやら、 先生方もよく分かっておらず、 堂々と教える自信がないのかも。

  ◇  英独仏を含む、 大規模な印欧語族 ( インド・ヨーロッパ語族 ) を
母語とする学習者と異なり、  母語が日本語の私たちは、

  手掛かり・足掛かり が全然つかめない

文字表記発音・音節・アクセント・語順  はほとんど重ならない。

舌・唇・歯・呼吸間の相互作用  が大違いで、 発音時の口周りも異次元。

言語面にとどまらず、 物事の見方を左右する、 文化的な違いも天地。

だから、 「 異文化理解力 」  も身につけなければならない。

 

  母語 = 日本語の宿命を担うと、

  英語習得はやたらと難しくなる。


  母語が 「 踏み台 」 になってくれないから

 

やること多すぎ



母語に比べて、 「 言語系統が別次元 」 とは、 こういうこと。

母語に存在せず、 イメージしづらいことだらけだから、
どうあがいても理解できない。

 

→  「 日本語と英語の違い 」  にきめ細かく記した ( 図入り )

 

印欧語族同士は 「 りんご – ぶどう 」 、

日英間は 「 りんご – くるま 」 みたいな差。

この雲壌の相違が、 英語習得の難易度の隔たり。


英語に近い言語とは、 立ち位置が違う。

例えば、 「 オランダ人は英語がペラペラ 」。

語順も文法も、 英語に類似する印欧語の代表格が、 オランダ語。

出自が同じだから、 学習上の手掛かり・足掛かりはかなり多い。

初歩から洗いざらい手ほどきを受けなくても、 普段使っている母語との
共通点を見出し、 規則性を汲み取ることで、 ある程度は独力で体得可能。

Both languages share the same root.

 「 オランダ人から学ぶ英語学習法 」

これに類した情報商材が堂々と売られている。

日本語母語話者の悩みを解決するには的外れ。

言語・文化が完全異質ゆえ、 逐一ねじり鉢巻きで勉強して学ぶ日本人。


日本語と英語の違い 」  より


本稿末尾に、 有力な根拠を掲げる。

 

◆  一方、 中国人には英語堪能な方が多いとの反論がある。

確かに、 中国語は日本語と同じく、 印欧語族に属さない。

しかし、 日英に比べれば、 文法と語順が似通っていることは検証済み。

中国語( Mandarin )を大学の第二外国語で学んだ際、 自ら実感した。


 「 動詞 」 が出る前に詰まるから通じない

日本語は語順が違うから、 機械的に置き換えにくい

→  語順を入れ替えないと、 動詞までたどり着けない


ITエンジニアが覚えておきたい英語動詞30 』  pp. 8-11.

板垣 政樹 (著)
秀和システム、 2016年刊
A5判、 248頁

<出版社HP>    <アマゾン>    <楽天>

音声ダウンロード 無料


日本語の動詞は後半に来るから、 語順を全面的に再構成しないと通じない。

むごい試練で、 頭がしっちゃかめっちゃか、 その場で思考がフリーズする。

母語と英語の語順が似ていれば、 ぱかぱか代入するだけで伝わったりする。

 

◆  英語と中国語・日本語・フィンランド語の語順を見比べた図の一例。

英語の動詞 ( to 不定詞 ” want to try ” )  がどこに該当するか目を向ける。

中国語は英語と同じく前半、 ぱかぱかいけそう。

日本語は末尾部に飛ばされ、 頭がこんがらがる。



https://awed-frog.tumblr.com/post/617561392469393408/whoa

※  2024年3月22日 アクセス


最終の  ” Finnish ”  とは 「 フィンランド語 」。

日中同様、 印欧語 ( インド・ヨーロッパ語族 )  ではない。


そのため単語も文法も全く異なります。


https://twitter.com/FinEmbTokyo/status/225793076612972544

※  2024年3月22日 アクセス


ちなみに、 朝鮮語と日本語の語順は酷似するが、 語族は別。

※  言語学では 「 Korean = 朝鮮語 」 が正しく、 「 韓国語 」 は便宜上の名称



https://blog-imgs-101.fc2.com/t/e/s/tesuto93/oXzhjas.jpg

※  2024年3月22日 アクセス

 

◆  英語は 「 印欧語族 」 ( the Indo‐European languages )。

インド・ヨーロッパ語族系統図


画像の拡大

【出典】  小学館 日本大百科全書 ( ニッポニカ )  より


conclusive ”  では、 歴史を振り返りつつ、 世上流布しない

正負の側面を事細かに考察した ( 地図入り )。

aware ”  では、 日本人教師の皆様の強みを述べた。


◆  日本語と英語の埋めがたい差異を踏まえると、 日本語で
英語をどこまでも理解しようとする 思惑そのものがよくない。

日本語は、 英語習得の 「 踏み台 」 になりにくい言語

強引に結びつける熱意自体が、 激しいストレスを作り出す

無理強いして、 嫌がる男女をくっつけようと奮闘するかのよう。

相性悪いんだから、 やめとけ !

先の 「 りんご – くるま 」 の共通点をあくせく探るようなもの。

根源的に万事が天地で、 互換性を持たない日英は平行線をたどる。

本腰を入れて勉強するほど、 非互換性の本質と永遠に相容れない性質
を見抜いてしまい、 焦りと絶望感に取りつかれて、 神経をやられる。

心はずたぼろ、 自信は粉々で、 もう逃げるしかないから挫折する。

これに対して、

それほど生真面目ではない学習者は、 一筋に思い詰めない。

奥行きも平行線も非互換性も見えないから、 気に留めない。

必要以上に日本語と比較検討せず、 くよくよ思い煩わない。

「 ああ、 英語ってこうなんだ〜 」 くらいに別物として捉え、
ピッチを上げてぐいぐい取り込み、 まっすぐ伸びていける感じ。

「 りんご – くるま 」  がどう違うか焦慮し、 始終かりかりしたり、
やきもきしないから、 疲れず、 意気消沈しにくく、 挫折しない。

神経をすり減らさず、 エネルギーを消耗せず、 のんきに続ける。

思わず知らず 「 習うより慣れよ 」 をあっさり具現・体現する。

初級を卒業し、 基礎単語・基礎文法を修得した 中級者 ならば

日本語で詳細に解説するような教材よりは、 ぜひ早め早めに

力量相応の 「 生の英語 」 を中心に据える方が、

良好な結果を生む。


no need  より

さもないと、 まともに英語を使うこともなく、  教材やるだけで人生が終わる。

教材大国ゆえか、 教本に依存したまま寿命が尽きる、 背筋の凍る未来像。

英語教育産業の思う壺。

英語資格と教材学習がもたらすリスクも、 ” no need ”  で暴き出した。

知らぬ間に逸脱し、 あらぬ方向に突き進みがちな日本人学習者の
痛ましき 「 万年受験生 」 姿を描写し、 予防策を詳らかにした。

→  主として、 中級学習者  対象の長文 ( 動画入り )



◆  英学界の巨人、 斎藤秀三郎 ( 1866-1929 ) いわく、


p. 5.   “ PREFACE ”

正則英文教科書 第4冊 ( 第4学年用 )
斎藤秀三郎 (著)
興文社、  1908年刊

※  斎藤秀三郎は、 世界初の EFL辞典を生んだ 影の立役者
→  辞書は 「 紙 」 か 「 電子版 」


同感します。

◆  日本語音の 基調 / CV /  を十分に理解した外国人は、

「 外国人なまり 」が減り、 みるみるうちに上達していく。

特に熱心な学習者だと、 別人並みに変わるから、 こっちはびびる。

目を見張る見事な変身ぶりに、 発音のポイントは「 音節 」

に宿ると改めて気づかされる。

 

◆  若干際どいが、 大事な器官の発音を、 またぞろ練習しておこう。

初めて耳にすると、 おそらく分からない。

■  penis  / píːnispe-nis  (2音節)

【日】  3音節 「   –
【英】  2音節

ピー   ニス
ピー   ナス

「ぺ」 でなく 「ピ」


語源は、 ラテン語 「 尾 」 ( pēnis )。

https://mickeyweb.info/archives/18907

 

■  vagina  / vədʒáinəva-gi-na  (3音節)

【日】  3音節 「  
【英】  3音節

ヴァ   ジャイ   ナ

———-「ギ」 でなく 「ジャイ」
「ワ」 でなく 「ヴァ」


語源は、 同じくラテン語 「 鞘  =  さや 」 ( vāgīna )。

「 お袋 」 に似通う発想で、 あそこの形状と機能を示唆する。

なお、 「 お袋 」 の語源説は、 複数存在する。

以下、 ” private parts ”  より再掲。

語釈全文である。


(1) フクロが子宮をさす


『 日本語源大辞典 』  pp.273-274.
前田 富祺 (監修)、 小学館、 2005年刊


母親を 「 お袋 」 呼ばわりするのが、 気恥ずかしくなるわ。

◆  ” vagina ” ( 膣 ) は、 甘い香りの 「 バニラ 」 ( vanilla ) と同源。

既記の通り、 ラテン語 「 鞘  =  さや 」 ( vāgīna ) が出自。

■  vanilla  / vəníləva-nil-la  (3音節)

【日】  3音節 「  – ラ 
【英】  3音節

ヴァ      

両方とも、第2音節に強いアクセント( 強勢 )

ヴァ       
ヴァ   ジャイ   ナ
1       2      3  音節

3音節同士で、 真ん中に強勢、 リズムはやんわり重なる。

◆  アイスクリームに欠かせないのが、 バニラ味 ( vanilla flavor )。

そこから、 「 定番の 」 「 お決まりの 」。

さらに、 「 ありきたりな 」 「 つまらない 」。

こうして、 面白味のない平凡さ  を表す形容詞としても使う。

 

◆  今後は、 バニラを食すたびに、

vanilla,  vagina,  vanilla,  vagina

と小声でささやき、 発音を反復練習しましょう。

これで、 第2音節に強勢を置く3音節単語は、 大丈夫。

◆  ご自分の生活の中に、 学習機会を見出し、 あたかもパズル

のように、 巧みに練り込んでいけば、 ストレスかけずに学べる。

ほどよい弾みが気持ちを盛り上げ、 心身の不調を遠ざけてくれる。

見慣れているいつもの光景に、 知的な趣にあふれる変化が訪れる。

良くも悪くも心が躍り、 不平不満にかまう隙が消え、 気分が上向く。

「 3時のおやつ 」 みたいに、 学習習慣を挟み込んでいくことだ。

言語習得の決め手は、持続性。


意志力以上に、 よい習慣と仕組みを味方にする。

意志力にいつも頼るのは、 不安定で病みやすい。

自分に合う習慣と仕組みを設ける方が楽に続く。


( 中略 )

「 仕組み → 習慣化 → 無意識 」 で気が楽になる。

なにも考えずに、 反射的・自動的に動けるように。

楽々( effortlessly )できるようになってすごい。

※ 気まぐれな意志力を私はあんまり信用しない


【時間管理】視覚化して脳を安心させる  より


崖っぷちに自ら追い詰めるやり方を、 私はおすすめしない。

一夜漬けの短期決戦はいざ知らず、 長くは続かないからである。

その反動で燃え尽きたり、 得体の知れない疲れが残ることもある。

50年以上生きて振り返ると、 その潜在的な危険性が透けて見える。

なによりも、 心の状態に左右されない仕組み作りが大事 と考える。


「 単語の覚え方 」  より

【参考】    ※  外部サイト



◆  心地よいリズムが暮らしに加わり、 生きることが楽しくなってくる。

これまで、 なんとも思わなかった  「 バニラ 」 を見聞きする都度、

ぷぷぷっ と笑みがこぼれてしまうので、 もう楽しくないわけない。

日本語オンリーの頃には、 夢想だにしなかった新たな視界がぐっと広がる。

英語好きな人に幸せそうな人が多い理由のひとつで、 物事が多重に見える。

語学の魔力であり、 今まで知らなかった活力がみなぎり、 毎日が輝く。

◆  私自身、 日常のふとした隙を突いて、 いろいろ訓練する日々。

【参照】  ” hiatus “、  「自分の世界」が広がる英語 、  単語の覚え方


ネガティブ感情を寄せつけないための刺激的な工夫でもある。

” vanilla ” と聞いて、 ぱっと即座に ” vagina ” を想起する
レベルにないと、 プロの通訳翻訳官は 務まらない気がする。


語源はもちろん、 連想語を調べることなく、 氏名・芸名・
ペット名などをつけるのは、 控える方がよいかもしれない。



◆  本題  ” integrity ”  に戻る。

(1) 誠実、高潔 異なり、  (2)完全性  の場合、

人となりの描出に使われる場面を、そうそう見かけない。

(2)は、専門的な堅い文脈中心で、技術分野 及び 権利関係 が、
主たる用法。

既に記した(2)の使用例でご覧いただいたように、

「 技術分野 」 は判別しやすく、大半が(2)に該当。

「 権利関係 」 については、「 人格 」 も関係してくるので、 要注意。

ただし、 道徳的に高尚な人柄を表す(1)の 「 人格 」 ではない。

生存に必要な自由・独立といった、 人間の権利としての
法律的な  「 人格権 」 を主に示すのが (2)。

とかく手強いのは、 こっちの「 権利関係 」 の  ” integrity “。

(1)と(2)ともども、 適用できそうな用途が少なくないのである。

これまた難問で、 翻訳者泣かせ。

公開されている翻訳を調べても、 どこかあいまいな和訳が珍しくない。

一応の目安としては、「 権利 」 を意味する語、 すなわち

いずれかを伴う時は、(2)中心。

【発音】   ráit
【音節】   right  (1音節)

人権human rights )」 や 「 人間の尊厳 」 を扱う中身で

あれば、  個人の(2)「 完全性 」「 統一性 」 を指す可能性が高い。

◇  ” integrity ” の趣旨   (1)(2)に通底するイメージ

「 完全無欠 」のまま、 丸ごと保護する「 個の保全 」

完全な状態 」を旨とするのが、 ” integrity ” の語釈(2)で、

前掲の通り、「 完全性 」「 統一性 」「 保全性 」「 整合性 」。

(1)と(2)は、 矛盾する語意ではない。

普段、 接する分には、 あまり神経質に分別しなくてもよいと考える。

繰り返すと、 (1)と(2)に相通じるイメージは、

「 完全無欠 」のまま、 丸ごと保護する「 個の保全 」

ひと言に要約すると、

 

「 完全無欠 」

 

それが、 ” integrity “。

 

(1)  誠実、高潔 


The quality of being honest and strong

about what you believe to be right.

( ロングマン、LDOCE6 )



(2)  完全性


formal: the state of being united as
one complete thing.

( ロングマン、LDOCE6 )

※  ” formal ”  =  正式な表現、 堅めの表現


◆  主な類義の不可算名詞は、

completeness “、  ” unity “、  “ solidarity “。

 

◆  締めくくりに、世界最大の英語辞典  “ OED ” をご紹介。

 ” integrity ”  全文である。


“Integrity.”  The Oxford English Dictionary.  2nd ed. 1989.


これこそ、  “ OED ” ( オーイーディー ) の略称で名高い、
“ The Oxford English Dictionary ” ( オックスフォード英語辞典 )。

[ 公式サイト ]  http://www.oed.com/

1884年にイギリスで刊行が始まり、 最新版の第2版は1989年刊。

全20巻、 2万1730頁、 29万1500の見出し語、 62kg。

語義の配列は、 頻出順ではなく、 発生順の「 歴史主義 」。

成り立ちを、 系統的にたどれる利点がある。

◆  「 発生順」 「 歴史主義 」 の  ” OED ” によれば、
” integrity ” の成立は、 世間的な「 頻出順 」と逆になる。

つまり、 既に述べた下記は、 二の次。

  一般社会で、より頻出なのは   (1)  誠実、高潔 


すなわち、

【成立】   完全性   →   誠実、 高潔
【頻出】   誠実、 高潔   →   完全性


上記 ” OED ” の語釈 ( sense 123 に当てはめると、

【成立】   完全性  [ 1 2 ]   →   誠実、 高潔  [ 3 ]
【頻出】   誠実、 高潔  [ 3 ]   →   完全性  [ 1 2 ]

◆  前出の  ” OED ”  の語釈全部を転記する。

キーワードには、 ハイライトを施した。


1.
 
The condition of having no part or element
taken away or wanting;  undivided or unbroken
state;  material wholeness,  completeness,
entirety.

b.  Something undivided;  an integral whole.

2.  The condition of not being marred or
violated;  unimpaired or uncorrupted condition;
original perfect state;  soundness.

3.  In moral sense.   a. Unimpaired moral state;
freedom from moral corruption;  innocence,
sinlessness.

b.  Soundness of moral principle;  the character or
uncorrupted virtue, esp. in relation to truth
and fair dealing;  uprightness,  honestysincerity.


” OED ” には、 難解な記述がままあるのが常例。

ところが、 ” integrity ” の語釈は、 シンプルな文章で構成されている。

中級学習者の実力があれば、 一目で把握できるレベル。

◆  語義の配列は、 各辞書の編集方針に従う。

手元の 著名英和を調べると、 概ね以下の模様。

学習者対象の 学習英英辞典(EFL辞典)は、大方「 頻度順 」。
英語ネイティブ向けの英英辞典は「 発生順 」が目立つ印象。

弊サイトが日本人にお勧めするネイティブ用辞書は、

国語辞典では、『 広辞苑 』は 発生順、『 大辞林 』は 頻度順

発生順(歴史主義)は、 語義を系統的にたどるには最適。
しかし、
一般的な英語学習者には、頻度順の方が実用的。

【参照】  ” initial “、  ” just checking in

“ OED ” 編集主幹の  James Murray 博士 ( 1837-1915 )
については、” in place ”  で触れている( 写真入り )。

 

◆  世界最大 ” OED ” に比肩する偉大な存在として、 日本最大
の国語辞典『 日国 』(※)の語釈も、 ぜひご案内したかった。

※  『  日本国語大辞典 第二版(全13巻+別巻)
小学館、 2000~2002年刊、 B5判変型、 平均 1,456頁


残念ながら、 見出し「 インテグリティ 」、「 インテグリティー 」
のどちらも設けられていなかった。

 

◇  『 日国 』 と  “ OED ”  は入手済み  →  辞書の 「 自炊 」 と辞書アプリ

 

 

【類似表現】

” Do the right thing.”
https://mickeyweb.info/archives/1552
( 正しいことをする。)

” Honest with –  ”
https://mickeyweb.info/archives/472
( 〜 に対して正直である )

 

 

【参考】    ※  外部サイト

◇  英語母語話者 ( 英語ネイティブ ) 対象の 「 言語習得難易度表 」

米国務省の外務職員局 ( FSI : Foreign Service Institute ) 発表

日本語は最難関 ( 4段階中、最高位 )

超難しい言語 」


Super-hard language

exceptionally difficult for native English speakers


https://www.state.gov/foreign-language-training/

※  2024年1月30日 アクセス

※  赤・黄・青字は引用者


割かし頻繁に引用される資料なので、 信用に値すると考えられる。

76 years of experience in teaching languages to U.S. diplomats ”

米外交官に、 76年間、 外国語教育を施した実績が叩き出したランキング。

英語ネイティブにとって、 日本語がかなり難しいのは、 確かであろう。

要は、我ら双方にとって大変であり、 本稿で挙げた側面からも明らか。

まったくもって、 お互い様。

先に掲げた 「 オランダ語 」 とは歴然の差。

 

【参考】    ※  外部サイト

【参照】  ” I have a question for you.

 

 

 

 

 

 

 

 

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